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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
152/219

決闘!ゴットランド 第1話

挿絵(By みてみん)


あれ?眼の色が?

君は誰?

電車で1時間。

送迎バスに揺られて20分。


そこは少年少女にとっては異世界の国だった。


日ノ本では初めての外資系テーマパーク。

開園以来、入場者数は鰻登りに増え続けている。


良く晴れた日曜日ともなれば、人気のアトラクションに入るのは待たされるだけで数十分はかかる。

況してや人気のジェットコースターともなれば、待ちくたびれてしまう事になるだろう。


だが、そこには彼女が居たのだ。

フェアリアから来た公使の娘、マリアが。



「あ。これは社長の特別優待状じゃないですか?!

 君達は一体何者なんですか?VIP待遇しない訳にはいかないのですけど?」


少女達を見詰める来園者管理部長が驚いている。


「ウチ等はラミル社長と所縁ゆかりあるモンや。

 せやからこれを貰ろうたんや、文句在りはるんか?」


びしっとマリアが決めた。


「本社社長ラミルと・・・ですか?!」


現地採用の部長にとって本社の社長とは神のような存在だったから、無碍にも出来ずに。


「了承しました。皆様分のVIPカードをお渡ししますね」


揉み手の部長から渡されたのは、4枚の金色のカード。

それを提示するだけでアトラクションに入る事が出来る。


「それでは、お楽しみくださいませ~」


部長はヘコヘコと頭を下げて送り出してくれる。



「ねぇマリアちゃん。こんなことして良いの?」


紅いスエットスーツを着たマリアに、後ろを振り返りながらミハルが訊いた。


「ええねん、こぅいう時ぐらいしかオカンのコネクションは使えへんのやし」


ブルーのスエットスーツ姿のミハルに、マリアがそっけなく答える。


「でも・・・気が引けるよ」


割り込みなんて嫌だなぁっと、ミハルが考えていたら。


「あ、ミハル。ものすっごーい勘違いしてるやろ?」


マリアが入場が始ったばかりの園内を指差して。


「あれをまともに出来るんか?見てみぃ、皆の形相を!」


人気アトラクションに殺到する大人たち。

順番を採る為に走るお父さん達の姿に、鬼気迫るモノを見せられてしまった。


「う・・・わぁ。殺伐つとしてる・・・」


「せや。あんなのはごめん被るわ」


二人でお父様方が順番取りに駆ける姿を見せられて、ミハルもこれじゃあ楽しくないだろうなぁと考えさせられてしまった。


「そやから、ウチがオカンに頼んで優待証をせびってきたんや。

 なんでもここの社長さんとオカンは同期の桜やったみたいやしな」


「へぇ~っ、マリアのお母さんって・・・謎多きひとなんだねぇ?」


マリアの母、ミリア公使は、<ラミルカンパニー>の社長と懇意の仲だったなんて知りようがなかったから。


「ま、順番を待つのが嫌だからじゃなくて、あの光景を観たくないだけなんやけどね」


それはそうだと、ミハルも思う。

もし、自分の前に大人が駆けてきたら、間違いなく譲ってしまうだろうし気持ちが良いモノではない。


「なぁ、ローラもそう思うやろ?」


後ろから着いて来ている筈の姉弟に呼びかけたのだが・・・


「あ、あれ?何処行ったんやあの二人は?」


姿が消えていた。

そしてミハルが見つけた二人は?


「あっ!あんな所に居るっ?!」


ミハルが指さした所・・・そこは。


「あんにゃろぉ~っ!早速カードを切りやがったか?!」


二人乗りのジェットコースターに乗っていた・・・すでに。


「あはははっ!アイツ等自慢の足を使ったみたいや。

 誰も文句を言うてへんわ!おみごとっ!!」


マリアが手を叩いて喝采をあげる。

姉弟は金色のカードを行使せずに一番乗りで乗っていたのだから。


ズルをしなかった姉弟に、ミハルも自然と笑いだしてしまう。


「じゃぁ~、マリアちゃん!アタシ達も乗ろう!」


ミハルは入園した時から気になっていたジェットコースターにマリアを誘った。


「おお~っ!ミハルが積極的になった!」


「そうだよ!のんびりしてたら一日があっという間に終わっちゃうんだから!」


折角<皇都魔鋼防衛隊>から非番を貰ったんだからとは言わなかったが、

今日一日だけは何もかも忘れて羽根を伸ばすんだと、二人は普通の中学生に戻っていた。


二人がジェットコースターの順番待ち最後列に辿り着こうとしたら・・・


「げっ?!ノーラちゃんローラちゃんいつの間に?!」


二人に廻り込まれてしまった!


