ミハルの秘密?!第6話
学園編だったのを忘れそうになっていました・・・
で?
何が起きようとしているんでしょう?
魔鋼の学園にも冬休みが訪れようとしていた、ある朝の事。
「にひひっ!ミハルは御休みの間って、ヒマぁなノラ?」
美少女ノーラが相変わらずの能天気でくっついてる。
「う~んっと。剣舞のお稽古もあるし・・・そんなには暇じゃないけど?」
鬱陶しさにも慣れてしまったのか、ミハルは気にも懸けなくなっています。
首根っこに齧りついているノーラを避けようともしてません。
「そぅなノラ?!じゃぁ~じゃぁあ、一日だけ都合がつかないかにゃ?」
にょほほと嗤うノーラに、何か曰くがありそうなのですが?
「一日だけ?なにかあるの?」
「そうなノラ。実はこんなものを手に入れたノラ!」
ポケットたら何かの紙片を掴み出したノーラが、突き付けたモノは?!
キラキラ輝く・・・ご招待券?!
「じゃぁ~ぁんっ!アトラクション乗り放題っ、入園無料っおまけにタダ!」
ピラピラカードを振るノーラがふんぞり返ってミハルに突き出す。
「って?!アタシを誘ってるんだよね?」
ちょっと引き気味なミハルが、ニヤニヤ笑うノーラに訊ね返すと。
「そうなのノラぁっ!でぇーとのお誘いなノラ!」
「・・・ま に あ っ て ま す!」
身の危険を察知したのか、一刀両断に断ったミハル。
「どえええぇっ?!にゃんでぇーっ?!」
予想外だったのか、ノーラは驚愕で顎を外す・・・って、おい。
「どうせ、ジェットコースターとかでしがみ付こうとかしてくるんでしょ?
あわよくばアタシに抱き着いて来て隙あらば・・・とか、思ったんでしょうが!」
ジト目でノーラに棘のある一言を返す・・・損じゃないミハル?!
「そ、そ、そんな大それたこと。これっぽっちじゃないほど考えていたノラよ?」
考えてたんかぁ~いぃっ?!
「・・・やっぱり。そんなことだろうと思ったわ」
はぁ~っと、ため息を吐き額に手を添えるミハルに。
「でも、でもぉっ!少しくらい役得ってモノをくれたって良いじゃないかノラ!」
諦めの悪いノーラが言い返しますが・・・
「嫌ですっ!どうしてアタシがノーラちゃんに抱き付かれなきゃいけないのよ!」
ぎゃあぎゃあ言い合う二人の傍から手が伸びて来ると、ノーラの招待券を掴み取る。
「ふむふむ。これは1枚につき二人が有効って書いてあるんやけどノーラ?」
掴み取ったのはマリアで、さっそく絡んで来た。
「二枚あるやん?ってことは・・・追加でもう二人はいけるんちゃうんか?」
にやりぃ~っと、ノーラに問い詰めるマリアに。
「びっくぅっ?!にゃっ、にゃにを言いたいノラッ?!」
既に半ば諦め顔になっているノーラへ、マリアが交渉を持ちかける。
「ちょっと、話があるんやけどノーラ」
おいでおいでとノーラをミハルから離れさせて耳打ちする。
「こういうのはどうや?ウチとローラが一緒に行くから安全やって言うんや。
そやったらミハルも断わり辛いやろ?入園したらウチはローラと遊ぶさかいに・・・」
「にゃるほどっ!4人で入ってから後は別行動に移る・・・宜しいっ乘りましょうその話!」
密約はこうして結ばれる事になるのでした。
利害が一致したマリアとノーラが、ミハルに隠れて手を結んだ!
なんという美しい友情か!・・・・違うかな?
「なぁ、ミハルぅ。ウチとノーラも行く事になったんやけどぉ・・・行くやんな?」
ああっ?!マリアの眼が・・・邪悪に染まってる?!
いや、悪い目になってる・・・ミハルを強制的に連れ出そうとして。
「えっ?!マリアちゃんも行くの?!」
ああ・・・ミハルの心が揺れ動いてる。
「そ~やぁ、ローラも行くって言うに決まってるし」
「そっかぁ、皆で行くのなら・・・行っても大丈夫かなぁ?」
いかん・・・ミハルが口車に乗りそうです!
「なに言うーテンねんな。ウチが行くんやから何も心配する事はあらへん!」
言い切ったマリアの眼は・・・ノーラと目配せしているぞ?!
「そうだね・・・一日くらい羽根を伸ばしても・・・」
揺れ動く乙女の心情って奴なのか?!身に迫る危険を察知した筈なのに?
あぶない二人の目論見は成功するのか?!
「でもぉ、マリアちゃん。ローラちゃんと二人っきりでどこかに雲隠れしちゃわない?」
「ぎっくぅっ?!」
おおーっ?!見事に目論見を見破った!
