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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
120/219

母と子 その想いは 第11話

いよいよ!

<大鳳>に戻った魔鋼少女達に、出撃命令が!


ただ、気になるのはローラの母。

どうやって救い出すのか?

大型バンに揺られる事20分。


ルマの運転するバンは、茂みの中に入って姿を晦ませる。


その向こうには、迷彩色を施されている巨大な物体が見え隠れしていた。





「司令帰還!これより本艦は臨戦態勢となる」


艦橋に陣取る先任士官、猫田2尉の声がスピーカーから流れ出る。


「フェアリア公使補ルマ参議もご一緒に。

 艦橋までお越し願えますか?」


バンに設えられた無線機からも、猫田2尉の招く声が流れた。


「了解しました。島田司令と艦橋に向かいますね」


無線機に返答したルマが、後部座席に振り返ると。


「ほらほら、あなた達もよ?!」


マリアが揺すって起こしているローラとミハルに、到着したのだからと教えた。


「ローラ!ミハル!起きるんやってば!」


熟睡していたミハルが、ポワンと顔を挙げ。


「朝ごはん~っ?!」


ボケる。


「・・・マリアちゃん。赦す!」


親として、恥ずかし過ぎる娘に喝を入れて・・・と。


 ぼかっ!


阿吽の呼吸か・・・拳骨がミハルを叩き起こす。


「ひにゃぁ~っ?!暴力反対にゃぁ~っ?!」


目覚めたようだ・・・にゃ語がそれを標している。


「じゃあ、艦橋まで。みんな行くわよ?」


3人の娘を伴い、先に行ったマモルを追うルマ。




バンを飲み込んだ開口部。

それは航宙揚陸艦<大鳳>の揚陸ゲートだった。


内部には2機の<翔騎>が整備を終えられていた。


白い機体の<零号機>と、ピンクの<一号機>が、完全武装状態で待機している。


高切断力を持つ、魔鋼剣を左腰部に装備した白い零号機にはミハルが。


右肩上部に高火力75ミリ連射砲を装備したピンクの一号機にはマリアが、それぞれ搭乗する事になっている。


邪操機兵を倒す為に造られた<翔騎>。

その魔鋼機械が、人間を相手に戦おうとしていた。

・・・嘗ての世界と同じように。



「島田司令、参議官から出撃命令が発せられました」


猫田2尉が、艦橋に入って来たマモルへ知らせる。


「目標は、道魔重工業開発部。

 そこに所在する魔鋼の機械を排除、若しくは撃滅せよと。

 どうやら秘密裏に、闇機械を開発していたようですね」


送られて来た情報を携えて、猫田2尉が迎える。


「そうか、やはり。

 道魔重工業開発部には政令違反が適応されたんだな?」


魔鋼技術には制限がかけられていたのだが、開発チームは侵してはならない部分に手を染めたらしい。

書類に目を通したマモルの眉が跳ね上がる。

そこに書かれてあったのは・・・


「ミハル姉・・・見てくれよ。

 また、アレが造られてしまったみたいだよ?」


ミハルの魔法石に宿っている女神を呼んだ。


「フェアリアでミハル姉が閉じ込められそうになった・・・あの悪魔の技術。

 それを再び目覚めさせようとしているみたいなんだ」


マコトから送られて来た情報には、魔法使いの魂に纏わるモノが書かれてあった。


「「そのようねマモル。

  今の私には取り戻せないからね、昔とは違って」」


蒼い猫毛玉になってしまったから?

女神だというのに、何が取り戻せないというのか?


「姉さんはひかりの力しかないからね。

 神の力じゃあ、闇の力は使えないもんね・・・」


艦長席に座ったマモルの傍に、ニャンコダマが寄り添う。


「「そう。

  お母さんやマジカさん、それにリンちゃんを救えた時とは違って。

  今の私には、闇の異能ちからはないからね」」


腕を組んで考え込むマモルの傍で、蒼毛玉が答える。


「「でもマモル。もう一人のミハルだったら?

  あの子が力に目覚め、聖なる心で解き放ったとしたら?

  魔王級の力で助け出せるんじゃないの?」」


意味有り気に微笑むニャンコダマ。


「姉さんは、お気楽に言うけど。

 あの子を目覚めさせたら、下手をするととんでもない事にならない?」


姉があまりに軽く言うから。

マモルはリスクを考えて躊躇する。


「「あらま。

  昔の弟は、そんな心配性じゃなかったわよ?

  どちらかと言えば私の方が引っ込み思案だったのにねぇ」」


「姉さんはもうっ!あの子が邪悪に染まったら大変じゃないか?」


ふわふわと浮くニャンコダマから、笑い声と一緒に返って来たのは。


「「あらら?マモルは<もう一人のミハル>が居るのを知っていたみたいね。

  とうに目覚めている闇の御子の存在を知っていたんだね?」」


「ミハル姉、ボクは美晴ミハルの父親だよ?

