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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
25/219

チェンジ!魔砲の少女 Act2

お話の途中に挿絵がございますが・・・

なんらお話とは関係がございません。


唯のイラストです・・・ええ、コハルの居る都だと御思いクダサイ。

こっそり大文字山が・・・?!

雲が現れ月を隠す。


零れ落ちていた月光が遮られて、街に闇が訪れる。

街灯の明かりだけが頼り、民家から洩れる灯りだけが燈火ともしび


夜道を歩く者にとって、それだけが目印だった。



少女が遅くなった帰宅を急いでいた。

速足で歩く少女は、帰宅を急いでいるだけでは無かった。


「なんだろう・・・何かがつけて来てるみたい」


後ろを振り向いても街灯の下には誰も居ない。


「気の所為かな?」


人にも動物としての勘が備わっているのが、夜闇の中だとはっきり分かる。

闇を怯える心細さが、そう感じさせているのか。


足を進めると、また感じられる。

誰かが忍び寄ろうと、後をつけて来るような恐怖感が。


「だ、誰?誰なのっ?!」


恐怖に耐えきれなくなった少女が、振り向きもせずに訊いた。

だが、答えが返って来る筈もない。


もし、返って来れば・・・更なる恐怖に襲われただろう。


初めは速足程度だった歩みも、やがて小走りになり駆け足になる。

恐怖から逃れようと少女は家路を急いだ。


いつも通いなれた道だというのに、月明かりが差し込まないだけで全く別の道に思えた。


恐怖が混乱を招き、恐怖から逃れようと焦りを産む。

後から追って来るモノは、少女から着かず離れず忍び寄る。


「だっ、誰か!」


家まで後僅か。

玄関にさえ辿り着く事が出来れば助かる・・・


少女は必死に逃げ帰ろうと走った。

玄関までは、目の前にある角を曲がれば・・・


少女が角を曲がった時、目の前に赤黒い闇が待っていた。

少女の眼に、赤黒い空間と真っ黒な人影が立ち阻んでいた・・・




挿絵(By みてみん)




ホームルームで担任の太井先生が、皆に注意を促した。


「最近、子供たちの失踪事件が相次いでいるから。

 皆さんは夜道を独りで歩かないように。

 もし出かけなければならないのなら、誰かと一緒に歩く事。

 いいですね、くれぐれも夜道には注意が必要ですよ?」


コハル達が通う帝都小学校だけでも2人もの行方不明者が発生した。


帰宅が遅いと家族が警察に捜索を依頼したが、2人の足取りはぷっつりと途絶えていた。


独りの少女などは、自宅前数メートルの場所に手提げ鞄だけを残して行方が分からなくなった。


二人が失踪した経緯には、共通点があった。

どちらも足取りが掴めなくなったのは夜間だという事。

そして二人共少女だという事と、


「なぁ、コハル。太井女史の言った通りやで。

 暫くお祖母ちゃんの道場へ通うのは夕方までにしといたらどうや?

 道場への道順なんやろ、行方不明の二人の家があるんわ?」」


「でもぉ、ミユキお祖母ちゃんに直接教えて貰うには皆さんが帰られなきゃ。

 自分独りだけに教えて貰うのは、生徒さん達が居なくなった後だもん・・・」


コハルにマリアが忠告した通り、

何者かの狙いが、ミユキの道場への道順の中に隠されているような気がしていた。


「それにやなコハル。

 神隠しみたいに連れ去られたんや、相手は確実に何かを狙ってる。

 誰かを狙っているとも考えられへんか?」


「誰かって・・・誰?」


マリアの推測が正しければ、狙われているのは・・・


「コハル、暫くの間だけでも、道順を変えてくれへんか?

 夜だけが危ないとは限らんで?」


コハルを闇が狙って来るとすれば、確かに夜間が殆どだろう。

だが、力ある闇の者が現れれば昼間だとて判らない。


ついこの間も昼間に現れたのだから。


「それは無理だよ。お祖母ちゃんの道場から途中までは一本道だもん」


「むぅ・・・そうなると。やはり付き添いが必要なんやな?」


コハルは道場通いを怠けたくないと言い、道中経路は替えれないと言う。

そうなると、採れる方法は唯一つ。


「ウチが一緒についてったる。コハルの警護の為やからな!反対は赦さへんで?!」


マリアが道場通いを警護すると言い切った。

いくらなんでも、保護者じゃないのだからそこまでしなくても。

そう言いたかったコハルを眼で停めたマリアが。


「これ!既に決定事項やしな!

