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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
168/219

時を手繰る少女 第7話

過去に戻って護る・・・


その大任は黒ニャンに白羽の矢が立ったみたいですね?


可哀想に・・・・

時を司る魔法使い。

嘗てフェアリアとロッソアの間で覇権争いが繰り広げられた時代。


両国の間で奪い合いが繰り広げられた地に領地を持つルナナイト家には、古から伝えられた異能ちからがあったのです。


何代もの間引き継がれた魔法は、過去へと遡る事の出来る異能でした。


蒼き指輪を触媒に過去へと遡り、自身の危難を回避する事が出来たようです。


ですが、いくら時を繰り返しても回避不能になる事だってあります。



アクアの両親や叔母がそうであったように。



「ノエル叔母の魂を取り戻す為に、一度は砕け散ったと聞いていたのですが。

 父の元に再びこの指輪が戻って来のは、あの戦争の後だったと聞き及んでいます」


アクァの言う戦争とは?


「世界を紅蓮の火に染めた神々との最終戦争。

 人間界を灰燼に帰さんとした神との闘いの末、再び現れたのだと聞いています」


それが意味する事がどう言う事なのか。


「きっと時の魔法が必要になる時代が来るんだと、父さんが言いました」


アクァの父、ルビナス・ルナナイトがそう言ったのですね。


「父や母には魔力が戻りませんでした。

 ですから私に授けたのです、時を司る魔法使いとして」


引き継がれたのは指輪と魔力だったようですね。


「この時の指輪は、過去に戻れる異能が宿っています。

 ですが、使うにあたり制限があるのです。

 遡れるのは填めた継承者の過去だという事と、記憶に留められた時限だけなのです」


誰にでも使える訳でもなく、使うにあたり制限があるというのです。


「そして、一番肝心なことなのですけど。

 遠くの過去に戻ってしまえば、やり直したい記憶を維持出来なくなるんです。

 時間を遡れても確実に変えられるとは限らないんです、運命なんて」


時間を遡れるだけで、変えるべき事を思い出せない?

それじゃあ、遡る意味がないのでは?


「ですから、いきなり遠い過去に戻るのではなくて・・・

 数分ぐらい前に戻るのを繰り返すのが良いんだと教わりました、父からは」


・・・遠大な事になりそうな予感がします。



アクァさんからの説明を受けて、魔法の取り扱いに頭を悩ませるのは。


「「蒼ニャン、いつまでかかるか分かりませんよぉ?!」」


黒ニャンは思いっきり嫌そうな顔で、言い出しっぺの蒼ニャンに言い募ります。


「「うにゅぅ~っ、取り扱いにご注意くださいってか?」」


あまり深刻に受け止めてはいませんね。


「「それに・・・そもそもどの時限にまで遡れば良いかも分からないからねぇ」」


他人事のように言いますね。


「「あのぉ・・・蒼ニャン?いいえ女神様。どうしたら良いんですか?」」


半泣き状態の黒ニャンが、訴えて来ますけど?


「「にゃ?別に良いんじゃないの?何年懸ろうとも」」


「「ニヤァッ?!何て酷い!」」


哀れな姫御子コハルにゃん。


「「いんやぁ、何年懸ろうと今という次元は変わらないからねぇ。

  時間という概念は今を生きる者にだけに有効なんだよ」」


「「ニャッったら!蒼ニャンも同道してにゃぁ!」」


嫌々だと首を振る黒ニャンが、お願いするのですが。


「「私は1000年も遡ったんだよねぇ。それに比べれば十数年なんて一瞬よ?!」」


「「・・・ナント言う、御無体さ」」


理の女神である蒼ニャンの言葉に、悲劇性は感じ取れません。



「「しかし、記憶が残せないのは人間だからじゃないの?

  私はきっちり記憶が残っていたもの、1000年も遡ったというのに」」


ほほぉ?!女神様は始まりの時まで記憶を残せたのだと?


