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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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決闘!ゴットランド 第8話

姫御子が求めるのは強き力。


現れるのは大魔王の力の表れ・・・・

右手に填めた蒼き宝珠が輝いた。


みかりの娘に姫御子が託す!

 魔獣グランよ、父より授かりし魔剣をミハルに渡しなさい!」


紅き瞳で闇の中に求めた。

臣下の魔獣で、魔剣士であるグランを呼び出した。

現実世界との狭間から、黒の剣士が剣を捧げ出る。



「「我が剣にして大魔王の魔剣。

 如何なるものも切り伏せられる魔王の剣。

 相応の力が無ければ掴む事は無理ですが?」」


ライオンの縫いぐるみ姿でグランが訊いて来た。


「大丈夫よグラン、今なら。

 私も一緒に居るのだからミハルと」


左目が赤く光る憑代から、コハルが求めた。


「闇と光。今は双方の力を持っているんだから」


大魔王の姫御子としての強大なる魔法力を誇る今なら、人間ミハルにも持てるからと。


「「御意。さすれば受け取られよ!」」


グランは背に担いだ剣を差し出して忠告して来た。


「「ただし、剣の力は絶大です。

  いかに姫御子様でも制御するにはそれ相応の覚悟が必要。

  半端な心では魔剣に喰われる虞がございますぞ!」」


「分かってるわグラン!

 あなたに託されたのは剣技の為だけじゃないってことぐらい」


グランから剣を受け取る。

闇の中で一際、魔剣が輝いた。


「くっ?!お父様の剣が・・・私を拒むの?」


大魔王の姫御子なのに、魔剣はコハルを拒む。

いいや、魔剣が拒んだ訳ではなかった。

本当のコハルを知った魔剣が、反応したのだ。


「黒の剣が・・・光っている?!」


漆黒の魔剣が光っていた。

以前に女神が溢したように、コハルには何かが秘められているのか?

闇の力以外に、別の力が隠されているのか?


「おかしいな?前はこんな事は起きなかったのに?」


輝の子ミハルに逢う前には、こんな現象は起きなかった。

グランに魔剣を託した時には起きなかった変化に、コハルは戸惑いを感じていたのだが。


「きっとミハルに宿っているからなんだろうな」


今は、光の御子に宿っているのだからと考えてしまった。


「だったら!今こそこの剣を使うべきなんだ。

 光の御子に託せるかも知れないんだから!」


魔剣を<光と闇を抱く者>に託せるかも知れないと、希望的な想いを告げる。


「もし、ミハルがこの魔剣を使う事が出来るのなら。

 きっと<覚醒>を迎えられる。きっとミハルは<光と闇を抱く者>になってくれる!」


自分では成し遂げられない想いを胸に、受け取った魔剣を振りかざして現実世界のミハルの元へ舞い戻った。





「この剣を使ってみてミハル」


ポツリと憑代に向けて呟いた・・・


ダックマンに差し出した宝珠が瞬く。

蒼き宝珠が輝き、指し伸ばされた手に模られる。


大魔王の姫御子が取り出したのは、闇の中では巨大だった魔剣。

今ミハルの右手に収められたのは、紅き鞘に収まる太刀たち

深紅の鞘に秘められた魔剣は、どこかで観た事のある刀に見えた。


「「コハルちゃん?!これって・・・ミユキお祖母ちゃんの剣じゃないの?」」


祖母ミユキが大切にしている刀と同じに見える。

自分だって剣舞を極めようとする者だから、見間違いではないと思うのだが。


「「借りて来たの?ミユキお祖母ちゃんから?」」


ミユキお祖母ちゃんが持っている筈の剣だと思い込んだミハルが訊ねたのだが。


「ううん、これはお祖母ちゃんの剣じゃないの。

 これは大魔王ルシファーの魔剣で、私に授けてくれたんだよ」


「「えーっ?!赤鞘が二本あったの?!」」


訊かれたコハルも、同じように感じていた。

嘗てフェアリアで抜き払われた赤鞘を観た事があった。

自分が現実世界から闇の中へ入る事になった日に、ミユキが王宮の中で抜き放ったのを。


「この剣はミユキお祖母ちゃんの剣とは違うの。

 だって、これは闇の魔力で出来ている筈だから・・・」


現実世界へ現わした魔剣の姿がこうなるとは、当の姫御子にも分からなかった。


「だけど、現実世界では魔剣じゃ無いのかもしれない。

 抜き放ってみない事には、威力なんて分からないんだよ?」


両手で柄と鞘を握り、憑代に呼びかける。


「ここからは輝の御子ミハルに任せるから。

 剣舞を納めるミハルに託すから・・・お願いね!」


憑代に身体を返すと、姫御子コハルが左目に籠って行った。


「「えっ?!ちょっ、ちょっとコハルちゃん?!」」


急に言われてもと、ミハルは訊き咎めようとしたのですが。


だが・・・戸惑う暇は無かったようです。




「おかしな剣を取り出したようだが、無駄だぞ!」


ダックマンが二本の剣を翳して突き込んで来た。


再び両手をクロスさせ、一撃でミハルを斬り倒そうとして来る。


「くたばりやがれ!」


必殺の一撃が閃く!


