表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
130/219

だって 女の子だもん 第10話

コハルとミハル・・・


闇と光の娘が邂逅した・・・

幹線道路脇に停められた軍用トレーラーに、<大鳳>からの緊急電が入った。


「島田IMS司令よりの緊急電ですっ!」


サングラスを掛けたマコトへ、電文を読み上げる。


「目標は明らかに異形の力を宿す者なり。

 当方の<翔騎>では破壊出来ず、至急増強戦力を向かわれたし・・・以上です!」


モニターに映し出された画像と報告分を読み上げる女性士官。

サングラス越しに画像を観ていたマコトの口端が歪む。


「マモルの隊では対処が出来なかったようだな・・・

 あの子では能力に限界があった・・・いいや、<零号機>では。

 現れた魔鋼機兵には能力不足だったということか」


トレーラーに付属した整備室を改造し、指揮管理室にされた狭い空間で。

マモルからの来援要請を受け、直ちに行動を起こさねばならないというのに。


「如何為されますか?」


サングラスをついっと持ち上げたマコトに士官が訊ねる。

それには答えず、マコトは一つのボタンを押すと。


「どうかね?やれそうか?」


誰かに促す様に訊いた。


「「いつでも。出撃可能です」」


了承する声が即座に返されて来た。


「うむ、<2号機>の試験を兼ねる意味もある。

 今後のデーターを取る意味もな・・・十分に心してあたれ」


「「了解・・・」」


ボタンから指を放したマコトが、士官に向けて命じる。


「宜しい、それでは<2号機>を向かわせたまえ」


責任者の命に、女性士官が頷き復唱する。


「了解です!本分遣隊はこれより臨戦態勢に移行。

 IMS隊の要請を受けて出撃にかかります。

 本車は直ちに現場に急行、直ちに敵撃滅作戦を展開します!」


「よかろう・・・」


マコトの認証を受け、士官が運転手に達する。


「至急道魔重工業敷地内へ向え!到着次第<新型機>の発進を執り行う!」


女性士官の命令で、トレーラーが動き始めた。


テキパキと命令を下す女性士官にも目もくれず、マコトは考えていた。

先ず初めに、孫のミハルが操縦している<零号機>の性能の事。

次に考えるのは<新型機・2号機>の性能と、操縦者の異能ちから


ー 本来は魔鋼能力レベル5ようなのだがな。

  あのが戻って来れば使いこなせるだろうが・・・二機とも


マコトの脳裏には魔法衣を着る娘が映されている。


ー いつか・・・その日が来ると信じているぞ、ミハル・・・


サングラスの中で瞼を閉じたマコト。

今彼が思う娘は・・・どこに?









「「マリア!直ちに予備電源を使用して、その場から退避せよ!」」


猫田2尉の声が、撤退を命じて来た。


「なっ?!ミハルを置いては行けません!」


点滅するモニターからの命令に異議を唱えるマリアが、


「救出を命じるのならトモカク、見捨ててなんていけません!」


正面モニターだけが灯されたコックピットで抗議する。

予備電源の活動力では、救出もままならないのは百も承知で。


「<零号機>の救出は来援する味方に任せておけば良い。

 これはIMS司令の命令と認識しなさい!」


司令であるマモルが命じたと明かす猫田2尉が、マリアへと言い返して来た。


「来援?!そんな者がどこから?」


自分達以外に<翔騎>部隊があるなんて、今の今迄知らされていなかった。


「私達の<翔騎>以外に、ミハルを助けられる者が居るんですか?」


<翔騎>に絶対の信頼を寄せるマリアからの問いに、


「それは来援者を観てから判断すれば良いの!

 <一号機>は直ちに撤収、戦闘区域から離れなさい!」


猫田2尉の回線に割り込んで来た艦長代理のルマが、一刻も猶予が無いと急がせる。

有無を言わさぬ声に、マリアは唇を噛み締めて頷くよりは無かった。


「ルマ艦長代理・・・ルマまま。それで良いのですね?

 ミハルを見殺しにする気じゃ・・・ないんやなっ?」


心の底にあった声が、零れだしてしまうマリアだった。


「勿論よ、だから来援を頼んだんじゃない?」


返って来た母親の声には、しっかりと確信があるように聴こえた。


「あの子には少しだけ我慢させないとね。

 停めたのに突っ走ったのは、あの子の性格の所為。

 ちょっときつめのお灸を据えないと・・・いけないからね」


怒るでもなく窘めるでもなく。

母であるルマが、娘であるミハルを信じているからこそ。

そう言い切れたのだろうとマリアも納得した。


「了解!本機は直ちに撤収します。<零号機>の状態を見張っていてやってください」


落ち着きを取り戻したマリアの頼みを、猫田2尉も聞き遂げる。


「監視モニターも展開中。

 一ミリたりとも見逃したりしないわ!」


二人の声にマリアは予備電源のスイッチを押し込んだ。





「「貴女のお友達・・・マリアちゃんだっけ?

  良いお友達を持っているんだねミハルって・・・」


再起動して、離れて行く<一号機>をモニターに捉えて。


「「貴女の事を想って・・・最後まで見ているわよ?」」


コハルの声が指していた。

脱出を図る機体は、前を向けた状態で後退していく。

それは決して見捨てた訳じゃないことの顕れ。


ー うん、本当にお友達に恵まれたの・・・アタシって!


