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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
165/219

時を手繰る少女 第4話

次の朝でした。

ミハルはお祖母ちゃんの元に来ていたのです。


ちゃんと昨夜の事を謝れるのでしょうか?

一夜が明けて・・・


島田剣舞道場に、ミハルが飛び込んできました。



「ごめんなさいっ、ミユキお祖母ちゃん!」



夜も明けやらぬ静寂に、ミハルの声が響き渡ったのです。


「あらあらまぁ、こんなに早くから来たの?」


ミユキお祖母ちゃんはまだ道着にも着替えていませんでした。


「だって!約束を破っちゃったから・・・ごめんなさい!」



紅いリボンを揺らして、ミハルがミユキの元まで走り寄ったら。


「あ?!ミハル伯母ちゃんっ?!」


傍に浮く蒼ニャンに気が付きました。



「お祖母ちゃんの所にいたの?昨日からずっと探してたんだよ?!」


見つけたミハルが言い募るのも気怠げに、蒼ニャンが答えます。



「「探していたですって?それは私の方よ!」」


蒼ニャンはミハルに乗りかかると。



「「帰って来ないならちゃんと連絡しなさいよ姫御子コハルちゃん!」」


ミハルにというより宿ったままのコハルに叱るのでした。


「「帰って来ないなら、臣下の者を遣わせるくらいの配慮があっても良いんじゃない?」」


ぷんすか怒る蒼ニャンですが、何故にそうまで叱るのですか?



「「コハルの身に何か悪いことが起きたんじゃないかって、心配したんだからね!」」


・・・そうでしたっけ?蒼ニャンは至って心配などしていなかったと思いますが?



「「ミユキお母さんに心配かけたんだからね、ちゃんと謝りなさいよ!」」


・・・あ、そうでしたね。



「「それに、目の前におはぎを置かれて<待て>状態だった私にもね!」」


・・・そうでしたねぇ(遠い目)。




むんず




蒼ニャンは猫掴みされてしまいました、ミユキお祖母ちゃんに。




ぽいっ




あっさり外野まで放り投げられる蒼ニャン・・・



「いいのよコハルちゃん。

 それより昨日は楽しかったみたいね、後でお祖母ちゃんにもお土産話を聴かせてね?」


ミユキお祖母ちゃんは孫には弱いようです。


「うん!楽しかったよ。お友達と一緒に燥ぐのは!」


「そう?!良かったわね」


蒼ニャンをほったらかしにして、お祖母ちゃんと孫娘は仲良く道場に向かうのでした。

方や蒼ニャンと言えば?


「「おにょれ、姫御子コハル!折角手を廻してやったのにこの扱いか!」」


放り投げられた蒼毛玉の女神は悪態を吐くのです。

・・・いや、女神とは思えませぬな・・・






朝の稽古が終わると。


「はい、朝ごはんよ」


ニコニコ顔のミユキお祖母ちゃん特性の朝食が、御膳に並びました。


「わぁ!頂きまーす!」


食べ盛りのミハルに併せて、ミユキお祖母ちゃんが造ってくれたのは和食の朝ごはん。


大き目の鯵の開きに田楽刺し。

海苔佃煮に椎茸舞昆、半熟卵にお味噌汁。

漬物に梅干し、そして極めつけは厚めに切られたベーコンエッグの山盛り。

ご飯が何杯あっても足りなくなります。


「おいしーいっ!」


もふもは食べるミハルを観て、幸せそうにミユキお祖母ちゃんがお茶を淹れてくれました。


「そんなに急がなくても。学校はお休みなんでしょ?」


「もぐもぐ・・・そうだよぉ!でも美味しいから・・・もぐもぐ」


モグモグタイムなミハルに、お祖母ちゃんも笑ってしまいます。


「「ホント。どこに消えるのやら・・・姪っ子は普段から魔力を消耗するみたいね」」


呆れる蒼ニャンがいらない事を呟きました。


と。


「ミハル!少しは黙っていなさい」


聞き咎めたミユキお祖母ちゃんの眼が吊り上がりました。



そそくさー



蒼ニャンはしれっと逃げていくのでした。

横眼で見ていたミハルが追いかけるように言うのです。


「あ、そうそう。ミハル叔母ちゃんに言伝があるんだよ、マモル君からの」



ピタリ



蒼ニャンの動きが停まります。


「「え?マモルが?!」」


どうやら昨日の晩は、本当に関与していなかったみたいです。


ミハルの元に寄ると、話とは何だと蒼ニャンが聞き耳を立てるのでした。



「マモル君が昔の責任を果たさないといけないから、テーマパークに行くって言ってたんだけど。

 なんでもどこかの誰かさんが掛けた術が起動しないからなんだってぇー」


ちらりと蒼ニャンを観るミハルが、意味有り気に哂いました。


「「ニャンと?!その誰かって?」」


訊き直した蒼ニャンに、黙ってミハルは指差します。


「「私ぃ~っ?!過去にどんな術をかけたなんて覚えてないわよ!」」


開き直りですかい、女神様?


