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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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だって 女の子だもん 第6話

戦闘開始!

邪龍機械兵に2機は挑む。


9本の顎から繰り出される攻撃もモノとせず・・・・

9本の龍頭りゅうがしらは2機の<翔騎>を相手に破壊を吹き出す。


炎と砲弾・・・繰り出すのはやはり鋼の機械たる証。


振り撒かれる破壊に、道魔開発部研究所は轟音と共に崩れ行く。

最早、人目に触れてしまうのは避けられなかった。


消火活動を終えた守衛達は、突然の破壊に戸惑い逃げ惑う事になる。

消防に連絡を入れた一人が、今度は警察に電話を掛けようとしたが。


「なんだ?!電話線が切れている?」


未曾有の出来事に、錯乱する警備担当者は電話を投げ捨てると浮足立って逃げの態勢になった。


「本社の方の電話から報告しよう」


開発部のすぐ隣にある本社営業部から警察に救援を求めようと考えたようだ。

守衛は企業秘密など知りはしない。

与えられた職種は、来訪者の質疑にあったから。


この場合、彼等に責任はない。

まさか建物が崩れ、中から砲弾や炎が噴き出してくるなど、誰が想おうか。


その場にいた守衛達は、逃げだして来た研究者と共に避難した。


その判断は間違ってはいない。

少なくとも現時点では・・・






「付近に民間人は居なくなりました!

 人感センサーにエコー無しっ、パイロット2名以外の反応検知出来ず!」


報告を受けた猫田2尉が復唱する。


「半径500メートル圏内では、人的被害の虞はありません!」


艦橋のモニターには、崩れ行く研究所が映されている。

数個のウインドウ上には逃げ去る人達の姿と、電話回線にジャミングをかけている電波状態が投影されていた。


「これで衝撃砲ショックカノンを撃っても問題はなくなったな」


マモルが立ち上がりながらルマを誘う。


「ルマ、すまないが暫く艦長席で指揮を執ってくれないか。

 ボクは居るべき場所に向かうから」


艦橋から出て行こうとするマモルにルマが頷き。


「ミハルに観られたら、またどやされちゃうわヨ?」


「そいつは勘弁してくれって。腕は鈍っちゃいないんだからな」


マモルが何処に向かうのかが分かっていたルマ。

艦長席に座り、傍らのローラに微笑むと、


「衝撃砲の自動管制装置を手動に変え!

 本艦の指揮はルマ公使補が執ります!」


司令マモル自ら、砲を撃つと。

射撃術が衰えていないという夫マモルに、ルマは笑っている。


「ルマ公使補?どう言う事なんですか?」


艦長が交代したのも不思議に思えるが、なによりも司令自ら砲撃するという。

ローラにはそうする意味が理解出来なかった。


「ふふふっ、ローラ君は知らないでしょう?

 あのひとはね、前大戦でも勇者だったの。

 そしてなによりも女神ミハルの砲手だったのよ?」


ルマが微笑んで教えるのだが。

女神の砲手って言われても、どう言う事なのかさっぱり分からない。


「女神に砲手が必要だったのですか?」


「うふふっ、そう!女神みはる姉の弟だから、マモル司令って」


ルマの返した言葉に、ローラは増々訳が判らないって顔になる。


「ローラ君の生まれる前の話。

 この世界になる前の話なのよ?」


艦長席に座ったルマの顔を見詰め直し、ローラは首を捻るだけだった。




<大鳳>艦首上に位置する衝撃砲の砲座には、手動制御用の射撃装置がある。


衝撃砲ショックカノンは砲弾を使わない。

装填されるのは、超音波を放つ為の水晶体を内蔵したカートリッヂ。

一発を放つとカートリッヂ内の水晶は砕け散る事になる。

カートリッヂは放たれると自動的に再装填されて連射が可能になっていた。


普通の音波なら波型に波動を散らすのだが、この衝撃砲は逆に波動を収束する。

つまり目標の一点目掛けて衝撃波を砲弾の様に撃ち込めるのだ。


「前のハルマゲドンで、潜水母艦が撃って来た時のデータが残っていたから。

 あれを応用した訳だけど・・・父さんはホント、マッドサイエンティストだよな」


あらゆる魔鋼技術を研究する父に、マモルは改めて兜を脱いだ。


「さてと・・・それじゃあ。

 ボク本来の仕事に執りかかるか・・・」


グローブを填めたマモルが、照準器に目を添えて。


艦橋CICせんとうしきじょ、ローラ君に繋いでくれ」


照準器に巨大機械兵を捉えて、魔鋼少女を呼び出すのだった。







 グッワアァンッ!


 バキバキバキ!



