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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
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黒の魔鋼 シキ Act2

闇の者である声の主は。


少年の姿で現れた・・・コハルとマリアの前に。

結界とは違うと感じられた。


澱んだ空間に揺らめく影は、敵意を感じられないとも。


「お前はウチの大切なコハルに何をしたんや!」


怒るマリアに、影の声が答えて来る。


「何も?唯、遊んでみただけ。

 女の子がくるくる回るのを観たかっただけ・・・」


敵意は感じられないが、言っている事は悪意が籠ってる。


「他人を自分の遊び道具にしたんやぞ!赦したらへんからな!」


澱んだ空間にマリアの声が響く。


「許さないと?じゃぁ僕に何をするって言うんだい?

 その蒼い魔法道具でやり合おうって言うのかい?」


水晶銃を指差す影が嘲笑う。


「なんやと!お前なんかに魔砲が・・・」


マリアはこの時やっと分かった。

影の存在が何も持っていないことに。

唯、立っているだけ・・・空間に浮かび上がって。


「飛んでいるんか・・・まさか?!」


影の足元には、黒い羽根が生えた魔法陣のような物が観えている。


「馬鹿な・・・宙に浮かべるやなんて?!」


こんな闇の者は観た事も聞いた事も無いと思った。


「お前!何もんや?どうして宙に浮かべてるんや?!」


コハルを庇い、水晶銃を向けるマリアに。


「そんな事も知らないの?だから普通の魔砲使いってのは・・・

 だったら、教えてあげるよ。ボクの力って奴を・・・ね?!」


嘲笑う少年の声。

力に絶対の自信を窺わせる声が。


「このボクに勝負を挑むなんて、身の程知らずな女の子だねぇ。

 良いよ、痛い目に遭いたいのならボクに挑んでみれば?」


魔砲使いなら、得物を使う筈なのに。

何も手にしていない影を見上げて銃を構え、


「そうかいな、そやったらウチも言うとく。

 この銃は狙った的は外さへんのや、どんなに避けても必ず当たる。

 しかも・・・当たったら、痛いで?」


相手が嘲笑うのなら、マリアも口元を歪める。


睨みあう二人の後ろから。


「フニャァ~っ、喧嘩しちゃ駄目なんだよぉ?」


コハルの間の伸びた声が掛けられる。


「コハルっ、大丈夫かいな?」


影から眼を逸らしてでも、コハルを心配するマリアを観た影が。


「ふんっ、闘う相手から眼を逸らすなんて。

 馬鹿じゃないの?そんなに甚振られてみたいの?」


呆れたような声でマリアを侮辱したのだが。


「お前なんかに分かるもんか。ウチはコハルの事が何よりも大事なんや。

 ウチがどうなったとしてもコハルだけは護るんや!」


挿絵(By みてみん)


コハルを抱き起し護るように庇う姿を見せるマリアを観た影が。


「なぜ?どうして?君のなんだというの?

 その子は君のなんだと言うんだよ?!」


苛ついたような声でマリアに問う。


「観ても判らへんのかいな。

 コハルはウチの友達・・・いいや、親友なんや!大切な人なんや!」


言い切られた影がたじろぐ。

分かっていなかったのは自分の方だと思い知らされて。


「・・・だったら・・・二人纏めて葬ってあげようか。

 ボクの魔砲で・・・消えて貰うよ、目障りなんだよ!」


悪意が敵意になる。

闇とは言い切れないが、ほっておけなくなる。


コハルのネックレスが敵意と悪意に目を覚ます。


「いけないよ?いけないんだよ?!

 そんな力を向けて来られちゃ・・・黙ってはいられなくなっちゃった」


急にコハルが立ち上がる。

驚くマリアを逆に庇う様に。


「私だけに向けられるのなら、まだしも・・・

 マリアちゃんにまで向けるなんて・・・黙ってられないよ?」


黒かった瞳が碧く染まった。

黒髪がいつの間にか靡いている・・・蒼い片鱗を魅せて。


「このまま立ち去るというのなら、私だって何もしないよ?

