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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
19/219

黒の魔鋼 シキ Act1

闇の者との対峙が終った。

だけど。


記憶に残った恐怖が呼び覚まされるのです・・・

赤黒い結界の中で戦闘が繰り広げられている。

碧と紅の光が舞い狂う。

それぞれの持つ力を出し尽くし、光と闇の魔鋼が闘う。


蒼き光が紅き闇に屈する時、黒い姿が上空に浮かぶ。


傷付き倒れ込んだ姿を見下ろすのは、影を纏った闇の姿。

蔑む様に見下ろす黒い影。瞳の部分だけが赤く光っている不気味な人影。


闘い傷付き倒れ込んだ白い魔法衣の少女が起き上がろうと、地に手を着く。

蔑む様に見詰めた影から鋭利な刃が向けられてくる。


体を震わせ立ち向かおうとする少女に、黒い影は紅い光を灯す刃を向けた。


紅い光が白い魔法衣姿の少女へ放たれ・・・


「嫌ぁあああああぁっ?!」


避けきれない魔法衣姿のコハルが、紅い光に飲み込まれる・・・・



(( ゴチン ))


「痛っ?!」



痛くて目が覚めた。



挿絵(By みてみん)


「あれ?あれれっ?!」


床にぶつけた頭の痛さで目が覚めた・・・なんて。


「ゆ・・・夢?!だったんだ・・・って?!」


ハッと我に気付く。

夢墜ち・・・夢を見てベットから墜ち、気が付いた・・・なんて。


「あははっ、これがホントの・・・って、余裕噛ましてる場合じゃない!」


どうして起こしてくれなかったんだろう・・・こんな時間になるまで。


時計を見た瞬間そう思った。

朝の起床時間は当の昔に過ぎている。


「ち・・・遅刻だぁ?!もう8時過ぎちゃってる!」


寝ぼけ眼で焦りに焦り、身支度を必死に整えて階段を駆け下りる。

トレードマークの紅いリボンを括りながら顔を洗い歯を磨く。

これ程慌てているのに、両親の声さえもかかって来ない。


「なにしてんだろ、人が慌ててるってのに!まさか、二人共寝坊助さん?!」


まさかとは思ったが、本当にダイニングに二人の姿は無かった。


「ええええっ?!まさか、置いてけ堀喰らったの?!」


心の絶叫が漏れた・・・時。


「まさかとは・・・思ったけどぉ、コハル・・・今日・・・何曜日か分かってるの?」


ドアを開いて眠そうなルマがはだけたネグリジェを着たまま訊ねて来た。


「え・・・ま、さか?!アタシ・・・やっちゃったの?!」


ツイとカレンダーに眼をやる・・・必要も無いのに。


「朝ごはん・・・食べたかったら適当に・・・ね?」


生欠伸を見せながらドアの中へ戻って行くルマを見送って、固まり切ったコハルがそこに居た。


「なははははぁーっ、/(^o^)\ナンテコッタイ」


日曜日の朝だというのに、コハルの悲劇きげきは始まるのだった。







「って、いうことなのぉ」


ブランコに座って愚痴を親友に零すコハル。

肩を竦めて呆れるマリア。


仲良し2人組は、約束通り待合の公園に来ていた。


「コハル、疲れているんじゃないんか?

 生まれて初めて使ったんやろ魔砲って奴を?」


金曜日の夜、思わぬ事から魔砲を授けられたコハル。

魔法衣を羽織ることの出来たのは、コハルに並々ならぬ魔砲力が備わっているから。


だが、いくら魔砲力が備わっていたとしても、初めて発現した後というのは。


「うん、身体のあちこちが痛んで・・・筋肉痛になったみたい」


どこかのお年寄りみたいな言い方をするコハルに笑うしかなかったが。


「まぁな、ウチも初めて魔砲を使った時には、2・3日痛くてしょうがなかったもんなぁ」


同感だと、思い出し笑いを浮かべるマリア。


「そうなんだ?マリアが初めて魔砲を使ったのって何時の頃なの?」


コハルが何が無く訊いてみたら、


「うん、ウチに初めて魔砲力があるって解ったんは、一年位前の事かな?

 ・・・ウチが転校するきっかけになった、ある事件の時や・・・」


ちょっと俯いたマリアが答えてくれた。


「事件?!あっ、気になる事なら言わなくてもいいよ?!」


答えられた事からキーワードを抜き出してしまったが、マリアの表情を観て言い噤んだ。


「ええんやコハル、聴いてくれても・・・」


ブランコに立ち上がったマリアが、気を遣うコハルに笑い掛けて。


「事件っちゅーても警察沙汰やあらへんで?

 ウチが経験したんはとある人物に因るいさかいなんや。

 ちょっとした悪戯・・・いや、当人にとっては苛めやな」


ブランコを漕ぎ始めたマリアが、話す言葉に耳を傾ける。

マリアが当人と云ったのは、もしかしたらマリア自身の事では?