「「そうよ!人ではない姫御子なら、過去に遡っても記憶を残せるに違いないわ。

  産まれて自我が形成された時には、すでに神格が与えられていた筈だものね!」」


・・・あの。それは一体どう言う事でしょう?


「「本来、神ならば幼少期なんて存在しない。

  生み出された時から神なのならば、時間を遡っても自我を保てる筈よ!」」


・・・益々判りかねます。


「「・・・神ならばどこに行っても神。どんな時でも神なんだから」」


・・・つまり神は悠久を超えても神って事で良いでしょうか?


「「神は何処まで行ったって神なのよ!」」


・・・はぁ?!でも、姫御子は神ではないのでは?


「「・・・しっ!しゃらっぷ!」」


・・・・・・・・・



これからの事を考えて、黒ニャンがへこんでいます。


そこへお気楽な顔をした蒼ニャンが呟きました。


「「そう言えばぁ、試験勉強で暗記するのは苦手だったなぁ。

  覚えるのが苦手だったから、善くアンチョコノートを造ったっけ」」


「「えっ?!ノート?」」


黒ニャンが聞き咎めるのを無視して続けます。


「「それでも覚えきれない時には・・・カンニングしたっけかなぁ、手の平に書いたりして」」


駄目です!良い子の皆さんは真似しては!


「「ニャンと?!そうか、覚えられ無けりゃー何かに記しておけば良いんだ!」」


おおぅっ?!黒ニャンが気付いたようです。


「「そうだ!魔女を救出するんだって何かに書き残して置いたら!」」


黒ニャンが蒼ニャンのヒントを執ったようです。


「「出でよ!魔法書。書き残せ魔導書!」」


黒ニャンはアクァの魂に魔導書を封じ込めました。


「「これであの子にも魔導書が取り出せれる。

  いついかなる時でも書き記せば、何を為すべきかが思い出せるようになる!」」


おお、ナイスな魔導書ですね。

で?どうやって使えば良いのですか?


「「問題の時点にまで遡れば、魔導書を読み取れば良いのよ!」」


自慢気に黒ニャンが言いましたけど?