ダックマンは容赦なしに斬りかかって来た!




・・・・ 何かが光った ・・・・


繰り出した2本の剣と、光が斬り交された。



 キンッ



鋼が何かに喰い止められた。



 バキンッ!!



両手の剣が弾き飛ばされ砕かれた・・・・


「バッ・・・馬鹿な・・・そんな馬鹿な?!」


ダックマンは眼を見開いて折れた剣を観ていた。

アヒルの着ぐるみの嘴に突き付けられている白銀の剣先にも気が付いていないかのように。


「勝負・・・あったよね?」


黒髪だった筈の少女が、いつの間にか蒼髪を靡かせている。

大魔王の姫御子からミハルに、黒髪から蒼髪へ。

ただいつものミハルと違うのは、左目が赤くなっている一点だけ。



スローでダックマンとミハルの剣戟を観てみよう。


蒼髪になった少女に向けてクロスした剣が突き出された時、

居合抜きされた赤鞘からの剣が振り上げ様にダックマンの剣を薙ぎ払った。

水平面を見せていた二本の剣に、垂直にミハルの剣が斬り込んだのだ。


ダックマンの剣はもろに側面を斬られ、二本ともほぼ同時にへし折られる結果になった・・・


「ああ、見事だった!

 初めて剣戟で負けたよ・・・貴女によってね」


ダックマンは折られた剣を取り落とすと・・・



 ばさり・・・



真っ二つに斬られた着ぐるみから姿を見せた。


冬だというのに汗が流れている。

蒼い瞳で蒼髪の少女を観ている・・・金髪の娘がそこに現れた。


「剣だけじゃなく、着ぐるみ迄斬っていたとは」


ニヤリと嗤う金髪の娘。


「貴女と剣を交えられた事を誇りに思う。

 日の本にも、これ程の魔法使いで剣技を持つ者が居たのを教えてくれたのだから」


汗を拭おうともせず、眼を伏せた娘が褒め称えて来た。


「それはどうも。でも、なぜ勝負に拘ったのかを教えてくれませんか?」


斬りあう必要がどこにあったのかと、ダックマンだった娘に問いかけるミハル。


「いや、なに。

 自信過剰だったのは認めるし、迷惑を掛けたのも謝罪する。

 だが、一つだけ教えておきたい事があるんだ」


「教えておきたい事?」


訊き直したミハルに、金髪の娘が頷くと。


「あなたは知っているだろうか?

 時を戻せられる指輪リングの存在を。

 その力は並行世界の時空を歪められるんだ」


金髪の娘から教えられたのは<時を司ることの出来る魔法>の存在。


「この蒼い指輪には、時間を遡ることの出来る異能ちからがあるんだ。

 一時は消えていたらしいんだが、継承者である私の元で蘇った。

 この世界に魔法が蘇ったからなのかは分からないがね」


ふっと笑った娘がミハルに向き直ると。


挿絵(By みてみん)


「でも、蘇らなきゃならない人が蘇らなかった。

 この身体の中に宿っている筈の魔女が目覚めてくれないんだ、いつまで待っても」


胸を押さえる金髪の娘が、ミハルの左目を見詰めてくる。


「両親から聞かされたんだ、魔女が宿っている筈だと。

 古の魔女を目覚めさせるのは、フェアリアにいた魔法使いに逢わなきゃならないんだって。

 <光と闇を抱く者>に因ってのみ、目覚めさせられると聞かされたんだ」


娘が教えた時、左目で観ていたコハルだけが判った。


「「この人・・・魔女の魂を引き継いでいる!

  誰かによって魂を宿らされたとでも言うの?」」


闇の力と感じたのは間違いではなかった。

人間の魂を転移させられるのは、魔王級の魔力が為す技だったから。


「「誰が?なぜそんな酷い事を?

  どこかの魔王が魔女の魂をこの人に埋め込んだ?」」


話をみな迄聴かずに、姫御子コハルは思った。


「一つ・・・一つだけ教えてください。

 あなたは魔女を目覚めさせてどうしたいというのですか?」


右目で金髪の娘を見据えるミハルが訊いた。


「魔女を目覚めさせた後、あなたは何を望むというのですか?」


蒼き髪を靡かせる魔鋼の少女が、最後に付け加えるのです。


「魔女は目覚めて何をしようとするのですか?」


蒼き宝珠を金髪の娘に向けて・・・


問い掛けに金髪の娘が答える。


「その瞳と同じ色をしている・・・お父さんと同じ瞳の色。

 指輪の持ち主、ルナナイト家の瞳の色と同じなんだよ。

 左の紅き瞳・・・闇の属性を持ってるんだろ?」


金髪の娘から告げられたミハルが、思わず左目を隠した。



この子の名はアクァ・・・


少女の力を知りたければ「魔鋼猟兵ルビナス」を御覧ください。

https://ncode.syosetu.com/n2337fq/

この子の生まれは小説ラストをお読みください。



ダックマンの正体が現れされましたね。

少女は誰を探すというのでしょう?


次回 決闘!ゴットランド 第9話

時の指輪を使えると言う事は?!もしかしたら女神にはチャンスなのか?

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