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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
200/219

もう一つの未来<<きぼう>> 第5話

挿絵(By みてみん)


真・理の女神 ミハル


シリーズ最強にして最大の損な娘W


ミハル「うるさいなぁ~」

白き魔法衣。


蒼き清浄なる魔鋼マギメタの顕れ。


蒼髪を靡かせる少女の姿が、そこにあったのです。


本当のあいの女神 ミハル が、デサイアの前に現れたのでした。



「ば・・・かな?私の中に潜んでいただと?!」



デサイアの驚愕は、あり得べからぬ存在を認めれず・・・



「いつの間に?!いつから?!一体どうやって?!」



かぶりを振って訊いたのです。


目の前に現れ、微笑みを浮かべる・・・もう一人の自分に。




金色の光を纏う少女は、微笑みながら応えます。


その笑みには、どんな意味があるというのでしょう?



「答えろ!お前は今、余分に1000年も彷徨ったと言った。

 その意味は?そして何故今になって現れたというのだ?」


デサイアは金色の光に揺蕩う少女目掛けて吠えるのです。


「ふふっ、教えてあ~げないっと!」


あっさりです。

あっさり理の女神は回答を拒否したのです。


なぜ?


「あなたが産まれたのは、確かに過去の私の所為だから。

 リベンジしきれなかった私の傲慢さが産んでしまった・・・所為だから・・・」


ゆるゆると女神ミハルが話します。


「みんなの魂まで奪い去られ、自分の肉体も護れなかった。

 絶望感に苛まれ、果てはミハエルをも怨んでしまった・・・操られていると知っていても。

 だから闇に堕ちてしまった・・・そうでしょ?」


瞳を閉じた女神ミハルが、反対に問い質したのです。


「う・・・そうよ!

 やっと舞い戻ったというのに、何も変えられなかったからよ!

 女神の異能を行使するのも叶わず・・・死んでしまったからよ!」


「そうだったわね。

 でも、肝心なことを忘れちゃいない?

 自分が死んだのを他人の所為だけにするなんて・・・女神失格だと思わない?」


ビクンとデサイアが震えました。


「そう!女神の異能だけでは歴史を変えるのも出来ないと思い知らされたのよ!」


怒りと失望を思い出したのか、女神ミハルに食って掛かりました。


「だから!大魔王の異能をも手にすれば!

 神と悪魔の異能を手に出来れば・・・歴史を変えれるの。

 私を貶めた、憎い奴等を殲滅出来る筈なのよ!」


持論を展開するデサイアさん。

自らの力不足を、大魔王を傀儡する事により手にしようとしていたようです。


「この世界にルシファーが居て、大魔王を名乗っていた。

 あの堕神が・・・よりにもよって大魔王に舞い戻っていた。

 折角・・・私が死んで迄、人にしてあげたというのによ?

