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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
195/219

夢の欠片と希望への想い 第9話

天使長ミハエルは怪しい女神に迫ります・・・


本当の女神ミハルではないと?!

理の女神ではないと?


では?


本当の女神ミハルは?



遂に!元祖<損な子>が帰ってまいります!

「あなたは・・・気付いていたんじゃなくて?」


天使長ミハエルさんが言うのです。


「永き時の末。

 辿り着いた運命の時を回避しようとしたんでしょ?」


その瞳は悲しみと憐みを浮かべていました。




闇の結界を見下ろす此処で・・・





「天使ミハエル・・・何が言いたいの?」


まだ女神ミハルを貫き通そうというのでしょうか?

デサイアと呼ばれた女神が訊き返したのです。


「あなたは確かにミハルに因って消えたのよ・・・大戦の最中に」


ミハエルさんがデバイス錫杖を降ろして言いました。


「でも。こうしてまた現れた・・・なぜ?」


目の前に居る女神をデサイアと断定する天使長(ミハエル)さん。


「・・・だからどうしたというのよ?

 私が殲滅の女神だと言い切ってるあなたはどうなのよ?」


女神と天使が訊き合っています。

ミハエルさんは女神をデサイアだと言い切り、女神はミハエルさんにその訳を訊ねるのです。


「神々を憎み闘いを挑んだ殲滅の女神デサイア。

 嘗ての女神は、ミハルによって消滅したのよ・・・それが今になって?」




挿絵(By みてみん)




説明しなければいけないようですね。


二人がどうして知り合ったのかを・・・(詳しくは「魔鋼騎戦記フェアリア・第5章以降」をお読みください)




  ~~~~


20年ほども遡ります。


嘗てこの世界では、神々と人間の闘いが勃発したのです。

神々と云っても本物の神とは言い切れませんでしたが、魔法力が桁違いの一部の者が神を名乗り、人間の世界を滅ぼさんと闘いを挑んで来たのでした。

魔鋼の魔砲師だったシマダ・ミハルは、大切な人を救出せんと闘いに加わったのでした。

その折、邪悪なる敵の手に罹り一度は死を迎えることになったのです。

生き返る条件・・・闇に呪われてしまう事にもなったのですが・・・

強力な呪いは、ミハルの中に神を宿す事になったのでした。

人であったミハルに・・・殲滅の女神デサイアが宿りました。

図らずも、デサイアはミハルの中で神々と闘う事を選び、何度も窮地を救ったのでしたが。

その相手というのが、当時闇に堕ちていたミハエル。

女神の称号を与えられて人間を苦しめていた・・・

殲滅の女神ミハリューと名乗っていた当時のミハエル。

審判の女神リーンを捕え、ミハル達と交戦し続けたミハリューでしたが。

やがて、デサイアを宿していたミハルが女神へと覚醒、自らの闇に気が付かされたミハリューは。

最期は人類の味方に戻り、全能神ユピテルに人へと転生させられたのでした。



簡単に語ってみましたが、詳しくは「魔鋼騎戦記フェアリア」をご参照くださいませ。



  ~~~~





ミハエルさんは、人間から再び天使に戻りました。

それがどういう経緯だったかは措いておきましょう。


その天使ミハエルさんがこうして言うのには訳がありそうですね。



「デサイア・・・あなたはどうして蘇ったの?

 この世界には憎むべき神など存在しないというのに?」


悲し気に目を伏せるミハエルさんが訊いたのです。

相手は理の女神を名乗る・・・ミハルだと謂うのに。



「天使ミハエル・・・あなたは私を殲滅の女神と呼ぶ。

 確かに闘うのを厭わない女神でもあるわ。人間界に災いを齎す者が居るのなら」


やっと・・・


「もし、この世界を滅ぼさんとする者が居るのなら。

 私はどんな手を使おうが、滅びを防ごうとするでしょうね」


認め始めたみたい・・・


「どう呼ばれようとも。どんな誹りを受けようとも・・・」


それでは・・・本当にあなたは?


「デサイア・・・希望デザイアか。私は夢や希望を持てなくなった者・・・」


?!理の女神ミハルは・・・希望を持ち続けていた筈?