 ・・・でも。

 二人に危害を加えるというのなら・・・神罰を与えなきゃならないの」


ネックレスを右手に持った。

蒼きひかりを放ち始めたネックレスを。


「そ、その光は?!もしかして君は?!」


影の声が訊いて来る。


「そう、あなたの思った通りの魔鋼マギメタ少女よ。

 名を聞きたいのなら、自分から名乗るのが礼儀ってモノでしょ?」


コハルではない異能ちからが現れていた。

圧倒的な・・・女神ミハルの力が。


「ボ、ボクは・・・黒の魔鋼マギメタ

 ボクの名は黒のシキ・・・黒い魔鋼のシキ」


影が怯えるように答えた。


「そう。ならば私の名を聞きなさい。

 この子に宿る古来からの異能ちから

 双璧の名を受け継ぐの者・・・あい女神めがみ

 他人ひとはこうも呼んだわ、希望の女神デサイア・・・ともね」


コハルの手に納められた蒼き魔法石から眩い光が影を照らした。


「うわぁっ?!」


驚愕の叫びが光に掻き消される。

影の少年は姿を消すと同時に、


「お、覚えてろぉー!」


決まり文句を残して行った。


「はいはい。この子が覚えてられればね!」


自分こはるを指して苦笑いする。


「ミハル様ですよね?」


マリアが見上げるようにコハルに訊くと。


「あ、ミリアにも内緒よ?私がしょっちゅう現れてるなんて」


口元に指を立てて、ウィンクするコハルに。


「あ、はい。でも、コハルには?」


宿っているミハルに支配されているようだと教えるのかと問う。


「あ~っ、ごほん。忘れて!マリアちゃんも!」


ついっと指を差してくるコハルを観た気がしたのだが。


「あ・・・あれ?ミハル様?」


目を瞬いた。

自分の前に立っていたコハルが・・・


「わぁっ?!コハルゥ!」


崩れるように倒れて行くのがスローモーションで映ったから。

咄嗟に掴んで停めると、薄く眼を開いたコハルが。


「まただよぉ、乗っ取られちゃった」


てへへっと、舌を伸ばして苦笑いする。


「あ・・・そう?」


心配しただけ損をした、顔をヒクつかせたマリアの手がコハルから離れる。


(( ドテ ))


ひっくり返るコハル。


「酷ぉいぃっニャァーっ?!」


一声啼いたコハルに手を指し出すと、


「コハルも大変だよなぁ、エライ人に宿られちまったよなぁ?」


笑いながら立ち上がらせて、感謝の代わりに抱き着いた。


「コハル、ありがとな。

 コハルがもし居なかったらウチ、やられてもうたかもしれへん」


抱かれたコハルは小首を傾げてから。


「そうかな?マリアならやっつけていたんじゃないの?」


「いや、観たやろ。アイツは宙に浮かんどったんや。

 半端なく手強いと思うし、ウチの銃でも当たったかどうかも判らへん」


マリアはそれにと、付け足す。


「もし、コハルが独りで闘う事になったとしたら。

 女神ミハル魔鋼力ちからを借りなきゃ勝てないとも思うんや」


それは魔砲使いに成りたてのコハルでは、歯向かえばどうなるかを教えていた。

独りで闘う事を誡めたともいえる。


「せやからな、コハル。

 ウチが一緒に居らんかったら・・・戦ったらアカンのやで?

 二人一緒の時以外、アイツと闘ったら絶対にアカンからな?」


マリアの心配がコハルには痛いほど伝わる。

抱き締めて来るマリアの心配が、想いが伝わって来る。


「うん、マリアの言う通りにするよ」


約束を交わしたコハル。

抱き締めるマリアに頷いたコハルだったが、それから間もなくして運命は動き始める事になる。




闇の中で蠢くのは悪魔。


暗闇の中で細く笑むのは悪意。


蠢く中に一つの影があった。

小さな光を体内に宿した・・・少年シキが微睡んでいた・・・


「ミハル・・・コハル・・・今に見てろ。

 ボクはきっと手にしてやる・・・君を。

 君と君に宿る女神を・・・ボクだけの物にしてやるから・・・」


赤黒い瞳が・・・閉じられていった・・・・

女神ミハルの力の前では、いくら黒の魔鋼シキといえども・・・


もう無双状態の女神さん。

現実世界に出れれば、悪魔だってちょちょいのチョイですね?


でも、やはりというか。

そう簡単に話はいかないのでした・・・


次回 黒の魔鋼 シキ Act3

君の舞は孫も惚れる。君が受け継ぐのは剣士の技。孫と祖母、絆は繋がれる・・・


ミハル「おかあさん・・・ずっと気にしてたんだね?ずっと教えてくれようとしてたんだね?」

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