 邪魔するにも程があるじゃない・・・だからチャンスを待っていたのよ。

 大魔王が消えるのを・・・ルシファーが堕神に戻るのを・・・ね」


怒りが見え隠れする言葉の羅列。

何もかもが恨みの対象になってしまっていたようです。


デサイアは自らの中で恨みを増大させ、時期が来るのを待っていたのでした。


「ほぅ?それで・・・今がその時だと?」


「そうだ!ルシファーの存在が闇から消えた今。

 新たなる大魔王に娘を据えたのだ・・・この私の策謀でな!」


娘・・・コハルさんのことでしょうね。

デサイアはコハルの腹心の部下であるエイプラハムを懐柔していたのは、御承知でしょう。


もっとも信頼がおける爺やを、懐柔してコハルを貶める計画を実行し。

それは物の見事に成功したかに見えたのでしたが・・・


「まさか・・・私の中に女神が潜んでいたとはな。皮肉にも程があるじゃないか?」


ここまでは計画通り、事が運んでいたとでも言いたいのでしょうか。


「そうねぇ、デサイアの計画通りに運ぶかは・・・彼の気持ち次第でしょうね」


「?!彼・・・だと?」


此処に至って、デサイアはやっともう一つの異能に気が付きました。


自分達より下方。

結界の中に入って来ていたのは・・・・


「奴か?!もしかして・・・シキとかいう美晴の幼馴染?!」


デサイアは美晴を通して観て来た男の子を思い出しました。


「ふっ・・・上辺だけで観るのね」


紫髪の少年を観ていたデサイアに、ミハルが声を掛けるのです。


「それだから見誤るのよ。真実を・・・何が本当なのかを・・・ね」


「なっ?!何を言っている・・・・なに?!」


女神ミハルは指を左右に振りながら、デサイアに言って除けるのです。


「あなたも魔法石に宿る堕神なら・・・彼の正体を見破ったらどうなの?」


意味深な言い回しをするミハルに、デサイアも気が付いたのです。

シキに大魔王の結界が破れるのか・・・と、言う事に。


「ま・・・さか?!神?いいや、あれは・・・」


驚愕するデサイアに、理の女神であるミハルが答えを言いました。


「彼も・・・神の端くれだもん。

 いいえ、元大魔王と言った方がいいかしらね?」


ウィンクを彼に向けて贈り、軽く手を振るミハルが。


「彼は神に戻った・・・<私>との約束を果たしたのよ」


デサイアに真実を突きつけるのでした。


「この世界のリーンに頼んでおいたのよね。

 もう一人の私、デサイアと化したミハルを粛罪させる為、二人に真実を告げて貰いたいと。

 <(ミハル>が願うのは、もう一人の女神を呼び覚ます為だって・・・ね」


「?!」


何もかも・・・目の前に居る女神に因って謀られたのかと。

デサイアは己の耳を疑うのでした。


「1000年の永きに亘り、人の世界を彷徨って来た・・・それはあなたも同様。

 でも、この世界は女神一柱だけでは変えようがないのよ。

 己独りで世界を救ったとでも思っていたのかしら?

 自分の魔鋼力に自信過剰になっていたのよね・・・昔のあなたは。

 でも、それなのに何も変えれなかったから・・・堕ちた。

 それが自らの傲慢さだと気が付かない程、絶望に打ちひしがれていたのも覚えてるわ」


「う?!ううっ!」


ずばり。

流石に過去の自分を知る者ですから、女神ミハルさんの言葉に間違いなんてありませんでした。


「絶望と失意に苛まれ、過去の自分に憑りついた。

 死者と化した自分を救う為もあった・・・それも判ってるわ。

 でも、神々に復讐するだけでは報われないってのも、分かっていた筈よね?」


「そうだ・・・みんなの魂は奪われたままなんだ。

 キャミ―やバスクッチ大尉、それにアルミーア。みんな私を庇って消されてしまったんだぞ!」


デサイアの心の中に、少しだけ皆との想いが残されていると分かりました。


「そうね・・・確かに。

 復活を遂げれるまでの間は・・・ね」


「えっ?!今・・・なんと?」


本当の理の女神からの言葉に、デサイアが聞き咎めました。


「だからぁ~っ、喪われた魂を呼び戻す間って言ったのよ。

 魂を奪った原因を産んだ者に、粛罪を遂げさせたら?

 あの時のミハリュー・・・今のミハエルに、魂達への謝罪を行わせたら?

 奪われた魂達をこの世界まで呼び戻せたら・・・どうなるのかな」


「えっ?!そんなことが出来るの?」


デサイアの顔に微かな希望が現れたのを、女神ミハルは見逃しませんでした。


「ちっちっ!出来るのは人間じゃ無理でしょ。

 だから・・・戻って貰う事にしたのよね、ミハエルに。

 大天使ミハエルへ・・・新たに天使長へと昇華させて・・・ね」


「あ・・・」


そうだったのですか?!

ミハエルさんが天使長になっていたのは、理の女神に因ってだったのですか?


「尤も、それを出来るのはね。この世界に存在している女神だけなのよね。

 つまり・・・私の御主人様に他ならないのよ!」


うわっ?!・・・と、言う事は?


「まさか・・・審判ジャステス女神リーン?」


デサイアも、やっと分って来たようです。


「そう・・・この世界に留め置かれた女神リーン

 そうなるように願ったじゃないの?あなたも(ミハル)だったのなら知ってる筈でしょ?

 リーンを蘇らせるのは・・・(ミハルだけなのを」


・・・?!

それではルナリィ―ン姫が女神に覚醒したのは?


「あなたは知らなかったみたいね。

 新しく造り替えられた世界の始まりからずっと(ミハルが存在していたのを。

 始まりの時から・・・ずっと見守って来た女神(ミハル)の存在を!」


「な・・・んだと?」


驚くのも無理はありません。

2000年女神の存在は、つい先程知ったばかりなのですから。


「言っておいてあげる。

 もしこのまま、あなたが存在し続ければ闇の反乱が世界に不幸を撒き散らす。

 この状態のままで居るのなら、大切な人達をも巻き込んでしまう。

 闇に堕ちつつも、お母さんとマモルだけには手を出さずにおこうと決めたあなたの意にも反してよ」


「あ・・・」


どうやら理の女神ミハルの言う通りだったみたいです。


「最初にマモルが。そしてとうとうミユキお母さんにまで。

 あなたは刃を向けることになるのよ?このままで居たらね」


闇に堕ちてしまうという事は、如何に罪作りなのかと教えたのです女神(ミハル)は。


「今ならまだ間に合うわ。女神(ミハルとして粛罪しなさいデサイア」


「くっ?!」


もう、そうするしか方法がないでしょう。

でも、デサイアは躊躇してしまうのでした。


一度踏み入れてしまった闇からは、簡単には抜け出せないというのでしょうか?


