ミハルの秘密?!第2話
ニャンコダマは凶暴です。
ご注意ください・・・By姪っ子ミハル
(本文中にこの訳が載ってます)
目を細めて二人が見ている写真。
数々の思い出が詰まったアルバムを手に取り、思い出に浸っている。
モノクロの写真は、色あせない想いを醸し出す。
カラーになった写真は、ついこの前の様に・・・
リビングで寛ぐ夫婦の後ろで、こそこそと蠢くのは。
ー 伯母ちゃん、どうしてアタシがコソコソしないといけないの?
頭の上に乗っかるニャンコダマに、文句を溢すミハルが居るんですが?
「「ええいっ!だまらっしゃい!こう言う事はコソコソするに限るのよ!」」
ー ふぇ?そーいうものなんですかぁ?
寛ぐマモルとルマの背後から、一人と一柱が覗き込んでいる。
目にするのは二人が見ているアルバムだけじゃなかった。
「「うむむ・・・善く見えないわねぇ。もう少し近寄らなきゃ」」
ニャンコダマが眼にしたがってるのは、アルバムに付随した手紙だった。
それがどうして観たいのかというと?
「「姪っ子ちゃん、隙あらば奪い取りなさい!」」
ー えぇ~っ?!なんでアタシが?
文句を言うミハルに、強権を発動するニャンコダマ。
「「良いこと?あの手紙にはきっと隠された事実が記されてあるのよ!
それは姪っ子ちゃんだけに纏わる真実だけじゃない。
この世界に関わる重大情報が記されてあるに違いないのよ!」」
ー ・・・ホント?
命じられたミハルの頭にクエスチョンマークが燈る。
「「ギクッ?!そこで突っ込まないよーに」」
顔を引き攣らせるニャンコダマ。
どうやら本当の訳は他にありそうだが?
「「ともかく!あの手紙に記されてあるのが、我々にとっての重大事には違いないのよ!」」
言い切ったニャンコダマが、うっかり姿勢を高くしてしまった。
(つまり、仰け反って胸を張ってしまったという事)
そのままの高さでもう一度夫婦の手元を覗き込んでいた。
覗きこむニャンコダマの紅いリボンが、夫婦の視線に触れていたのだけど・・・なにか?
マモルの手が封筒を片付けた。
そのままアルバムを閉じてしまうと。
「覗きの趣味があったなんて。ミハル姉も随分人間臭くなったね?」
振り返って蒼毛玉を探り当てた。
「「うにゃぁっ?!バレてしまったぁっ?!」」
・・・バレないでか。
マモルの視線には、立ち尽くしている娘だけしか映っては居なかった。
ー 逃げたな・・・伯母ちゃん
腕に着けている宝珠に向けて、ミハルが悪態を吐く。
「あら、ミハル?何をコソコソ観ていたのよ?」
別に好きでコソコソしていた訳じゃない。
伯母にそそのかされてそこに居ただけ。
「別にぃ~っ、二人の邪魔にならないようにしてただけじゃん」
半分は本当の事。半分は秘密。
「ちょうど良かった。こっちにおいでよミハルも」
疑いも無いのか、マモルが呼び招く。
「昔のアルバムが出て来たんだよ、大掃除していたらさ」
「そうそう!懐かしいのが一杯ね」
二人がソファーの真ん中を開けて手招きして来た。
「ふ~ん?昔っていつくらいの?」
招かれたミハルが、真ん中に陣取って座る。
一度閉じられたアルバムが最初のページから開かれると、モノクロの写真が眼に映りこんだ。
古ぼけた白黒写真には、どれも観た事も無い人達が映っている。
その誰もが微笑み笑う顔で写されていた。
「あれ?これって・・・伯母ちゃんじゃないの?」
端々が所々千切れた一枚に映っているのは・・・
「そう!良く解ったね。これが島田 美春っていう伯母ちゃん。
本当の美晴の伯母ちゃんの笑顔だよ」
指で撫でて教えるマモルが、戦車をバックに撮られた娘の名を教えた。
「へぇ~っ、本当に似てるんだアタシって」
そこに居る人は、微笑みかけている・・・仲間達に囲まれて。
「そうかな?この当時のミハル姉は17歳だったから。
もう少し年齢が上だし、時代が時代だったからなぁ」
マモルが余計な一言を溢してしまった。
「時代って?ああ、そうなんだ。
戦争中だったんだよね、確か神々との最終戦争とかいう?」
歴史に疎いミハルが、聞き齧っていたハルマゲドンを指すと。
「違うわよミハル。この当時は人間同士の戦争中だったんだよ?」
ルマから注釈が加えられる。
「これは欧州で起きた二国間戦争時の写真なの。
フェアリアと帝政ロッソアとの間で起きていた、戦争時の写真なのよ」
そう教えられてみれば、確かに後ろの戦車も時代物に観えた。
「これはね、僕がまだミハル姉達と合流する前の写真なんだ。
当時仲間だった方から譲り受けた大切な写真なんだよ?」
そう言われてみれば、一人だけ記憶にある人の顔に気が付いた。
「あ、これってもしかして。マリアちゃんのお母さん?」
癖っ毛の少女が、伯母ミハルに寄り添っている。
「おっ?!良く見抜いたな、大当たり」
嬉しそうにマモルが頷く。
「へぇ~っ、マリアちゃんと少しも変わらないんだね?」
友達は母譲りと言った処か・・・と。
「そうねぇ、ミリア少尉は美春義理姉の金魚の糞だったわ」
ー もしもーしっ、金魚の糞だなんて・・・言って良いの?