「ローラちゃんと二人っきりで楽しもうとか考えていない?」
「ど、ど、どうして?!ソンナコトナイヨ」
見事に言い当てたミハルに、顔を引き攣らせたマリアが答えるのですが。
「はぁ~っ、二人共。みえみえだよ」
おっきなため息を吐くミハルに、あからさまに落胆する企んだ二人。
「でも、それでも良いかなって。友達4人で遊べるんだから良いよ」
え・・・?!
「アタシも本当は行きたかったんだぁ。ノーラちゃんに抱き着かれるのはどうかと思っただけ」
舌を出してウインクするミハルに、二人は毒気を抜かれてポカンと口を開ける。
「ホント?!ノラか??」
「うっひょぅぅ?!ミハル?」
やっと同意を得られた事がわかったようですな。
「でもね、やっぱり4人で遊びたいかな?その方がきっと楽しいと思うから」
笑うミハルが・・・マジ天使に見えるお二人様。
感動で二人は抱き合うと、早速こう言うのでした。
「了解っ!(なノラ)」
ぴょんぴょん跳ね回る二人を観て、本当に大丈夫かなぁっと顔を引き攣らせるミハルが居ましたとさ。
稽古は欠かさない。
自分の為にも、もう一人の自分の為にも。
鍛錬を積むのは剣舞だけではなかった。
光をこの手に掴むにはどうすれば良いかを自分なりに考えて、剣の道に勤しむミハルがいた。
今はそうする事だけが余計な迷いを断つ気がしていたから・・・
「コハルちゃん、小学部の生徒さん達の用意は良いかしら?」
ミユキお祖母ちゃんに道場の準備を訊かれた。
「うん、出来たよ。夕方からだったよね?」
木刀と道着を整え、看板を<開講>にひっくり返して。
「もう小学部は冬休みに入ったもんね。時間より早く来るかもしれないよね?」
師範用の道着を着たミハルが振り返った。
「はっ?!」
振り返った瞬間に飛び退いた。
ビシュッ!
音よりも早く木刀が突き出され、避けなかったら一撃を喰らっただろう。
「お、お祖母ちゃんっ?!」
木刀を突き出したミユキから逃れたミハルが戸惑う様に剣先を見詰める。
「宜しい、迷いは感じられなかった。でも、まだまだね」
鋭い太刀裁きを見せたミユキが、木刀を元の腰に戻すと。
ぱら・・・
「うっ?!避けたつもりだったのに・・・」
飛び退いた筈だった。ミユキの木刀には触れられてはいないと思っていたのだが。
「そう。少しばかり遅かったのよコハルちゃん」
やっと目を緩めたミユキが、腰ひもを解かれてしまったミハルを観ていた。
「腰ひもが垂れていたから。しっかり結んでおかないと示しがつかないわよ?」
ミユキによって解かれた紐が落ちると、袴がずり落ちる。
「あわわっ、すみませんお師匠様?!」
袴が落ちて素足が覘く。
慌てて付け直すミハルが、道場主ミユキに謝った。
「ほほほっ、気を付けなさいコハルちゃん。
何事も身は心を表すって言いますからね、小さな子の手前もある事だから」
「はっ、はいっ!気を付ける様に心がけます!」
袴の帯を締め直し、受けた注意だけに気を採られているのを観たミユキが眉を顰める。
ー どうやらあの子が言っていた通りのようね。
孫ちゃんは光をどうやって掴めるかに迷いを感じている・・・
普段通りに見えても、心の迷いは隠せない。
それが元<光と闇を抱く者>には、分かってしまうようだ。
ー きっと・・・コハルちゃんも。
大天使の娘ちゃんも、迷っているのね?
瞳をミハルの宝珠に向けたミユキは、自分も嘗ては思い悩んだのだからと思い直し。
「そうそう、コハルちゃん。
娘のミハルから何か聞いていないかしら?
最近ちょくちょく台所のおやつがなくなるのだけど?」
話を切り替えるミユキが、困ったように不審な出来事を訊ねて来た。
「え?!おやつが?」
ハッとなったミハルが宝珠を睨んで。
「伯母ちゃんっ!盗み食いしてたの?!」
声を荒げて問い詰める。
・・・・返事は返って来なかった。
気まずいのか?それとも・・・
「伯母ちゃんっ!聴いてるの?」
・・・・あれ?もしかして逃げた?
宝珠はなにも反応を見せなかった。
「ちょっと、待つのよ!」
忍び寄って来た闇の気配に向けて。
「人間界に何の用があるというのかしら。
私に気付かれたのが運の尽きね、引き返すか滅ぼされたのか?」
問い質す理の女神が、結界の前で睨んでいた。
戦闘モードの女神の前には、数十の闇の気配が現れ出ていた・・・
女神は闇の者と対峙しています。
で?
やって来たのは・・・???
次回 ミハルの秘密?!第7話
ああ・・・なんということでしょう!あの子までが・・・・・・になるなんて!
さぁ!君も一緒に鳴きましょう・・・にゃっ!