「「姫御子コハルに言っておくわ。

  過去に戻ったとして、戻った事さえも記憶に無かったらどうする気なのよ?」」


「「・・・ニャアァっ?!そこまでは考えてませんでしたぁ!」」


慌てる黒ニャンに、蒼ニャンが助け舟を漕ぎつけました。


「「戻る瞬間に魔導書を開いておくことを忘れないように。

  そうすれば、自ずと過去へ戻ったと知れるし、何を為すべきかがわかるでしょ?」」


「「おお~っ!ありがとうございますー!」」


これで目出度く黒ニャンが過去に戻る係に任ぜられたようです(流されちゃいましたね黒ニャン)。


・・・・・という事で。



「「それじゃあマモル、姪っ子ちゃん。

  ルビナス君の娘に教えてあげて欲しいんだよ、過去に戻って魔女を救えば良いんだってね」」


黒ニャンをアクァさんに宿らせて、準備を整え終えた蒼ニャンが事の次第を教えます。


「「大魔王の姫御子を遣わせるから安心しなさいとアクァちゃんに教えてあげて。

  彼女自身の導きによって魔女の魂を目覚めさせれば、一件落着よ!」」


自信たっぷりに4人へ作戦を教える蒼ニャンでしたが。


「ミハル・・・一つ訊いても良いかしら?コハルちゃんだけを遣わす気なのね?」



ーーーービクリーーーー



ミユキお祖母ちゃんの問いかけに、蒼ニャンの顔が引き攣りました。


「「そ、そうだよぉ?!女神の力では魂を元に戻す事なんて出来ないからぁ」」


「あら?保護者が同伴しないといけないんじゃないかしらね?」



ーーーーたらりんこーーーー



冷や汗を掻く蒼ニャン。


「「いや、だから。過去に戻って闇の者と対峙するには適任かなぁって。

  それに当時、姪っ子ちゃんに宿っていたのは姫御子コハルだったんだから」」


「まぁ!そんな昔にまで遡らせる気なのね!」



ーーーーだらだらーーーー



怒涛の様に冷や汗を垂れ流す蒼ニャン。


「「・・・あのね、お母さん。ちょっと耳貸して」」


どうやら謀があるみたいですね蒼ニャンには。

娘である蒼ニャンがミユキお祖母ちゃんの耳元まで寄ると、こそこそと教えるのでした。


「「じつわねお母さん。これには訳があるんだよ、とっても大事な。

  私が一緒に行ってしまえば、コハルは気が付いてくれないかもしれないんだ。

  堕神ルシファーが隠した本当のコハルにね。

  過去に戻り、隠された真実に向き合う最高のチャンスなんだよ、これはね!」」


「まぁ!ミハルったら。そんな大事なことを秘密にしておくなんて・・・」


どうやらミユキお祖母ちゃんも蒼ニャンの告げた意味を知っていたようですね。


「「お母さん声が大きいってば。

  覚醒を促すには過去に戻り、自分が観てきたことを反芻するのが一番なんだよ。

  記憶が残されているのなら、当時に起きた事をもう一度目にすれば気が付くと思うんだ」」


事の次第を教え終えた蒼ニャンは、ちらりと辺りの気配を読み取ります。


「「私がついて行かなくても、コハルちゃんにはルシちゃんの下僕達がいるもの。

  過去も今も、就かず離れずに護っている者達が居るんだからね」」


女神の視線の先にはグラン達の姿が見えていたのです。

縫いぐるみの姿なんかじゃない、人型を執る臣下達の姿が・・・


「そうなのねミハル。深謀は味方からとは言うけど、どうしてコハルちゃんに教えないの?」


「「教えちゃったりしたら・・・覚醒出来ないかも知れないじゃない」」


どうやら、蒼ニャンはコハルの覚醒を促そうとしているようです。


「「姫御子コハルが真実に気がつけばね。

  姪っ子ちゃんと、いらぬ闘いをしなくて済むんだよ・・・お母さん」」


それが・・・理の女神たる蒼ニャンの本心でしたか!


「「姪っ子ちゃんが覚醒するまで、護り抜くのが私の宿命だから。

  お母さん達に心配かけるなんて・・・私だけで十分だから」」


ああ・・・蒼ニャン。やはり・・・


「「それに・・・コハルちゃんが本当の力に目覚めれば、姪っ子ちゃんも覚醒できるかもしれない。

  そうなれば、襲い来る闇に立ち向かえるようにもなるんだよ。

  新たな時代の幕開けが、新たなる世界が始ろうとしているんだから」」


おお・・・これこそ1000年女神の真価ですか?!


「・・・ミハル。あなたは何を観て来たというの?」


ミユキお祖母ちゃんも少なからず驚いているみたいです。


「「いやなにね、お母さん。食い扶持を減らしたらおはぎの取り分が増えるかなって」」


・・・前言撤回。


ふざける蒼ニャンを白い眼で見るミユキお祖母ちゃん。


「「と・・・言う訳で。

  姫御子コハルちゃんは、これより魔女復活作戦に向かうのです!」」


冷や汗を垂れ流しつつも、蒼ニャンは皆に告げるのでした。



ニャンと?!

黒ニャンに任せるのですか蒼ニャン?


しかもほったらかしにして?


と・・・言う事は?


ニャンと!

次回からは時を手繰る少女として黒ニャンモードになるのですね!


黒ニャン目線・・・といいますか。


コハル「やっぱり主人公だったのね私ってば!!」


・・・だといいんですがねぇ(遠い目)


コハル「ニャに?ニャンなのよぉ?!その眼わぁっ?!」(哀れ)


次回 時を手繰る少女 第8話

時を手繰る少女は・・・損な娘でした!(マジか?!)

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