ミハルの秘密?!第4話
女神とミハルの騙しあい。
対決する姪っ子と伯母に、ミユキお祖母ちゃんが絡んだ?!
どうなる頂上決戦?!
女神との化かし合い。
挑むのは姪っ子ミハル。
対するのは<理の女神>ミハル・・・イザ!
「珍しいわねぇ、コハルちゃんからおはぎが食べたいなんて頼んで来るなんて」
何も知らないミユキお祖母ちゃんが、山盛りのおはぎをこしらえている。
ー い、いやあのね、ミユキお祖母ちゃん。いくらなんでも造り過ぎ・・・
お膳の上に並べられたおはぎの山に、頼んだミハルもドン退きしたが。
「あ、あははっ?!偶には甘い物なんかを食べたいと思ってぇ~っ」
ここは相手が相手だけにそれ相応かもと言葉を濁す。
「そうよねぇ、コハルちゃんは女の子だもの。食べたくなったらいつでも頼んでね?」
何も疑わないミユキお祖母ちゃん。
「そう?なら、たまには頼んでみようかなぁ(棒)」
棒読み感が半端ないミハルが、座敷にすわると。
ー さて・・・始めましょう・・・かね?
遂に作戦の火ぶたを切った!
「こぉーなに沢山あるのならぁ、女神様も食べたら良いのにねぇ」
先ずは味方から。
「あら、そうねぇ。あの子も餡子派だったから・・・」
何も疑わないミユキお祖母ちゃん。
「でしょ?こんなにぃー沢山なんて一人じゃ勿体ないよねぇ?」
罪の意識が心に棘を・・・刺さない
「そうねぇ。ミハルも出ておいでなさい。今日は特別に赦してあげますよ」
何も疑わないミユキお祖母ちゃんに、宝珠に宿るニャンコダマが訊いて来た。
「「ホント?!またぶっ飛ばさない?」」
甘えるような、物欲しそうな女神の涎声が聞こえる。
「ええ、コハルちゃんが勧めたのだから。今日はゆっくり時間を掛けて食べると良いわ」
うぬ?!なにか・・・引っ掛かる言い回しだが?
「「ホント?嬉しいなぁ。じゃあ、遠慮なく」」
ポワンと宝珠から姿を現したニャンコダマ。
うひうひと白い皿の上に盛られたおはぎに乗っかると。
「「あああ~っ至福ぅ~っ!」」
至福の一時に突入する・・・
ー やった!見事に作戦成功よ、後は・・・
巧くいったと心でガッツポーズを決めてから。
「あっと!いけないっ、家に宿題を置き忘れて来ちゃった。
ミユキお祖母ちゃん、家まで取りに帰るから<このままに>しておいて!」
急に思い出したと、慌てる様に立ち上がる。勿論、嘘八百だが。
「あらあら。しょうがないわねぇ、慌てなくとも良いのよ。
これだけあるのだから、女神が少々食べたって残っているからね」
疑いを持たないミユキお祖母ちゃん?
「「にゃははーっ!食べ放ぉー題っ!」」
気が付かないのかニャンコダマ?!
おはぎに埋もれる蒼毛玉を見下ろし、しめしめとミハルは思う。
「そ、じゃぁ取りに帰って来るね!」
慌てて靴を履き、玄関を飛び出るミハル。
「ごめんねミユキお祖母ちゃん!今日だけは許してね」
良心の呵責に、ミハルは謝った。謝りつつもニャンコダマに対しては舌を出していたのだが。
「「お母さん、姪っ子は行っちゃった?」」
ニャンコダマが宙に浮かんでミユキに訊いた。
「ええ、あんなに慌てて。でも心が痛いわ、あなたの頼みだと云っても」
なにっ?!何も知らなかったんじゃないのか?
「急に現れて何を頼むかと思えば。
コハルちゃんの能力を確かめるだなんて・・・言うから。
しかも騙されて欲しいなんて頼むから・・・ミハルが」
・・・謀ったなニャンコダマ?!
「「ごめんねお母さん。姪っ子に読めるのかが調べたくて。
もしも読めたのなら、あの子には間違いなく備わっているの。
私と同じ宿命ってモノが、女神と同じ魔力ってものがね」」
・・・そうなのか?それを調べる為に姑息な手を?
「「まぁ、役得も兼ねて・・・いただきまーす」」
「待ちなさいミハル。いつから人を出汁にするような子になったの?
ちょっとお灸が必要なようね・・・・」
ピクリとニャンコダマが引き攣る。
ひょいと紅いリボンを摘ままれ、ミユキの前に連れ出されて。
「「にゃっ?!にゃに?おかあひゃん・・・怖いよ顔?」」
「いーえ、元々こんな顔ですっ!」
お灸を据えられる・・・女神。そんな光景誰が予想できる?
