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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
136/219

闇を振り撒く者と輝ける魂<悪魔と神の狭間>第4話

救済に向けて切り開く!


ミハルの魔鋼剣が叩きつけられた!!

バーニアが噴き出し、機体が飛び上がる。

目指すは<八岐大蛇>の心臓部・・・魔鋼機械中枢にある・・・


ー 待って!待って!待ってよぉっ?!


装備された魔鋼剣でなら。


ー 破壊するのは出来るけど!そんなことをしちゃったら?!


中心部にある魔鋼機械を壊してしまえば。


ー ローラ君のお母さんも消えちゃうよぉ?!


機械を破壊すれば、そこに宿る魂は一体どうなるのか?

心配で叫んだミハルにはお構いなしに<零号機>は進む。


「良いから!私に任せておいてよミハル!」


憑代の声にコハルが言い切った、任せろと。


ー わ、判った!コハルちゃんを信じるからっ!


もう目前に迫った邪龍に、一瞬だけ身体を取り戻した。


「いくよぉっ!貫けっアタシの魔鋼剣!」


魔力を全開にして、ミハルは切っ先に集中した。

破かれた装甲の中へ剣を突き立てる。

魔鋼機械の中枢部にある、十数センチしかない水晶へと届いた。


「砕けろ!邪操の水晶よ!」


手応えは完璧。魔砲の異能は剣先から水晶へと流れ込む。


「「今だ!魂よ来たれ!我が元へ!」」


破壊される瞬間だった。

大魔王の姫御子が、禁じ手を放ったのは。


神だろうが、魂を左右する事は出来ない。

人の生き死にを支配できても、その魂を移動させることは神でも赦されない。


だが、この世界では魔王級の闇の力を放てるのならば違った。

邪なる力とも言える。不変の真理に反した異能ちからとも言えた。


「「今迄助けてあげられなくてごめんなさい」」


姫御子の異能は魂に謝罪する。


「「闇の者を代表して謝ります。どうか許してください」」


呼びかけたコハルの元に、一つの穢された魂が訪れる。


「「苦しかったでしょう?辛かったでしょう?

  もう直ぐ輝の御子に、贖罪して貰いますからね?」」


小さくなった魂を抱き締めたコハルが、憑代のミハルへと願いを込めた。


「ねぇねぇコハルちゃん?どうなってるの?」


機械は停止している。

猛威を振るっていた<八岐大蛇>も、全ての機能を停止していた。


ー ここまではね。魂を取り留めているんだよ?

  これからはミハルの出番・・・と、言うか。この人の肉体は何処にあるの?


「ええっ?!ローラ君のお母さんを救ったんじゃなかったの?!」


挿絵(By みてみん)


驚きの声を張り上げるミハルに、ちょっと戸惑いをみせるコハルが。


ー 救えたよ?魂はね。

  でも、完全とは言えないの。魂を肉体に戻してあげないと!


「あ・・・なるほど。そりゃそうだよね?!」


納得したミハルであったが、肝心の事を忘れていたようだ。


「そ、そりゃぁ一大事だよ!お母さんってどこに居るんだろ?」


ー なによミハル?本人がどこに居るのかも知らずに助け出そうって思ったの?


聞き咎めたコハルに対し、今の今迄知らずにいた事を思い出した。


「ど、どうしよう?!ローラ君のお母さんってどんな顔してるのかも知らないよ?」


ー あっきれたぁ~っ、ミハルは昔と同じでドジっ子のままなのね?


呆れ果てられても困るけど。

周りのみんなも知らないと思う、この現場に居る唯一人を除いては。


「そうだ!ローラ君が居た!

 この辺りに居る筈のお母さんを、見つけ出して貰おう!」


気が付いたミハルが、無線を使おうとしたが。


ー あ、ごめんミハル。

  マモル君達には知らせないで欲しいんだ私の存在を・・・


停められたミハルがスイッチにかけていた指を放す。


「え?!なんで?」


ー それは・・・私だから。もう逢っちゃいけないから・・・


小声が震えて聞こえた。

悲しむ声、擦れる言葉。


何故だかは知らないが、それが良いことの様に思えて。


「判った・・・でも。この状況をどうやって教えたら良いのかな?」


大魔王の姫御子に因って魂は救えた。

でも、器であるローラ君のお母さんの肉体の在処が掴めない・・・


頭の中で駈け廻る言い訳に、通話ボタンを押すのを躊躇う。



 ポチ



ー あ・・・・えっ?!


指先がボタンを押している。意図せずに・・・


「こちら<翔騎>隊の<零号機>。聞こえますか?

 聞こえてるのなら、マモル・・・マモル君に繋いでください」


憑代ミハルの声が呼びかけている。

乗っ取られたミハルへは断りもせずに。


「「聞こえてるわミハル3尉官。無事だったのですね?」」


無線を受けての返答だ。


「はい。時間がありませんから早くマモル君を!」


ー 待って待って!マモル君と言うのはまずいよ。司令って呼ばないと!


注釈を入れるミハルを無視して、コハルは呼び続ける。


「マモル君!聞こえる?

 急いで調べて欲しいの、この人の肉体が何処にあるのかを!」


ー あああっ?!バレちゃうってば!

