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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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拒む者 第6話

修学祭は盛り上がっております!


クラブキャプテンの美晴も、何かしないといけませんが?


はてさて?

剣舞クラブの主将(キャプテンを務めている美晴(ミハル

部員はと言えば自分と数人の下級生だけの幽霊クラブで、修学祭の出し物と言えば剣舞を数回披露する位でした。



勿論、剣舞師範代の美晴に一任されていたのですけど。



「島田キャプテン、いっその事抜き身の真剣で披露されたらどうでしょうか?」


クラブ員達は美晴が来るなり勧めます。


「だぁ~メ。真剣を使うのは正式な剣舞大会以外は認められちゃいないでしょ?」


断わる美晴の左手に持たれた布包み。

紅鞘あかさやの太刀がその中にあるのは、誰にも教えてはいないのでしたが。


「でも美晴キャプ。お祭りなんだから一度くらい・・・」


下級生は美晴が紅鞘を所持しているのを知っているみたいです。


「真剣なんてどこにあるのよ。無い物を取り出せって言っても・・・」


白を切る美晴に、下級生達の眼が布包みに集まります。


「あ・・・あのっねぇ!期待しても無駄なんだからね!」


ジト目で見詰められた美晴が、何とか誤魔化そうとしていますが?


「この紅鞘は、万が一の時だけしか取り出さないの!

 もしも悪意の者が現れた時だけしか、包みから出さないの!

 それに紅鞘は飾りじゃないって、ミユキお祖母ちゃんからもきつく戒められているんだから!」


部員達の眼に抗して、美晴が拒否したのですが。


「ちぇっ!折角新入部員を確保する良い機会だと思ったんですけどぉ」


少ない部委員数を嘆く下級生の言葉が、美晴に突き立ちます。


「うっ?!そ、それは・・・そうだけど?!駄目なものは駄目ですっ!」


顔を引き攣らせて美晴が抵抗するのですが。


「師範代の剣舞を披露するにしても、木刀と真剣じゃぁ、雲泥の差がありますよねぇ?」


「うっ?!そ、それは・・・そうだろうけど?!」


だんだん、美晴の意志が崩れそうになってますね?


「キャプテンも島田美雪宗匠の真剣での剣舞を観たから始めようと思ったって仰ってましたよねぇ?」


「ううっ?!そ、そう・・・だよ?!」


もう一息で・・・美晴陥落?!


「部員を増やしたいなぁって、いつも言ってますよね?」


「・・・言ってます」


ああ・・・もはや?!


「師範代の真剣での剣舞・・・惹き付けられる子が入部してくれる気がするんですよね?」


「・・・そうなると良いよねぇ。部費が多く出たら遠征にだって行けるよねぇ」


堕ちたな、美晴?!

部員数が規定未満ですから、顧問だって就いていない現状では対外試合なんて出来ないのです。

もし、今日この場を借りて内外に知らしめれたら・・・


「キャプテンの舞を観て、憧れて入部してくれると嬉しいですよねぇ?

 部員が増えたら他流試合も認めて貰えるかもしれませんよ。

 美晴キャプが望んでいた島田流以外の流派とも、試合が出来るんじゃないですかね?」


「そ!そうよね!そうなったら島田流師範代を賭けて試合が出来るんだもんね!」


ああ、最初の固辞はなんだったのでしょうか?


流された美晴が布包みを突き出して、部員達に披露しようとした時です。


「ああ、島田さん。此処に居たんだね?」


背後から気配を消して近寄っていたのは。


「美晴のお友達に訊ねたら此処だって・・・おや?」


紅鞘の布包みを取り出している美晴を観て、


「ここでは真剣を使っても良いんだね?アタシと勝負する気になったの?」


にっこり笑うのは、招待されていたアクァさん。


振り向いた美晴の前で笑いながらも、小春神から送られた魔法の剣を取り出しました。


「わわわっ?!アクァちゃん?!待ってよ、アタシはそんなつもりじゃ・・・」


ないんだから・・・と、美晴が言う前に。


制服から稽古着に着替える暇もなく、美晴はアクァに捕まった!


「いつぞやの勝負をつけるっ!

 アタシの剣と美晴の剣。どちらが神の加護があるのかを!」


真剣での立ち回りなんて、アクァさんも好きですねぇ?