コハルの力で映し出されているモニターに、ミハルは感謝の声を溢す。


「「そのようね、羨ましいわ。

  それに、家族にも・・・恵まれている様ね」」


コハルの言った意味が、その場では分からなかったが。


ー うん!勿論だよ。


返したミハルに、目を閉じたコハルが。


「「そうね・・・ホント。幸せね・・・ミハルは」」


まるで他人の事の様に嘯くのを、ミハルは感じ取ることが出来ずにいた。




モニターの端に映っている<八岐大蛇>は、中破した胴体を直そうともしない。

修復能力を何処の部分に使っているのか分からないが、動きを停めようとしていない。


攻撃するでもなく、まるで迷い悩むかのようにグラグラと揺れている。


「「これ以上の戦闘は無意味でしょう?

  私にこれ以上闘わせないで!もう十分でしょう?!」」


法子の魂は、まだ魔鋼機械に囚われ続けていた。

機械に魂を縛り付けた、本当の犯人に因って。


「「魔王よ!もう私を穢すのは辞めにして。

  いっその事、機械諸共破壊して果てさせなさいよ!」」


そう・・・法子の魂は、やはり魔王によって送り込まれたのだ。

叫ぶ魂を闇から覗いていたのは・・・


「ふふふっ!お馬鹿さんねぇ。

 お前の魂をそう易々と手放す筈が無いじゃないか。

 まだまだ利用価値があるのだからな・・・殺戮を繰り広げねば終わらないぞ?」


赤紫の髪、紅き瞳の・・・魔王ショルダー・ポーチが、鼻で笑った。


「お前が破壊され魂諸共<無>になる時。

 私の狙いも遂げられる・・・

 あの中に居る娘諸共、憎い姫御子を捕えられるんだからな!」


魔王は歪めた口で、法子の魂を弄ぶ。


「よいか!お前は私の傀儡にしか過ぎんのだ!

 お前が何とほざこうが、拒絶しようが。

 我が魔力囚われた魂の解放など、永遠に来ないと知るが良い!」


嘲る魔王。

人の魂を弄ぶ魔王ポーチ・・・


「思い知るが良い人間共!

 お前達には悪夢を与えてやる!

 そしてお前にもだ堕神の娘よ!覚悟するが良い!」


闇の結界の中で魔王が嘲て、人間界に魔力を放つ。


「絶望を見せてやろう!

 動けなくなったお前に、人の世界の武器で与えてやる。

 闇に堕ちた者のが宿る機械で、お前に苦痛を与えてやるわ!」


魔王ポーチの力が、魔鋼の機械兵を呼びだした。



<八岐大蛇>は揺れている。

その周りに転がる研究所の残骸が、突然地震の様に揺れ出した。


「「ミハル・・・来るわよ?!」」


コハルが眼を開き、何かを感じ取った。


「「下世話な奴が、手を下して来たみたいね」」


コハルの眼を通してモニターを観ているミハルにも、それが現れたのを認める。


ー あれは・・・邪操機兵?!


挿絵(By みてみん)


赤黒い召喚紋章から、血の底から湧き出る機械兵。

邪操機兵は都合4体。

召喚紋章から現れ出た悪魔の機械兵は、<八岐大蛇>を守護するかのように周りを囲んだ。


「「どうする?!動けないのよねミハル」」


活動限界を迎えている<零号機>には、動かせる動力源は無い。

魔法の機械も殆ど全部停まっていたから。


「「悪魔になら。私の力で対処が出来るんだけど。

  現実世界に現れ出た機械を、相手には出来ないからね・・・」」


大魔王の姫御子も、結界を張らねば闘う事だって出来なかった。


「「ここで結界を張り巡らせたら、あの中に居る魂も戻れなくなるかもしれないけど?」」


コハルが言いたい事が、ミハルには解った。


ー コハルちゃん、助けなきゃいけないんだ。

  喩えアタシがどんな目に遭おうとも。絶対に救い出して見せなきゃ!


「「ミハルならそう言うと思ったわ・・・」」


大魔王の姫御子コハルの力であれば、結界に取り込んでしまえば闘えた。

圧倒する事も出来よう・・・だが、そうしなかった。


「「ちょっとばかり痛いかもしれないけど我慢してよ?!

  死にはしないけど、護れ切れないかもしれないからね?」」


コハルはミハルの魂にそう呟くと、犬歯きばを剥き出しにして敵を睨めつけた。

こっちにもマコトしゃんが・・・(笑)


お爺ちゃんは寡黙だからねぇ。


そして<光と闇を抱く者>は、遂に言葉を交し合った。


戦いの様相は魔法戦に向かうのでしょうか?

なんだかポーチが画策していますが?


次回 だって 女の子だもん 第11話

圧倒的じゃないか!我が軍は・・・違いました。圧倒する力は誰が?!その時現れるのは・・・奴か?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] 友に恵まれるというのは、ありがたいことです……。 それはプライスレス(*^^)v で、誰が応援にくるの? ポーチかぁ。 意外と荷物が入らないんだよね(笑) ちなみにブランドはコーチ? …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