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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
118/219

母と子 その想いは 第9話

移送する警察車両の脇で。


若き刑事が目撃したモノとは?


作者注)今話も。「成宮ワールド」より、お越しになられているみたいです。


    誰がって?!読めば分かる!

FCO和泉捜査一課長の元に若い刑事が走り寄った。


「なんだいあまね警部補?」


くりくりとした鳶色の瞳を輝かせた部下へ声を掛ける。


「藤江です警視。

 それよりもアレを観てくださいよ?」


歳若の部下が指し示したのは、国防軍のトレーラーだった。

荷室に大きなコンテナを積んだカーキ色の巨大なトレーラー。

学校の至近距離に停止した、場違いとも思える国防色の車体。


「道に迷ったなんて言い訳が通る訳もないのに。

 あれで何を企てているんでしょうね?」


あまね刑事はFCO和泉に問いかける。


「そうだな・・・この辺りに駐屯地はないからね」


眉を顰める部下に、和泉課長は物憂く答えると。


「物騒なモノなら誰何しなきゃ駄目だろ?」


周刑事を制して、トレーラーに歩き出した。


「待ってください、ボクも行きますよ」


課長自ら誰何すると歩き出したから、報告した手前、周刑事も同道する。



近寄ると尚更トレーラーの巨大さが判った。

全長が15メートルもある国防軍正式戦車輸送車。

コンテナを載せた荷台を支える18個ものタイヤも、直径が人の背丈ほどもある。

独立した操縦席と、側面に設えられた整備室。

あまりに巨大な図体が、都市近郊にあって人目につかない訳がない。


「学校が幹線道路に面していたから、ここまで来れたのだろうが・・・」


見上げる和泉も、眉を顰めざるを得ない。


「この先に在るのは道魔重工業開発部門ですね。

 そこまで運ぶつもりだったのでしょうか?」


逮捕した道魔会長の子会社でもある道魔重工業開発部は、日の本国防軍に武器を搬入していたから。

このトレーラーも、何かの理由で装備品を運搬しようとしていたのかもしれない。


そう考えるのは年若い刑事であるあまねが、まだ経験が浅い証拠。


「それはどうかな?

 一般の企業に防衛部門が、直接搬入を請け負う訳はないと思うけどね」


それこそ一般人が観てしまえば、軍部との癒着に想われてしまう。

どれだけ手間が掛かろうが、国の公部門である国防省が搬入を手伝う訳にはいかないのだから。


「そうですか?ではこの運搬車体の目的は?」


周刑事がFCO和泉に訊ねたのだが、


「それを誰何しなきゃぁ、僕らは公僕なんだからね?」


車体の目的を知るのには、当事者に直接訊くのが妥当と煙に巻いた。


「はぁ・・・そうですが・・・」


すたすたと車体に近付く和泉の後を、周刑事も着いて行く。





まるで二階に話しかけるみたいに、操縦者へ誰何する。


「一般道を使用する許可を受けて来たのですか?

 我々はたった今、あちらの学校にて検挙していたのですが。

 こちらの車体が眼についてしまったものでね?」


操縦席に向けて手帳を差し出し、身分を明かして職質を行った。

しかし、直ぐには答えが返って来ない。


「もしもし?!聴こえているでしょう?

 我々は警視庁の一課に属する者ですけど。

 コンテナに何が積まれているのか教えて貰えませんか?」


答えが返って来ないのに業を煮やし、大声で周刑事が問う。


「だんまりで通せるなんて思わないでくださいよ?