「「にゃ~っ?!こんな筈ではなかったのにぃー?!」」
・・・最恐は。女神の母だったか・・・
鍵を開けるのももどかしく。
「たっだいまぁー・・・って。まだ帰って来ちゃいないよね?」
スイッチに手をかけて確認する。
確かにマモルもルマも居ない事を。
走り込んだのはリビング。
明けるのはアルバムが仕舞い込まれた引き出し。
「あった!これだ」
間に挟まれた封筒を引き抜く。
慌てていたからか挟まれていた写真が一枚同時に抜け落ちたのだが、ミハルの眼には留まらなかった。
便箋を拡げ読んでみる。
フェアリア語は得意。今だって難しい単語以外は読める。
「えっと、なになに?
拝啓、我が友達へ?へんなの。んで・・・新たな命をありがとう・・・なんなのよ?」
思わず言い返してしまうミハルが読み進める。
短い文章に綴られてあるのは・・・
「<あなた達に頼みたいのは、娘を大事に育てて貰いたいのです>・・・?
<この命の火を消さないように。唯祈り続けて欲しいのです>・・・死んじゃいないよ?
<きっといつの日にかお逢いできると願うからです>・・・フェアリアでってこと?」
羅列された文章には、所々穴が空いている。
「なによぉ?単なるお祝いと再会を祈念してあるだけじゃない?」
文章だけ読めば、そうなのだが。
「あ・・・この<ルゥ>って名前。なんだか引っ掛かるな?」
最後に書かれてある差出人の名前に、違和感が募る。
「よっし!伯母ちゃんがやったように・・・魔鋼力を注いでみよう」
ミハルはニャンコダマが読んだ方法を試してみる事にした。
右手の宝珠を便箋に翳すと、異能を齎す。
「スペルはなんだっけ?・・・ま、いいか。お試しなんだから」
・・・この辺がミハルのいい加減な処であり、良い処でもあるのか?
魔力を注がれた便箋には・・・
「ありゃ・・・やっぱり駄目じゃん。やり方が悪いのかなぁ?」
・・・・言わんこっちゃない・・・
別段変わった事も無い便箋に、ミハルは?
「それじゃぁ・・・これでどう?!」
攻撃魔法のスペルを詠唱した?!
攻撃魔法・・・つまり?
「エクセリオ・ブレイカー・・・なんちゃって!」
・・・なんちゃって、魔法ですかい?!
「・・・ほ~らっ、何も・・・え?」
・・・えっ?!読めるのか?
「こ・・・これって。まさか?!」
・・・マジですか?
「「ふむ・・・とうとう。
正体を表したわね・・・いいえ。見せる日が来るようね」」
瞬間転移して来たニャンコダマが背後から覗き込んでいた。
勿論、気配を消して・・・だ。
「「私にはダンマリを決め込んだつもりでしょうが。
甘かったようね・・・ミハエルさん?」」
嘗ての大天使名を呟くニャンコダマ。
「「姫御子に隠された意味。姪っ子に預けた力・・・その全てが二人の運命を悟らせてくれた」」
蒼い毛玉は眼を閉じる。
「「ミハエルさんも・・・再び闇に連れ込まれたっていうのね?ルゥ・・・
いいえ、堕神ルシファー。人に成りきれなかった神よ」」
ミハルの力で現れた3Dグラフィックから知らされた。
数か所空いた孔から光が噴き出し、一人の天使を浮かび上がらせていた。
嘗て人であった頃、女神の前に現れた天使ミハエル。
その彼女の姿が光の中で助けを求めていたのだ。
「新しい映像放送?!それともゲームなの?」
・・・がくりん・・・ずっこけるわ!
「なんだろうこの人?背中に羽根がある所を観ると・・・天使様かな?」
現れた3Dに、変な処で興味を惹かれた。
「こんな技術があるなんて!どうりでマモル君もルマままも見せない訳だ。
きっとこれは新たな魔鋼技術で開発された秘密装置なんだ!」
・・・駄目ですね。こりわ・・・
「それにしても、こんなに綺麗な人を創造するなんて。凄い技術ね!」
・・・も、好きにしなさい。
映像からは音声が出ては来なかった。
もし、ミハルに女神や姫御子の力があったのなら、聞こえたのかもしれないが。
・・・・待てよ?そう言やぁミハルの中にはコハルが居たんじゃ?
傍に居るって言っていたような・・・・
「「これは一大事。姫様に報告するべきや否や?」」
姫御子の爺やに知られてしまったようですが・・・どうするんだ?
闇の気配を感じ取れないミハルには分からなかったようですが。
「「ふむ・・・見られちゃったみたいね?」」
ニャンコダマには知られたようです。
その前に、仕組んだのはニャンコダマだったのでは?
何を企むニャンコダマよ?!
まったく・・・呆れた伯母と姪。
騙しあいの結末は?
ニャンコダマ・・・どんどん人間離れしていってるぞ?!
さて・・・なにやらややこしくなっていきそうですね?
どうでもいいけど・・・・・・・
次回 ミハルの秘密?!第5話
爺やは慌てんぼう。そして姫御子はもっと慌てんぼう・・・イザ!出陣?!