そう思ったコハルは、黙ってマリアの話を聴き続ける。


「友達やと思っとった。そんな子に裏切られてしもうたんや。

 外国人やからって、余所余所しい他の子とは違うと思うとった。

 クラスの中で孤立してるウチに友達になろうと言ってくれた子やった。

 それやのに・・・いざとなったら裏切られてもうた・・・」


ブランコを漕いでいたマリアだったが、そこで話を区切ると。


「なぁコハル。ウチの友達になっても楽しくないやろ?

 コハルはなんでウチなんかと友達になってくれてるんや?」


急に訊かれたコハルは、真剣な目をしたマリアに心が締め付けられた。


「何故って・・・好きだから・・・じゃ、駄目かな?」


本当にそうだったから。理屈抜きに好きだから。

初めは喧嘩みたいなこともした、でも今は誰よりも頼りにしてる。

誰よりも心を許しあえていると感じている。


「おおきにな・・・コハル」


真剣だったマリアの眼が嬉しそうに笑ったのを観て、コハルも微笑み返せた。


「コハルだから言うけど、ウチは日の本に来たくは無かったんや。

 オカンの仕事の為に日の本へ来たんや、それが3年前のこっちゃねん。

 それからオカンに連れられて何回か転校したんやけど。

 そのたんびに友達を失ってもうたんや・・・

 でもな、その子は友達になろうって言うてくれたんや。

 せやけど・・・裏切られてもうた・・・・」


ギィッとブランコを停めて、見詰めて来るマリアがなにを言おうとしているのか。

コハルは自分だけはマリアを信じようと、裏切らないと決めていた。


「どうしたというの、その友達だった子は?」


自分は違うんだとでも言いたげなコハルの表情を観て。


「うん、リカはウチに言うたんや。

 <あなたのうちには鬼が住んでる>・・・って。

 他の皆と同じように・・・ウチの家族を馬鹿にしたんや。

 信じとうなかった・・・聞きとぉなかったのに。

 言われて逆上してもうたウチは・・・知らん間に魔砲を使ってもうてたんや」


自分でも意識せずに・・・魔砲を使ってしまったマリア。

コハルも、宿った女神に意識を奪われて使ってしまった。


「そっか・・・悲しいね。

 でも・・・アタシは違うよ?アタシだけはマリアから離れないからね?」


きっと、必ず・・・心に誓ったから。


コハルがマリアを見詰めて答えると、


「センキューな、コハル」


片手を挙げてはにかむ様に、マリアが笑ってくれた。


「うん、必ず!」


約束だよって言いたかった。

その瞬間が来るまでに・・・



公園が澱んだ。

いや、空間が。

・・・と、でも言った方が善いだろう。


ブランコに乗っていた少女には何が起きたのか解る術も無かった。


マリアは咄嗟に振り向いた。

そこに居るべき人が消えた事に動揺して。


言葉途中で消えてしまった親友を求める目が宙を彷徨う。


「コ、コハル?!コハルぅ、何処や?!」


コハルが座っていたブランコは揺れもしていない。

何も感じる事も出来なかった。


まるで神隠しの様に、忽然とコハルは消えたのだ。


「闇の者の仕業やな!出てこいや!コハルを返せ!」


辺りに潜むであろう闇に吠えるマリア。


「返さへんっちゅーんやったら、見つけ出して連れ戻す迄や!」


怒りに燃える魔砲少女の叫びが轟いた。


サイドポーチに納めてあった水晶銃を掴みだし、変身トランスフォーメーションする。


する・・・瞬間だった。


「ニャァ?!眼が廻るぅ?」


コハルの絶叫が背後の鉄棒から聞こえて来た。


「なっ?!なんやとぉ?」


いつの間に?それよりもなぜ、鉄棒で大回転してる?!


グルングルン廻り続けるコハルを、眼が点状態になって見続けるマリア。


「ニャァ~たしゅけてぇー?!」


助けを求められ無かったら、ほったらかしにしてたであろう。


「な、なにやってんのやコハル?!」


漸く停めて降ろすと、目を廻したコハルがふらふらと座り込み。


「何が何やら・・・分かんないのぉ?!」


頭に?(はてな)マークをいっぱいつけたコハルが卒倒する。


「おいっ、コハル?!」


倒れ込んだコハルを支えて、辺りの気配を探る。


澱んだ空間に何者かの影が揺らいでいた。


「お前・・・何ちゅー事をするんや?」


影に向かって大声で警告する。


「ウチの大事なコハルに・・・赦さへんで?」


途中で停めていた変身スペルを唱え直そうと水晶銃を構え直すマリアに、

澱んだ影が訊いてきた。


「君・・・その子のなんなのさ?」


突然だった、今迄無かった事だった。

闇の者から話しかけられるのは。


揺らめく影からの声は、同い年位の・・・少年の声だと思った。



目を廻すコハルの前に現れ出るのは誰?

闇に染まった姿を現したのは?


闇の中から掛けられた声が、姿を現す・・・


次回 黒の魔鋼 シキ Act2

君には現れた者の実力が分かるのかい?現れ出た姿に何を感じたというの?


ミハル「昔はマモル以外には居なかったのにね・・・魔砲使いと呼べる男の子なんて」

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