 反対するんやったら道場通いを中断してるらわにゃアカン!」


コハルを指差し決めの一言を放った。


「そんなぁー、アタシの言い分は?」


「そんなもんは無し子!」


ビシッと言い除けられて、コハルはへこむ。

困った顔を向けるコハルにカラカラと笑ってから。


「それにやな、もし本当に闇の者がコハルを襲う気やったら。

 ウチが成敗してやらんと、気が済まへんのやわ!」


マリアの正義感がこんなことで燃え上がったのかと、コハルが驚く。


「マリアってば、アタシにかこつけて闇の者を討伐したいだけなんじゃないの?」


ブスッと頬を膨らまして拗ねるコハルに、またしても笑い掛けて。


「気にすることはあらへんやろ?

 コハルは大船に乗ったつもりでウチに任せておけばええんや!」


大概の闇の者には太刀打ちできると豪語するマリアだった。



今日は偶々道場に通う日だった。

一度家に帰ったコハルは、道着に着替えて剣を片手にマリアの前に出て来た。


「どうかな?これでもいっぱしの剣士見習いなんだよ?」


くるっと一回転して袴姿をマリアに見せる。


「おおっ?!わんだふぉー・・・って。ちんまい剣士さんやなぁ」


「ねぇ・・・褒めてるの?貶してるの?」


マリアにジト目で訊くコハル。


「ちんまくたって・・・お祖母ちゃんに仕立てて貰ったんだから。

 アタシの宝物なんだよ、この道着は!」


紅い袴姿、薄いピンクの着物。帯は紫で、後ろで結い上げた凛々しい剣士の道着。


「それにしてもコハルが羽織袴を自分で着れるとは?」


着付けが出来ている事に驚きを隠せないマリア。


「そーなんだよね。覚えるまで1週間かかったんだよ」


えっへんと胸を張るコハルへ、


「もしかしてコハルはその一週間を着付けだけに費やしたとか?」


「・・・悪い?」


袋に収めた木刀を左手に持つコハルが、バツの悪そうな顔を向ける。


「い、いや。悪くない、というか。

 初めが肝心って言うからなぁ・・・何事も」


これ以上何か言えば完全に言い繕っている様にしか観えないと考えたマリアが、

コハルの前に立って歩き出した。


「とにかくや。コハルを警護するのは事件が解決を観るまでの間やからな」


鞄の中に忍ばせてある水晶銃を確認して、マリアが期間限定なのだと教えて来る。

近い内に、敵の方から何事かのコンタクトがあると読んで。


「そうなのかなぁ、だと良いけど?」


このまま何日もマリアの護衛が必要になる事は願い下げだと思っている。

大体、マリアにだって用事がある筈だし、

道場通いをする自分は良いが、付き添うマリアには時間が勿体ないと想えた。


「ええから。あんじょう気にせんとって。ウチはウチに出来る事をするから」


鞄の中から教材を取り出したマリアが笑う。

取り出された教科書のような本に書かれてあるのは。


「あっ、それって・・・フェアリア語の本じゃない?!」


「そや!コハルが話せるんやったら、ウチも母国語を習得しとかなアカンと思うとったんや」


どうやとばかり見せつけて来るマリアが、


「いつフェアリアに帰れるか判らへんから、話せるようにならなってな。

 それに手紙位書けるようにもならなアカン思うてな」


母国語なのに、自分には他国語の様に判らない言語。

親友のコハルには理解出来ていたという焦りも加わってのことだろう。


「コハルを待つ間に覚えようと思うんや。

 もし判らん言葉があったら、帰り道で教えて貰えるんやし」


なるほど・・・合点がいった。

マリアにとっても無駄な時間では無いという訳だ。


「おっけぇー、そういう事なら。アタシも気が楽だよ!」


二人にとっても、今回の事件は渡りに船だという事になる。

まぁ、無事に済めば・・・だったが。



コハルがマリアを伴って道場に来たのを、ミユキは歓迎しなかったのだが。

夜道を独りで歩く危険をマリアから話され、初めて失踪事件を知ったようだった。


「そんな事がこの近所で?ちっとも知らなかったわ。

 マリアちゃん、教えてくれてありがとう。

 でもね、二人だからって安心しちゃいけないのよ?

