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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
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チェンジ!魔砲の少女 Act7

コハルの怒りが辺りを震わせる。


そう。


ここはまだ現実世界だったから。

コハルの魔砲が放たれる時、辺りは一変してしまう?!

右手に力が籠る。

躰に異能ちからが漲る。


魔砲を放つべく、少女は突き出した。


突き出した先に居る者目掛け、放とうとしているのは・・・



<コハルちゃん!その術を解放しちゃったら大変な事になっちゃうのよ!>


突き出された右手のグローブに嵌っている蒼き魔法石から、女神ミハルが停めるのだが。

魔砲に飲み込まれてしまったのか、コハルには女神の声が聞こえなかった。


「友達を傷付けた奴なんか、吹っ飛ばしてやるんだから!」


コハルは自分の意志で魔砲を放つ意味が分かっていない。

自らの力がどのくらいあるのかなんて、知る術も無かったから。


シキを傷付けた闇の者に、怒りの矛先を向けるだけだった。

躰の中から沸き起こる怒りの感情。

それは闇の中で起こしてはならない負の力。


精神世界である闇の結界の中でなら、女神ミハルが飛び出して取り押さえれただろう。


だが、今コハル達が居る結界は、闇とはいえども精神世界では無かった。

通常の世界に結界が張られただけ。


もしも女神級の破壊波を撃ってしまえば、周りにどれだけの被害が出るかは誰も判らない。


<やめて!コハルちゃんっ、どんな事になるか判らないのよ!>


女神ミハルはコハルの魔砲を打ち消そうと必死に呼びかけていたのだったが。

蒼き魔法石の付いた右手の先に、魔法陣が描かれていく。


<ああっ?!馬鹿な事をしないで!その魔法陣はっ!>


女神ミハルの眼に映ったのは、手の先に現れ出た金色の魔法陣。

それも数枚が連続で闇に向けて収束した状態で現れたのだ。


<まさか・・・こんな少女が神の魔法を?!

 私だってオスマンで戦神アキレスに授けられてから撃てるようになったというのに?!>

作者注・)「魔鋼騎戦記 熱砂の要塞<闇の逆襲>」第2章Act2部を参照


コハルによって形成されていく破壊波動。

金色の魔法陣に描かれていくのは、闇を討ち祓う爆輝弾。


<ぎゃぁっ?!待ちなさいコハルちゃんっ、こんなのを街の中で撃ったら大惨事になっちゃう?!>


ミハルは自分が撃った事のある魔砲弾を思い出す。

相手が悪魔の眷属だとしても、只の一撃で滅ぼせる極大魔砲弾。

その威力は魔王クラスでも通用し、一撃で戦闘不能にできる。


・・・但し現実世界で放つのならば、広い空間が必要。

例えば大きな公園だとか、河川敷とか・・・兎に角周りに被害が及ばない場所が必要。


それにしてもコハルはなぜこのような極大魔砲を放てるのか。

コハルはいつの間に呪文を覚えたのか?

そもそも、魔法衣姿に数回しかなっていない未熟者が、放てる筈が無いというのに。


<ちょっとぉっ?!話が違うじゃないっ、こんなのチート過ぎよぉ?!>


どうしてなのかと女神ミハルまでが錯乱する。

女神級の魔法が放てるのなら、護る必要なんて無いとも思えるから。


スペルを詠唱していない事も、コハルがどんな魔法を使おうと考えているのかも判らないが、

目の前に描かれつつあるのは、間違いなく強力な魔法陣だった。


コハルの魔法力が最大迄引き上げられた事から、放たれてしまえば周りに及ぼす影響は如何に?