「理の女神だったのに・・・希望を潰えさせられた。

 終末の時を防ごうとしたのに・・・1000年も懸けて替えようとしたのに・・・

 夢の欠片も・・・希望さえも潰えてしまったのよ」


だから?!


「あなたには分からないでしょうねミハエル。

 希望を叶えられたあなたには・・・私の絶望なんて分かる筈がないわ」




  ザゥッ!!



蒼き髪が逆立ち、ミハルだった女神の表情が暗くなったのです。

まるで自身を呪い、幸福を手に出来た全ての者を恨むかのように。




「・・・あなたは。

 ・・・女神ミハル・・・じゃないわ」



ポツリと。



「あの娘は絶望なんてしない。

 どんな苦境にだって。どれほど苦しめられたって。

 絶対に諦めたり、絶望したりなんかしやしないんだから・・・だから」



ツイっと女神の前で錫杖を構えるミハエルさん。



「だからっ!あなたをミハルだなんて思わない!

 私達の大切な娘の名を語らせたりなんてさせない!認める訳にはいかないのよ!」



天使長ミハエルさんが、天罰の錫杖を構えて対峙したのです。

殲滅の女神デサイアの前に!



「受けてみて!これがあなたから貰ったひかり

 人として命を授かった母としての想い!

 そして・・・あなたを愛する者達が願う・・・希望ひかり!」




  金色の輝が・・・女神を包み込んだのです・・・






暗き闇。

そこは理の女神だった者の一部。


心に巣食った闇。


絶望感が闇へと変わり果てた・・・心の奥。



「「・・・私・・・」」



嘆きの声がもう一人のミハルから零れ出ました。



「「・・・(ミハルは・・・」」



ミハエルから受けた錫杖の輝で。



「「・・・どうして・・・」」



今目覚めたばかりのように・・・目を開いたのです。



「「・・・いつの間に・・・」」



闇の中。理の女神が気付きました。



「「堕ちていたの?闇の中に・・・希望も見えない闇へと?!」」



挿絵(By みてみん)



愕然と自身を悟ったミハルが・・・闇の中で訴えました。


そこは女神自身の心の闇。

確かにデサイアが言った通りだったのかもしれません。


嘗ての大戦に今一度立ち合う事になったのでしょう。

1000年を懸けて舞い戻って、自分を取り戻そうと試みたのでしょう。


そうだったのに・・・救われなかった・・・から。


身体を取り返せず、救うべき人達さえも救えず。


女神の絶望は計り知れなかったでしょう。


そして・・・想いは希望ひかりを失った。



残されたのは人々を護らねばならない宿命だけ。

人類を見守り続けると謂う・・・運命だけ・・・



やがて女神は自らの中で闇に堕ちて行き・・・デサイアと成り果てることになったのでしょう。


「「そう・・・デサイアさんは。

  私の分身でしかない者。デサイアさんは私自身だったのよ」」


嘗ての大戦の折に現れたデサイア。

それは神々によって命を奪われてしまった、憎しみが具現化した者。

今にして思えば、理不尽に過ぎる世界への憎しみが宿ったミハル自身であったのでしょう。


「「希望(デザイア・・・奪われた者・・・ミハル。

  私は・・・希望を奪われた・・・でも、再び蘇るのを夢みてる」」


希望を奪われた女神ミハルの夢。

それは・・・


「「リーンに逢いたい・・・私の大切な人はどこかに居るのよね?」」


復活が仮初めであったのなら・・・知らないのは当然。

そして・・・アクァと共に過去へと行かなかったのもデサイアであるが故。


「「目覚めたい・・・再び希望を持てるようになりたいの。

  仮初めでも良いから・・・この闇を打ち破って・・・光を浴びたい」」



ミハエルさんの光は、女神ミハルに夢を呼び覚まさせれたのでしょうか?






「もう・・・気が付いたでしょう?

 そこから・・・闇から抜け出してきたらどうなのよ・・・ミハル?」


ひかりを浴びたデサイアが、眉をしかめてミハエルを睨みつけます。


「だから何を言っているの?私はこうして此処に立っているわ!」


デサイアには分からなかったのでしょう。

希望を捨てた殲滅の女神・・・憎しみと絶望から産まれた者には。


「デサイア・・・あなたは自分の闇に気付かないの?

