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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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夢の欠片と希望への想い 第4話

現れた巨悪!


対するは姫御子コハル。


・・・そしておまけの爺や?

漆黒の巨躯。


悪意の塊。



闇から現れた巨大な邪操機兵<巨靭兵きょじんへい>・・・対するのは。





「爺!私でも手古摺る相手なの?」


見上げるコハルが傍に控える爺やに訊きました。


なりよりも・・・発散している魔力にご注意あれ!」


自分の魔力に自信があるコハルに、注意を促す爺や。


「これ程の魔力を有しているとは。

 まるで魔王が数匹合体しているようですじゃ!」


己が異能も、並みの魔王級位は保持しているエイプラハム。

その魔獣に警戒させる程の魔力なのでしょうか?


「爺?爺やでも手強そうだと思うの?」


コハルは臣下髄一の魔力保持者である爺やが、警告するのを不思議そうな目で観ています。


「でも。私の力には及ばないよね」


大魔王の姫御子として。女神の端くれとして存在するコハル。

今、彼女は懼れる者など無いとも言えた筈でした。


その異能を一番よく理解している者が爺やでもあったのです。



「ご注意下され姫様。

 如何に爺やでも、敵わぬ相手が居ります故に・・・」


ついと。


狒狒爺やが、コハルの前に出ました。


不意打ちを警戒押しているのか、それとも先手を打とうとしているのでしょうか?


コハルの前に出たエイプラハムは、自身の持てる魔力を全開にして身構えたのです。



「爺?!何をしようと・・・」



コハルが差し出がましい魔獣エイプラハムに話しかけようとした瞬間!



 ブンッ!



爺やが魔法障壁を展開したのです。


「?!爺?」


何をしているのか。

何の為に魔法障壁など?


コハルが爺やに訊こうとした時。




  グゥオオォムッ!



巨靭兵のアギトから、赤黒い魔力光線が放たれたのでした。










一戦終えた美晴達は、電力を消耗した輝騎を格納庫へと納めていました。


「案外だったノラ。もっと一悶着あるかと思ったノラのに」


ノーラが物足りないと言わんばかりに文句をほざいてます。


「なに言うてんのや。終わり良ければ結構なこっちゃやないか」


マリアが整備員にコックピットを明け渡して歩み寄りました。


「そうだよ姉さん。やっつけたんだから文句を言わない!」


弟ローラが、姉であるノーラを嗜めましたが。


「違うノラ。なんだか・・・まだ控えているような気がしただけなノラ」


腕を組んで考え込む仕草を見せるノーラ。


「控える?まだ邪操機兵が来るって?」


眉間に皺をよせたノーラに、ローラが怪訝な顔を向けました。


「おいノーラ。もしも邪操機兵が出て来るんやったら、司令から報告が来る筈やろ?」


キャップのマリアが、ノーラの心配を事も無げに一笑しました。


「邪操機兵やったら、空間の歪み具合で検知出来るんやしな」


本部の地下に備えられた邪操機兵電探パッシブレーダーに、捕らえられる筈です。


「そりゃそうなんだけど。何だか悪い予感がするノラ」


難しい表情のノーラさん。

心配性では無かった筈ですけど?


「盗賊だった頃の勘というか。闇の力を受けていた時の後遺症と言うか。

 兎に角、何だか知らないけど・・・嫌な予感がするノラ」


栗毛に染めた髪を掻きむしり、ノーラが弟に言いました。


「ローラ!アンタは何か感じ取れないのか、のら?!」


敵の弱点を見破れる特異者であるローラには、もう一つの特技があったのです。


「僕の魔力では、何も感じられないけど・・・けど」


「けど?けど、何か気になる事でもあるのかノラ?!」


即座に聞き咎めるのは二人が姉弟だからでしょうか?


「なんやローラ?何か気になる事でもあるんか?」


マリアさんも聞き咎めましたね。


二人に突っ込まれたローラ君は、ちらりと零号機に目を配りました。


「ほら。美晴さんの様子がオカシイから・・・さ」


コックピットから出ていた美晴は、赤鞘の剣を手にしたまま身動みじろぎもしません。

何かを感じ取ったのか。何かに憑かれたのか?


