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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
208/219

神託の御子と終焉の悪魔 第4話

大魔王は邪神王へ。


もはや救いは何処にも見出せず・・・


倒すか倒されるかの最終局面へ。

光が失われた結界で・・・

今立ち阻む者・・・大魔王。

未来あすを希求する者・・・魔鋼少女。



影を喪い色を無くした結界の中で、美晴さんの前に現れた悪魔の姿。



「まさか・・・こんな事って?!」



美晴さんは見詰める大魔王の顔に気付きました。


コハルの面影を払拭した大魔王の貌に。



挿絵(By みてみん)



「そんな・・・蒼ニャン?!いいえ3000年女神様が言っていたデサイア?!」


眼差しを観るだけで感じられたのです。

大魔王に宿った者の正体が、自分の知っている堕神であるのに。


大魔王に組みする堕神デサイア。

遂に本性を表したとでもいうのでしょうか?


「これじゃあ・・・太刀打ち出来ない。

 堕神とはいえ、神を宿した大魔王になんて・・・勝てない」


人たる者の限界を超えた存在・・・神。

悪意の神とは言え、異能力は想像をはるかに超えた存在・・・邪神。


今自分達の前に居るのは、大魔王と一体化してしまった邪神王ギガ・ダークネス




「勝てないまでも・・・みんなを護らなきゃ」


美晴は巨悪を前に、決意を固めたのです。


「アタシの為に来てくれた3人を。

 コハルちゃんを助けてくれたみんなを・・・護るだけ!」


勝てなくとも、共に闘う人を守る・・・そう決心を固めるのでした。


「レッド・・・アタシの伴侶。力を貸してね!」


魔鋼剣を握り締め、闘う心に火を燈したのです。


眩いばかりに輝く剣。

主を護れと厳命された守護者の心根かの様に。


「死しても。死を賭して闘えば、道は切り開かれるって。

 ミユキお祖母ちゃんも言ってたもんね・・・その時が来ただけだよね」


美晴さんは覚悟を決めたのです。

此処が死に場所かも知れないと・・・ですが。


「死んだりするもんか!

 まだやり残したことが山ほどもあるんだから。

 大好きな人に告白だって出来ちゃぁいないんだよ・・・死んでたまるもんですか!」



挿絵(By みてみん)




ほほぅ?!乙女の心意気ですか?良いですね、その粋です。

では・・・良い子の美晴さんへ騎兵隊を贈りましょう。





「ふふふっ!恐怖・・・恐怖だ!

 お前達から恐怖を感じるぞ・・・死への恐怖というものがな!」


嘲る邪神王。

デサイアと大魔王が一体化した姿は人の容を採っていますが、それは見かけだけの事。


「先ずは軽くいたぶってやろうぞ!」


突き出された指先全てに紅き輝が燈ります。


「炎で焼かれるか?それとも熱線で溶けるか?どっちが良い?」


圧倒的な魔力を誇る邪神王。

指先に点った光を弄びます。


「一瞬で消し去らないのを喜ぶが良い。

 だが、消し去られなかったのを後悔する事になろう」


歪な口元から零れだすのは、悪意の奔流。


「死をも超越した苦痛の中で悶えろ!邪火炎波メガ・フォイア


指先に点っていた紅き輝が放たれます。

一発でも喰らえば、相当なダメージを被りそうです。


放たれた5発もの魔砲弾が、一直線にマリア達の元へ・・・



「糞ッ!」


マリアさんが魔鋼銃で応射します。


5発中4発までは撃ち落とせたのですが・・・


「間に合わないッ!」


ラスト一発は至近距離に!


「みんなを護って!」


美晴の声が轟きました。




 バガンっっ!!