「おお~っ!意外な展開ですねぇキャプテン?」


珍客により、美晴が真剣での剣戟に巻き込まれるのを喜ぶ部員達。


「馬鹿ぁ!こんな時は停めなさいよっ!」


美晴が停めるように言いますが、部員達はやんやの喝采?!


「これは最高のチャンスです!

 キャプテンの真剣での剣舞を観れる最高の舞台です!」


「そうですっ!他流試合として修学祭の出し物にしちゃいましょう!」


部員の一人が体育館から飛び出して、お客を呼び込んでしまいました。


「みなさ~んっ!これより当、剣舞クラブ主催の他流試合が始まりますよー!」


「わぁっ!馬鹿馬鹿ぁっ!勝手に宣伝するなぁ?!」


慌てるのは美晴。部員を呼び止めるのが遅きに失したようです。


「あははははっ!これでは勝負にはならないなぁ美晴さん。

 見世物なんかじゃないんだから、アタシ達の魔法剣術は」


勝負を挑んで来たアクァさんでしたが、女神の剣を仕舞ってしまいました。


「ほっ・・・一時はどうなるかと思いましたぁ」


アクァさんは美晴との勝負を諦めたようです・・・?


と。


思いきや?!


「でもぉ、普通の剣だったら良いよねぇ?」


何処から出したのかアクァさんの両手には、白刃が握られていたのです。


「ぎょええぇっ?!アクァちゃん?なにを・・・」


「ふんっ?言わずと知れた剣戟だが?ナにか?」


両刀使いのアクァさんが、美晴に笑いかけながらも構えたのです。


「ちょっ、ちょっとぉ?!本気で剣戟しちゃうんですかぁ?」


ビクつく美晴に、アクァさんがウィンクしました。


「えっ?!」


両手に握られた白刃・・・は?


「あ。なるほど、模造剣?!って、納得してる場合じゃないよぉ!」


確かに金属でしたが、刀身は斬れない模造剣でした。


つまりアクァさんがするのは?


「さっき美晴の居場所を伺ったんだけど。

 お友達のマリアさんって言ったっけ、彼女が頼んで来たんだよ。

 美晴の力になってくれないかってね。クラブを広める為に一役買ってくれないかってね?

 どんな方法でも良いから、剣舞を知らしめてくれませんかって言われたんだよ」


「へ?!マリアちゃんが?!」


美晴は眼を丸くします。

アクァさんから教えられたのは、大の親友であるマリアからのお願いごと。


「美晴さんは、善いお友達を持ってるね。羨ましいよ」


模造剣を構えるアクァさんが、美晴を心から羨ましがって言いました。


「でしょ。自慢なんだ、マリアちゃんの事」


笑いかけて来るアクァさんに、美晴が笑顔で応えます。


「確かになぁ、フェアリア人でも珍しい赤髪で・・・ナイスバディーだからなぁ」


「・・・そこ。関係ないような?」


冗談には冗談で応えます。

笑顔でふざけられるようになれた友達に。




 ざわ ざわ ざわざわっ




部員が呼びこんだ観衆が、二人を取り巻き始めました。


「なんだ?!あの子は真剣で勝負するのか?!」


模造剣を真剣だと思い込んだ観衆がざわめきます。


「「ほら、美晴。思った通りだ!」」


「「そっだねぇ~っ、アクァちゃんの目論見通りだよね」」


小声で二人は交わし合い、勝負の準備にかかりました。


「「美晴さんは、紅鞘を抜き放たずに。

  アタシの剣を避けて、頃合いを観てはたき墜として!」」


「「え~っ?良いの?そんなことして?」」


戸惑う割に、美晴は乗り気になってます。


「「まともな立ち合いで勝負になったら、一瞬で決まるでしょ?

  観客には何が何やら訳が分からないと思うのよね、アタシ達の剣戟ってモノは」」


「「確かに・・・そうでしょうね」」


言われるままに美晴も布包みを腰だめに構え直しました。


「「それにぃ~、あそこに居る人達。

  なにやら胡散臭くない?美晴の事を凝視してるよ?」」


「「え?!誰?」」


アクァさんの観る先を、ちらりと確認してみると?