  自分で知らせないでって言ったじゃないのぉ?!


しゃしゃり出て来たコハルに、慌てふためくミハルだった。


「だって・・・我慢の限界だったんだもん・・・我慢しようとは思ったんだよ?」


何故?なぜコハルは禁を破ったのか。


「「無事だったか!それで栗林君を救出したんだな?」」


無線機の調子でも悪いのか、声がくぐもって聞こえる。


「あ・・・あ、あのっ。そう・・・です」


くぐもった声に感極まったようなコハルが返すと。


栗林法子くりばやしのりこ君の肉体だが、こちらで発見し終えている。

 データを転送するから、方位盤に入力したまえ」


「あっ?!はい・・・判りました。

 あ、あの。マモル・・・君ですよね?」


喋り方に違和感があった。

記憶の中に居るマモルとは別人のようにも思えるのだが。


ー そうよね?これってもしかしたら・・・マコトお爺ちゃん?!


感ずいたミハルが、知らせようとしたら。


「「ざんねぇーんっ!この回線はトレーラーに繋がってるのよねぇ。

  お生憎様だったわねぇ! おーっほっほっほ!」」


ど外れな大声が割って入って来た。


ー 伯母ちゃんだ・・・


名を告げられなくても判る。これは女神ニャンコダマの悪戯だと。


「なんで女神ミハル様が?!どうして?」


呆れるミハルに対して、コハルは涙声で訴える。


「「なぜって?そりゃぁ妨げたくもなるわよ。

  貴女はマモルの声を聞きたかったみたいだけど、お父さんも聞きたいって言うんだから。

  先ずは親孝行ってね・・・判るぅ?」」


無線機の先でふんぞり返っているニャンコダマが想像できた・・・ミハルには。


「そ・・・そうなんですか?

 じゃぁ、お爺ちゃんも私だって認識されておられるんですよね?」


「「コハル、久しぶりだね。音声だけじゃなくて顔が、姿が見て観たいよ?」」


ぶわぁ・・・堰を切ったように涙が溢れ出る。


「お爺ちゃん!マコトお爺ちゃん!私・・・私だよ、コハルです!」


「「ああ、孫の声を忘れる筈が無かろう?6年ぶりになるかな、コハルの声を聞けたのは?」」


うんうんと頷くコハルが、耐えきれなくなったのか。


「お願い!一目だけでも良いから!

 無線じゃなくて通信回路で繋いで!」


モニター周りのスイッチをやたら滅法にオンにする。

その中には直通回線のスイッチも含まれていたのだが・・・


ー ・・・しぃーらないっと・・・


敢えてミハルは教えなかった。

その回線が<大鳳>につなげられている事を。


「「お爺ちゃんもミユキお祖母ちゃんも。

 コハルが戻って来れるように、いつも祈ってる。

 力に慣れなくて申し訳ないと、6年間ずっと謝りたかったのだよ?」」


「ああああ~んっ!謝らないでお爺ちゃん!

 大好きな二人にいつまでも後悔させて、ごめんなさい!」


大泣きするコハルに、ミハルは疑問を募らせた。


ー ちょっと待ってよね?!アタシが孫なんですけど?


マコトとコハルの間に繋がるのは?


ー それよりっ!栗林法子って・・・誰?


お間抜けなミハルならではの疑問符だった。



気が付いていたミハルの予想通り。


「戻れたんだなあの子が・・・ルマ?」


紅鞘を持って来てくれたルマを傍らに抱き、マモルが笑っていた。


「うん、永かったわよね・・・6年も。6年もかかったのね?」


父マコトとの間で交される会話を耳にしていた。

娘とは僅かに話し方が違う娘に、ルマは涙を堪えきれず。


「大きくなったかしら?どんな表情かおをしているのかしら?」


まるで本当の母親の様に懐かしんでいる。


「コハルもあの娘と同い年なんだから・・・きっと似てるだろうな?」


マモルでさえ、コハルを差し置いてミハルをあの娘と呼ばしめる。


「きっと戻って来ると信じてたのよ、私・・・」


「僕もだよ。コハルは僕らの娘なんだから・・・」


大魔王の姫御子コハルが?

どうして自分達の娘だと言えるのだろう?

マモルとルマ、そしてコハルの間にはどんな因果が?!


気勢を制した女神ニャンコダマの思惑も気になるが・・・・


ー ねぇねぇ?みんなぁ?早くしないといけないんじゃなかったのぉ?!


蚊帳の外のミハルも気になっているみたいですが?



救ったのは良いけれど?

助け出したけど?


まだ魂はあり処へとは戻っていない?!

それじゃあ・・・あの人達に頼まなきゃね?!


次回 闇を振り撒く者と輝ける魂<悪魔と神の狭間>第5話

君の求めに答えるのは?!・・・と、その前に見えたのは幼き自分?!それは・・・

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― 新着の感想 ―
[一言] コハルは僕らの娘なの? ……??? そしてママの名前を把握していなかったとは。 らしいと言えばらしいのぅ(笑) おじいちゃんは孫がかわいくて仕方ないのでしょうな……。 で、無事にローラ…
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