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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
125/219

だって 女の子だもん 第5話

戦闘は突然に・・・


白い<翔騎>が切裂く!


そう・・・白い奴がだ!

狂った開発者に因って命令された。

己が欲望を闇に増幅された開発者は、魔鋼の力で命を吹きこんだのだ。


・・・人が手に染めてはならない魂の転移。


機械に人の魂を封じ込める、闇の技術によって・・・


蒼かった水晶体が、闇の力で黒く染まる。

魔鋼機械の中枢に置かれた水晶に、魔法使いの魂が宿らされた。


暗黒魔鋼機械となった実験機は、命令通りに目的を果たさんと動く。


宿らされた魂には、拒絶することは出来なかった。

抗おうにも、魂は既に闇に穢されてしまっていた・・・


「「私に与えられたのは、全ての破壊・・・阻む者全ての排除」」


道魔により実験に供せられた魔法使いの魂は、入力された命令に忠実だった。


「「私の執るべきは、歯向かう者全ての撃滅・・・殲滅!」」


ローラの母は、既に闇の者と化していた。

堕ちた魂は悪魔の意志を忠実に実行する。





飛び上がった白い<翔騎>に向けて、鎌首をあげる一個のあぎと


9本ある首の内、ミハルの<零号機>に向けて顎を開いた一本から、火炎が放たれようとしていた。


「魔鋼剣!斬り放て!」


コックピットで居合を抜く様に右手を振り払う。

<零号機>に装備されていた<斬鉄剣ブラストソード>が一閃する。


 ゴオッ!


炎が放たれ、<零号機>を包み込むかに見えたが。

ミハルの居合は炎をものともしなかった。


剣先は炎を放った首を斬る。


音もなく斬り付けられた首が寸断され、まだ炎を吐いた状態のままで落首する。


「先ずは1本!」


ミハルが残りの8本に対して攻撃を掛ける為に、一時的に後退る。

戦闘のイニシアチブを確保したかに思えたのだが。


「ミハルっ!退がるんや!」


首を切断された<邪龍騎>が、一斉に<零号機>目掛けて首を向けて来た。

肩のカノン砲を、鎌首を擡げた一本目掛けて照準を絞りながらマリアが叫ぶ。


75ミリ砲に装填されてあるのは榴弾だった。

機械兵の装甲を破る事は出来ないかもしれないが、顎部分に充てれば炎を吐く事は出来なくなる。


てぇっ!」


狙った顎に炎が見えた瞬間、マリアの指がトリガーを引いた。



 ドムッ!


ほぼゼロ距離で放たれた砲弾が、顎の中に吸い込まれ・・・


 バッガンッ!


榴弾は、ほのお諸共に顎を吹き飛ばすのに成功した。


「よしっ!」


撃破出来たマリアは気合を入れ直し、次の目標を選別する。




二本目の首を破壊出来た<翔騎>隊だったが、本体にはダメージは与えられてはいなかった。

そう・・・全く何も。



二人の攻撃により確かに2つの首は破壊された。

だが、本体である胴体には掠り傷一つ着けた訳じゃない。


<邪龍騎>とも呼べる巨大な機兵は、今迄の邪操機兵とは別格だった。


次なる攻撃に備えていた二人の前で、有り得ない事象が発生する。


「えっ?!そんなことって?」


「なんやて?!馬鹿な!」


二人が同時に叫ぶ。

目の前で起こりつつある事に驚愕して。


斬り落とされた首が墜ちた頭部に近寄ると、あろうことか切断部から延びた触手のような物で繋がれていく。

75ミリ砲弾の炸裂により破壊された顎も、修復が始る。


二人の前で、9本の首が鎌首を擡げ直した。



「司令?!一体これは?」


猫田2尉も、信じられない光景に目を疑う。


「ふむ・・・修復したのか。これじゃあ、いくら首を斬っても埒が明かないな」


腕を組んでいるマモルが、冷静に答えると。


「マモル・・・どうやら本当に闇に染められたみたいね」


ローラに聞こえないように、ルマが告げる。


「うん、でも。まだそうと決まった訳じゃないよルマ」


マモルが変に自信ありげに答えるので、言い出したルマの方が怪訝な顔になる。


「闇に染まっているとしても、助け出せない訳じゃないよルマ」


マモルの表情には、どことなく余裕さえも感じ取れる。


「どうして?そう言い切れるの?」


夫でありIMSの司令のマモルに、妻ルマが気付いた。

懐かしむ様に天井のモニターを観ている夫の姿を観て。


「昔・・・そうずっと前の事だ。

 ルマはフェアリアに居たから知らないだろうけど、闇の力を持つ人が居てね。

 その人は光も授かっていたんだよ、両方の力を以って助け出す事を諦めなかったんだ」


ふっと、マモルが笑った気がした。

こんな危機というのに。

娘が強敵と対峙しているというのに?


