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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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ミハルの秘密?!第5話

伯母に訊ねてみましょう。


コレって何ナノって。

闇とは言えど、そこには光が存在していた。

彼等はにはその光が支えとも言えた。


「どうかしたの爺?」


慌てて戻って来た狒狒爺やに、怪訝な顔のコハルが訊ねる。


「一大事でござるぞ姫様!」


普段なら縫いぐるみ姿で参上する狒狒の魔獣が、臣下の礼を忘れて飛んで来た。


ここはコハルの支配する闇の中。

いや、正確に言うと<堕神ルシファー>の、というべきか。

娘コハルの為に用意された闇の宮殿は、光が絶えないように魔法使い達の魂によって灯りが燈されている。

灯りとなっている魔法使いの魂達は望んでルシファーに忠誠を尽し、闇に光を与え続ける事に因ってコハルを見守っているのだ。いつの日にか訪れるであろう運命てんせいの時まで。


「一大事って?何をそんなに慌ててるの?」


「姫!悠長に構えている場合ではありませぬぞ!」


騒がしく捲し立てる狒狒爺やに、姫御子は落ち着き払ってため息を吐く。


「爺が騒ぐのには慣れちゃったから」


狒狒魔獣の姿で玉座の間に現れ出でた爺やに、ぼそりと独り言を吐く。


「で?何が一大事だというの、爺?」


落ち着き払い座ったままで、魔獣の爺やに訊ねる姫御子コハル。


「は・・・あ。これは爺としたことが」


自分の有り様に気が付き、慌ててコハル好みの縫いぐるみへと姿を変えて居住まいを正す狒狒の魔獣。


「爺やが血相を変える程の話なの?」


「如何にもですじゃ!遂にヒントが掴めそうなのです」


モフモフ鬣の縫いぐるみと化した狒狒爺が、コハルに言上するのは。


「輝の御子が、手にしたのですぞ!御母君ミハエル様からの依頼書を!」


ミハルを見張っていた狒狒爺が、てっきり読み取ったとばかり思い込んでコハルに知らせてしまった。


「えっ?!お母様からの依頼書を?

 あれは闇の力でなきゃ読み取れない筈なのに?ミハルがどうして読めたというの?」


思わず立ち上がり狒狒爺を聞き咎める。


「あの手紙には、お母様が危険を察知されて、お父様が闇の力を使って秘められたビジョンが描き込まれてあったのに。輝の御子がそれを読む事が出来ただなんて・・・」


堕神ルシファーの力で自分宛てに書かれてあった手紙。

闇の姫御子にだけ曝け出せる筈の秘密のビジュアル。

それがどうして光の力を持つミハルに読む事が出来たのか・・・


「まさか・・・ミハルが闇化してるの?輝の御子が闇に堕ちようとしてるの?!」


もしもそれが本当だとすれば、まさに驚天動地の重大事。


「爺!皆を集めて!急がないとミハルが連れ去られてしまうかもしれないわ!

 いいえ、自ら望んで堕ちようとしているのかもしれない。

 もしもそんな事になったら、世界は破滅を迎えてしまう!」


飛び上がる程の重大事件の報告に、コハルは直ちに動く決心を固める。


「ミハルが闇に堕ちちゃったら、私の希望も潰えてしまう!

 お母様を取り戻す事だって出来なくなっちゃうんだから!」


狒狒爺の思い込みとも知らず、姫御子は全力でミハル救出作戦を発令してしまった。


「皆に人間界に出向くと命じて!姫御子が自ら出向くって。

 闇の手を断ち切らないときぼうが喪われてしまうって!」


立ち上がったコハルが右手を一閃させ、強大な魔力が魔法衣を模らせて素肌の上に装着されていく。

狒狒爺やの前で、大魔王ルシファーの姫御子本来の姿へとトランスフォーメーションを果すと。


「往くわよ爺、ミハルの元へ!」


臣下の者達に出陣を命じるのだった。


狒狒爺の勘違いだと気付かずに・・・・








一方、姫御子が出張って来るとは知らないは。


「ねぇねぇ?あれにはどんな意味があったの伯母ちゃん?」


何も気づいていない子ミハルと、ミハエルが何を言っていたのかを考えるニャンコダマが宝珠の中から答えています。


「「煩いわねぇ、私はその時居なかったって初めから言ってるでしょ!」」


後ろから覗いていたのを白を切るニャンコダマが居るのですが?


「そんなことないでしょ?観ていたんじゃないの?」


「「ギクッ?!」」


嘘を吐けないのは、人だった頃から進化していないみたいです。


「ほぉらぁ~っ、やっぱり観てたんでしょう伯母ちゃんは?」


「「黙秘権を行使します」」


バレバレなニャンコダマは、飽く迄白を突き通す気のようですが?