 だったら証拠を話してあげようか?あなたに闇がある事を」


ミハエルさんは女神に闇があると言いました。

それは女神ではない証拠・・・いいえ。

女神だとしたら墜ち神である証拠。


「あなたはリーンから。審判の女神から術を受けてるわよねぇ?

 確か・・・ペット状態に成ってる筈だけど・・・違うかしら?」


「そ・・・それは。御主人様の術だから・・・」


ピクンとデサイアが反応しました。

おやぁ?何か困った事でもあるのでしょうか?


「じゃあ、訊くわ!

 あなたのペット状態はどんな姿なの?

 まさか・・・毛玉じゃないでしょうね?堕神状態のルシファーみたいに毛玉じゃないでしょうね?

 あれは闇属性のある者しか成れない姿。闇の属性がある女神だという証拠よ!」


「ぎくっ?!」


・・・・まさか・・・そうだったのですか?


図星を突かれてしまったデサイアさん。

もはや言い逃れは出来ませんよ?


これで漸くミハルが毛玉にされた訳が判明しましたね!


「きっと審判の女神は、端からあなたの正体に気付いていたのよ。

 あなたの事を誰より知っている・・・愛した女神だからこそ!」


ミハエルさんが、びしりと決めます!


「聴こえてるんでしょうミハル!そこから出てきたらどうなのよ!」


どうやらミハエルさんも、決着をつけにきましたね。


「いつまでもウジウジ引き籠ってるんじゃないわよ!

 でなきゃぁ、まやかしのデサイアのままでいるつもりなの?!」


引きこもりミハルに、怒っているみたいですね。



デサイアは正体がバレて・・・と言うより。


「そう・・・私。

 目覚めたんだ・・・終末の時から閉じ籠ったままじゃぁなかった気がするけど?

 時折、意識が混濁するようになって・・・今、希望ひかりを感じられたの」


声色が・・・優しくなりました。


「みんな・・・無事に生き残れたのかな?

 マモル達は・・・元気でいてくれてるのかな?」


今迄ずっと・・・デサイアに取り換えられていたのですね?


「そう・・・あなたのおかげでね。

 貴女が救った命は、新たな命を育んでいるわよ・・・ミハル」


ミハエルさんの錫杖から、癒しの光が零れ出しました。


光を浴びた女神のくすんだローブが・・・・



「デサイアさん・・・ごめんなさい。

 私・・・やっと気づいたの。やっと本当の目覚めを迎えられたの」



まるで闇から解放されたかのように輝きを取り戻していくのでした。



「ほ~んっとにぃ~!寝坊にも程があるわよ!」


微笑むミハエルさんが真実を取り戻した女神に言いました。


「どれだけみんなが待っていたと思うのよ。

 特にミユキなんて、心配で心配で。影膳を今も続けているんだからね!」


え?!ミユキお祖母ちゃんが?

あれはコハルの為だと・・・?


「あなたは知らないだろうけど。

 コハルと名付けて頂いた私達の娘・・・いいえ。

 貴女の生まれ変わるべき娘達が、今大変なことになってるのよ」


「・・・・ほぇ?」


目覚めたばかりの女神も・・・・ミハルでしたから。

キョトンと眼を瞬いてミハエルを見詰めるのです。(間抜けは相変わらず健在でした)


「あ~~っもうっ!あなたは1000年間変わらず損な娘だったのね!

 だぁ~かぁ~らぁ~!あなたを蘇らせる入れ物の娘達が争ってるのよ!」


「ほぇえええ~っ?!」



・・・・イラッ



「目覚めさせるんじゃなかったかも・・・・」


「そ、損なぁ~?!」


目覚めていきなりそんな事を言われる理の女神ミハルさんw。


「兎に角!闇から解放されてほっとしたい処でしょうけど。

 みんなに挨拶するのは後回し!今はあの子達を救うのが貴女の役目!

 大魔王に堕ちた娘から女神成分を救い、もう一人の入れ物に受け取らせるのよ!

