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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
172/219

変える未来 第3話

現れ出でた闇の者<イシュタルの民>・・・


過去は新たに書き換えらえて行くのでしょうか?


姫御子として、あやかしを許す訳にはいかないのですっ!

正に記憶の通りでした。


嘗て現れた闇の者は、月夜の夜にやってきたのです美晴の前に。

悍ましき闇の衣を纏って・・・


グラン君の縫いぐるみを手にしている<昔の私>の前に・・・です。




アクァさんに宿った姫御子(コハルが傍に居るのも知らず。




現れ出た闇の者を見上げて怯えている<昔の私>・・・




でも・・・気が付いたのです<(コハル>は。



「いつの間にか、変えられているんだわ私の過去が」


美晴が手にしている縫いぐるみを観て。

記憶ではグラン君の縫いぐるみを持ってはいなかった、それが今は携えているのですから。


「だとしたら、今からは新しい時が紡がれていくのね」


そうなのです。

今此処に姫御子(コハルを宿したアクァさんが居て、闇の者と美晴を観ている。


既に新しい時が始りを告げていたのです。


「変えれるんだ、歴史は。少なくとも自分に関わる事だけは」


姫御子コハルとして目覚めることになったきっかけを、私自身の手で変えてみせると。






 ザァッ!




月夜に浮かぶ闇の者が、目標としている娘の前に飛び出た影を睨みます。

怯え竦んでいた美晴の前に躍り出たのは、金髪の少女。

白いシャツの上にチョッキを羽織り、ホットパンツを穿いたボーイッシュな少女が。



「怯えないでコハル。アイツから護ってあげるから」


アクァさんの声で<私>が呼びかけました。


「あ、あなたはさっきの?!」


どうやら覚えてくれていたようです。


「ええ、そうよ。ちゃんとグラン君を携えていてくれたようね」


「うん、この子もそうしろって言うから」


ふむふむ、グラン君の声が届いていましたか。

それならば・・・姫御子の異能を発揮しても良いでしょう。


「じゃあ、グラン君に命じてくれないかな。

 <私>に剣を差し出せって、姫御子コハルに魔獣剣を貸してあげなさいってね」


幼き自分にそう言い含めたのです。

目を大きく見開いた美晴に宿る、姫御子になる前の<コハル>にですよ。


「コハルって・・・どうしてその名を?!あなたは一体?」


ああ、じれったいですね。

過去の自分に、少々焦れてしまいます。


「今は詳しく話している暇なんてないから。

 コハルはグラン君に命じれば良いの、コハルが邪なる者を斬り伏せるのに剣がいるの!」


「えっ?ええっ?!あ、はい」


目をグルグル回して昔の私が応じます。

手にしているグラン君縫いぐるみを差し出して、大きな声で言ったのです。


「グラン君!コハルの言う通りにして!」


そう!姫御子コハルはこの私!


「「姫様、我が剣をお使いくださいませ」」


美晴の手にしている縫いぐるみの黒い瞳が赤く光りました。


「グラン君、借りるわよ!」




  ポゥッ



翳した私の手元に、紅い光が現れ出ました。

(かがやきを握り取ると、紅い光が溢れ出て。


「確かに受け取ったわグラン君!」


手に剣の柄を握り締めた感触が感じられます。


「私は大魔王が姫コハルなり。汝魔獣剣に告ぐ。我の力と化せ!」


姫御子の魔法じゅつを剣に注ぎ、かたちあるものと成す。




 ビュルルルッ!



紅き光は手の中で剣となりました。

片刃の魔獣剣本来の姿へと、紅き半月刀へと・・・


今、アクァさんは私となりました。


金色の髪を靡かせ、<紅き瞳>となった・・・大魔王の姫御子コハルに。






 ザァッ!





風もないのに木立が揺れ蠢いた。


月を背にしている黒い影から、紅い瞳が覘いている。


「貴様・・・闇の波動を出しておるな?」


それはあなたもでしょうに?