「また・・・蒼ニャン様に取り付かれたんかいな?」


マリアは咄嗟にそう思ったのですが。


「美晴!おい美晴。指揮所にいくで?」


格納庫から出てマモル司令達が待っている指揮所に向かうと声を掛けました。

ですが、美晴はこちらに顔を向けず。


「先に行ってて。アタシ・・・行かなきゃ」


剣を握り締めた美晴が、急に走り出したのです。


「お、おいっ?!どこへ行くんや?!」


慌てたのはマリア。


「やっぱり!何かが起きそうなんだノラ!」


ポンと手を打つノーラ。


「何を呑気に構えてるんだよ姉さん!直ぐに追いかけよう」


これが非常事態ではない訳がありません。

美晴を独りで向かわせるなんて、3人には出来っこないからでした。


「司令!マモル司令!美晴が単独でどこかに向かおうとしています!」


蝶ネクタイに着けられた喉頭無線機で、マリアが報告します。


「美晴をほっとけません!ウチ達は追いかけますから!」


命令で停められるのが分っていましたから、マリアは先手を打ってそう言ったのです。


「僕達が追いかけます!危険な事にならないように援護しますから!」


ローラも走りながら応援に向かうと言い切りました。


「ぜぇ~ったい!任しておいて・・・ノラ!」


ノーラはお気楽に言って除けました。


格納庫を飛び出した美晴を、魔鋼少女達が追いかけて行きました。



「頼んだよ皆。くれぐれも危ない事に手を突っ込まないでくれ」


モニターで一部始終を観ていたマモル司令が、4人の少女へ呟きました。

そして、指揮官座席に着けられたスイッチを押し込むと。


「第2課、開発局長の島田参与に繋いでくれないか?」


事の次第を告げる為に、父であるマコトを呼び出したのです。

モニターが切り替わり、画面にマコトが映りました。


「お願いがあります。彼を・・・呼び出してくれませんか?」


父に向けて願うのは誰?


「マモル・・・彼ならもう、そっちに向かってるぞ」


マコトは、何もかも知っていたかのように告げました。


「そう・・・ですか。彼もまた、特異者サイキッカーでしたね」


ふっと。笑みを溢したマモル。


すっと立ち上がると、地上を映し出しているモニターに目を向けたのです。

そこには、時ならぬ黒雲の塊が映し出されていました。


「ミハル姉。これが望みだったのかい?」


普段姉に対して温厚なマモルが、珍しく険しい表情で姉を咎めたのでした。


「1000年の怨唆・・・これが闇に堕ちた者の姿なのか?」


黒雲を見上げるマモル司令。

その眼に映っている者とは?








巨躯から吐き出された悪意。いいや、破壊光線。


それを受けるのは・・・・



「爺ぃ~っ!!」


自分の盾となり、一身で受け止めるエイプラハム。


己の全力魔力で放っている魔法障壁をなんとか持ちこたえさせるには。


「私の事など気に掛けちゃ駄目ぇっ!」


魔獣本来の力を振り絞るには、狒狒の姿を模らねばならないのに。


「どうして人型を執り続けるのよぉ!」


破壊波動を受けた人型爺や。

魔力を出し切れないのか、それとも敵の魔力が上回っているのか?


「爺っ!もう良いから逃げて!

 私なんか庇う必要はないからっ!!」


コハルが停めたのですが、爺やは身動きせず魔力防御を続けたのです。


「止めてったらやめなさい!爺が怪我しちゃうよぉ!」


泣き声をあげる小春神(コハル


「私が今、そいつを倒してみせるから!」


父である堕神ルシファーから譲り受けた魔戒の剣を取り出そうとしたコハル。


その眼に焼き付いたのは。


「・・・爺?!」


一瞬。


彼が。


爺やが。



振り返り微笑みを浮かべたのでした。



「爺っ?!エイプラハムっ?お爺ちゃんっ?!」


呼べるだけの名を連ねて呼んだのでした。





挿絵(By みてみん)







消え去る狒狒爺を。





  ボシュッ・・・・・




何が起きたのか。



目の前で何が?!



「爺ィ~~~~~ッ!!!」



破壊光線を受けて。


コハルを守り続けた爺やの姿が掻き消されたのです。







それは。


悪夢の来訪。


それは希望を打ち消された少女の悲鳴と重なったのでした。



「嫌ぁあああああぁっ?!」



爺やはコハルに、何を伝えたかったのでしょう?



なんてことでしょう?!

マギメタ開始以来の味方犠牲者?!


元悪魔王のエイプラハムが?!

強いぞ邪操機兵<巨靭兵>!!


このままコハルも押し切れるのか!!

でも。

駆けつける美晴が気になります。


次回 夢の欠片と希望への想い 第5話

君の怒りは敵を討てるか?!心まで染めてしまうのか、復讐に?

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