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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
204/219

もう一つの未来<<きぼう>> 第9話

ああ・・・女神様。

あなたはなぜに?


なぜに。


ニャンこなの?

金色の輝が消えた跡には。


「ミ・・・ミハルって言いましたよね?マモル君のお姉さんで、勇者様だったミハルって?」


目の前には、観た事も無い魔法衣を着た女神が居ます。


スケルトンのスカート部から観れる足が現存しています。


「なに?幽霊でも観てるような目で観て?」


確かに。

確かに女神ミハルだとは思いますが・・・


「アタシの知ってる女神ミハルは。

 もっとキツイ目をしていたし、風格というモノが・・・」


「・・・天罰喰らいたい訳?」


美晴さんの知っている女神ミハルは、堕神デサイアが化けていたのです。

闇に堕ちた女神の顔は、いつも厳しく。そして威厳を持たせていたのですが。


「いえいえ~、なんだか優しそうだなって」


「褒めてるのか貶されてるのやら・・・」


美晴さんの前に佇むミハルさんは、デサイアとは違ってライトブルーの髪を靡かせています。


「まるで普通のお姉さんみたい。

 仰々しくなくて、その辺に居るお姉さん達と変わらない・・・ううん。

 それよりもずっと優しい瞳だから・・・」


目尻が少々下がっている・・・垂れ目な女神様に親近感を覚えたようですね。


「垂れ目は余計よ」


う・・・すみません。(でも本当の事だし)




「でも、本当に理の女神ミハル様だと仰るのなら。

 何か証拠になる物でも?目の前に居るのが偽物ではないと証明できる方法があるのですか?」


「そう、それね!

 さっき言っていた蒼ニャンとは違う処を見せてあげましょうか」


そう言った女神様は手にしているデバイス槍の穂先に話しかけるのでした。


「ねぇ御主人様(リーン)。アレを仰ってくださいませ」


「?!リーン?もしかして・・・ルナ女神リィーン様?」


耳に入った名で、美晴の眉が跳ね上がるのでした。


「「ふふふっ、この時代なら。そう呼ばれても不自然じゃないわね」」


蒼き宝玉から、麗しき女神の声が零れ出しました。


「ルナリィーンお姉ちゃん?!聴こえてるの?」


美晴は咄嗟にフェアリア皇女と重ね合わせてしまいます。


「「ごめんね光の子。今喋ってるのはあなたの皇女じゃぁないの。

  この不出来な損な娘の主人なのよ、迷惑かけてごめんなさいね」」


「不出来・・・しょんぼり」


がくりと女神ミハルの肩が墜ちました。


「そ・・・そうなのですか?」


槍と女神(ミハル)を見比べて、ポカンとなる美晴さんに。


「「この娘が毛玉なんかにはならない事を証明してあげる。

  毛玉になるのは闇の属性を持つ者だけだからね」」


「え?!そうだったの?じゃあ・・・蒼ニャンは?」


びっくりしている美晴さんにも、宝玉からの声が届きました。


それは?!


「「ミハルゥ~ゥ!ペットにお成り!(厳命バージョン)」」



 ボおおおお~ん!



真っ白な煙に包まれた女神さん。


「悲にゃぁ~いつもより厳しいニャ?!」


煙の中から悲痛なニャ語が?


「ほぇえええええぇ~?!(大汗)」


観ていた美晴さんが・・・唖然としました。


白いケモ耳を立てて、モフモフなる尻尾を生やした女神のみた目に。


「どうニャ?これが女神のペット姿ニャのにゃ!」


「・・・・哀れ」




挿絵(By みてみん)




呆れ果てた美晴さんの呟きが・・・痛いです。


「ニャ?!どこが哀れなのニャ!

 こう見えても白ニャンと呼ばれる高貴な姿なのニャ!」


・・・どこが?


白ニャン・・・プ(笑)


「笑うニャ~!」


笑えます!!相変わらずな損な娘であったと。


「そこニャ~?ソレにゃらしょうがにゃいニャ~」


ニャ語・・・辞めて貰えません?鬱陶しいから。


「「どうかしら光の御子。毛玉なんかにはならないでしょう?

  これが本当のミハル故の・・・愛くるしいニャンコ姿なのよね~」」


リーン様も大概・・・遊んでますね。


「な・・・なるほどです!」


納得するんかぁ~い、美晴さんも!


「ニャ?!こうニャるのが、闇属性の無い証。

 蒼ニャンは闇の属性が為せる証拠ニャンだにょ!」


・・・分かったから少し黙って!