マリアさん達の直前で、火炎が弾けました。


「?!」


マリアさん達は目の前で魔砲弾が弾けたのを呆然と観ます。

どうやって?美晴は撃ち落とせたのかと。



 しゅうううぅ~



手に下げた魔鋼剣から煙が棚引いています。


いえ。煙ではありません、魔鋼の異能が零れ出ているのです。


「みんな。ここは一時的後退にかかって・・・お願いだから」


美晴さんは逃げろとは言いませんでした。

後退・・・つまりどこかに身を隠せと言ったのです。


「アホォ!逃げるってどこへやねん!」


拒否するマリアさんが美晴を観て気が付きました。


「美晴・・・お前。さっきので?」


邪神王の火球を撃ち落とした際、刀身から魔鋼力を放出してしまったようです。


震える手に力が入らないのか、魔鋼剣を取りこぼしそうになっているのです。


「はぁ・・・はぁ。まだ・・・闘えるから」


肩で息を吐いているのが分かるくらいに消耗したみたいです。


「それに・・・ね。マリアちゃんの銃も弾切れでしょ?」


最期の一発を撃てなかったマリアの銃。

魔鋼の銃だとしても、カートリッジが無くては、唯の金物でしかないのですから。


「知っとったんかいな美晴」


図星を突かれたマリアさんには、美晴を説得できるだけの言葉が見当たりません。


「えへへ・・・多分そうだと思ったんだ」


魔鋼の異能を使い果たしそうになっている美晴と、得物を無力化されてしまったマリアさん。

二人の前には、邪神王が無傷で立っているのです。


「このままだと帰れへんなぁ・・・美晴」


「ううん、帰ろうよマリアちゃん。大切な人が待ってくれてるから」


半ば諦めの心境になっているマリアさんに、美晴さんは言ったのです。


「諦めちゃ駄目だよマリアちゃん。

 どんなに苦しくても最期の瞬間まで生き抜こうよ。

 そうするのがアタシ達の約束だったでしょ?」


諦めない力を信じた美晴さん。

諦める意味の怖さを知っているマリアさん。


ですが今度という今度は・・・


「美晴・・・ウチが囮になったるさかいに。

 二人を連れ出してくれへんか?頼むさかいに・・・なぁ?」


美晴を護りたい。みんなを救いたい一心での言葉だと知れますが・・・


だ!絶対に嫌!マリアちゃんは約束を守ってくれないの?」


マリアさんに拒絶を返す美晴さん。


「そんな悪い子には・・・こうしちゃうんだからね!」


「なっ?!」


魔鋼剣をマリアさんに向ける・・・美晴さんが。


「少し・・・痛いかも・・・だけど・・・ごめん」


最期に残された魔鋼力を振り絞り・・・


「まっ?!待つんや美晴ッ!」


マリアさんは美晴さんが何をしようとしているのかが分かったのです。

幼い時から一緒に過ごして来た、一番の親友だったからこそ。


「また・・・逢おうね。マリアちゃん」


女神から贈られた魔鋼剣に、残された全ての魔鋼力を与えて。


魔法障壁シィールド展開!」


至近距離での障壁展開は、そこに居た者を弾き飛ばすのでした。


「みっ、美晴ぅううう~ッ!」


「うわぁっ?!美晴さんッ?」


マリアさんも、とばっちりを喰らったローラさんも。

どうする事も出来ない内に吹き飛ばされてしまいました。



 魔鋼の異能が遂に尽きてしまった美晴さん。


 ガクンと膝を突き、魔鋼剣で身体を保つのがやっと・・・



「ねぇマリアちゃん、また一緒に遊べたら・・・遊びたかったね」


もう闘う術をも喪った・・・覚悟はしていましたが。


「でもね、みんなを護るって決めてたんだ。

 こんなアタシを大切にしてくれた・・・みんなの事をね」


力なく立ち上がる美晴さんが、邪神王を見詰めて。


「異能力が無くなった?抗う術を喪った?

 ううん、アタシには闘う武器がある。まだ戦い続けれる術がある」


光を放たなくなってしまった魔鋼の剣を持ち直して。


「どんなに強い力にだって・・・負けない。

 どんなに対抗出来なくったって闘えるの・・・最後に残されたきぼうがあるから。

 アタシにはまだ・・・命の輝きが残されてるんだから!」


ゆっくりと邪神王へと向かう美晴さん。

命を懸けてまで護るのは大切な人、大切な・・・・



挿絵(By みてみん)



「約束だったよね・・・光の御子。

 幼い時から一緒に育った・・・あなたと私は」


どこかから女の子の声が聞こえます。


「今やっと。

 今・・・遂に。

 光と闇が手を携えられる時が来たの・・・美晴」


邪神王の結界の中に・・・光が燈り出したのです。


蒼き光。


それは・・・



「コハルちゃん?

 コハルちゃんだよね?!」


「そう・・・助けて貰ったコハルだよ!」


蒼き光は美晴さんを包み込んで行きました。


「さぁ美晴ちゃん!一緒に戦いましょう。

 さぁ!あなたの刃を天に翳して!!」


促して来る小春神の声。


「さぁ!光の御子よ。我等と共に悪しき者へ立ち向かえ!」


どこかで訊いたような男の声が力を与えてくれます。


「あ・・・君は?あの時の?」


九龍との闘いを思い出した美晴が、魔獣剣士グランを思い出します。


「そうよ美晴ちゃん。そうよ光の御子。

 私達はあなたの力になりに来たの。あなたと共に闘う為に集まった仲間なの!」


振り上げた魔鋼剣に、再び光が燈り出したのです。


「ねぇ美晴ちゃん。一緒だよ・・・これからは」


「え?!」


不意に耳元でコハルさんの声がしました。


「ね?!私も・・・光を纏えるの。

 邪悪に打ち勝つ光を燈せるんだよ!」


コハルさんの声はとても温かく、優しさに溢れています。


「ううん!私だけじゃなくって・・・此処に集う者みんな。

 戦いに馳せ参じてくれた全ての者が、美晴を助けるの!」



両手を拡げてコハルさんが微笑みました。



「ほら!美晴。みんな友達なんだよ!」


そこに集うのは縫いぐるみ達。

コハルの好きな縫いぐるみを模った・・・数千万もの仲間達でした。



挿絵(By みてみん)



「だからね!

 一緒に邪悪なる者から友を、みんなを、世界を救おうよ!」


小春神の願いは、美晴と同じだったのです。

幼き時より違えた運命の御子が、遂に切り開くのです・・・運命を!



遂に光と闇の御子が集い闘う時が来ました。

圧倒的な邪悪に染まる邪神王との決戦は?


次回・・・何かが起きそうです

仲間たちの協力。

数多の犠牲を出しても尚・・・


掛買いも無い絆で挑む魔鋼の少女。


果たして願いは届くのか?


次回 神託の御子と終焉の悪魔 第5話

敢闘・・・もはや美晴にも残された魔砲力は一撃しか残されていませんでした。

唯の一撃・・・されど一撃。

最後の戦いの末、未来は何処にあるのでしょうか?

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