ミハルの秘密?!第7話
闇の中で・・・
防衛戦を展開するのか女神よ?
闇の中に向けて魔力を翳した女神の前に姿を現したのは・・・
「あら・・・闇の者間違いだった?!」
女神が拍子抜けするように手を降ろす。
「あれ?!誰かと思えば・・・女神じゃないか?」
ライオンの縫いぐるみがピョンと飛び出して来る。
「誰かじゃないわよグラン。
あなた達が不意にやって来るから、てっきり闇の攻撃かと思ったじゃないの!」
「ああ、そう言う事か。狒狒爺から知らせを受けて御出陣されたんだよ姫御子様が」
グランが後ろに控える御車を指す。
そこには数十の縫いぐるみ達に守られたコハルが乗っていた。
「あ、女神様。一大事が起きたのですってね?!」
狒狒爺の早合点とは知らないコハルが、真剣な面持ちで訊いて来たのだが。
「一大事?なによそれは。
私は聞き及んでないけど?なにかあったの?」
女神にも知らされていない重大事が発生したのかと、小首を傾げる女神。
「え?!もしかして・・・爺っ?!」
傍らの狒狒爺に問い詰めるコハル。
「いや、確かに観たのですぞ!<光と闇を抱く娘>が、御母君の映像を見ているのを!」
自説を曲げない狒狒爺に、ため息を吐いた女神が教える。
「あなた達・・・物凄い思い違いをしてるわよ。
姪っ子はあれが誰だかも、何を言ってるのかも分かっちゃいない。
勿論、あの手紙がミハエルさんからのモノである事も・・・よ」
ビシッと言い切られた狒狒爺の頭に、ドデカい冷や汗が載る。
「・・・爺?」
冷めた目でコハルが訊いたら。
「もしや・・・思い違いだったとは・・・・」
「思い違いじゃないでしょぅ?!」
怒るコハルに、しょげる狒狒爺。
「まぁね、あの子は闇の力を持っちゃいないし、光の力も半端しか使えないからねぇ」
パタパタ手を振る女神に対して、グランが耳打ちする。
「なぁミハル。せっかく出て来たんだからさぁ。
人間世界の観光に連れてってくれよぉ、闇の中じゃぁ暇を弄んでるんだぜ?」
「あのねぇグラン。今の自分達の立場を考えなさいよね」
闇の世界に戻された魔獣グランなのだからと、女神が断ろうとしたが。
「あ~あっ、折角ミハルと逢えるかと思ったのにぃ~っ」
コハルが大きくため息を吐いた。
「お母さんの手紙・・・持って来れば良かったなぁ」
コハルはあの手紙を知っていたのかと、少し思案した女神が提案した。
「ふっ!闇の者でも仲間は仲間。
その仲間が観光したいって頼むのなら・・・断れないわ。
ただし、条件を呑んでならだけどね」
グランの眼が輝く。
狒狒爺が眉を跳ね上げる。
そして・・・コハルがびっくりする。
「女神様、いいのですか?!人間界に出ちゃっても?」
闇の者が人間界に出没すれば、マモル達防衛隊に知られはしないかと心配したが。
「ふっ!この私を誰だと思ってるのよ。
女神ではなく、マモルとルマの姉なのよ。姉から話せば了承ぐらいするわ!」
胸を張られて言い切って来る。
「おおお~っ!さすがミハルだ!」
グランが手を叩いて褒め称える。
「そっか!マモル君の実の姉でしたものね女神様は」
コハルが嬉しそうに両手を胸の前で組み。
「で?条件というのは?」
もう人間界に行けるものと信じて、女神の言葉を待った。
「ふっ!必ず集団行動を執る事と、人間界では縫いぐるみのままで居ること。
これを約束するのなら、この理の女神が許可します」
「おお~っ!容易い御用だ。普段コハル様の前と同じだからな」
グランが飛び跳ねて喜んだ。
「それじゃあ・・・私も?」
ちょっと顔を引き攣らせてコハルが訊いた。
「例外はナシ子」
事も無げに女神が言ったら、コハルがおろおろと周りを見回す。
「あ・・・あの?同じ動物じゃ駄目ですよね?
みんなそれぞれ属性を表す容に落ち着いてますから・・・
私は何になったらいいんでしょうか?」
周りに居るお付きの魔獣達に重なるのは、自分として混乱すると思ったから。
コハルは周りを囲む者達以外の縫いぐるみになろうと思ったらしい。
「むぅ?なるほど・・・気の利く娘ねコハルちゃんは。
姪っ子に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわ・・・そうねぇ?」
コハルの周りに居る縫いぐるみ達の中に、存在しない動物は?