「受けてみて?アタシの全力全開の魔砲を。

 あなたが悪いんだよ?シキ君に酷い事したんだからね!」


荒ぶる気を押さえられず、コハルが闇に宣告した。


「どんな事になるか何て関係ないから。

 アタシはあなた達を許さないだけ・・・聖極大爆輝弾ホーリーメガフレア!!」


魔法陣が急速に収束し、光の弾になって撃ち出された。


<ぎゃああっ?!本当に撃っちゃったぁ?!>


女神ミハルにもどうする術も無かった。

少女の無邪気な怒りが齎す事になる惨事を予想して、天を仰ぐしかなかった・・・


((ーーー ドッゴゴオオォオォンッ ーーー))


闇が消し飛んだ・・・位で済む筈もない。

爆焔が闇と公園に拡がる。


女神級の炸裂魔法に因り、辺りの空気が替えられた。


<あああああっ?!やっちゃったぁーっ?!>


女神は魔法石の中で、頭を抱え込んでいた。

現実世界に戻されたコハルが、ポツンと魔法衣姿で立っている。

傍にはこれまた闇の魔法衣を着たままの、シキが横になって休んでいる・・・


いや、爆焔に巻き込まれたのか眼を廻しているようだ。


「あ・・・あはっ、あははははっ?!どうなっちゃったのこれは?」


此処があの公園だったとも思えない惨状。

木立は根こそぎ吹き飛ばされ、隣接したコンテナ置き場には噴き跳んだコンテナ等が転がっている。

そして、炎が辺りを包んでいた。


「闇の者達はどうなったんだろう?シキ君の仇は討てたのかな?」


呆然と立ち竦んで右手を観た。

付けられた魔法石が点滅して危険が去っていない事を教えているのだが。


「やったよ女神様、もうシキ君もアタシも大丈夫だよね?」


やっと、我に返ったのか。

周りを観る余裕が出来たのか。

コハルが無邪気に呼びかけるのに、魔法石の中で女神ミハルは叫んでいた。


<何てことしたのよコハルちゃん!最大魔砲を撃つなんて!

 後先考えないのも限度ってモノがあるのよっ!

 これが姪っ子じゃなかったら神罰堕としてるんだからっ!>


そもそも、女神級の魔法を新米魔砲少女が放てるなんて、女神ミハルにも想定外だったのだが。


<それに、周りの状況を確認しないからっ!目の前の敵にばかり気を盗られてるから!

 この後どうなるかなんて考えてなかったでしょう?>


宿る女神が忠告したかったのは、危険が全て去った訳では無いという事。


<コハルちゃんっ、急いで逃げるのよ。もう魔法力なんて残っちゃいないでしょ?>


この場から直ぐに逃げろと叫んでいた・・・再び闇が迫っている事を伝えたくて。

だが、魔法力が底を尽いたコハルには女神ミハルの声は届いていなかった。




「シキ君、しっかりしてよ。もう闇の魔物はやっつけたから」


横になったシキを揺り起こすコハル。


「うっ・・・うう~んっ・・・酷い目に遭った・・・」


やっと目を覚ましたシキは、傍に居る魔砲少女に眼の焦点を併せるや否や。


「ぎゃぁっ?!見境無し子!」


「は?!みさかいなしこ?」


飛び起き様に呼んで来るシキに小首を傾げるコハルが。


「気が付いた?シキ君。仇は討ったよ?」


言葉間違いなコハルを観るシキが怯えたように後退り。


「死んでないから。それよりコハル、闇はみんなやっつけたんじゃないよ?」


指でコハルの後ろを指しながら、


「下僕達が全部集まって来たようだよ?」


闇の下僕がまだ居る事を告げて来た。


「えっ?!全部?!」


コハルがシキの指先に振り返った時に見たモノは。


「うっそぉーっ?!」


振り返った先には、またも闇が現れている。


「そんなに一杯?!どこから湧いて出たのぉっ?」


爆焔を揚げている公園の上空には、またしても闇の結界が張られていく。

しかも、今度は前の倍以上にも亘る規模で。

蠢く闇の者達の数も、倍ぐらいは居ようか?


