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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
167/219

時を手繰る少女 第6話

挿絵(By みてみん)

上はミユキお祖母ちゃんの勇姿と蒼ニャン。

一応、母娘おやこですけど・・・なにか?

「待っていたぞ!剣士けんし


金髪のが開口一番に云いました。


「お待たせ―、アクァちゃん」


倉庫に入ったミハルが応えます。


二人の娘達が仲善さ気に挨拶を交わすのを、観ていたマモルと蒼ニャンが。


「「まさか、本当に?」」


思い当たるのか、蒼ニャンがマモルに訊きました。


「どうやら、そのまさかだと思うよミハル姉」


ふわふわ浮く蒼毛玉がアクァさんに近寄りしげしげと見詰めています。


「あのぉ?そちらの御婦人がミハルさんでしょうか?」


蒼ニャンの存在が分からないのか、アクァさんはミユキお祖母ちゃんを女神と思い込んだようです。


「あら、私はミユキと申しますのよお嬢さん」


にっこり笑うミユキお祖母ちゃんが、被りを振って応えます。


「え?!じゃあ、どちらにいらっしゃるのでしょうか?」


辺りを見回すアクァさんに、ミハルが傍の空間を指して。


「観えないのはしょうがないけど。アクァちゃんの横に浮かんでるよ」


「えっ?!どこ?」


気配も何も感じとれないみたいです。


「はっははっ!君の横に居るんだけどね。

 僕達だけしか見えないから仕方がないんだよ?」


助け舟を出すマモルが、金髪の少女に教えました。


「僕は君の御両親を知っている者なんだ。

 シマダ・マモル・・・聞いていないかい?」


「シマダ・・・マモルって?!巫女の弟さんですか?!」


どうやらアクァさんは聴いていたようです。

ぱっと顔を輝かせてマモルの傍に来ると、お辞儀をして名のりました。


「初めまして。私はロゼッタ・ルナナイトの娘でアクァといいます。

 父ルビナスと叔母ノエルが、大変お世話になったと申していました!」


自己紹介したアクァに、笑いかけたマモルが。


「いや、そんな大袈裟な事なんてしていないよ。

 困っていた人を助けるのは当たり前だし、術をかけたのは僕の姉だったからね」


娘と同い年位の娘を観て、感慨深そうに教えたのでした。


「君があの人達の娘だなんて・・・僕も歳をとる筈だなぁ」


「マモル君・・・おじさん臭いよ」


ジト目で観るミハルが突っ込むと、アクァがクスリと笑いました。



バツが悪いと咳払いしたマモルが来訪の訳を質します。


「それで?アクァちゃんがはるばる日ノ本まで来たのは魔女が目覚めないからだと訊いたんだけど?」


「そうなのです。

 お父さんやお母さんが言うには、私の中に眠っている魔女ロゼさんが目覚めてくれないのだと云うのです」


昨日ミハルに話した訳をもう一度語るアクァさん。


「巫女ミハル様が掛けてくれた術で、魔女が目覚めるのだと思い込んでいたらしいのですけど。

 何年たっても目覚めてくれないらしいのです・・・私には分かりかねるのですが」


「ふむ・・・ミハル姉の術に落ち度があったのかな?」


腕を組んだマモルが、当時の事を想い返して呟きました。




事の起こりは今から十数年前の事でした。

当時フェアリア皇国は、対外戦争を終えたばかりで混乱していました。

終戦のどさくさで、マモル達も部隊を都に配置されていたのです。

そんな折、アクァの両親たちがマモルと、当時はまだ人間であった蒼ニャンの元に現れたのです。


<<私の中に居る魔女に安息を>>


アクァさんの母には、魔女の魂が宿っていたのです。

母ロゼッタさんは魔女の魂を昇天させるのを躊躇しました。

魔女の願いは憑代ロゼッタさんの夫になる、ルビナスさんとの再会。


その願いを聴き遂げた蒼ニャンは、術を放ちました。

当時<光と闇を抱く者>だった蒼ニャンは、魔女の魂を二人の間に出来る新たな命に封印したのです。


産まれ出て来る子供に、魔女の魂を宿らせる。

それは、闇の力を使う事が出来る<光と闇を抱く者>ならではの偉業でした。


天使と悪魔の力を使いこなせた当時の蒼ニャンが施した術なのに、発動しないとアクァは言ったのです。



「きっと、ハルマゲドンの所為だと両親が言うのですけど。

 私は本当に魔女の魂が宿っているのかどうかが分からないのです。

 魔法力は確かに引き継がれましたけど、魔女の憑代なのかなんて分かりようが無いのです」


それはそうでしょう。

何も感じられないのですから、蒼ニャンが傍に居るのでさえも。


「ふむふむ・・・こうなれば本人に責任を執って貰うのは当然の事だよね」


二人の話を聴いていたミハルが、浮かんでいる蒼ニャンに言いました。


「それがアフターサービスってもんだよね」


・・・そういうものなのですかミハルさん?