「うん、分かった気がする。あの蒼ニャンが・・・闇堕ちしてただなんて・・・」


まだ信じ切れないのか、それとも落胆しているのか。

美晴さんは悲し気に声を落とすのです。


「だったら!蒼ニャンも救えないの?

 コハルちゃん達と同じように・・・助けてあげられないの?」


おおぅ・・・美晴は健気にもそう言ってくれました。


「「光の御子よ。それは彼女自体が望まねば無理なのです。

 いくら女神の端くれであろうと、自ら粛罪せねばならないのですからね」」


天使長に復活したミハエルさんのように?


「そうニャ!御主人様の仰られる通りニャ。

 闇から抜け出すニャーは、進んで粛罪を遂げる必要があるニャ~」


ああっ!鬱陶しぃ~。御主人様、責任者様、何とかして!


「「ミハル・・・少しウットオシイわね」」


穂先の宝珠から稲光にも似た天罰の輝が・・・墜ちました。




 ビシャッ!




「ヒギャ~ッ?!酷いぃいいいいいいいぃ~!」


天罰直撃・・・哀れ。


ぶすぶす焦げた女神様。

ですが。


「けほ・・・ま。そういうことなのよね」


落ち着き払った女神様がそこに居ます。

懲りてないと言いますか、慣れてる?!


審判ジャッジメン女神(リーン)が、仰られた通り。

 蒼ニャンを救えるのは蒼ニャンだけ。自ら罪を償わねば、堕ち神のままなの」


「そ、そうなんだ。じゃあ、なんとかして説得できませんか?」


それが巧く行かなかったんですよねぇ、女神(ミハル)様?


「あなたは優しき心を持っている。

 その魂までも、光に溢れている様ね」


善い子なんですよ美晴さんは。・・・誰かとは違い。


「「デサイアがなかなか堕ち切れずに済んでいたのは、きっとあなたを憑代にしていたからでしょう。

 溢れんばかりの慈愛に満ちた、美晴(ミハルに因って」」


「御主人様・・・なにか、物凄く嫌味に聞こえるのですけど?」


未来から来た女神がブウブウ言いますが。


「そんなことはないです!アタシにだって悪い心はありますから」


謙遜した訳ではなく、そう感じるのは美晴だからこそ。


「アタシは誰かを羨んだり、何かを欲しがったりする普通の人間なんです。

 それが悪だと言ったら、アタシだって闇の属性を持つ者になります!」


「「ほぅ?だから・・・それで?」」


審判の女神が訊き返します。言葉の端には、何かを計っている感じが?


「だから・・・蒼ニャンも赦してあげて欲しいんです!

 喩え堕神のままだとしたって、闇の中から救い出してあげて欲しいのです」


「「・・・なるほど。あなたは正しい心の持ち主だわ」」


何かを審理する女神(リーン)様がそう仰られたのです。


「「あなたは今、自分に潜んだ闇をも赦すと言って除けた。

  自分を貶めんとした闇をも赦すという・・・穢れ無き魂だと判断しました」」


「リーン様?」


宝玉が優し気に光を纏いました。

魔鋼の少女 美晴の審判を終えたのです。


「「ふふふ・・・本当に昔を思い出させてくれるわね、ミハル」」


「そうね・・・リーン。

 私がこの世界に飛ばされたのも。白ニャンだったのも。

 そしてリーンの気まぐれで2000年も彷徨ったのよね・・・

 皆何もかも懐かしい・・・わよね」


挿絵(By みてみん)



二柱の女神が、魔鋼少女に微笑んだ気がしました。何か大切なモノを掴んだかのように?


