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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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時を手繰る少女 第3話

コハルはマモルに撫でられて、心底安堵したようです。


安堵したから・・・寝ちゃいましたW

本当に久しぶりに逢えたからなのか。


コハルは身をマモルに預けたまま、心の休息を感じていたのでした。

闇の中では気丈に振舞う事だけを心掛けていただからでしょうか。


安息感が齎したのは、抱き着いたまま眠ってしまったようです。



・・・・



つまり。



「マモル君?!何をしてるのかな?」



こっちの娘が起きてきたようですね。



「・・・ミハルかい?」


「他に誰なんでしょうねぇ?」


ツン状態の言葉から察して、ミハルに戻っているようです。


バッとマモルから離れ、ジト目で父を観るのは両目とも蒼さが滲むミハルの眼でした。


「いや、コハルが帰って来たんだよ?知っているだろ?」


「知らないよ、そんなの」


ツン状態のミハルに教えたのですが、当の本人は知らないと言い。


「でたらめな事言ったら怒るんだからね。

 介抱するようなそぶりで、アタシを抱いてたんじゃないの?」


・・・完全な思い込みですよミハルさん。

って、事はですね?自室に戻されたのも知らないの?


「ソファーで寝ちゃったのはアタシの不覚だったわ。

 まさかそのまま寝かしておくなんて思いもしなかったから・・・って、あれ?!」


自分がいつの間にかニットセーターに衣装替えしているのに漸く気が付いたようです。


「あれ?あれれ?いつの間に着替えたんだろう」


気が付くのが遅過ぎですよミハルさん。


「あのなぁ、寝ている間に入れ替わっていたのか?

 パパを疑う前に、ちゃんと起きないからだぞ?」


「あはは・・・しまった。コハルちゃんに寝取られたのか」


・・・寝取られの意味が違います。


「で?コハルちゃんを抱いていた訳は?

 正直に言わなかったらルマままにチクっちゃうんだからね?!」


おおっ?!いきなり反撃に転じたのか?


「ミハル・・・勘違いするんじゃないぞ。

 あの子には、永い間逢っていなかったんだからな。

 ミハルも知っているだろう?フェアリア以来の再会なんだからな?」


おのぉ?久しぶりに逢った人を抱くのがマモルんの趣味ですか?

言い訳にならない返事を聴いたミハルが、次に起こす行動は?


「ルマままぁ~っ!マモル君が浮気しようとしてるよぉー(棒)」



どげしっ!



マモルが問答無用でぶん殴りました・・・とさ。




「うにゅぅ・・・完全に目が覚めた」


「寝ぼけてあれだけほざけたら褒めて取らす!」


親子は電気をつけたリビングで向かい合っていました。


「で?コハルちゃんと何をお話ししていたの?」


何も知らない状態のミハルが、姫御子と相対した父に訊いたのです。


「うん、何でも手紙を取りに来たみたいなんだよ」


机に載っているミハエルからの手紙を指して、そう言うのでしたが。


「でも、忘れて行っちゃったのかな?」


そこにはまだ手紙が載ったまま。


「・・・本当だね。ここにあるもの」


憑代ミハルが、どこかに居る筈のコハルを探す様に気配を探るのですが。


「置いて行っちゃうなんて・・・コハルちゃんもそそっかしいのかな?」


「ミハルじゃあるまいし」


二人は別に手紙を渡すのを嫌がってはいないようですね。


「ん?!あれ?」


便箋に手紙をしまおうとするマモルの手を停めたミハルが気付いたようです。


「何だか知らないけど魔力がなくなってるよ、その手紙には?」


「えっ?!どう言う事だい?」


訊き返されたミハルが、手を翳して感じ取ろうとしましたが。


「あ・・・宝珠も外してる?!コハルちゃんめ、やりおったな!」


気が付くのが完全に遅いですミハルさん。


「と、兎に角。その手紙からは何も感じ取れなくなってるから」


つまり?


「きっとコハルちゃんは3D部分だけ抜き取って持ち帰ったんだろうと思うよ」


なるほど・・・抜かりないのは姫御子だからでしょうかね?


「いんや。きっと縫いぐるみ達がサポートしたに違いない!」


否定するんですねミハルさんは。


「縫いぐるみ?なんだいそれは?」


途端にマモルが突っ込んで来ました。


「あれ?覚えてないのマモル君は。

 フェアリアに居た時からコハルちゃんの傍に居たでしょ?

 守護する者達の魂が込められた縫いぐるみがたくさんあったでしょ?!」


ミハルの言葉にマモルがポンと手を打つと。


「ああ、グラン達か!」


覚えているみたいでした。


「そうだよー、きっとどこかからマモル君達の事を観ていたに違いないんだからねぇ」


意味有り気にジト目で観るミハルでした。


「まだ・・・疑ってるのかミハルは?」


愚痴るマモルと、ジト目のままのミハルが居ましたとさ。



「あ、そうだ!忘れてたよマモル君。

 蒼ニャンがどこに行ったか知らない?テーマパークで大事な要件が発生したんだよ」


「うん?ミハル姉かい?見なかったけどなぁ?」


本当に観ていないマモルに、詰め寄ったミハルが。


「おかしいなぁ?ずっと現れないなんて・・・」


ミハルは蒼ニャンが危急な用事でも出来たのかと心配したのですが、マモルは意に介さずこう言ったのでした。


「もしかしてミハル?忘れてないかい、おばあちゃんの家に行かなきゃいけなかったのを」


「・・・・・・・・・ほへ?」



たらり・・・汗が乗っかりました。



ボケた声を返したミハルでしたが、しっかりと思い出していたようです。

額に大きな汗を出しているのがその証拠。


「明日から冬休みだから、朝練をするんだって言っていたじゃないか。

 だから母さんが・・・ミユキお祖母ちゃんがそれなら泊まりなさいって言ってただろ?