司令官として艦長席に座っていなければ、きっとマモルは自ら向かっていただろう。


「あの日。あの時と同じなんだ。

 オスマンで母さん父さんを助け出した・・・

 闇の力を持ち、聖なるきぼうを抱く人が、きっと勝利する・・・」


ー 女神となったミハル姉が?闇の力はない筈じゃあ?


喉迄出かかった名を飲み込んだルマ。

マモルが言わんとしている答えが別にあると感じたから。


「そうね・・・ミハルはあの人に託されたのだから。

 私とあなたに授けられた、新たな希望いのち・・・あの子には両方ある筈だから」


気付いた答えは、白い<翔騎>の中に居る。


「そうさルマ。僕達の娘達むすめたちには、未来きぼうが託されているんだから」


答えたマモルは、もう一人の魔鋼少女を観る。

傍らに立って、戦況を凝視するローラを。





「ミハル!これじゃぁ胴体部分を叩くほかに無さそうやで?」


繋ぎ直された頭部は、もう完全に元通りに修復されていた。


「でもマリアちゃん?!そんなことをしたら、ローラ君のお母さんが!」


破壊すると中に閉じ込められている筈の、母にもダメージを与える事になる。

手を下しかねるミハルには、それが重く伸し掛かっていた。


「そやけど!そうしなきゃーどうにもならへんのや。

 修復不能に追い込むには、どうしても本体にダメージを与えんとアカンやろ?」


魔鋼騎状態の邪龍騎に、魔法を使わせなくするには。


「マリアちゃん!残り時間内でどうにかするにはそれしかないの?」


告げられた方法以外に、なんとか邪龍騎から助け出せないかと知恵を求める。

自分の想いは、果たせないのかと。


「あるにはあるけど・・・危険過ぎるからな」


何か思いついているのか、マリアは言い澱む。


「教えて!危険だって構わないから、マリアちゃんっ?!」


時間制限下、一秒だって惜しい。

せっつくミハルに、マリアは・・・


「よっく聞くんやミハル。

 奴の心臓部を一撃で捉える・・・それしかないんや」


「そっ、そんなことをしたら。お母さんが・・・」


心臓部・・・つまり。


「ええかミハル?

 ウチ等に残された時間で、こいつを倒さなきゃいけないんやで。

 倒さなきゃぁ、ローラのお母さんはどのみち救い出せんのや。

 最期まで信じてくれているローラに・・・

 どこを叩けば良いんかを知らせて貰うしかないんや!」


マリアの言うのは、ローラの母がどこに居るかを見切って貰う。

そしてピンポイントで攻撃をかける・・・その結果はローラ次第だというのだ。


「そんな・・・ローラ君にお母さんが攻撃出来る訳がないじゃない?」


挿絵(By みてみん)


いくら闇に染まったかもしれないとは云っても、母親を自らの手で攻撃させるなんて。

もしかしたら魂をも消し去る事になりかねないというのに。


「時間が無いんや!

 聞こえてるんやろローラ?ウチはローラに託すで!」


本体のどこに攻撃すれば良いのかの判断を、<大鳳>にいるローラに任せた。


「残り時間で停めなきゃ、奴はどのみちお母さんを穢してしまう。

 罪もない人を傷付けちまう事になるんやで?!」


<翔騎>隊が引き上げれば、歯止めを失った邪龍騎が、街へ飛び出してしまう。

そうなれば、どれ程の災禍が振り撒かれるか。


マリアの求めに、モニターを見詰めていたローラが手を握り締めた。


「そんなの・・・決まってるじゃないか」


蒼いユニホームのローラが溢す。


「ボクに出来るのは・・・二人に勝って貰らわなきゃ・・・

 ・・・二人の友達を信じるだけなんだから!」


モニターを見上げるローラの瞳が蒼く染まる。

邪龍騎を睨んだ瞳は、翳を見つけた。


そこに何があるのか。それは何を表すのか。


翳は魔法の力を見せ、形は人をあらわす。


「二人共よく聞いて!

 母さんを救うには・・・僕の教える目標を撃ち抜いて!」


ローラはマリアの求めに答えた!


突込み処満載な戦闘ですが。


翔騎戦は始まりました。

チートな戦闘力を誇った<零号機>ですが。


一つだけ弱点があったのです。

活動限界・・・制限時間が!


次回 だって 女の子だもん 第6話

君たちだけじゃない!戦闘を見詰める仲間達にも準備が急がれた!

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― 新着の感想 ―
[一言] 切っても切ってもまた生える……雑草のようだ。 マモルん、やけに前向きだなぁ。 良いことです。 時間との戦い、ドキドキですな。 果たして影の正体とは?! 以下次号!!
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