「にゅふふふーっ!これで2機種め!」


ノーラがVサインで応えて来る。


「はっ、早いっ?!」


合流したノーラに、驚愕の声を上げてしまう。


「お、お前等。今さっき別のに乗ってたんじゃあ?」


マリアさえも驚きの声で二人を観ている。


「そんなの・・・降りたら直ぐに次のに並ぶじゃん?」


ふっふっふっと、嗤うノーラに弟は息を切らして。


「ノーラ姉さん・・・テンション高すぎ・・・」


ぜはぜは言いながらも、ローラは楽しそうだった。


「ローラでさえ息を切らしているのに・・・畏るべしノーラ」


思いっきり退くマリアを余所に、ノーラはミハルの手を掴むと。


「今度わぁ、ミハルと乗ろうっと!」


「ぎゃっ?!ノ、ノーラちゃん?!」


しがみ付かれたミハルが慌ててマリアに助けを求めようとしたら。


「あ、そう?じゃあウチはローラと乗るわ」


あっさりローラと手を取り合っていた。


「だぁぁぁあっ?」


怒涛の様に脱力するミハル。

ゴロニャンとくっついて来るノーラ。


「にゅふふっ!ミハルの驚愕する顔が間近でみられるノ~ら!」


「言ったなぁ!そっちこそ見せて貰うんだからね!」


ゴロニャン状態のノーラに対し、ミハルは意地でも騒ぐもんかと心に決めていた・・・



「ひいいいぃっ!にゃあぁぁああああああ~!」


ジェットコースターを嘗めていた訳じゃないが、その動きは想像できなかった。

輝騎に乗っているんだからとスピードや回転には慣れていたのだが。


「にゃあああぁ~っ?!そこでそんな回転するぅ~?!」


目が回る・・・風圧で顔が引き攣る・・・涙が零れる。


「ひにゃぁ~っ?!これは想定外だよぉっ!」


流石の輝騎パイロットミハルでも、規格外のアトラクションに悲鳴をあげさせられてしまう。


「きゃはははっ!ミハルの顔面白ぉ~いぃー」


横で笑うノーラの声なんて耳に入っちゃこない。

もう前を観続けて叫ぶしか、ミハルには出来なくなって・・・・


「ミハルぅ~?終わったよ??」


停まってからノーラに呼ばれるまで放心状態だった。


「うにゃぁ・・・まだ頭がふわふわしてるよぉ」


ふらふら状態のミハルは、ノーラに捉まって歩くのがやっとな状態。


「あれ?どうしたんやミハル?」


「気分でも悪くなったんじゃないの?」


マリアとローラに声を掛けて貰っても気丈に振舞う事さえ出来ないミハルが、とほほな声で。


「甘かった・・・あたし、ジェットコースター恐怖症になりそう」


眼を廻して応えるのだったが。


「あ、次あれ乗ろうよ!」


完全に無視されて3人に引っ張られていく。


「にゃぁっ?!直ぐ乗るのぉ?」


ふらふら状態のまま、3人に引きずられて。


「さっきミハルが言うたんやないか。遊ばなきゃ損やって!」


「しょ、しょんなぁ~っ?!」


マリアにまで強制的に引きずられる、損な子ミハルでした。




で?

それから・・・どうなったの?




