神託の御子と終焉の悪魔 第8話
今回。
本作最大の・・・理不尽かも。
あ。
異形種にとってですが。
出役!機動女神ミハル様!!
堕神デサイアは、憑代だった娘から教えられました。
人の気高き魂という物に因り、恨みは絶たれるのだと。
繋がる絆の尊さを思い知らされてしまいました。
「もっと早くに・・・気付くべきだった。
何年も宿っていたのに・・・どうして気が付かなかったのだろう?」
デサイアは後悔と侮蔑を自分に与えました。
「美晴に幼き時から宿りながら、なぜ今になって知らされたのだろう?」
異形種に操られていると分からない堕神の嘆き。
もしも美晴でなかったのなら、完全に堕ちてしまったでしょう。
美晴だったから、今迄持ち堪えられていたのでしょう。
完全に邪なる者へ墜ちるのを防いでくれていたのでしょう。
「蒼ニャン・・・もういいよ。自分を責めないで」
未遂に終わる・・・このまま堕神が粛罪を受け入れれば。
邪神王を倒した時、デサイアが呪われていなければ。
「うぐっ?!だ、駄目だ。
呪いは完全に私を闇に染めようとしている・・・・」
大魔王と化すのは逃れようもない。
唯、大魔王になるにしても邪神になる訳ではないのです。
正気を保ち、邪悪に染まらなければ。
「デサイア、大魔王も良いモノだぞ?」
不意にルシファー様が言うのです。
「闇を支配して人と共存出来れば、光を喪う訳にはならないのだからな」
おお!コハル様が望んでいた世界ですね。
「そうですデサイアさん!私だって姫御子として御して来ましたから」
その通りです!コハル様が支配していたおかげで闇の者達は人間を侵さなかったのです。
「お友達が助けてくれたんだよ、アタシの事を。
コハルちゃんの仲間達が助けてくれていたんだよ?」
最期の聖戦に駆けつけてくれた仲間達を示す美晴さん。
「だからね、デサイアさんも仲間になってね?
大魔王になっても、見守っていてね?」
「・・・そうか。それもまた良いのかもな」
大魔王になったとしても、粛罪は可能為りや?
「この天使長ミハエルが責任を以って手を差し伸べるから」
自分の粛罪を終えられた天使長様が断言されたのです。
大魔王となっても粛罪は可能だって。
「ありがとう・・・古き友よ」
デサイアさんはもう・・・大丈夫みたいですね。
だとすれば・・・後は?
異形種が忍び寄って来ています。
でも、誰もがそれに気づいていなかったのです。
異形種の恐ろしさ。
それは神であろうが悪魔であろうが関係なく。
「諸共だ・・・こ奴等全部を頂こう」
悪意の総意は手を伸ばしたのです。
此処に居る精神世界の光の者や闇の者にさえ気付かれずに。
相手には判る筈もないと多寡を括って。
ですけどね・・・居るんですよね。
とんでもないお方が!
「そこまでよ!」
光が突然湧いて来たのです。
湧いて?
異形種の真下から。
そう・・・彼女は・・・異形種を狩る者だったのですから。
「バレないとでも思ったのかしら?異形の者イシュタル!」
真・理の女神が推参したのです。
異形の者が潜んだ陰に。
「この3000年女神にバレていないとでも思ったの?
アンタ達なんかスカウターを観たら分かっちゃうんだからね!」
影の下。
精神世界の真下。
そこには異形の者が潜む別空間が存在していたのです。
「結界に潜み、悪だくみを企てるイシュタルを見逃す訳にはいかないわ!
銀河連邦時空保安官<機動女神ミハル>が、成敗してあげるんだからね!」
は?!銀河・・・連邦?なんですかそれ?
「時空を歪ませ、邪悪をばら撒き続ける異形種!
その種を駆逐する任務を任された保安官に見つかったのを運の尽きだと諦めなさい!」
ほえぇっ?!ミハル様は保安官だったのですか?・・・って、どんな設定なんですか?