 それが出来なかったら・・・あなたは今度こそ蘇れないからね!」


「ひえええぇ~っ?!そんな事になってるの?!」


・・・本当に分かっているんでしょうかねぇ?


「観てみなさい!あのの子達を。

 必死に運命に抗おうとしている・・・昔のあなたそっくりな娘達を!」


びしっとミハエルさんが女神に叱責を浴びせます。


あいの女神ミハルが結界を覗き込むと・・・


「あ。

 私が・・・居る?」


15歳の美晴が、女神には自分に映ったのでしょう。


「あの紫髪の娘も・・・そっくりだ」


二人を観たミハルさんの瞳が険しくなります。


「光と闇・・・抱く者。

 人と悪魔・・・いいえ、魔王の力を宿しているのかな?」


「いいえミハル。大魔王ルシファーと同じ力よ!」


傍からミハエルさんが注釈をつけました。


「・・・もしかして。ルシちゃんと係わりがある子なの?」


・・・・


ミハエルさんが言い澱みました。


「もしかしなくても・・・二人の間に産まれた・・・娘なのね?」


ジトォ~っと。ミハルが天使を覗き込みました。


「・・・人間だったんだから・・・文句ある?!」


天使長ミハエルさんが頬を紅く染めて言い返しました。


「良いなぁ~っ、羨ましいぞぉ!この一児の母!」


「・・・ミハル。もう一回闇に堕ちてみる?」


ニヒヒと笑う顔に、ミハエルが言いましたが。


「冗談!もう本当に目覚められたんだから。

 闇に堕ちたらリーンにどんな目に遭わされるか分かんないよ?!」


・・・


・・・確かに記憶していないみたいですね。

別人だったのでしょう・・・知らぬが仏ってことで。



「私もやっとさっき粛罪を済ませ終えれた処なのよね。

 天界に上がる前に呼び出されたから・・・グランに。

 貴女の生まれ変われる二つの入れ物が窮地に陥ってるってね」


あ。


先程から気になっていたのですが。

それは一体どういうことなのですか?



「それって・・・あの娘達が?」


気になったミハルさんが訊いてくれました。


「むぅ・・・今は悠長に話してる暇は無いようよ。

 このままでは二つの内どちらかが消えちゃうことになりかねない。

 ここは本家、理の女神に出張って貰わないとね」


あっひゃぁ~っ?!問題を先延ばしにしないでぇ!


「で、でもぉ?!」


ほら。ミハルさんも聞きたがってるじゃないですか?


「ルシちゃんの娘なら。ルシちゃんに助けて貰ったらいいのに?」


あ・・・そうですよね?


「ふむ・・・ミハルはデサイアであった罪を他人に押し付けると?

 こうなったのは引き籠りのミハルに責任があるんだからね!

 とっとと・・・片付けてこんかぁ~いっ!」




と。

ここで。


フェアリア以来伝統の・・・ミハエルの蹴りが炸裂?!



  どげしっ!



しましたぁ~っ!!


挿絵(By みてみん)


「なんでぇ~っ?!目覚めた私ばっかりぃ~っ?!」


・・・損な子ですから。



こうしてデサイアだった蒼ニャンの策謀は潰え去るのでしょうか?



フェアリア以来伝統の・・・本家そんなこミハルがやっと。


やっと本物のミハルが帰ってまいりました(遅いとも云う)。



さぁ!輝の御子が帰って参ります。

本当のミハルの威力たるや如何に?!



次回! エピソード16 もう一つの未来<<きぼう>> 第1話


刮目して待たれよ!

戻った早々・・・損爆発?!


やっと目覚めたミハルは、やっぱり損でした。

ミハエルは蹴りつつも微笑んでいたのです。


自分を救ってくれたミハルに再び逢えたのですから。


さぁ!いよいよ最終決戦に間に合ったようです。

チート異能全開か?デサイアではない理の女神の実力や如何に?


シリアス路線で行くのかは、損な子ミハルにかかっていますW


次回 もう一つの未来<<きぼう>> 第1話

君を待っていたのは一人じゃない!彼もずっと待っていたんだよ?!

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