コハルは答えもせずに睨み返しています。


「我等と同道するか?それとも連れ去られたいか?」


脅しているのですね?身の程も知らずに。


「さもなくば・・・この場で消し去られたいのか?」


愚かにも、姫御子の存在を感知できない程の者でしかないようですね。

でも。言いましたよね?<我等>・・・って。


目の前に居る者の他にも、この場に来ている奴が居るのだと。


姫御子の能力をフルに使ってみても、他に居る者の気配を探りきれません。

どうやら隠れている奴の方が上手のようです。

其方に気を配るのを忘れないでおきましょう。


「このまま闇に帰りなさい、そうすれば許してあげましょう」


佇む陰に向けて言ってやりました。


「あなたには<私<の相手になんてなれないのですから」


紅く漏れ出ていた光が細くなりました。

タブン私の存在を観破ろうとしたのでしょう。


手に出した魔獣剣の異能を探りかねた事でしょう。


「この剣はね、邪なる者を叩き斬る為の剣なのよ」


嘘じゃありませんよ?グラン君の剣では、聖なる者を傷付けれないのですから。

紅き剣は邪なる者だけを斬れる聖剣でもあるのですから。



「ほざいたな小童こわっぱ。ならば我を斬り伏せてみるが良い」



 ズァアアッ!



言うが早いか、影が月夜に舞います。


「そう?じゃあ・・・消えようか?」


グラン君の剣を腰だめに構えて、襲い来る者と対峙する姫御子コハル。



闇の衣を身にまとったあやかしが、魔法を振りかざして躍りかかろうとした刹那。



挿絵(By みてみん)



「あなたも一度堕ちてみる?地獄の底へと」



魔獣剣で斬り伏せられた者の末路は、天に召される事はありません。

帰着する先は決まっているのです、地獄の底と。

一度貶められれば、二度とは戻れぬ地獄へと堕ちていく決まりなのです。



 ザシュッ!




<<闇を斬る>>魔獣剣をコハルが薙ぎ払いました。


人間界にあっても、大魔王の姫が放つ剣波はたちどころに相手を切り裂く威力を誇っていました。



剣波を受けた邪なる者は、声さえも上げられずに地獄へと堕ちて行きました。

所詮はその程度の者でしかなかったようです。

魔獣剣の錆にしかなりませんでしたね。


闇の衣が粉々になって月夜に溶けて行きました。


一応は撃退できたみたいなのですが、他にも居ると言っていましたから。


「もう少し様子を観ておかなきゃ」


警戒を緩める訳にはいきません。

辺りには美晴の放つ<私>と同じ、闇の力を感じるだけでしたが。


「ねぇ、凄いねあなたって」


美晴が近寄って来るのを背中で感じます。


「もしかして・・・魔女じゃないの?」


確かに魔女の端くれでもありますけど。

もうすぐ手が届きそうになるくらいまで美晴の気配を感じた時です。


そう言えば、グラン君が剣を差し出して来た時の事を思い出しました。


紅い光を放っていた縫いぐるみ状態の魔獣の眼を。


結界の中でもないのに、魔獣本来の色に染まっていた事に気付きました。

それは今居る美晴に宿っている<(コハル>が闇の力に目覚めたのを意味してもいたのです。


大魔王の姫御子に覚醒し始めた?!


いいえ。そうじゃなかったのです。


アクァさんを憑代にしている<私>の魔力が完全なるモノでは無かったからでしょう。




 ドスンッ!




背後の美晴の手から伸び出た闇の波動が、<アクァ>に突き刺さったのです。


闇の波動が・・・です。


その意味するのは・・・・



「あなたに宿っている魂を貰い受けるわよ!」


油断していたつもりはなかったのですけど、既に<(コハル>が来る前に?


「この娘と一緒に連れて行くわ、<イシュタルの民>達の元へ・・・」


美晴を妖の者が乗っ取っていたみたいです。


アクァさんに宿った<姫御子(コハル)>じゃなく、魔女さんの魂を掴み出されてしまったのです。

書き換えられたのは・・・闇に誑かされた悪夢。


果たしてコハルは宿られた美晴から取り戻せるのでしょうか?


ちょっと待て?

今コハルが宿っているのはアクァじゃなかった?


と・・・いうことは?


次回 変える未来 第4話

嘗て、世界には時を取り戻す者がいたのです。理不尽な現実を回避出来る時の魔法使いが居たのです!

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