「逃げよう・・・」


思わずシキに呟いた時には。


「駄目だ、もう囲まれた!」


闇の結界が周りを包み隠した。

逃げる事も叶わず、闘うにも魔法力が底を尽いた状態。

それが意味するのは、<闇の連れ去られる>・・・このままでは。


「どうしよう、シキ君?!」


もう一度魔砲で吹き飛ばしたいのだが、力を求めても出て来ない。

自分の魔砲でやっつけたいのだが、何も思いつけない。


「さっきはね、頭の中に呪文が勝手に湧いてきたんだよ?

 それを唱えたら出来たんだけど、今度は何も湧いて来てくれないの!」


焦ったコハルが、先にはなった爆輝弾は勝手に出来たんだと教える。

偶然か、神の啓示だったとでも言いたいのか。


「だからね、今のアタシは唯の女の子なの。

 魔砲なんて何も判んない普通の小学生なんだよぉ?!」


迫り来る闇に怯えるコハルが、シキにしがみ付いて震え出した。


<・・・ホントにもう。世話のかかる姪っ子だこと>


女神がため息を吐く。

先程の魔力はなんだったのか。唯の一撃で闇を蹴散らしたというのに。


<でも、さっきの魔砲はマグレじゃない。

 魔砲が撃てるのも偶々じゃない・・・この子の中には何かが眠っている>


女神ミハルは謎を解く鍵を考えた。

集う闇には目もくれずに。


<どうやら闇の者達は、私が出て来れないと踏んだようね。

 周り中の闇を集結させるなんて・・・愚の骨頂・・・というか。

 私を馬鹿にしているんじゃないかしら・・・結界なんて張り巡らして>


コハルの蒼き魔法石の中で、女神が腕を組んで待った。

闇の結界が先程より強くなっていくのを・・・細く笑んで。


<勝負をかけて来た・・・つもりなんでしょうけど。

 あなた達ぐらいでは、コハルちゃんを連れ去るなんて出来よう筈も無いのに。

 それとも、私を見くびっているのかしらね?

 このことわりの女神、1000年を越えて来た女神ミハルの事を>


包み込んで来た闇の結界が濃くなるにつれ、精神世界の門が開く。


<まぁ、私の出番なんて必要もないだろうけど。

 コハルちゃんにちょこっとだけプレゼントしてあげなきゃね?>


退魔に手を下す気が無い女神が、コハルとシキを観ながら贈ったのは。


「あ・・・なんだか分かんないけど。

 異能ちからが戻ってきた!これならまた魔砲が使えそう!」


求めていた魔法力が蘇り、喜んでいたコハルへ。


「良かった!じゃあコハル。僕と一緒になって、奴等を追い払おうよ!」


背中を併せて、シキが頼んで来る。

周り中に溢れかえる闇の者を睨みつけて。


「どうするの、シキ君?」


囲まれた状態から、どうやって逃げ出そうというのかと訊いたつもりだが。

シキから返って来た答えは・・・


「コハルと僕とで。

 二人同時に最大魔砲を撃ってやるんだ!アイツらがびっくりするくらいの魔砲を!」


ニヤッと笑う男の子が、背中合わせの女の子に言い除けた。


「えっ?!二人で?」


コハルが驚いたようにシキを観ると。

シキは黙って頷き、左手を伸ばして来る。


コハルの眼に飛び込んで来たのは、伸ばされた手の先に現れた<光の魔法陣>だった。


挿絵(By みてみん)

周りを囲む闇に、2人の魔砲が放たれようとしていた。

2人が放つ魔砲は、またも辺りを破壊するのか?!


だが・・・2人は放つ。

声を併せて。

ダブルブレイカーを!


コハル→  「バ      ス !」

シキ →  「   ル     !」


・・・・・!!!!!


次回 チェンジ!魔砲の少女 Act8

君達は終焉の呪文スペルを放つというのか?!(大嘘です)


ミハル「あああああーっ?やぁめぇてぇーっ?!女神だってもうどうしようもなくなっちゃうからぁ!」

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