アクァの傍に浮かんでいる蒼ニャンが、どうするのかと言いますと。


「「うにゃぁ、姪っ子ちゃんにまで言われてしまったわ」」


全然責任を感じていないみたいですね・・・


「「何とかしてあげたいけど、今の私には闇の力を行使できないのよねぇ」」


あ・・・そうでしたね。

それじゃあ、魔女さんは目覚められないのですか?


「「それに・・・あの魔女さんの魂はこの子の中には居なくなっている」」


え?!居ないのですか?

魔女さんの魂は封印されていたのではなかったの?


「「封印の術が破られている。

  闇の力に因るものか、何かの弾みで破れたのか知らないけど」」


考えられる要因は何にあるのでしょう?


「「魔女が何時居なくなったのか。本当に最終戦争ハルマゲドンが原因なのか。

  そもそも闇の異能ちからで封じ込めていた魂がどこかに消えるなんて・・・」」


女神様でも分からないのですか?


「「ウニャァ・・・考えて立って埒が明かないわ!

  姫御子くろにゃんコハル、ちょっと出て来なさい」」


あ・・・奥の手を使う気ですね?!


蒼ニャンがミハルの中で待機しているコハルを呼び出しました。


「「にゃ?呼んだかにゃ?」」


黒毛玉状態で出て来た黒ニャンに、蒼ニャンが問いかけます。


「「この娘に宿っていた魔女の在処が知りたいの。

  闇の力でトレース出来ないかしら?魔女なら黒ニャンの管轄でしょう?」」


魔女・・・闇の異能を使う者。

そう考えた蒼ニャンは、大魔王の力を行使できる黒ニャンに訊いたのでした。


「「お安い御用にゃっ!」」


アクァには何も感じ取れないみたいでしたが、黒ニャンはアクァの中に潜り込みます。

アクァ本人の魂に魔砲力があるのを確認し、更に他の力が存在していないかを探ります。


「「ふむふむ・・・これが魔女の残片かな?」」


微かに残された手がかりは、魔女が存在していた証とも言える異能の欠片。

ほんの僅かな異能を手に取ると、ずいぶん昔に消えてしまった痕跡を感じました。


「「どうやら女神様の思惑通りかもしれない。

  これは確かに私が処置すべき案件なのかな?」」


魔女の欠片を手にした黒ニャンが、アクアの中から飛び出して蒼ニャンに報告します。


「「理の女神様、魔女は闇に連れ去られたと思われます」」


欠片を差し出して見せ乍ら、黒ニャンは魔女が連れ去られたと断じました。


「「むぅ・・・やっぱり。

  ということは、この娘も闇の存在に接触したのね?」」


「「そうだと思いますが、いつどこで接触したのかまでは分かりません」」


蒼黒ニャン達が事件性を話し合いました。

アクァはどこかで闇の存在と接触しているのは間違いないと。

その時に魔女の魂は連れ去られてしまったようです。


「「なぜ魔女の魂を連れ出したのか?どうしてこの娘ではなく魔女を連れ去ったのか?」」


アクァを観て、疑問符を投げかけてみます。


「「私もフェアリアで、イシュタルの民とかいう闇の者に出遭った事があります。

  その時はルナリィ―ン姫の前でしたから力は使いませんでしたが、

  闇の属性を持つ私を連れ去ろうとしていました。

  多分ですけど、この娘に秘められた魔女の力を欲したのではないでしょうか?」」


「「御明察!さすが姫御子コハルね。大方そうだと思われるわ!」」


新たな大魔王の復活を目論む<イシュタルの民>が、フェアリアで策動しているのを知っていた蒼ニャン。

黒ニャンからの答えに頷き、それではどうすべきかを考えます。


「「魔女の魂を探し出して連れ戻すのは、かなり手間がかかるわね」」


イシュタルの民に探りを入れていたのでは、時間と手間が必要になる。


「「そうですね、ルシファーお父様の手をお借りできたにしても・・・手間がかかり過ぎますね」」


黒ニャンもどうすべきか考え込んでしまいます。


「「そうねぇ、私も一つの事案にかかりきりになって良い程ゆとりがないし・・・」」


「「ですよねぇ。いつ闇の者達がマモル君に襲い掛かるかもしれませんしねぇ」」


・・・そこマモルじゃなくてミハルじゃないの?黒ニャン?!


「「ふむ・・・いっそのこと。連れ去られないようにできれば良いんだけどねぇ」」


聞き流したのですか蒼ニャン?!


「「マモルにも迷惑をかけることになるかもしれないしね。

  ここは手っ取り早く事件を未然に防ぐようにしたらいいんだけど」」


チクッと一言刺したところからして、聞いてたみたいですね。

でも、未然に防ぐって?既に魔女の魂は連れ去られたのではないのですか?


