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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
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蒼き光の子 Act7

光が戻って来た・・・そう。


コハルの蒼き魔王石。

ソコに宿ったのは・・・女神

気が付けば、制服姿のマリアに揺り起こされていた。


「あ痛たたたぁ」


手足に筋肉痛を引き起こしたみたいな痛みが奔っている。


「大丈夫かいなコハル?」


心配そうなマリアの顔が覗き込んで来る。


「あ・・・マリア?アタシどうなっちゃったの?」


呆っとした頭の中には、闇に捕えられていた時に見た光景が浮かび上がる。


「そ、そうだよ!化け物に捕まって・・・って、アレ?」


今、目の前に居るマリアは制服を着て覗き込んでいる。

周りの光景も、夕日に染まる公園の中。


「おいコハル?しっかりしぃな?」


もう一度揺さぶられて、やっと自分を取り戻せた。

痛みが嘘では無いと、夢では無かったのだと教えて来る。


「あ、あああああっ?!マリアっ、化け物は?

 あのマントに身を包んだ怪物はどうなったの?

 マリアがやっつけてくれたんだね?!」


自分が気を失っている間に、マリアが闘って助けてくれたのだと思い込んだ。


「あ、いやあの・・・な?覚えとらんのかいなコハルは?」


気を失っていたのだから覚えている筈もない。

コハルが答えようとする前に、マリアが急に笑い出した。


「あははっ!そっか、寝ていられるくらい肝っ玉が太いんかコハルは!」


い、いやそうじゃなくて・・・笑い掛けられたコハルが口をあんぐりと開けて言葉を失う。


「そんならもう大丈夫やな?コハルは何も覚えとらんのやったら、言う事あらへん!」


ニヤッと笑い掛けられ、コハルは何も言い返せなくなる。


「と、とにかくっ!ありがとうマリア、助けてくれて」


コハルは自分を助けてくれたのがマリアなのだと思い込んで、


「あんな怪物をやっつけちゃうなんて、マリアは正義の味方なんだね!」


お礼と讃える言葉を贈るのだった。


「・・・ホンマ、コハルって天然お花畑娘はなばたけむすめなんやなぁ?」


「?それって・・・褒められてるの?」


キョトンとしたコハルに、毒づいたマリアがガクッと肩を降ろす。

ある意味、何事にも動じない女の子なのかもしれないのだが。


一頻り笑えた所で、マリアが立ち上がり。


「コハル、立てるか?立てるんやったら帰ろう」


コハルを家まで送ろうと手を指し伸ばす。


「うん・・・あ、痛っ!」


立ち上がって歩こうとしたコハルが痛みを訴える。

右足に痛みが残っていて、歩くのが辛そうに見えたマリアが肩を貸して。


「掴まりコハル。家まで送っていくわ」


人懐っこい笑みを浮かべた。


「えっ?!良いの?マリアのお家は逆方向なんじゃなかったの?」


「ウチのことはええから。このままほっぽっては帰れへんやんか?」


肩を貸してくれているマリアの声が気持ち良かったのか、

コハルは肩を貸してくれているマリアにそっと寄り添った。


コハルの家までゆっくりと夕日を浴びて歩く。

自分より背が高いマリアの肩に掴まり、蒼い瞳の親友を頼もしく思えて。


「なぁコハル、頼みがあるんや。

 家に帰ったら何があったんかを、話さへんで欲しいんや。

 家の人に訳を訊かれても教えへんといて欲しいんや・・・分かるやろ?」


マリアが頼んで来る事、願っているのは友達としての配慮を望んでいる。

家の人に話してしまえば、これから付き合う事を認めて貰えなくなると考えての事だろう。


「えっ?!でもぉ・・・ちゃんと話したら解ってくれるよ。

 だって、マモル君は元勇者だったんだから・・・」


「そやかて、魔法がこの世界に復活してるんを大人に知らしたらアカンってオカンが・・・」


マリアの母親が、言う事は尤も。

娘に魔砲力がある事を他人に知られれば、どんな目に遭わされるかは判らないのだから。


「マリア、アタシの家は他とは違うよ?

 伝説の勇者の家系なんだもん・・・大丈夫!」


何処を根拠に大丈夫と言い切れるんだ?

マリアはお気楽に言うコハルをジト目で観て、心の中で毒づいた・・・が。


覗き込んだコハルの胸に光るネックレスを観て、思い直した。


「そう・・・かもな。コハルの家だけで、だぞ?

 他の奴等には絶対内緒なんだからな?」


眼にして、耳で聞いて。

確かに存在しているのだと、コハルのネックレスに宿った力を思い出して。


ー ウチの方こそ、いつまで黙ってられるんか判らへんですよ、女神ミハル様・・・


ふっと、気持ちが楽になった。


「約束やからなコハル!他の奴等には内緒やで?!」


「やぁーだ!自慢しちゃうもん!」


あっさりと拒否られる。


「親友のマリア様は世界を救う勇者様なんだって。

 アタシを助けてくれた魔砲少女なんだって、言いひろめちゃうんだもん!」


まるで自分の手柄みたいに胸を張って自慢げに言うコハル。

眼をパチクリさせて親友を名乗るコハルを観ていたマリアだったが。


「この口か!この口がそんなアホなこと言うんやな!