女神はハタと、思いついた。
ー ほぅ・・・なるほど。いい考えを思いついたわ・・・ニヤリ
コハル達にバレないように、悪だくみを思いついたようです。
「コハルちゃんには特別に許すとしましょう。
私と同じモノとなるのを・・・貴女は今より黒毛玉になりなさいっ!」
「・・・は?」
キョトンと眼をパチクリするコハル。
「は?・・・じゃないっ!
私も人間界では女神だというのにあの姿なのよ!
あれは女神とか上級魔王が成れる特別な姿なのよ!」
(・・・何か企んでるミハル)
「ええっ?!そうだったのですか?」
(・・・疑いを知らないコハル)
二人の傍でグランが頭を抱えていた。
「当然よ!あなたのお父さんであるルシファーが最初だったんだから。
高貴な者しか成れない、特別な姿なのよ!」
「そ、そうだったのですか・・・知りませんでした」
(騙されるなコハル!ミハルがニャンコダマになったのはリーンの術の所為だぞ!)
グランは嘆きを超えて・・・涙を流す。
「わっ、判りました!私もニャンコダマ黒バージョンになりますっ!」
(あああああ・・・コハル。なんてことを)
「ほーっほっほっほっ!そうよ、それでこそ未来の早春神ね!」
嗤う女神が、つい口を滑らせたがコハルは気が付いていないみたいで。
「そっか・・・お父様も人間界では毛玉だったんだ。
私だって毛玉ぐらいなんでもないわ!」
力拳を握り締め、残念なコハルは変身しようと女神に聴く。
「さぁ!女神様!どんな姿になれば良いのかの御見本を見せてください!」
「ふむ。殊勝な子ね。いいわ、よっく観ておきなさい!」
キラキラした目で見詰められ、女神は人間界に出る時の毛玉へとチェンジした。
ボムッ!!
「にゃ~ひゃひゃひゃっ!これがニャンコダマってものよ!」
紅いリボンをフリフリ、蒼毛玉が現れた。
「わぁっ!これが・・・これがニャンコダマ?!」
女神が蒼ニャンコダマに変身すると、コハルはたじろいだが。
「ええいぃっ!なっちゃえっ!」
頭にイメージした毛玉へと姿を・・・・
ぽわんっ!
モクモクと煙が沸き起こり、コハルの姿を消し去った。
「こ・・・これでどうでしょうか?!」
煙が晴れると・・・そこに居たのは?!
黒い毛玉・・・ケモ耳がついてる。
紫色のリボンが揺れてる・・・黒い3つの魔法玉が動きに合わせて転がっている。
「うむ・・・悪くは無いわね」
「ありがとうございますっ!」
キラキラした紅い瞳で蒼毛玉を観る・・・黒毛玉。
遂に・・・人間界に二つの毛玉が存在する事になるのか?!
「どこかおかしなところはないでしょうか?」
初めてのチェンジで、コハルが動きを確かめていると。
「ふむ、ニャンコダマの先輩として言っておくわ。
その姿になったのなら、あなたも一人前の高貴なる者として振舞いなさい。
あなたの父であるルシちゃんの名を穢さぬようにね!」
「はっ、はいっ!頑張ります先輩!」
(・・・騙されてるぞコハル)
蒼毛玉は黒毛玉を従えて、先ずは挨拶をしようとミユキの元へ向かうのだった。
え?
なぜミユキの処へ?
蒼ニャンコダマは企んでいた。
都合よく黒毛玉を入手できたから。
なにが都合よくなのか?
ー くっくっくっ!これでお菓子のつまみ食いは私に嫌疑を向けられなくなる。
ぱっと観ただけでは蒼か黒かは判別出来ないモノね・・・・
しめしめと女神は考えていた。
・・・つまり、犯人はミハルだったか!
ー お母さんに吹っ飛ばされるのはこりごりだもんなぁ!
・・・おい。
ー ってことで。コハルちゃんにもお菓子をつまみ食いさせよう!
・・・ミハルは女神なのか?!闇堕ちしてないか?
さぁ!悪い(?)女神の策略は成功するのか。
それより問題はどうなった?!
天使ミハエルの手紙をコハルに渡せるのか?
なんだかもぅ・・・ごちゃごちゃな展開になってますねぇ?
あああ~っ?!
とうとう・・・コハルまで?!
蒼ニャンと黒ニャン誕生っ!
もうね・・・無茶苦茶ですよ?
(笑って誤魔化せ!)
次回 ミハルの秘密?!第8話
にゃんと?!とうとう蒼・黒ニャンコダマになったか?