「今より先の未来にまで悪影響を齎す種を、この場で狩ってあげるんだから!」
ああ、だからイシュタルを異形種って呼んでたのですか。
びしっと決める女神様。
「「保安官だと?!この世界に存在せぬ者がどうして現れたのだ?」」
異形種が女神様の存在に気付き狼狽えます。
「あら?それはお互い様じゃない。
この星の未来を邪悪に染めんとする奴から護るのが保安官の務め。
未来にも影響を齎す邪悪を滅ぼすのが、この星を託された機動女神の使命なんだから!」
更にビシッと決める女神様。
相手の異形種は、返す言葉を失ったみたいですね。
「「ぐぬぬ・・・我等の企てを邪魔する気なのだな?」」
「お馬鹿さん!邪魔なんてしないわよ、駆逐するって言った筈よ」
・・・完全に事を構える気ですね女神様は。
邪悪なる異形種は、女神に炙り出されてもう逃げ場を無くしたようです。
「逃げる気なんてないでしょ?
たった一人の女神を相手にして星から逃げ出すなんて出来っこないよねぇ?」
ミハル様が敢然と挑戦したのです。
相手は異形種、現在の神々が束になっても叶わないと思える完全なる邪悪に・・・です。
いや、間違いました。
邪悪には完全なるモノなんてありませんから。
その証拠に異形種は女神を貶めて獲り込もうとしていましたから。
「ほらほら?もう逃げられないわよ?闘う?闘うわよねぇ?」
なんだか・・・ミハル様は煽っていませんか?
「あなたが反抗してくれないと。
こっちからは手が出し辛いんだよ、未遂犯だと刑罰が軽いんだもん」
・・・おい。
「この精神世界ならどれだけ暴れてくれたって構わないのよ?
あなたの産まれた星で使われた戦闘機械でも呼んだって構わないのよ」
・・・煽りますねぇ・・・
「「おのれ・・・言わせておけば小娘風情が!」」
あ~~~~あっ、のせられちゃった。
これはもう・・・あれですね。
「「我を駆逐するだと?笑止!」」
最初に手を出した方が負け・・・でしょ?
「「受けるが良い!我の光の矢を!!」」
だからぁ・・・もう知りませんよ?
邪悪に染まる異空間で、異形種と機動女神が対峙します。
「「消え去るが良い!小娘」」
そして遂に・・・
「フフフッ・・・そうこなきゃぁね!」
異空間から女神へ向かって現れたのは?
「戦闘ポッドか・・・イマイチ物足りないわねぇ」
・・・・へ?!
機動女神様は、現れ出でた戦闘機械にご不満な様子?
「これじゃあ旧式のフィンでも十分過ぎるわ。私のフィンなら1機で事足りちゃうかもね」
・・・・ほぇええええええっ?!マジですか?
女神様の前に現れた戦闘機械は、その数20機にもなるんですが?
異形種が繰り出して来た戦闘機械は空間を飛び回り女神様を圧し潰さんとしています。
紅く光るレンズを女神様に照準し、攻撃を始めそうになっています。
「「機動女神とか言ったが、怖気づいたか?」」
自分が繰り出した戦闘機械に自信たっぷりな異形種さん。
ですが、良く見てくださいよ女神様の顔を。
ニヤリと嗤い・・・いいや、本気で笑ってますよ?
「お~ほっほっほっ!馬鹿も休み休みに言ってよね!
あなたの方こそ腰を抜かすんじゃないわよ?」
・・・異世界を支配してる異形種が、腰を抜かすんですか?
「じゃあ・・・観てなさい」
機動女神ミハル様が、腰に手を充てて?
「フィン起動!戦闘妖精よ、敵を殲滅せよ!」
「「了解マスター!」」
どこから声が?!・・・と、言っている暇もなく!
女神様が腰に閃かせていた6枚の魔法布が、切り離されたかと思ったら?!
「撃滅せよ!妖精さん達」
女神様の声に、布が自在に飛び回り・・・そしてコの字に折れ曲がると。
「撃ぇ!」
ミハル様の命令一過。
ビシュッ!