 ミハルも喜んでそうするって言っていたじゃないか」



たら たら たら・・・・



「あああああっ?!どうして叩き起こしてくれなかったのよ!」


他人ひとの所為にするのは良くないぞ?


「母さんには電話しておいたよ。明日の朝にでも行けばいいだろ?」


「どひぃっ?!どんな顔で謝れば良いのぉ?!」


師匠と師範としてか、それとも孫としてなのか?

いや、それは良いとして。


「リィーン様お人形をゲットできなくなるぅ?!」


・・・あ。

そっちの方でしたか・・・


「・・・・ミハル。詳しく話しなさい」


「あ・・・しまった?!」


遅いですってば。

ついつい口を滑らせたミハルに待ち受けていたのは、マモルの怖い顔。




・・・・


・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・




「で?ミハルはその王女様人形が欲しいと?」


「うん・・・」


正座しているミハルが答えました。


「で?剣戟を交わしてしまったんだな?」


「うん・・・」


段々小さくなるミハルさん。


「ミユキお祖母ちゃんからも停められていた筈だよな、外で剣舞を使うのは?」


「・・・うん、はい」


もはや泣き声状態のミハルさん。


「いけない事だって分かっていても辞めなかったんだな?」


「う・・・だってぇ、欲しかったもん・・・」


涙声で訴えるミハルに、ため息を漏らすマモルが。


「で?貰える約束を交わしたのかい?」


「そ!そうなのっ、ミハル伯母ちゃんを連れて行ったら良いの!」


勢いを取り戻したミハルでしたが、マモルの痛い目に黙らされてしまいました。


「その係員はなぜミハル姉を連れて来て欲しかったんだ?

 理由を教えてくれなかったのかい?」


どうして姉である女神を知っているのか、なぜ会いたがるのかと問いかけるとミハルはこう言ったのでした。


「アクァさんはね、どうしても蘇らせたい人が居るんだって。

 どうやってかは知らないけど、アタシ達の名を知っていたんだよ?

 それにフェアリア公使でマリアちゃんのお母さんからも口利きされたって言ったんだよ?」


「えっ?!ミリアさんからの口利きだって?」


公使からの口利きとは尋常じゃないから、マモルも慌てました。


「それなら日の本へ公式に依頼してきても良いのにな?

 なぜテーマパークで剣戟しなければならなかったんだ?」


事情を知らないマモルが、小首を傾げて訊いて来ます。


「あ、それね。本来は公務員じゃないからって。

 お仕事を斡旋して貰ったらタマタマ、係に抜擢されただけらしいよ」


「・・・偶々って。

 人探しに公使が関われないからってことだろうけど、ミリアさんらしいな」




~~~


・・・クショーンッ!・・・



マリアの寝ている横でミリア公使がクシャミをしました。


~~~




「それで?ミハルはミハル姉を連れ出すつもりだったのかい?」


「そぉー!そしたらお人形が貰えるもん!

 絶対ミハル伯母ちゃんも欲しがる人形さんなんだからね!」


自信たっぷりにミハルが言って除けましたが?


「女神状態のミハル姉が見える人なら良いけどねぇ?」


「・・・はっ?!」


完璧に忘れていたようですね、損な娘は。


「いやだからさミハル。蒼ニャンが観れる人なのかい?」


「・・・あああああああ~っ?!」


どうするんですかミハルさん?!


「普通の人なら絶対に見れないよ?

 余程の高位な魔法使いか、若しくは悪魔でもなければ声も届かない筈じゃないのかい?」


「ああああっ、つい自分本位で考えてた・・・」


見れないんですよね?観えないですよね?どうしますかミハルさん?!


「損なぁっ?!これじゃあアクァさんに嘘を吐いちゃうことになるぅ」


気が付くのが遅過ぎです(毎度ながら)。


頭を抱えたミハルを観て、マモルがふと気が付きました。


「そう言えばフェアリア公使ミリアさんも公認だとか言っていたんだったな。

 だとすれば知り合いである可能性がある筈だし、誰なんだろう?」


近親者であれば公にするのは公私混同になる。

だが、頼んで来た者が赤の他人であれば、公使として執り図るのは職権乱用には当たらないか?


「あ、マリアちゃんに訊いたんだけど。

 なんでも<光と闇を抱く者>に用があるみたいなんだ。

 マモル君は知らないかなぁ、フェアリアで闇から抜け出すのを手伝った事はない?」


ミハルは思い出すような仕草でマモルに問いかけました。


「アクァちゃんが言ってたんだけど?

 ミハル伯母ちゃんは、魂を救い出した人が居たの?

 その人達の中に魔女が居たらしいだけど、目覚めないんだって」


事情を聴いただけのミハルが、そのままマモルに知らせると。


「なんだって?!ミハルはその人の名を聴いたのかい?」


急に聞き咎められたミハルは、驚いて少女の名を教えたのです。


「えっ?!あっと・・・アクァちゃんって名乗ったよ。

 フェアリアの魔女を宿している、アクァ・ルナナイトだって・・・」


その名を聴いたマモルの眼が細くなって過去の記憶を辿ったのです。


「ルナナイト・・・そうか、あの人達の」


彼の国での記憶の中に、少女と同じ名の兄妹と女性が蘇ったのでした。




ああ、この親にして娘ありですか。

ミハルの惚けた処は女神譲りかと思ってましたが。

マモルも相当惚けていますね。


蒼ニャンは連れ出せるのでしょうか?

リィーン人形はゲットできるのでしょうか?


それはまだ確実ではないとだけ分かったようです。


次回 時を手繰る少女 第4話

女神を連れ出す策謀がミハルによって決行されるのです!・・・大丈夫なの?

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