 二人共まだ子供なんだから、無茶な事はしないでね?」


ミユキにはマリアの狙いが手に取るように分かった。

マリアの鞄に忍ばせてある水晶銃に気が付いたから。


ー  コハルちゃんの友達・・・魔砲の少女。

   マリアちゃんが持つ魔砲の異能ちからはまだまだ幼い。

   この程度では闇に打ち勝つ事なんて無理・・・いいえ、無茶な事


「それよりコハルちゃん、暫く遅くなるのは辞めにしない?

 皆と同じ時間で切り上げるのはどうかしら?」


危険を察知したミユキが、コハルに勧めたのだが。


「いぃーやぁだぁ!みんなより大分遅れて習い始めたんだもん!

 みんなより沢山稽古を即けないと、一人だけ除者みたいなんだもん!」


一言の元に拒否されてしまう。


「しょうがないわねぇ、それじゃあお祖母ちゃんがお家迄送るから」


「それも駄目!ルマお母さんとの約束だから。

 お祖母ちゃんに迷惑をかけるのなら道場通いは出来なくなっちゃうんだよ!」



自宅からお祖母ちゃんの家まで歩いて15分。


その距離を通えないのなら、道場へは通わせて貰えない約束だった。

義母みゆきに迷惑を掛けてはと考えたルマの提案でもあり、

送迎をする事で、中途半端にコハルが辞めてしまうのを嫌ったからでもあったようだ。


「でも、友達が一緒ならずっと安心できるでしょ?

 独りで通うよりは二人の方が安心できるでしょ?」


ねぇねぇと、コハルが祖母の手を取り強請って来る。


「しょうがないわねぇ、途中まで送るから。

 それで文句は言いっこなしよ、コハルちゃん」


孫の強情さに負けたのか、ミユキが妥協案を提示した。


「うん!それなら良いよ。でも、ルマお母さんには内緒にしておいてね」


条件を呑んだコハルにため息を吐いて、


「ホントにもう、誰に似たのかしらコハルちゃんって」


孫の強情さに天を仰ぐミユキが溢した。

ため息を吐居ている横で、コハルはしっかりと祖母みゆきに指を差していた。


皆が帰った後、道場でコハルが剣術の指南を受けている。

マリアは黙々と母国語を勉学している。


二人の少女がそれぞれに学ぶ姿を観ていたミユキが、マコトに逢った日の事を思い出して微笑んでいた。


ー そう、マコトはああやって勉学に励んでいたものね。

  必死に学び、きっと果たそうと願っていたのよね。

  魔法を使う機械を開発する事で、人々に役立てられると思って。

  私の前でマコトは輝いて観えた、どんなひとよりも・・・


もう数十年経ってしまったのに、色あせない想い。


ー 今は魔法が公には存在していない事になっているから。

  マコトは他人の眼なんて気にしないから良いでしょうけど。

  これからは研究がし辛くなっていくのでしょうね・・・


ついこの間まで頻繁に孫の顔を観に戻って来ていた夫マコトだったが。

近頃は帰って来るのが週に1日程度にまでなっていた。

何にそんな時間を費やしているのか、話そうとしてくれなかったが。


ー  大方、深海調査用の機械が出来上がりつつあるのね。

   ミリアさんの御主人ジョセフさんを探す為に作っていると聞いた事があるもの。

   間も無く試験が執り行われるだろうって、マモルも言っていたもの



コハルの稽古に目を配りながらも、ミユキは思い出に浸っていた。

思い出に捕われている間に、時間はあっという間に過ぎ去り・・・



「ぜぇぜぇ、お祖母ちゃん!いつまでこのまま素振りしていたら良いのぉっ?!」


半分涙目のコハルが泣きついてきた。


「あ・・・あら?!もうこんな時間?!」


気が付けば8時を過ぎている。


「今日はここでお終い。道場を片付けてコハルちゃん」


「うぁああ~ぃいっ」


べろんべろんになったコハルがふらふらと片付けを始める姿に微笑んだ・・・時。




ミユキの勘が何かを感じた。


ー  何か・・・何者かの気配?