フェアリアでの最終階級を口に出したルマが懐かしそうに悪口を溢す。
二人の仲がどうだったかは知らないが、確かにミリアはくっついている。
写真に映っている人を順に見ていて不思議な人を見つけた。
「あれれ?この人が指揮官?帽子をかぶっているから良く解らないけど?」
写真の片隅にこちらを横顔で見ている女性に気が付いた。
「だけど・・・どこかで会った事のあるような女性だなぁ?」
陰を纏う少女のような軍人は、何かを訴えるような瞳を向けている。
「あら、気が付いたようねミハル。
士官帽を被ってるのが第97小隊指揮官の・・・」
ルマが前のめりになったミハルへ向けて名を告げようとした時・・・
「「あああああっ?!リーン!私の愛するリーン!」」
宝珠からニャンコダマが堪らず飛び出してきて、ミハルを吹っ飛ばしてしまった。
すりすり・・・すりすり
蒼いニャンコダマが涙を零して写真を愛撫している。
「なんと・・・凶暴な」
顎を押さえてミハルが毒づくが。
「まぁまぁ、そう怒らないでミハル」
「こうなる様な気はしてたんだけどね」
夫婦が交々間を取って宥めると。
「この方が、女神ミハルの御主人様。当時の指揮官でもあるリーン王女殿下よ」
ニャンコダマが擦り寄っている女性を指して、ルマが教えて来る。
「へぇ~っ、どうりで。伯母ちゃんにとっては代えがたい人なんだねぇ?」
女神の御主人と呼ばれたリーンに、どこかで会った人を重ねるミハルに、
「「違う・・・リーンは、人じゃないわ」」
ニャンコダマが言い返して来た。
「「私のリーンは<此処に移った人>じゃないもの」」
目を閉じたまま、ニャンコダマが正して来た。
「姉さん、その話は・・・」
マモルがそれ以上話さなくても良いと停めたのだが。
「「いいえ、私と同じ女神だったのよリーンは。
戦いの果てに誓い合えた、唯一柱の<審判の女神>・・・」」
ニャンコダマの紅いリボンが揺れている。
永き時を越え、再び廻り合わんとしている女神に想いを馳せて。
「ふぅ~んっ、伯母ちゃんの御主人様は人ならざる立場の人なんだ?」
どう言って良いのか分からず、ミハルがまた人と言うと。
「「姪っ子ちゃん、ふかぁ~い話を知りたければ。
<魔鋼騎戦記フェアリア><魔砲少女ミハル・シリーズ>
・・・を、読むべきだと教えておくから・・・」」
・・・って、おい?宣伝か?!(作者注・すみません)
「「・・・ま。そういうことで私のリーンは今も待っていてくれているのよ」」
・・・って、どういうことなんだ?
話が脱線しすぎじゃないのか?
「ミハル、この際言っておくけど。
女神の願いはリーン様と再会を果たすってことなんだよ?」
突然現れたニャンコダマの願いを教えるルマ。
「そうなんだ、アタシとルナリィ―ンお姉ちゃんとの約束に似てるなぁ」
フェアリア王女ルナリィーンとの想い出を語るミハルが。
「月夜に出会った輝の王女様に・・・」
懐かしそうに思い描いてしまった。
写真に映っているリーンと、面影を重ね合わせて・・・
懐かしさのあまり・・・←ニャンコダマの言い訳。
すりすり・・・の部分を想像してみてください。
写真に乗っかり頬摩りしてる蒼毛玉を。
涙より笑えませんか?
さて、ミハルの過去って、何かが潜んでいるようですね?
次回 ミハルの秘密?!第3話
いやいや、君達って。やっぱり伯母と姪なんですね?