コの字に曲がった内側に蒼き稲妻が湧き、異形種が繰り出して来た戦闘機械に放射したのです。
稲妻かと思えた蒼き光でしたが、それは・・・
ブスッ・・・バガァアアア~ン!!
レーザー光線?!一撃で戦闘機械を撃破します。
「フッ!私のフィンはね。最新鋭の粒子砲を放てるのよねぇ」
リュ・・・粒子砲ですって?!あわわわわ・・・・
「「馬鹿な・・・そんな馬鹿な?!」」
ほら、異形種さんも混乱しちゃいましたよ?
「馬鹿は言いっこなし。こんなの序の口なんだからね」
・・・ねぇ異形種さん。覚悟完了?
と。
ここで異形種さんに善い知らせが。
「「ミハル。遊んでないで早くお終いにしちゃわないと。
未来が変わって消えちゃうかもしれないわよ?」」
蒼き宝珠から御主人様のご忠告が入りました。
消えちゃうのは機動女神ミハル様の方ですよね?
「おっと、そうでした!
どうせ未来を変えるのなら・・・成敗してからにしないとね?」
前言撤回です異形種さん・・・覚悟再確認?
「「ううっ?!我等の戦闘機械がモノの役に立たぬとは?」」
諦めてください・・・相手が悪かったようです。
異形種さんの戦闘機械は、美晴さんの居る世界に放ったらそれなりに活躍できたかもしれませんが。
3000年女神様の世界では、どうやら過去の遺物に過ぎなかったみたいですね。
「そろそろ・・・覚悟完了?じゃあ・・・往くからね?」
・・・何をする気なんですか、女神様(怯え)?
「御主人様、フォトンメーザー砲の使用許可を申請します」
・・・フォ?フォトンメーザー・・・砲?!
「「・・・いいえ、ミハル。ここはギガ・素粒子砲を使っちゃえ。
魔導波動砲の使用を許可します。良いわね?」」
ま・・・魔導波動砲ですってか?!(愕然)
「はぁうッ?!手加減なしですかぁ御主人ちゃまぁ?!」
さすがの機動女神様も・・・驚き・・・
「やってあげるわ!星三号作戦以来だものね・・・これを放つのは!」
・・・なんか・・・もう。流石に異世界戦だけありますね。
嫌な予感しかありませんよ。
「じゃぁ・・・変身しなきゃぁ・・・だね!」
うわうわうわッ?!
「「やっちゃえ!機動女神ミハル。本当の姿へチェンジしちゃえ!」」
御主人ちゃまも・・・悪乗りし過ぎ。
「承りぃ~~ッ!」
女神ミハル様がスペルを唱えます。
「機動女神、戦闘モード!変身!フルマギメタル!」
詠唱は起動スイッチを作動させます。
今迄着ていた魔法衣姿が一瞬の内に掻き消え、新たな魔道の鎧を身に纏うのでした。
鋼の甲冑、黄金の円環。そして・・・
手にしていた神の槍が太く、先端の亀甲型の穂先部分が4つに割れて中心にあった蒼き宝珠が無くなった跡には魔砲発射口が出来たのです。
それは開口部に螺旋状のシャッターが閉じられてあったのです。
蒼き髪を靡かせて、機動女神ミハルさんが構えるのは。
「これでも最新鋭とは言えないけど。
97式魔鋼砲には少々劣るけど、十分だよね私が撃つんだから・・・」
97式?
「銀河連邦歴0097(ダブルオーナインティセブン)式の特徴は、集束波動砲を撃てることよ」
銀河・・・連邦?!どこの世界??
ああ・・・物語がどんどん訳わかめに。
「異形種!今より放つのは正義の輝!
機動女神ミハルが討つのは邪悪なる者!
この星より永劫に消え去りなさい!」
「「こんな・・・馬鹿な話があってたまるか!」」
私もそう思います・・・異形種さん。
金色の光を纏う機動の女神ミハル様が、槍だった砲を闇に向けます。
「射撃準備!源影クロスゲージオープン!」
ミハル様の前に3D照準器が現れました。
「波動圧力限界値まで上昇!出力120パーセント!」
魔導砲の基部がパネルを開放しました。
「シリンダー内圧力限界値まで・・・発射可能!」
照準器に映るのは・・・この精神世界そのもの。
物体を撃つのではなく、この異空間そのものを撃つというのですか?!