   でも、感じる気配に澱みはない。怪し気な気配とは思えない?!


身に迫るような気配とは思えない。

闇の者には違いないだろうが、悪意を感じられなかった。


「ふむ・・・それじゃあ、途中まで送って行くわねコハルちゃん」



道場を閉じたミユキと、二人の少女が夜道を歩く。

二人の少女は気配を感じ取れていないのか、無邪気なお喋りを交わしている。


ー  まだ・・・気配はあるけど。

   段々と遠ざかって行く・・・もう大丈夫かしら?


先程感じた気配の主が、どこかへ向かって行く気がした。

闇の者の気が遠ざかったと感じられたから。


「それじゃあ、コハルちゃんもマリアちゃんも。

 気を付けて帰りなさい、くれぐれも寄り道なんてしちゃあ駄目ですよ?」


「はぁーい!お祖母ちゃんもだよ!」


元気に手を振るコハルに手を振って見送った。

ここまで送れば大丈夫だろうと、無くなった気配に安堵して。




見送られたコハルが家まで後少しの処に辿り着く。

マリアに質問された答えを教えていると、もう家まで100メートルも無い場所まで来た。


「じゃあ、マリア。また明日学校でね!」


苦笑いするコハルに、


「じゃあ・・・明日。ちゃんと教えてくれよな?」


教わり切れなかったマリアが口を尖らせる。


「うっ、うん・・・うけたまわった!」


顔をヒクつかせたコハルが脂汗を掻いて、了承すると・・・


「ホンマやな?ホンマに教えてくれるんやな?」


念を押してきたマリアに。


「マモル君に訊いておく・・・その。ラヴァーズって意味」


単に愛する者って、思い込んでいたコハルだったがマリアに駄目出しを喰らって動揺した。

フェアリア語に長じている筈の自分にも分からないスラングだとは、思いもしなかったから。


「そぉや!おかあはんにも訊いておいてや。

 ウチもどんな意味なのか知っておきたいんやから!」


幼い娘達には恋愛や恋物語に憧れる事もある。

マリアが単語の意味を知りたがるのも、

自分達が知っている<ラブ>とは全然違う意味を指していると読み取れたから。


「好きな人同士ってだけじゃ、繋がらないんだよね?

 だったら、ラヴァーズって・・・なに?」


興味本位で始めた勉強が想わぬ方に向いたのを、幼過ぎる少女達は気付いていなかった。


・・・と、言い合っている間にも分かれ道が来たようで。


「じゃあねマリア!」


「ほんじゃなコハル!」


手を振り合って右と左に分かれた。




「きゃっ?!」



別れた瞬間だった。


コハルの悲鳴が角から聞こえた。


「なっ?!」


声が聞こえた瞬間に振り返ったマリアの眼に入って来たのは。


「闇の者か!」


赤黒い結界に呑まれるコハルの姿だった。


もう、何も考える余裕なんてなかった。

咄嗟に鞄から水晶銃を掴みだし、叫んだのは?


「水晶よ、我と共に闘え!」


マリアが変身を告げていた・・・


いよいよ!

いよいよですっ!

コハルが自ら望んで・・・<変身トランスフォーメーション>します!

闇の者と対峙するマリアとコハル!

放て魔砲!闘え魔砲少女!


次回 チェンジ!魔砲の少女 Act3

君は蒼き魔法石に命じる・・・<魔砲少女>になるんだと!

  「シャインニングゥーッチェェンジィーッ!!」魔砲少女コハル誕生


女神ミハル「あ~あっ、とうとう私の出番もなくなったちゃうんですね?寂しいなぁ(棒)」

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