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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
21/219

黒の魔鋼 シキ Act3

戦い終わった次の日は・・・


体が重く感じるのです?!

月曜日の朝は気が重い・・・


休み明けだから、学校があるから?

遊び疲れたから?

それとも・・・


登校する小学生の中で、肩を落としながら歩く一人の少女の姿が目立った。

どんよりした顔で歩いて来るのは・・・


「おはようさん・・・って、コハル・・・何やその顔は?!」


校門迄あと僅かな処で待っていたマリアが声を掛ける。


「なんかあったんか?

 そないに目の下一杯に、くまさんなんかを()()()()(注・作って)?」


どんよりした目で歩いてきたコハルに訳を訊いた。


「はぁ~っ、睡眠不足ってやつなの・・・」


マリアの前まで辿り着いたコハルがマリアの肩に手をかけて。


「おまけに怖い夢なんかを観ちゃったから・・・すやぁ・・・」


マリアに掴まったまま、立ち寝をするコハル。


・・・・

・・・


「すやぁ・・・」


「アホかぁ!コハルぅわぁっ!」


(( ボコッ ))


マリアの会心の一撃がコハルを吹っ飛ばした。





・・・・・・・・・・・・・




で。


給食タイムまで、うたた寝しながら授業をこなしたコハルに。


「どないしたん?コハルらしゅーないやん?」


向かい合って給食を食べているマリアが、心配そうに訳を訊いた。


「うん、実はね。一昨日辺りから同んなじ夢を観るようになったの。

 なんだか得体の知れない影に襲われる夢なんだ・・・」


コッペパンを齧りながら、ぼつぼつと話し始めるコハル。


「ふむふむ。それから?」


おかずの餡かけ焼きそばを一飲みして、マリアが続きを促す。


「でね、その夢を観てると決まって最後には・・・ベットから落っこちるの」


「・・・・それが・・・寝不足の理由か?」


寝不足で食べながらもポワンとしてるコハルを、ジト目で観るマリア。


「そう・・・でもね、本当は夢の内容が問題なんだ。

 ベットから落っこちる前に見ちゃうのは、決まってアタシがやっつけられちゃうの。

 影に・・・酷い目に遭わされちゃうの」


コハルが俯き加減で教えてきた理由に。


「コハル、そりゃー悪夢って奴やな。

 多分、魔砲を始めて使った影響やないかな?

 コハルの心には、まだ疲れと怖さが残ってるんやろーからな」


気安い感じでマリアが即答したのだが。


「そうかなぁ・・・そうかもしれないね?」


納得しかね、小首を傾げて目を瞑るコハルを観て。


「そうやて!間違いないわ!」


笑い掛けながら肯定させる。

しかし笑い顔とは反対に、マリアの眼はコハルに向けられたまま笑ってはいなかった。


ー もし、その悪夢って奴が、なにかも前触れというのなら。

  悪夢に出て来た影って野郎が、コハルを襲うというのなら。

  気を付けておかにゃーあかんな・・・・


寝不足でポワンとしたままのコハルを観て、

その時は必ず護ってやると誓いを新たにするマリアだったが。


「すぴよ・・・すぴよ・・・すやぁ・・・」


「え?!コハル・・・マジかいな?!」


脳天気に居眠りするコハルに、開いた口が塞がらなくなる。


「あ~あっ、ウチはなんでこないな親友を授かってもうたんやろか?

 これが女神ミハル様の宿り主だとは・・・なんちゅーこっちゃねん?!」


舟を漕ぐコハルに、天を仰ぐマリアだった。




・・・・


なんとか、一日を乗り切った?


下校のチャイムが鳴り続けている校庭を、二人が歩いている。

一日中居眠りし続けたコハルの肩を持って、マリアが宥めていた。


「運が悪かったなぁ、コハルゥ」


「しくしく・・・」


うな垂れるコハルの肩を掴んで、宥め賺そうと声を掛け続けるのだが。


「まさか、太井女史の機嫌がああも悪いとは・・・運がなかったんやろ?」


うな垂れ続けるコハルを覗き込んで、マリアが宥め(?)る。


「しくしく・・・マリア、他人事だと思ってるでしょ?」


ジト目で返されたマリアが、思いっきり退く。


「い、いや、なに。太井女史の眼に留るくらい、寝てたコハルも・・・」


悪い・・・とは、口が裂けても言えない・・・事もないか。


「いいもん・・・倍の宿題なんかに負けないもん・・・しくしく」


だぁ~っと涙を零す、損なコハルに。


「あははっ、まぁ・・・頑張れ?」


手伝う気は毛頭もないのか。

肩を軽く叩かれたコハルが、却ってしょげる。


「コハル、今日はご両親が遅くなるからって言ってたよな?

 これからどうするんや?一人で家に居るんか?」


宿題手伝ってくれる気があるのか?