「「誰だろう、あのおじさん達?」」


二人の背広姿が眼に入りました。

若い方の男性の襟元には、桜の代紋が光ってます。


「「あれってさ、日の本の公僕じゃないのかな?」」


「「公僕・・・って?!警察官?」」


言われてみたら確かに若い男性の視線は、普通のサラリーマンには無い険しさが漂っていました。

その傍らに居るもう一人は、目元を緩めて傍らの男性を観て微笑んでいますが。


「「なんだろう?私服警官が学園に何の用事だろう?」」


美晴には二人の動向が意図ある物とは思えなかったのでした。


「「分からないのかい美晴さん。

  公僕がこの学園に入っている理由が?」」


アクァさんが訳知り顔で言いました。


「「彼等が修学祭に忍び込んでいるのは・・・警備の為だよ」」


・・・え?


「「きっと今日この場所で何かが起きようとしているに違いない。

  もしかしたらテロの予告状でも来ているのかもしれないよ?」」


「「ええっ?!テロですって?!」」


・・・飛躍した発想ですねぇ、アクァさん。

驚いた美晴が、学園の地下に秘密基地があるのを溢しそうになります。


でも、そこは美晴だって話す訳がありません。


「「もしもテロが企てられているのなら。

  アタシ達だって心の準備をしなきゃいけないよね?」」


いつ出動命令が来るかも知れないから。

自分は<帝都魔鋼戦闘団(IMS)>の団員だから。


「「インペリアルマギカストライカーズ?」」


あ。


アクァさんに聞かれちゃいましたよ?


「「そ。帝都魔鋼戦闘団ん~・・・・ん?!

  あわわわわっ?!今の忘れてアクァちゃん!」」


ボケているのか・・・美晴さんは?


「「日ノ本の魔鋼戦闘集団の噂は、フェアリアにも届いているけど?」」


「「ほぇ?!にゃんとっ?」」


・・・マジか?誰がそんな噂を?


「「ラミル社長から聞いてるけど?日の本にも魔鋼少女部隊があるんだって」」


「「ほんとぉっ?!フェアリアにもあるんだね?」」


・・・マジか?!


「「正式には認められちゃいないけど。

  ラミル社長が内々に結成させた部隊だよ。アタシも団員なんだ」」


「「にゃぁ~っ?にゃんですと?」」


・・・作者も知らんぞ?


「「この事はルナリィ―ン殿下も知らないからな」」


「「にゃぁ~っ?!完全なる秘密結社ですね?アタシ達よりも!」」


・・・なるほど、道理で作者も知らない訳・・・じゃぁないわいっ!


と。

つまりですねぇ?


「「アタシはラミル社長に社長命令として日の本の魔鋼少女を観てくるように言われてもあったんだよ。

  だから、美晴達の事も教えて頂いたんだ、マモル司令にね?」」


「「にゃぁーんとぉ?!マモル君までぐるだったにょねぇ~?!」」


混乱する美晴たん。もはや何が何やら状態ですね。


「「だから。もしテロが企てられているのなら、見物させて貰うよ。

  日の本の戦闘団がどれ位のものかをね!」」


「「にゃぁ~っ?!どうしてこうなった?!」」


うん。美晴さんに同意します。どうしてこうなったのでしょう?


「「あの公僕に観られるのは癪だけど。

  アタシが一肌脱いでみるから、テロを未然に防いで見せなきゃいけないよね?」」


「「え?!アクァさんが?どうやって?」」


どうやって?そこを問い質す美晴さんに、アクァさんがふり返ると?


「「アタシの魔法。覚えてないかしら?

  小春神コハルをフェアリア送りにした<時の魔法>だよ!」」


挿絵(By みてみん)


そう叫んだアクァさんが、美晴の腕を掴んだのでした!


そうですっ!アクァさんの特殊魔法が発動したのです!


「魔女ロゼ!アタシ達を邪な者の前に連れて行って!」


もう小声で喋る必要なんてありませんでした。

並行世界に向かう二人に、魔女ロゼが応えたのです。


「OK!いくわよぉ~!」


金髪の魔女ロゼが、アクァの望みを聞き遂げたのです。


テロが行われようとする(アクァさんが思い込んだ)学園を救うべく。



・・・って。

何時の時間ばしょにですか?!

その前に、アクァさんって・・・謎っ子ですよね?ね?

時の魔法。

それは使い手を過去へと導く禁断の魔法です。


神ならぬ者、人間が使える唯一の次元回廊魔法。


修正されるのはどんな事件だというのでしょう?



次回 拒む者 第7話

君は意図せず時間を戻すのか?それともナニカ狙いがあったのか?!現れるのは誰?

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