表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
128/219

だって 女の子だもん 第8話

決死の戦い。

魔鋼少女ミハルは・・・その時?!

8本の首にはまだ頭部が繋がっていなかった。

辛うじて1本だけが攻撃可能な状態に過ぎなかった。


そこへ動作を停めたと思われていた白い<翔騎>が突っ込んで来たのだ。



「「我の命じられたのは敵対する者の撃譲げきじょう

  我に反する如何なるものも破壊する」」


<八岐大蛇>と呼ばれる巨大魔鋼機械兵が、闇の力で迎え撃つ。


たったの1本とはいえ、頭部に秘められた砲撃能力は馬鹿には出来ない。

速射可能の50ミリ砲が突っ込んで来る白い<翔騎>を狙う。


もう照準を絞る必要もない位迄近寄ったミハルへと、射撃を再開する。


「「白い<翔騎>めがぁっ!」」


機械の中枢に備えられてある水晶は、呪いの言葉と共に砲撃した。

闇に束縛された法子の魂を纏う、人によって造られた機械兵が。


どちらに軍配が上がるというのか?

闇に染められた法子の魂は、救えるのか?






非常事態を告げる警報が、艦橋のコンソールにも表示された。


「艦長代理!<翔騎>隊が活動停止になりました!」


猫田2尉が振り返って、艦長席に座るルマへと叫んだ。


「補助動力は?脱出させなさい!」


予備の電源により脱出させるように命じたルマに、


「<一号機>は可能ですが・・・<零号機>は非常措置の電力迄使うつもりです!」


猫田2尉が焦りながら答える。


「なんですって?!あの子が?」


「えっ?!ミハルさんの<翔騎>はまだ動けたのですか?」


事情を知らないローラが、ルマの声に横槍を入れた。

ルマにはミハルが何を想っているのかが分っていた。


「あの子ったら!無茶にも程があるわ!」


ローラに答えもせず、回線ボタンを押し込むと。


「艦橋CIC、衝撃砲座聞こえる?」


「聴いていたよルマ、ミハルはやり切るつもりだろう」


砲座に居るマモルが即答して来る。


「そうみたいね。で、やれる?」


正面モニターに映し出された戦況を見詰め、ルマが促すと。


「難しいな。完全に目標を捉えきれたわけじゃないから。

 ミハルが切り開くのを待つより他、ないんじゃないか?」


以外にも落ち着き払ったマモルの声が返される。


「それよりローラ君に言いたい事があるんだ。

 もしもお母さんの魂の在処が掴めたら、間髪を入れずに教えて貰いたい」


衝撃砲はいつでも発射が可能となっていた。

たったの一撃だけに攻撃を絞っているマモルの求めに、ルマが訊ねる。


「ローラ君、あなたに全てを託すって艦長が仰られたの。

 あなたの異能ちからが全てを決するのよ?」


横で<八岐大蛇>との戦闘を見詰めているローラに視線を送って訊いた。


「はいっ、勿論!感じられたら直ぐに言います!」


魔法力を感じられる能力を、最大限に使っている。

それでも、今は薄ぼんやりとしか感じ取れない。


ローラは緊張のあまり、汗で手が濡れているのも感じてはいなかった。


「早く・・・早くっ、見せて。ボクの力はこんなものなの?!」


必死に目を凝らすローラを観て、ルマは女神ミハルの存在を感じていた。


ー ミハル姉、今迄姿を見せないって事は。そこに居るのね?


白いミハルの<零号機>に目を向けて、確信していた。


ー ミハル姉はいつもここぞって時には現れるんだから・・・ね?


巨大魔鋼機兵に突っ込むミハルには、必ず義理姉でもある女神がついてくれていると信じていた。




挿絵(By みてみん)


「貫けっ!アタシの魔鋼剣よ!」


飛び込んだ白い<翔騎>の中で吠えるミハル。


最期の一撃を、<八岐大蛇>に突き込ませる魔鋼少女。


「アトは・・・お願いねマモル・・・君」


残った1本の顎からの砲撃が、被弾も厭わない<翔騎>に命中する。



 ガガンッ!