「「ミハル・・・攻撃始め!撃て!」」
「了解ッ!撃ちます」
右手のハンドル部に着けられたトリガーに指がかかります。
「耐ショック耐閃光準備・・・波動魔砲・・・発射ぁッ!」
トリガーが・・・思いっ切り引き絞られたのです!
閉じられていた開口部のシャッターが徐々に開き・・・
ヒュウウウウウウウンッ!
開かれていくシャッターの前に、光弾が形成されて行きます。
ギュルルルルッ!
渦を巻く光弾に、周り中から光の粒が集められ・・・
「撃ッ!」
一気に開いたシャッターから猛烈なる輝の奔流が!
ドドドドドドドドドド!
渦を巻く蒼き光!
周り中の闇を照らし尽し、周り中の闇を駆逐して。
「「馬鹿なぁッ!」」
最後まで何も出来ずにいた異形種を巻き込んでいきます。
「この星から出て行きなさい!邪悪なる者 異形種よ!」
殲滅される邪悪。
狩るのはやはり・・・機動女神様でした、
光が地表から噴き出し、
光が空を圧し、
光が世界を覆い、
光が宙へと伸び、
光がこの星から邪悪を弾き飛ばして・・・・
月にまで吹き飛ばします。
紅き月は爆輝を受けて・・・
やがて、何事も無かったかのように輝くのでした。
「任務完了!種、殲滅!」
どど~んっと。女神様が決めました。
全ては、3000年女神ミハル様の為されたこと。
美晴さん達の知る所ではなかったようです。
これぞまさに・・・神のみが知るって奴ですかね?
恐るべきは未来の技術。
こんな恐ろしい魔砲が出来てる世界って?
「「ミハルぅ~?帰還出来ないの、ねぇ?」」
御主人様がペットを呼びつけました。
「うう~ん、おかしいなぁ?帰還も何も。
私はどうして消えないんだろう?おかしいよねぇ?」
・・・うん、おかしいですよね?
「未来が変わらない?じゃあ異形種の所為じゃないって事なの?」
・・・もしや、異形種さんは。とばっちり?
「「いいえ、そうじゃないわよ。確かに歴史は変わった筈よペットに因って・・・確かだと思うわ」」
御主人様は何事かを調べられておられます。
「「もしかして。あの娘が・・・あの娘に?」」
「ニャンですか?あの娘は過去の世界では・・・」
二人の考えが纏まったみたいです。
強制白ニャン状態の女神ミハル様が、機動女神の戦闘服を着たまま呟くのでした。
「ニャンと・・・あの娘は・・・希望を喪う?」
「「そうとばかりは・・・でも、不幸が襲いかかるかも知れないわ」」
お二人様が言うあの娘とは?
コハルさん?それとも?
「「ミハル。神の啓示を与える必要がありそうだけど。
後どれくらい姿を維持できる?」」
「異形種を滅ぼしたから・・・多分間も無く」
「「ならば・・・急いで!ニャンコになってる場合じゃないわよ!」」
御主人様は一喝を入れて女神を急かせます。
槍からの稲妻が女神を元の姿に戻したのは言うまでもありませんが。
「けほっ・・・いつもながら御主人様は意地悪・・・」
邪悪を倒したというのに?
何が起きるというのでしょう?
美晴さん達が心配です。
次回に続くのです。
やはり。
是非も無かったW
まったくもう!これじゃあ初めからやっとけよ!!
・・・って、突っ込む声が沸きそうですが。
そこは・・・ねぇ?
これにて邪神王戦も、本作の戦闘も終わったみたいです。
だって・・・ミハル様がやっちゃったからW
いよいよ平和が訪れそうですね?
次回 神託の御子と終焉の悪魔 第9話
コハルちゃん。ご両親と仲睦みあってくださいね!