「・・・ミユキお祖母ちゃんに伯母ちゃんが嘘を言うってチクろうかなぁ?」


「「うっ?!なんと卑劣な!」」


蒼い宝珠が焦ったのか光を点滅させて動揺しているのを観て、ニヤリと哂ったミハルがとどめを刺す。


「アタシを騙そうって魂胆だったって、ミユキお祖母ちゃんに言ったら・・・どうなるかなぁ?」


「「ひっ?!卑怯すぎるっ!それでも姪っ子は光を継承する者なのっ?!」」


・・・お互い様だと思うんですが?

伯母と姪の不毛な闘いは続いているようなのですけど。


「「そ、それじゃあ教えるから。お母さんにチクるのだけは勘弁して」」


おおっ?!遂に女神が敗北したのか?

女神と言えども損な娘であったというんですね?

非を認める気になったのかニャンコダマ?


「「3Dビジュアルグラフィック・・・って、知ってるかしら?」」


「は?!すりぃーじぃ?なにそれ?」


・・・この世界にはまだ馴染みがなかったようです・・・


「「ごっほん!分からなきゃ話を飛ばすけど。

  つまり、映像を見せて相手に知らせる<魔法まほう>の手紙だったという事ヨ」」


・・・ニャンコダマも詳しくは知らないみたいですな。


「そ、そうなんだ。あれは<魔砲まほう>だったのか!」


・・・言葉とは難しいものです。


「「女神でも何を言っていたのかが分からないの。

  ただ、何かを願っていたように見受けられるのよね」」


「なるほど・・・願いの魔砲って訳ね?」


食い違っているのはミハルの潜入観念の影響でしょう。

初めて観たミハエルの姿が、造り物に見えてしまったのだから。

それに、ニャンコダマが<魔法>と言ったのに、<魔砲>だとばかり思い込んでしまったのです。

つまり・・・


「あの人型ひとがたは、願うものを表しているんだね?」


「「そうよ、ミハエルというかたちで知らせようとしていたの。

  あれだけ真剣な瞳で訴えているんだから、願う者に観えるのよねぇ」」


映し出された大天使ミハエルがあまりに人間離れした美しさだったから、ミハルは実在しているとは思わず、対してニャンコダマはミハエルを認識できたから本当の事を話したのだが。


「そっか。あの手紙にはそんな秘密が隠されていたんだね」


「「そうなのよ。どうかしら、姪っ子ちゃんは納得した?」」


纏めるなニャンコダマ。


「うん、なんとなく。そうとわかれば黙ってはおけないよね?」


「「お?!おおぅ?姪っ子ちゃんはどうする気なの?」」


宝珠が驚きの点滅を繰り返す。僅かこれだけの話で姪っ子が動くのかと。


「決まってるじゃん!真実を追求するの!」


「「にゃんとっ?!我が姪っ子は早くも手の打ちようを感じ取ったの?!」」


女神にも分からなかったのに、人の子ミハルは真実に手を出すのかと驚きを隠せないみたいです。


「簡単じゃん!アタシには仲間がいるからね!」


「「にゃんとっ?!姪っ子は仲間と共同で調べるというのね?」」


女神には出来ない仲間との共同作戦に、期待を込めてこう言うのだ。


「「姪っ子ちゃん、頑張ってねぇ!」」


・・・おい。他力本願かよ?


勘違いと思い込みが、再び光と闇を呼び集める結果となりそうです。

輝の御子と闇の姫御子が、相まみえるような気がしますが・・・どうなりますやら?






「何か心配事でもあるの、ミユキ?」


ここは宮中から少しばかり離れた庵。

囲炉裏の鉄釜から、一掬いした湯を碗に注いで茶を点てる蒼乃。


「ええ、少しばかり」


手前に会釈したミユキへ、一服を差し出すと。


「どんな?」


ミユキが懐紙で拭うまで待ってから訊き直す和服の蒼乃に。


「もうそろそろかと。約束の期限が近付いておりますので」


和装のミユキが茶室から外に目を配って教えた。

ミユキの視線の先を感じて、三輪の宮蒼乃殿下がため息を吐く。


「そう・・・もうそんな日が来ようとしているのね?」


二人の眼には冬の空と嘗ての自分達が映っている。

この世界から受け取ってしまった宿命に、二人で足掻き合った頃と重ね合わせて。


「ええ、世界は変わったというのにね」


ミユキと蒼乃はいおりから見上げていた、冬の蒼空を・・・

ああ、なんということでしょう。

匠に因って作られた画像は、如何にも出来映えが違ったのです(ビホーあふた)


ニャンコダマはミハルと掛け合い漫才をする為に復活したのか?


それにしても、みんな思い違いしすぎでは?

この勘違いはどんな結末を産むというのでしょう?


次回 ミハルの秘密?!第6話

ああ、この章って。学園編だったのを忘れてたよ・・・

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