 分からない訳がないじゃないか。自分の娘が変わったのに!」


ブスッとマモルが呟いた。


嘗て世界を救った姉弟には、光と闇の存在が知られていたのだ。

一人の少女に重ね合わせられた異能ちからの存在が。


「「マモルがそんなに心配するのなら。

  ルマに了解を取って、あの子に直接当たってみたって良いのよ?」」


「どういう意味だよ姉さん?コハルに何かをするというのかい?」


眉を跳ね上げたマモルが問う。


「「簡単な事ヨ。

  輝の御子から出て行くように諭すだけだもん」」


「コハルをかい?あの子を闇に追い返すって?」


「「どうかな?そうしたいのマモルは?」」


くるっと後ろを向いたニャンコダマ。

まるで悪戯っ子みたいににやにや笑い・・・


「「悪いようになんてしないわよ!私に任せておきなさいマモル君?!」」


振り向いたニャンコダマの瞳は、姉だった頃の優しさを湛えているように観えた。






「あ、あの?!島田司令?」


突然固まったような司令に、猫田2尉が訊ねる。


「うん?いやなに。こっちの話だよ」


マモルとニャンコダマの会話は、猫田2尉には覚られなかったみたいだ。


「はぁ?!で、作戦ですけど?」


正面モニターに移された道魔重工業開発部を指した猫田2尉が。


「周辺の民家に、被害が及ぶ危険がありますが?」


敵の抵抗如何によっては、秘密行動とはいかなくなると警告した。


「それはやむを得ないだろう。

 敵も我々も望まないが、流れ弾の危険も拭い去れないのだからな」


それではどうやって?


猫田2尉が詳細を詰めようとしていると。


「魔鋼少女には、新たな仲間が誕生したのをお忘れかしら?」


艦橋に昇って来たルマが割って入る。


「魔法の存在が探知できる子が、新たに加わったのよ?」


ルマの言っている新たな魔鋼少女とは?


「ノーラ君には無くなったみたいだけど、あの子には残ったみたいね?」


ウィンク一つ。

ルマが二人に贈って、ローラの存在を知らせた。







「はっくしょーんっ!」


「おいおいローラ?風邪かいな?」


搭乗員控室で。

汚れた服を着替えている3人。


着替え終えたローラがクシャミしたのを咎めて。


「違うよ・・・誰かが噂してるんだろうなぁ」


ローラがボサボサの髪を掻いて、マリアに答えると。


「クシャミ一つは良い噂だよね!」


黒髪を束ねるミハルが、人差し指を立てて笑い掛けた。


「そやな?

 で、ミハルよ?イメチェンかいな?」


束ねた髪をポニーテールに結い上げているミハルに。


「そのリボン・・・どっから出したんや?」


サイドポニーの時とは違って、大幅な紅いリボンを結っているミハル。


「そういえば、ミユキお祖母ちゃんも同じ幅のリボンを結い上げていたよなぁ?」


見詰めている前でミハルの髪が決まった。


「そう?ミユキお祖母ちゃんに習ったんだ。

 決戦という時にはさぁ、サイドより後ろで結いなさいって・・・ね」


振り返ったミハルが、髪を靡かせてマリアへ寄ると。


「どうかな?可笑しくない?」


フリフリと豊かな髪を左右に揺らしてみせた。


「可笑しいなんて。きちんと決まってるよミハルさん」


ローラがニコリと笑い掛けた。


「そやで?!ミハルにはどちらでも似合うけどな。

 ウチはポニーの方が好きやな・・・(モフモフ出来そうやし)・・・」


「そっかぁ!マリアちゃんはアタシの髪型を気に入ってくれたんだぁ!」


挿絵(By みてみん)


マリアの内なる心も知らず、ミハルは目を輝かせて喜んだ。


「そうそう!ローラも着替え終わったみたいやし・・・・え?!」


「うん!ローラ君も着替え・・・・はうぁああああっ?!」


だらだら冷や汗を掻く2人の前で、ポワンと小首を傾げるローラ


「ひいいいぃっ?!ローラぁっ?」


「どうして女子更衣室で着替えたの?!元々男の子でしょうがぁ?」


引き攣る女子に、ポンと手を打ったのはローラさん。


「あっそっか!長い間女の子だったから。すっかり馴染んでいたよ」


「はうぁあっ?!」×2


どーしてこうなった?


「それにぃ・・・戻れないんだよ。

 女の子から・・・ほらっこれみてよ?!」


ユニホームも女子用に。

胸も強調されて・・・完全に女の子状態。


「にゃんとっ?!ローラが完全体になった?!」


マリアが揉み手でローラを観る。


「マリアひゃん・・・目がニャンコ状態にゃ?」


ドン引きしたミハルがツッコミを入れる。


「本当に・・・どうなっちゃうのかなボク。

 このまま女の子に成っちゃうんじゃないかなぁ?」


心配するローラ君に、思いっきり手を振ったマリアが。


「おいでませ!禁断の世界に!」


何を思ったのか?驚喜しているのだが?


「やぁ~めぇ~なぁ~よぉ~(棒)」


棒読みするミハルがジト目でマリアを観ていた。


挿絵(By みてみん)



良いのか?!こんな終わりで?!



マリア「いいやろー次回からは、ちゃんと闘うんやからぁ~」


・・・本当だろうな?


ミハル「・・・期待できない・・・」





いや・・・あのね?

間違いなく戦闘になるんですってば!

ただし、相手は・・・


これで<母と子 その想いは>は終了です。

次回からは・・・



次回 だって 女の子だもん 第1話


・・・・なんだよ、この副題は?!戦闘にならないのか?!なるのか?

どっちやねん?・・・・・・・なる!

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