「「あ・・・そうでした!この娘には古来からの魔砲が引き継がれているみたいなんです。

  なんでも過去に遡れるみたいでしたよ」」


黒ニャンがアクァさんの中で感じた異能を教えました。


「「ふっ・・・やはりケラウノスは全ての魔砲を元に戻したのね。

  私によって消滅した筈の魔法も、元通りにしたようね」」


黒ニャンから告げられた蒼ニャンが、アクァさんの指輪に気が付きました。


「「あの時に砕け散った時の指輪。この子には使いこなせているのかしらね?」」


まだ人間だった頃に一人の娘を蘇らせたのを思い起こした蒼ニャンが、青い指輪を填める娘を観て呟きました。


「「女神様はどこかで、時の魔法をご覧になられたのですか?」」


「「いいえ観たことはないけど、この子の叔母を助けた事があるの。

  その娘を助けた時に砕けた筈だったけど・・・蘇ったみたいね」」


蒼ニャンから教えられた黒ニャンは、


「「なるほど。これが人の世の繋がりというものなのですね?」」


改めて人間界のすばらしさだと感銘したのです。(ちょっと違いますが)


「「時の魔法を使えるのなら話は別よ。今すぐにでも魔女を救いに行けるんだから」」


「「うにゃっ?!蒼ニャン状態で過去に向かわれるというのですか?」」


思い立ったらすぐ行動の蒼ニャンに、びっくりして止めに入った黒ニャンでしたが。


「「行くなんて言ってないわよ姫御子コハル

  私はフェアリアの地を踏めないから。代理に行って貰わなきゃならないのよねぇ」」


ニヤリと蒼ニャンが嗤います。


ビクンッと、黒ニャンが怯えました。


「「ほらぁ、私は御主人様の御許しがなければ近寄れないじゃない。

  ニャンコダマ状態を解除して貰わなきゃ、フェアリアには戻れないのよねぇ」」


「「いいいぃっ?!じゃあ、じゃあ誰を向かわせるのですか?!」」



怯える黒ニャン。

その鼻先に蒼ニャンがニャンコ鼻を突きつけて。


「「いってらっしゃーい」」


「「にゃぁああぁっ?!私ぃっ?!」」


悲劇ですねぇ・・・まさかの単独遠征とは。


「「ど・・・どどどっ?!どうして私なのですかっ!」」


そりゃ言いたくもなるわな。


「「ふっ!決まりきった事ヨ。私は女神で闇の力を行使出来ないからよ!」」


・・・なるほど。


「「そんなぁーーーっ?!」」


・・・損なですねぇ(遠い目)。


「「しくしく・・・いて来なければ良かった」」


後の祭り状態です。


紅い瞳を伏せて泣く黒ニャンをおいて(ほっとくのか蒼ニャン?!)、マモル達の前に姿を見せました。



「「どうやら、この子に一肌脱いで貰う事になったわ。それで魔女の魂は元通りになると思うから」」


蒼ニャンは威厳を正して皆に言い切りました。


「ミハル姉?!アクァさんに何をさせる気なんだよ?」


マモルが聞き咎めます。


「そうよ!アクァちゃんに悪いことをさせる気なんじゃないでしょうね?」


疑いの眼差しでミハルが質します。


「もしかしてミハルは、年端も行かない娘の肌を晒す気なの?」


・・・ミユキお祖母ちゃん?!


「「・・・みんな。天罰喰らいたいの?」」


流石に蒼ニャンも突っ込みましたね。


「「私はルナナイトの魔法を使うって言いたいだけなのよ!

  魔女の魂が消える前に遡れれば、事件を未然に防ぐことも可能だと言いたかったの!」」


蒼ニャンが3人に向けて教えました。


「そんなことが可能なのか、ミハル姉?」


蒼ニャンの言葉に疑いを向けるマモルですが。


「あ、そう言えば。昨日の剣戟でも不思議なことがあったな」


ミハルには覚えがあるみたいです。


「ルナナイト?!もしかしてミハルがオスマンで言っていた人達の事?」


ミユキお祖母ちゃんも、アクァの両親を聞き知っているようです。


「「そう!このの叔母は時の魔法を使う魔女。

  そして時の魔法を行使する父親を持つ、継承者なのよ!」」


蒼ニャンがアクァの秘密を皆に教えたのでした。



「あのぉ・・・皆さん?誰と何を話されているのでしょう?」


あ・・・蒼ニャンの声が聞こえないアクァさんを忘れてましたW



哀れ・・・・

可哀想な黒ニャン。


過去に飛ばされるとかもうね・・・

責任者であるのは蒼ニャンでしょうに?!

件の出来事をお知りになりたければ、下の作品を参照してね


https://ncode.syosetu.com/n7611dq/ 「魔鋼騎戦記フェアリア」


若しくは


https://ncode.syosetu.com/n2337fq/ 「魔鋼猟兵 ルビナス」


にて。

二つの作品に掘り下げて書かれてあります。


ナニトゾ・・・ご覧くだされ。



次回 時を手繰る少女 第7話

責任を執るつもりのない蒼ニャン・・・あなたって女神は?!

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