正面胴体に備えられていた強化装甲に亀裂が入る。


「まっ、まだっ!まだまだぁっ!」


同じ部分に次弾が当たれば、装甲板が裂けてしまう恐れがあった。

だが、ミハルは気にも懸けない。

いくら損傷を被ろうとも、後には退けないから。


  <<残り2秒!>>


警告が最期を告げる。


「うっわあああぁっ!」


もう体当たりするだけ。

巨体の胴部に、魔鋼の剣を突き入れるだけ。


  <<臨界・・・電力喪失>>


モニターも各部のランプも。

そして・・・全てが停まった。


  ドガァアアァンッ!


緩衝装置も停められたから、衝撃はもろに<翔騎>に伝わった。


勿論搭乗員が居るコックピットも例外じゃない。

当然搭乗員も無事に済む筈もない・・・普通の人が操っていたのなら。



 ドクン



蒼い輝きを放つ水晶から、何かの力が巻き起こる。



 ドクン


蒼き揺らめきの中、何者かの魂が力を顕す。



「「それでこそ・・・もう一人の私」」



蒼き光の中、黒く澱んだ影が姿を見せる。


「「貴女はひかり・・・貴女の魂は光の中」」


水晶の中に、宿る者が居た。

なぜそこに居たのか、いつから居たのか。


「「ここからは私に任せて。2年前と同じように・・・ね?」」


闇の力で宿った。

再び人の世に干渉する事になる。


「「貴女はまだ目覚めてはいない。

  だから護るの・・・2年前と同じようにね。

  でも、前とは違う。今迄とは違うの・・・」」


黒い影はかたちを求める。


「「人の世に出る為に、貴女を使った2年前とは違うの。

  今度は私自身が罰しなければ修まらないの。

  大魔王の姫御子である・・・コハルとして!」」


衝撃によってミハルの身体は正面モニターに叩きつけられようとした。

強烈な衝撃は、ミハルの身体に相当なダメージを与えるだろう。



 バフッ!



電力を喪失した筈の<翔騎>。

全ての装置が停まった筈なのに、衝撃吸収のエアバックが展開され。



 バヒュンッ!



続いて身体を保てるように座席安定板がミハルの身体を包み込んだ。


完全停止した筈の<零号機>に、まるで命が存在しているかのように。


エアバックに包まれたミハルは、だが意識を半ば以上失ったようだ。


「・・・マモル・・・君。やったよ?」


気絶する瞬間、後事を託すミハルの声がシートの合間から流れ出た。


「「そうね、確かに良くやったわ二年前とは違って。

  貴方も成長したんだって分かったから・・・」」


黒い影はミハルに手を差し伸べる。


「「さぁ、今度は私の番。

  あなた達の事を託されたから・・・女神ミハル様に」」


さし伸ばした手がミハルに吸い込まれる。


「「この機械に命がある間は、貴女に代わって邪悪を滅ぼしてあげる」」


影は光と重なる。

と、同時に魔鋼機械が高速回転を再開した。

電力を喪失したというのに・・・




「司令!艦長代理!観えた!観えました!」


ローラが指差し目標を告げる。


「ミハルさんの剣が突き破ってくれたから!

 胴体内部にある魔鋼の機械が観えました!」


叫ぶローラがモニターの一点を指す。


「胴体内部・・・ここです!」


斬られた穴から零れだしている赤黒い光。

それが意味するのは・・・


「よくやったわねローラ君!」


ルマが頷くのと時を同じくして。


「衝撃砲!発射っ!」


間髪を入れず、マモルがトリガーを引いた。



コハルが宿る。

大魔王の姫御子コハルが。


ミハルとコハル・・・2人は一つになれるのか?!

現れる闇は、法子の魂を手放すのだろうか?それとも?


次回 だって 女の子だもん 第9話

君は力尽きた訳じゃない、諦めた訳じゃない・・・まだ戦うべき相手がいるから!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] おぉ、ついに……!! ここは自分に任せて先に行け、とはまた別の(。-ω-)? 損な子健在。 ほんとよ、伯母さんはどこで何をしているのだ? おいしいとこで出てくるくせに(笑) とうとう見…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