「にゃはははーっ!アタシに掛かればこんなもんよ!」


大得意のミハルを、痛い目で観る3人がいました。

ジェットコースターではひぃひぃ言ってたミハルですが。

得意のアトラクション、射撃ゲームでは大威張り状態のようです。


「ミハルぅ、加減ってモンがあるやろー」


「そうですよぉ、一人でみんな倒しちゃったら目につくでしょ?」


「ンだンだ!ミハルは手加減しないのがモットー・・・じゃ、ないノラ!」


3人に突っ込まれても、ミハルは動じない。


「そんな事言って。景品を山分けするって言ってたのはどこの誰ヨ?」


山ほど縫いぐるみを貰ってウハウハ状態のミハルが、ジト目で言い返すと。


「そんなんウチ等3人でやったら・・・他のお客さんに迷惑やないかぁ!」


確かに、魔鋼少女4人が総がかりでアトラクションに挑めば、結果は歴然だと思う。


「そーよ!次は剣術アクションなんだからね。

 ミハルは一番後ろで大人しくしてなきゃ駄目なんだノラッ!」


「えぇ~っ?!にゃんでぇ~?!」


張り切ってたのに・・・と、愚痴るミハルに。


「剣舞師範が挑んだらさぁ、アトラクションの意味がないジャン?」


「そ・・・損な。一番景品が良いのにぃ」


ランド最大の景品<ラミルモニュメント>をゲットしたかったミハルが脱力してグチグチ呟く。


「まさか、ミハルはアレを貰おうとしてたんやないやろーな?」


マリアが呆れたように指差す<モニュメント>とは?


アトラクション入り口に飾られてある<フェアリア王女リィーン>を模った等身大の人形だった!


「あれをもしかして本当に持って帰る気だったの?」


ローラもびっくりして訊き直して来るほど、


「あはは・・・ミハル?マジだったみたいノラ?」


本当に脱力してしょげかえったミハルに、3人がため息を吐く。


「だぁってぇ!リィーンお姉ちゃんのお人形なんだもん!

 なんとしてもゲットして抱き枕にするんだもん・・・」


おい・・・不純極まりない奴だな?


「そうか、ミハルは昔からフェアリア王女様に憧れてたもんなぁ」


マリアが思い出したように言うと、ミハルは思いっきり大きな声で。


「そうだよぉ!リィーン様とアタシはお友達なんだからね!」


身分を弁えない一言を叫んでしまった。


「こっ、こらっミハル?!」


「あわわっ、なんて見境の無い!」


「ふっ!王女様の人形を抱き枕にするなんて・・・身の程知らずにも程があるノラ!」


マリアに口を塞がれ、ローラに取り押さえられ、ノーラに呆れ果てられた。


「もごもご!にゃって、ほちぃんだもんーっ!」


暴れてゴネルミハルに、3人は肩を竦めて。


「じゃぁ、やってみれば?

 そう簡単にはオールブレイクなんて出来やしないよ?」


ローラも匙を投げたのか、ミハルを放す。


「そやなぁ、スポンサーの威信をかけて阻止されちゃうんじゃねぇか?」


一方ノーラは。


「人形がゲット出来なかったら、アタチがミハルの抱き枕になったげるノラ!」



 ゲボム!



ノーラは3人からの一斉攻撃で撃沈された。


「ふむ!それでは、不肖ミハルがゲットしてみせましょう!」


やる気まんまんのミハルが腕を捲ってアトラクションに向かった。


「おー!ウチ等はあのテレビで状況を見守ってるからな!」


「ミハルさん、ガンバです!」


「あたた・・・ミハルぅ手加減なしでやっちゃえ!ノラ」


3人の応援が贈られて、ミハルはもうその気になっていた。


「にゅふふっ!・・・伯母ちゃんも欲しいに決まってるから。

 悪いけど、本気で掛からせて貰っちゃうんだから!」


眼を細めた魔鋼少女が、本気で挑もうとしています。


あ。

待て!ミハルが本気って事は・・・シャイニングブレイカーを放つ気なのか?!


まさかなぁ・・・いや、マジか?!


どうなるんだ、一般のお客さん達は?!(気になるのはそっちですW)

 



学園編ですから。

中学生らしくね・・・


しかし、ノーラよ。かわったナァ?


次回 決闘!ゴットランド 第2話

あ・・・そういうことね?決闘なのか?

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