「「違うわよ、ペットのミハルじゃないわ!」」


「悲ニャァ~、禁句だよぉ~」


またしてもケモ耳フレンズ化した女神様。


「「光の御子、ミハルへ。

  あなたの中に宿りしは優しき魂。貴女こそが選ばれし神子みこ

  神託を委ねられし人として向き合いなさい、新しい未来きぼうの子よ!」」


デバイス槍の宝玉が一際強く瞬きました。


「良かったわね美晴。あなたは御主人様の加護を賜れたの。

 この世界に一人だけ。未来あすに向かって生き抜く力を賜ったのよ?」


「え?!それって?」


女神の言葉に戸惑う美晴さんへ。


「あなたの得物を差し出して。私からも授けたい物があるわ」


未来から来た女神ミハル様は、美晴さんの持っている紅鞘の剣を求めました。


「これ・・・ミユキお祖母ちゃんから預かった剣ですけど?」


訳も分からず。

求めに応じて差し出した美晴さんへ。


「懐かしいわ・・・お母さんの剣だもの。

 この剣が貴女をこれから護り続ける。この剣に宿らせるのは絶対の守護者ガーディアン


「え?」


デバイス槍の宝玉が認可を下します。


「「宜しい、許可しましょう」」


「ほぇ?」


女神達が、何をどうしようとしてるのかが分からない美晴さん。


「ケラちゃん!フィンを一振りこの剣に導入して」


女神ミハルは、万能コンピューターを呼び出しました。


「「了解・・・インストールします」」


機械音声が槍から流れ出ると・・・


「「インストール完了。起動アクセス開始・・・」」


あっという間に何かが剣に送り込まれて・・・


「「起動ライセンス認証コードを入力してください」」


ユーザーアカウントの認証パスワードを求めて来たのです。


「え?え?!」


美晴にはなんのことやら分かりかねました。


「ほらぁ~、紅鞘に名前を就けてやりなさいって」


「名前?紅鞘に・・・」


そう言えば名前なんて考えてませんでしたね。

愛着のある剣ではあったのですが。


「名前・・・名前ねぇ・・・」


ふと思いついた名がありました。

その名は剣の色と重なるのです。


くれないは絆。レッド・・・エターナル・レッド!永遠の絆!」


美晴は紅鞘を一生涯手放す気はありませんでした。

祖母であるミユキから授けられた退魔の剣と、一生涯伴に生き抜く決意だったのです。


だから・・・名付けたのです。

永遠の伴侶として。


「お見事!ミハルの剣に相応しき名ね」


敢えて、美晴と云わずにミハルを指したのです。

3000年女神の祝福を与えて。


「「エターナル・レッド・・・承認しました」」



 ぼわっ!



機械音声が告げた途端、剣に輝が燈ったのです。


まるで剣に魂が籠められたかのように、あかりが明滅したのでした。


「これからあなたの紅鞘は、エターナル・レッドを名乗る。

 宜しいわね、エターナル・レッド?」


美晴と剣に向かって宣言した女神ミハルに応えるように、明滅する紅鞘。


「金色を纏いしフィンよ。これからは美晴をあるじと仕えるのです」


エターナル・レッドの名を冠された剣が、主君の美晴に准じます。

輝きを以って、殉じると告げているみたいでした。


「さぁ!これで決戦の準備が整ったわ。

 いよいよ・・・あなたの仲間達と共に立つ時が来たわ」


アーネヘンの時空を解除し出した女神に因り。


「3人の元へ駆けつけてあげなさい。

 あの子達はきっとあなたの助けになってくれる。

 逃げ出す気なんて毛頭ないのですからね」


急に女神様らしく教え導き始めたミハル様に、瞳を曇らせるミハルさんが。


「でも・・・危険過ぎませんか?

 みんな大切な友達なんです、撒き込んじゃったら・・・」


友を心配する美晴の優しさに、女神はこう付け加えたのです。


「あなたが逆の立場ならどうする?

 勝てないからと云って、大切な仲間を置いて逃げるような子はいないんじゃなくて?

 大切だからこそ、一緒に闘おうするのではないのかしら?

 人間だから、命ある者だからこそ。そう想うのはね・・・しんじつなんだよ?」


「うん・・・そうだよね。そうなんだよね!」


大切だからこそ、全力で闘い護る。


「光の御子 美晴。

 あなたに審判ジャッジメン女神リーンが授けたのはね。

 誰よりも勇敢な神子を託したの。未だに眠り続けるているけど、異能は女神級だから」


目前に居る理の女神が、少しだけ透けて見えた気がしました。

その訳が分らない美晴は、目を瞬いてよく見ようとしたのですが。


「さぁ!もう時間ギリギリ。

 奴等の野望を撲滅してやってよね・・・ミハル!」


消える次元の狭間。


現れたのは現実の大魔王結界。


そして・・・爆焔が晴れた跡には。




「美晴!ウチ等も無事やで!」


「そうなノラ!」


「何故だか知らないけど、大魔王の魔砲弾が勝手に弾けたんだよ!」


3人の元気な姿があったのです。



挿絵(By みてみん)



歴史が変わったのです、完全に。


だから今度こそ。


次回に続くのです・・・


 

蒼ニャンとは違うのだよ、蒼ニャンとは!


白ニャンだったW

変わんないじゃないですか?!


鬱陶しいニャ語ですみませんでした。ここに陳謝する次第です。

ああ、これでやっと。

やっとコハルちゃんが救われるのですね?ね?

Reラスボス戦!

時間が戻った結界の中で待っていますよ。


大魔王に飲み込まれた損な娘が!


次回 神託の御子と終焉の悪魔 第1話

遂に歴史が、世界が変わった!これからはもう一つの未来が始まります。

最終決戦に美晴は立ち向かう!


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