 なんでしたら国防省に照会したって良いんですからね?」


いくら歳若の刑事が怒鳴ろうと、操縦席の窓が開く事は無かった。


「課長!こうなれば踏み込みましょうか?」


見上げる運転席に人影があるのは分かっていた。

答えを渋っている理由に、疑いを募らせるのは警官なら当たり前と言えたが。


「周刑事、待ちたまえ。もうじきどこかから答えが返されるよ」


落ち着き払ったFCO和泉の声が停めた。



「「我々は極秘任務中だ。詳しく知りたければ宮内庁の特別室に聞き給え」」



年嵩の声がスピーカーから流れ出した。


「極秘だぁ?そんな巨大な図体で。何が極秘なモノか!」


見上げる周刑事が悪態を吐く。


「まぁまぁ周君。この件は、上層部に委ねる方が良いかもしれないよ?」


「何故ですか課長?!鵜呑みにするんですか?」


血気に逸る周刑事を手で制した和泉課長が。


「それではこうしましょう。

 この件を警視庁本部に報告し、責任者を処罰するかの沙汰が下されます。

 それで宜しいのでしょうね?」


「「それで宜しい」」


今度は即座に返答された。

どこかに居る筈の声の主は、多分二人の姿を観ている筈だ。


「周君、戻ろう」


「えっ?!そんな簡単に退き下がるのですか?」


驚いたのは年若い刑事だった。

職質をかけたのに、いとも簡単に退き下がる課長に・・・だ。


「良いんだよ周君。どうせうやむやの内に揉み消されちゃうんだから」


「しかし、それじゃあ警察としての立場というものが・・・」


文句を垂れる周刑事の肩を抱え、FCO和泉が退き下がっていく。


「周君、君も聞いただろ?

 あそこに載っているモノは極秘任務中だって。

 つまり、今現在も遂行中なんだってね。

 しかも、宮内庁ときた!国防省の管轄からも外れた特殊作戦だとさ?!」


肩を抱いて課長が言ったのは。


「僕らがどんなに騒ぎ立てた処で、どうにかなる訳も無いんだ。

 相手は力で揉み消すし、下手に騒ぎ立てるとこちらの立場が怪しくなる。

 つまり、我関知せず・・・報告を挙げて、後は知らんぷりしておくんだよ」


「・・・権力に屈したみたいで嫌ですね」


周刑事の言う事は良く解る。

良く解るけど、それがこの世界というモノなのだ。


「まぁ、そう嘆かないで。今日はこの後非番だろ?

 一杯ひっかけて帰ろうじゃないか?!」


ぽんぽんと肩を叩く和泉課長に、周刑事は毒気を抜かれて。


挿絵(By みてみん)


「仕方がないですねぇ。

 課長の御供は世話が掛かるんですけど・・・

 変な事しないと誓うのなら、ご一緒しますよ」


「そうこなきゃ。良い店見つけたんだよ、周君」


トレーラーから離れて行く二人の刑事。

既に検挙は終わり、残されていた警察車両も二人を載せると出て行ってしまった。






トレーラーの整備室では。


「まだ確証が執れないか?」


マコトが傍らの士官に訊ねる。


「はい、今の処は」


モニターに映った映像を解析する女性士官。

緑に発光するモニターに映るのは・・・


「赤外線探知も、暗視装置にも反応がありません。

 これはまず間違いなく魔鋼の力が原因かと?!」


女性士官が操作パネルからの情報を掴み、あらゆるデーターをキーボードに打ち込む。


「魔鋼・・・か。

 それも一つの答えには違いないが・・・な」


キーボードに載せていた指を停め、女性士官がマコトに振り向き。


「島田参議は違うと?」


「ああ。昔にあった出来事に似通っているんだよ。

 とても辛い話・・・我がことのように思える事象。

 再び起きたのならば、とある力が必要になる・・・」


サングラスを外したマコトが、モニターに映った道魔重工業開発部を見詰める。


「もし、私の仮定が的を得ているのなら。

 独りの魂を救う手立ては、我々には残されていない。

 まさか彼女を呼び出す訳にも行くまいからな」


真剣な表情のマコトを観た女性士官が、分かりかねて黙り込んだ。


「闇の力が必要になる。

 お前には残されてはいないだろうミハル?」


マコトが言うミハルは、孫なのか女神なのか?


そして道魔が白状した<機械に使った>との台詞の訳とは?


闇が再び世界に現れた結果、嘗ての悪夢が蘇ろうとしていたのだった・・・


「成宮 りん」様!ありがとうございます!!


https://mypage.syosetu.com/858748/



今日はFCO和泉課長いずみんSCO周あまね刑事として。



https://ncode.syosetu.com/s3504d/


「ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常・シリーズ」


  ↑こちらから、わざわざお越しいただきました。


和泉さん、周君ありがとう。

また出演してね!こんどは聡介さんも呼んでおくから。


この会話が分からなかった方は、是非にもお読みいただきたいのです!


https://ncode.syosetu.com/n0151ft/


「ファザコン警部補とシスコン巡査の愉快な非日常:その3~ダイイングメッセージ【CSV】の謎を解け~警察の中の警察に届いた密告状が暴く15年前の真実!シルバーアクセサリーと失踪美女が明かす連鎖する殺意」


了解?


挿絵(By みてみん)


「読んでくれないと・・・

 月に代わって・・・オシオキよ!」



次回 母と子 その想いは 第10話

トレーラーに乗っていたマコトは思い出していた。大魔王の娘との邂逅を・・・

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