炎と砲弾が乱れ飛ぶ。

白い<翔騎>を捉えようとする<八岐大蛇やまたのおろち>。


数十発の弾を避け、手にした魔鋼剣を振りかざす。


ピンポイント射撃をかけるタイミングを計るピンクの<翔騎>。


戦闘は圧倒的に<八岐大蛇>が優勢ともとれるが・・・


「どうやらやっこさん、戦闘に慣れてないみたいやな」


砲撃をかけられても余裕で避けきれた。

撃つなって思ってから避けるだけの余裕があった。


「悠長なことを言ってる場合じゃないよマリアちゃん!」


一方のミハルは焦っていた。


左モニターに表示された残り活動時間を観て。


「アト130秒も残ってないよ!」


活動限界になれば、闘う事も逃げることも出来なくなる。

ミハルが焦るのは、どうやって<八岐大蛇>からローラの母を救い出せるかという一点にあった。

動ける内に<八岐大蛇>から攻撃力を奪い去れるかにかかっていたのだ。


そうすれば<翔騎>も必要ではなくなる。

活動限界が訪れても、自分の手でなんとか出来るかも知れない。


記憶の端に残っている、自分が<九龍の珠>を取り出せた時みたいに。


「前に闘った時みたいに・・・2年前みたいに。

 身体の奥から湧きあがって来た異能ちからで・・・救えるかもしれないんだから」


はっきりとは覚えていないミハルは、<その力>に縋っていた。


「二年前の力がもう一回現れてくれる・・・筈だもん」


邪龍と化した機械との決戦で、どこかから聞こえて来た声。

自分の中に居るもう一人の少女が、邪心を蓄えた<珠>に呼びかけた。

闇を祓うと言った声を最後に、自分ではないもう一人のミハルに託した。

そして自分を取り戻した時には、<九龍の珠>から邪心が取り祓われていた。


「あの時、彼女はこう言って消えたんだっけ。

 私が闇に覆われんとしたら、目覚めるって・・・それがもう一人の御子の務めだからって」


走馬燈のように、記憶が流れ行く。

もう一人の自分と言った、黒い少女を思い出して。


「アタシに宿るもう一人のミハル・・・闇の力を放てるコハル」


自分の記憶にない出来事が周りで起きているのに、いつの日からか気付いた。

どういった理由かは分からなかったが、女神が宿るようになってからは徐々に少なくなった。


「アタシはどうして<ひかりやみを抱く者>なんだろう?」


両方の力を宿した娘と呼ばれ、魔鋼の力を授かった。

そして今、闇と闘い続けている。


「なら、闇の力をどうして使えるっていうんだろう?」


敵対する力、闇の力。

それを使える意味は?

自分の中に居るもう一人のミハルとは?


「今はそんな事を詮索している場合じゃないな。

 アタシに救える力があるのなら、それに頼るしかないんだもん」


思考を停める様に頭を振って、ミハルは目前の敵に集中しようとした。



「マリアちゃん!時間内に邪龍の全頭部を叩こう!

 サポートをお願いっ、フルパワーで魔鋼剣を使うからっ!」


右手の宝珠に力を込める。

蒼き宝珠から魔鋼の力が溢れ出し、コックピットが輝に包まれる。


「ミハル?!よ、よっしゃーっ!分かったで!」


砲撃力に主眼を持った<一号機>が、支援体制に入る。


「残り60秒!往けっミハル!」


肩の75ミリカノン砲と左腕に備えられた迫撃砲を邪龍に向けて、マリアが叫んだ。


「往きますっ!」


蒼き髪、碧き聖なる瞳でミハルが吠える。


「受けてみて?!

 アタシの全力全開!エクセリオ・ブレイカーを!」


魔鋼剣が蒼き光を放つ。

白い<翔騎>自体が魔鋼のひかりを揺蕩わせる。


許容最大限の魔鋼を受けた<蒼き水晶>が、高速回転の末に光となった。


「ブラスターっシュゥートォっ!」


飛び上がった<零号機>が、魔鋼剣を振り下ろす。

光となった剣波が、邪悪なる者に叩きつけられる!


挿絵(By みてみん)

タイマーの残り時間がどんどん減る。


必殺技を繰り出さねばなるまい。

ミハルの全力全開!

それは伯母から引き継いだ絶対の魔砲。

<<エクセリオ・ブレイカー>>!


次回 だって 女の子だもん 第7話

最終奥義発動か?!君の魔砲は囚われた魂を解き放てるのか?!

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[一言] ヤマタノオロチといえば、スサノオノミコトに……? タイムリミットが近づいているのか?! マモルン自ら、出動を決めた今、果たして事態はどうなるのか。 以下次号!! 電話線が切れている……そ…
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