一瞬コハルの顔が輝いたのだが。


「ウチは、今晩オカンと一緒に領事館まで行かなアカンのやけど。

 一人でも、宿題出来るやんな?」


・・・がっくし。

マリアはこれから直ぐに帰宅するという。

コハルは落胆の眼差しを親友に向けるのだったが。


「そや、コハル。

 明日、フェアリアから届いてるお土産を持って来るわ。

 楽しみに待っとくんやで?ほならな!」


片手を挙げて走り出すマリアを見送ったコハルだったが。


「この!薄情者ぉっ!」


独りで倍の宿題をする事になって(自業自得)、やけっぱちの声を上げる。


「はははっ!コハル残念!」


振り向いたマリアが茶目っ気一杯の、あっかんべぇを贈って来た。


「イーッだ!」


コハルもお返しにベロを出す・・・笑顔のままで。


「さてと・・・マリアの言った通り。

 運が悪かったのかなぁ・・・でも。

 今日はミユキお婆ちゃんのお家に行けるんだから・・・気が楽だよね」


コハルの頭では、宿題を手伝ってもらう算段が出来上がっていたようだ。


「それに、お婆ちゃんのお料理って美味しぃんだよね。

 御菓子もちゃんとあるし・・・にひひっ!」


少しは元気が出たコハルが、駆け足でお婆ちゃんの家に向かった。


その後ろ姿を睨み続けている影に、気付きもせず・・・






「「ちょっとだけ待ってね」」


道場に来たコハルへ、ミユキお婆ちゃんが頼んだ。


少年達に稽古を就けていたミユキへ、逆にコハルが頼んでみた。


「アタシも観ていたい!」・・・と。


道場の隅っこで、コハルはチョコンと座って観せて貰えた。

数人の男子達が稽古着を靡かせて剣術を指南して貰う姿に、心が躍った。

打ち振られる竹刀しないの音。

撃ち込む度に気合の声が道場に響き渡る。


数十分間があっという間に過ぎてしまった。


「ありがとうございました!」


稽古着をしまった男子達が、ミユキお婆ちゃんに終了の挨拶をする様を観てから。


「いいなぁ男子は。アタシもおばちゃんみたいにカッコ良くなりたいなぁ」


私設道場を営むミユキの姿に憧れを持つコハル。


「だって、皆お婆ちゃんに勝てないんだもの。

 お婆ちゃんに男子が教わっているんだもん・・・」


ぽぉーと観ているコハルに。


「お待たせ、コハルちゃん。

 じゃあ、お片付けするから・・・」


ミユキが道場を閉じようと正門を締めて、コハルに微笑む。


「あ、ミユキお祖母ばあちゃん!

 コハルも剣術が観たい!お祖母ちゃんの剣舞が観たい!」


昔はちょくちょく預かって貰っていたから観ていたのだが、


「日の本に帰ってからは、見せて貰ってなかったから!」


小学校に行くようになってからは、時間の関係もあり観ていなかった。


「そう?じゃ・・・ちょっとだけよ?」


居住まいを正したミユキが、木刀を腰に宛がって道場の真ん中に出る。


ミユキが瞼を閉じる。

コハルが息を呑む。


道場の中の空気が替わった・・・音が無くなった。


「はっ!」


気合の声と共に、一太刀振り抜かれる。

木刀だったのに、道場の空気が裂かれた様に思えた。


挿絵(By みてみん)


<わぁっ?!やっぱりお祖母ちゃんの剣舞って、誰よりも凄いや!>


目を輝かせてコハルが観るのは、元神官巫女ミユキの剣舞。

孫であるコハルに見せるのは、本当の剣薙たる姿。

太刀筋は、闇の者でさえ斬り祓える。

太刀裁きは、悪魔たる者でさえ怯ませる。


一舞し終えたミユキが剣を腰に戻すと。


「お祖母ちゃん!やっぱり凄いよ!アタシも習いたいな?!」


思わず軽口が出てしまう。

微笑んでいたミユキが、ちょっとだけ考える姿を見せてから。


「コハルちゃんに出来るかしら?剣術って我慢比べみたいな物よ?」


竹刀を片付けて、


「もし、本当に習いたいと思うのなら。

 私の極意を伝えてあげる・・・コハルちゃんが我慢出来るのなら」


真剣な面持ちで伝えてきた。


「うん、やりたい!剣術を習いたい!」


輝く瞳でミユキに乞うた。

少女の純真な心で・・・コハルが剣を習うと言った。



「そう・・・じゃあ。先ずは・・・」


ミユキが腕を組んで考えるポーズを執ると。


「ご飯をしっかり食べる事!さぁ、夕ご飯にしましょうね!」


微笑みを浮かべて・・・いいや。

心からの笑みをコハルに向けて、門下生となったコハルに命じた。


「はいっ!よろしくお願いします、ミユキ先生!」


促されたコハルも嬉しくて、おどけるようにミユキお祖母ちゃんに頭を下げた。


小躍りして母屋に向かう、コハルの後ろ姿を見詰め。


ー ミハル、あなたには教えてあげれなかった・・・けど。

  もう一人のミハルに、しっかりと伝える事が出来そうよ。

  あなたと、あなたの姪に・・・この剣薙の術が・・・ね!


居なくなった娘に想いを馳せて、ミユキは嬉しく思えていた。

我が子には教えてあげれなかった・・・だけど。


ー あらたな運命が開かれるのなら、私の剣も必要になるでしょ、ミハル?


無邪気に喜んでいるコハルと重ねるように娘を想った。

ミユキは微笑んだ。

孫の後姿に、娘を重ねて。

コハルは剣術を教わることにした。

それが自分にとって初めての習い事でも有るのだが。

ミユキという神官巫女に習えるのが後にどう係わるのだろうか?


次回 黒の魔鋼 シキ Act4

君は届かぬ声をかけ続けているのか?伝わると信じ続けているのか?


ミハル「おかあさん・・・届いてる?私の声が、女神ミハルの声が?」

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