「1000年女神として蘇る。

 その時まで、粛罪し続けるのが今できる唯一つの報い」


真実を告げた女神(ミハルにより、デサイアは粛罪を受け入れるのでしょうか?



俯いたデサイアが、理の女神に訊いたのです。


「もし。

 もし私が粛罪を受け入れて眠りについたのなら、新たな大戦はどうなる?

 女神の戦力がない人類は、月の民に打ち勝てるのか?」


デサイアはこの世界に居る人々を想い計ったようです。


「それはどうかしらね。

 歴史が変わるのなら、私には返答のしようがないわ。

 でも、少なくてもあの娘達が揃って居続けられるのなら、未来は明るい筈よ」


女神は結界の中で、大魔王と化していく美晴を見下ろして言いました。


「あの子達?!もうコハルは消されてしまったのだぞ?!」


デサイアは微笑むミハルを観て判った気がしました。


どうして理の女神が此処に居るのか。

どうして二人の娘達が居続けられると言ったのかを。


そして・・・<彼>が抱く娘を観て。


「時の魔法・・・それを造ったのは?」


何時で来た魔法なのか。

何時の時代に人の世に現れたのか。

自分が知る世界に、突然現れた時間を遡れる魔法。


「そう・・・私。

 貴女より余分に1000年彷徨った女神(ミハルによって・・・

 機械ケラウノスに頼んだのよ、もう一回やり直させてと・・・ね」


「それじゃぁ・・・本当は3000年も過ごして来たのか?!」


驚き、目を見開くデサイアさん。


「もう!その言い回しじゃぁお化けを観てるみたいじゃないの!」


お化け以上でしょう?まさに化けモン!


「・・・・・・・・・」


「なに?文句あるの?」


何も言い返さなくなったデサイアさんに、女神が突っ込みます。


「これで分ったでしょうデサイア?粛罪すればまだ未来きぼうはあるわ」


「そうか・・・もう一つの未来きぼうって奴か」


女神に促されたデサイアが、俯いて自嘲します。


「あはは・・・お前の手の中で踊っただけの存在だったのか?

 辞めろと言われて止めれれば・・・世界は変わるのか?」


自嘲はやがて怒りへと代わっていきました。自らの呪いを増幅させて。


「変わるというのなら替えてみたい。

 もし時を戻せるのなら・・・誰も死なずに済んだ筈だろうが!

 二国間戦争なんて起きずに済んだのなら!

 神とのハルマゲドンなんて起きずに済めば!

 ケラウノスを停めることが出来たのなら!

 私だって堕ちずに済んだものを!!」


吠えるデサイアの言い分にも一理あります・・・が。

理の女神は静かに答えるのです。


「歴史を変えるとしても、それは一つの次元でしかないのよ。

 ここの世界では不幸が振り撒かれた・・・それは事実として受け入れなくてはならない。

 世界に戦争が無くならない限り、誰かが犠牲となる宿命さだめだと知りなさい」


それは理の女神の放った、人類への警鐘だったのかもしれません。

もちろん、彼女自身も経験して来た歴史上で一度たりとも無くなったためしはないようでしたが。


「ねぇデサイア。

 あなた・・・もう一度。死んでみない?

 死というものがどういう物なのかを・・・分かっちゃいないみたいね」



  ザァッ



大魔王の結界に、理の旋風が吹き荒れました。


女神の怒りが呼んだのか?

女神の悲しみが、風となって吹き荒れたのか。


哀しみを知り、愛を求めた者だけが巻き起こせたとでも云うのでしょうか?


「ねぇデサイア。あなたをそこまで貶めたのは誰?

 誰があなたを追い込んでしまったというの?

 怒りや絶望を吹きこんだのは・・・異形種イシュタルの者じゃないの?」


蒼き瞳でデサイアを覗き見るミハルが、真実を求めました。


「奴等に因って貶められているのなら・・・助けられないかもしれないわ。

 私のいた世界のように・・・殲滅を振り撒く堕神として滅ばねばならないのよ?」


理の女神が、デサイアの後ろに居る者を見据えて言い放ちました。


「だから・・・粛罪を受けるべきなのよ今の内に」


右手に審判ジャッジメンランスを取り出して・・・・

本作の理。


遂に明かされちゃいましたね。


女神ミハルは始まりから存在していたと?

出てくるのが遅すぎませんか?


さては・・・デサイアの尻尾を掴むのに手古摺った?

まぁ・・・出てくる娘みんな損だから。いいか・・・?


次回 もう一つの未来<<きぼう>> 第6話

堕神となったデサイアを停めれるのか?それとも闘う羽目になる?なるんだろうなぁ~

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