 ええか?!この口が拡めるん言うんやったら、こうしちゃる!」


イキナリコハルのほっぺたを両手で摘まんで引っ張った。


「いひゃぃよぉ、ごめんなひゃいぃー」


抓られたコハルが泣いて謝った。



挿絵(By みてみん)





玄関に着くと、コハルが呼んだ。


「ルマお母さん、ただいまぁ」


それまで肩を貸していたマリアが、制服の乱れを正してコハルの後ろに立つ。

程無く、玄関が開け放たれ出て来たルマが。


「あらっ?!お友達かしら・・・って。

 よく見たらミリアさんの処のマリアちゃん?おっきくなったわねぇ?!」


「えっ?!お母さん、マリアさんを知ってたの?!」


マリアを観た瞬間に名前を告げたので、コハルの方が驚いた。


「えっ?!ウチを知ってるんですか?」


初対面だと思い込んでいたのはコハルばかりでは無かった。


「そりゃーもう、ね。なにせ、親戚みたいなものだから」


「えっ?!どういうことなの、ルマお母さん?!」


驚く娘とクラスメートを家の中に導きながら。


「どうもこうも、ミリアさんはフェアリアからずっとママの上司様なのでぇーす!」


あっさり言い切られた。


「えっ?!マリアさんのお母さんもフェアリア公使館で働いてるの?」


「いえーす!」


呆然と母親を見詰める二人。


「しかも、マリアさんはマモルとも親しい間柄。

 伝説の女神にも親しく、教えを乞うていた人でもあるのだよねぇ!」


マリアに向かってウィンクするルマお母さんに、眼が眩みそうになるコハル。


「だぁあああぁっ、なんですかこれは?」


「ウチに訊かれても・・・知らんかったw」


あっけに取られるマリアと娘に。


「さぁさぁ、入って。ちょうど私も今帰って来た処なの。

 とっておきのケーキをゲットしてきたの、ご一緒しない?」


夕飯前だというのに・・・この親は。

・・・と、言うのは嘘。

喜んでって、言うのが本当の少女。



公使館の貸与制服を脱ぎ、ブラウス姿になったルマがお茶とケーキをダイニングから持って来た。


「さぁ、楽になさいマリアちゃん。

 本当に見違えるくらい綺麗になったわねぇ、こんな赤ちゃんだったのに」


ルマがコハルを指して微笑む。


「アタシは赤ちゃんか!」


吠えるコハルを気にも懸けず、


「マリアちゃん、あまり独りで探索するのはどうかと思うな、おばちゃんは。

 お母さんも心配なされておられるのよ?ウチの子はいつも独りっきりなんだって」


コハルとクラスメートの少女に言い聞かせる。


「せやけど・・・おとうはんを探すにはそうするより・・・」


俯いてしまったマリアを観て、


「ミリアさんや私達に任せて頂戴、日の本にも協力を願い出ているの。

 マモルの義父おとうマコト様も、何とか救出できるように考えてくださってるからね?」


マリアの手を取って励まそうとした。


「でも、ウチだって。何とか情報を掴みたいんです。

 ファーストを見つけ出せれば、お父はんの手がかりも掴めると思うから」


二人の会話に着いて行けず、コハルはキョトンと聞くだけだった。


「それよマリアちゃん。独りで探すのは危ないから。

 相手はファーストと呼ばれる悪魔の化身なのよ?

 まかり間違えばマリアちゃんもお父様のみたいに行方不明になる。

 いいえ、どこかに連れ去られてしまうかもしれないのよ?」


ルマが言った言葉に頷くマリア。


「これからは危ない事に手を出さないでね?

 いつどこで闇が手を伸ばすかも分からないから・・・」


マリアが承諾したと思ったルマが、つい口を滑らせてしまった。


「お母さん、闇って何?」


コハルに訊き直されたルマが、慌てて口を噤んでから。


「ほっ、ほらっ!ここのケーキってなかなか手に入らないのよねぇ」


言い逃れるみたいにお茶とケーキを薦めて来る。


「ルマお母さん、何か隠してるでしょ?」


「あらぁ?!なんだったかしらぁ、おほほほほっ!」


白々しい笑いを上げてルマが言い逃れる。


「と、とにかく、マリアちゃんもコハルも。

 <闇の者>なんかに関わったりしないで、ちゃんと学校に行く事!」


下手な言い繕いが却って悪化させると、ルマは考えてないのか。

それとも・・・


「はぁーいっ、学校へ行くのが小学生のお仕事だって言いたいんでしょ?」


いつもそう言われ続けて来たのか、耳に蛸が出来ているのか。

生返事を返したコハルを観て、マリアがクスッと笑いを溢した。




「ケーキ美味しかったです!ありがとうございました!」


頭を下げて、お礼を言うマリアに。


「気を付けるのよマリアちゃん。

 それから忘れないで、あなた達の事を見守っている人達が居る事に」


帰宅時の注意として告げたのか、それとも危険な事に関わるなと忠告したのか。


「はい、心に留めていますから。ありがとうルマおばさん」


マリアがお礼を言い終わると、手を振りながら走り出す。


「気を付けてねマリア!また明日!」


玄関まで走り出たコハルも手を振り送り出す。


マリアの姿が見えなくなるまで手を振っていたコハルの頭上には、

月が優しい光を溢していた。

お母さんは誤魔化そうとしました。

でも、お母さんらしいというか、なんというか。


だけど、マリアのことも知ってたから・・・良いか!


次回 魔鋼の魔女っ子 Act1

皆それぞれに想いを馳せる・・・誰しもが今を生きて居るのだから・・・


ミハル「思い想われ・・・私という存在に皆が気付き始めます。なぜ帰って来たのかと」

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