「ミハル・・・マモルにだけ責任を負わせる気じゃないでしょうね?」


あ・・・ミユキお祖母ちゃんの眼が痛い・・・


「「ひぃっ?!だって、身に覚えがあり過ぎて分からないものぉ!」」


それは・・・無責任な?!


泡を喰う蒼ニャンに、ミハルが追い打ちをかけるのです。


「もうとっくにマモル君はテーマパークに向かったんじゃないかなぁ?

 誰かさんの尻拭いも弟の務めだって言ってたんだけどぉ?」


「「にゃんと?!何故それを早く言わないのよ!こうしちゃいられないわ!」」


ミユキお祖母ちゃんに怒られるのが怖いのか、それとも責任を感じたのか?


「で?行くの、行かないの?」


トドメの一撃ですな。


「「マモルにだけ責任を執らせる程、この理の女神は落ちぶれちゃいないわ!」」


・・・だ、そうです。


「そうしなさいなミハル。おはぎはコハルちゃんに食べて貰うから」


・・・ミユキお祖母ちゃん?!


「早く済ませて帰って来ないと、無くなるかもしれないわねぇ(棒)」


・・・鬼ですか?!


「それが女神のお仕事でもあるでしょう?ねぇミハル(ジト目)」


・・・怖いですミユキお祖母ちゃん。


「「ニャアァっ?!なんてことなのっ!」」


可哀想になってきますね、一晩待ち続けたというのにねぇ。

泡を喰う蒼ニャンが、イタ堪れませんが・・・


「「姪っ子ちゃん!今直ぐテーマパークとやらに連れて行きなさい!」」


あれ?

マモルの元に瞬間移動すれば良いんじゃないの?


「「こうなったら姪っ子にも同道させなきゃならないわ。

  第一、問題を提起したのは姪っ子ちゃんでしょう?」」


あ。変な所だけ勘が鋭い?!


「あ、そう?良いよ別にアタシは」


おやおや?ミハルは気にしちゃいないみたいですね?


と、言いますか。



挿絵(By みてみん)



にやりんこ



何やらおかしな笑みを溢していますが?



ー ふっ!これでリィーン様お人形はアタシだけのモノになる!


あっ?!そうでした。

連れて行けば約束通り人形を貰えるんでしたね。

しかも蒼ニャンにはそのことを告げていない?!


こんな知恵をミハルが持っているとは?



ー マモル君の言った通りだ。

  ミユキお祖母ちゃんの前で自己責任を追及させるのが一番手っ取り早いって言ってたもん!


あらら・・・マモル君との共謀でしたか?


ー なまじ、リィーン様人形を出汁に使ったら後で奪い合いになるからってマモル君が教えてくれたんだよねぇ!


・・・まぁ、そうなりますな。さすが弟!姉使いが巧い!て、処ですか?



「それじゃあ、お祖母ちゃんも行こうかしら。

 マモルの責任もあるというのなら、母の私も謝罪しなければいけないからね」


あら?!これは一体?


ー あわわっ?!これは大変なことになりそうな気配だよぉ?


ミハルの想いとは裏腹に、御大人が出馬する事になりましたようです。


「コハルちゃんもいらっしゃいな。女神の責任の取りようを観ておくのも勉強だと思わなくちゃ」


これは蒼ニャンにとっては幸運か?

おはぎを食べ尽される心配がなくなったようです。


「「そ、そうよぉ!理の女神はどうやって始末をつけるのかを観て学ぶのよぉ」」


蒼ニャンはミユキお祖母ちゃんに同意しました。



ー あわわ・・・どうしようマモル君。これは思わぬ展開になっちゃったよ?!


心の中で焦ったのは、策略を巡らせたミハルだったのです。

昨日の晩にマモルとどうすれば良いかと考えた末に思いついた作戦が、早くも瓦解しそうになってきました。


まぁ、悪い策略は得てしてこうなるものですが。



「「それじゃあ、お母さんも一緒に行ってくれるんだね?」」


「それが母の務めですからね」


ああ、もうこうなったら何もかも行き当たりばったりになるのです。


「コハルちゃんもそれで良いわよね?」


ミユキお祖母ちゃんに確かめられて仕方なく頷くミハルが、怒涛の様に涙を溢していましたとさ。



策謀はいつも巧くいかないモノですね。

ミユキお祖母ちゃんがついて来るまでは読めなかったミハル。


さて、一体どうなるのでしょうね?


次回 時を手繰る少女 第5話

ミユキお祖母ちゃんもついて来ちゃったから・・・誤魔化せなくなりそうOrz

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