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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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母と子 その想いは 第6話

大魔王の娘・・・


ミハルの中にある闇。

光と闇を抱く者ミハルには隠された過去が・・・

部屋から出ろとミハル・・・いや、コハルと名乗ったに言われた。


悪魔と対峙する独りのコハルにそう告げられたから。


「紅い瞳でそう言うんは、きっとあのに違いないんや。

 2年前、海辺の神社にも現れた・・・あのコハルに間違いないんや」


<九龍の珠>を巡る事件の日。

コハルは現れ出た九つの首を持つ邪龍と対峙した。


「そや、あの日にも逢っていたんや。

 コハルと名乗った、もう一人のミハルに」


強大な魔力を誇った邪龍と、ミハルは闘い倒してみせた。


「まるで別人のようになったミハルが、あの場所で邪龍を打ち負かした。

 ・・・その時に見せた瞳と同じ、吊り上がった瞳で闇を討ち破ったんや」


思い出したマリアは、部屋から後退る。


「マリア?!ミハルさんを連れ出さなくても良いの?」


ローラが血相を変えて掴んで来た。

何も知らない相棒に、マリアは首を振りこう言って除けた。


「ええんや。今あそこに居るんはミハルじゃない。

 ミハルじゃない者がミハルに成ってるんや」


打ち消された返事を訝うローラへ。


「なぁローラ。ウチはおかしなことを言ってるやろ?」


陰を落とした表情で、ローラをけむに巻いた。





大魔王のコハルが揺蕩う。


悪魔ドウマを打ち滅ぼし、人に戻した姫御子が。


「ミハル・・・もう起きれるわよね?」


魂を穢されかけた人の姿に向けて、姫御子コハルが微笑む。


「これからは輝の子に任せるから。

 人に戻った道魔を罰するのは、人であるあなた達の仕事。

 大魔王の娘が手を下す訳にはいかないのよ?」


黒き衣を纏うコハルが、人間であるミハルに頼む。


「貴女にはまだまだ修練を積んで貰わなきゃいけないの。

 貴女には輝の子として生きて貰わねばいけない・・・の。

 いつの日にか私と、<運命ハルマ一戦ゲドン>を闘って貰わなきゃいけないんだから」


か細い声がミハルに降り注ぐ。


「覚えてるでしょ?

 ルナリィーンから託された女神の宿る石のことを。

 貴女ミハルには、運命に抗わねばならない務めがあるのよ?」


挿絵(By みてみん)


ミハルの魂が眼を開く。


「いつも貴女ミハルと一緒に居るから。

 魔族は私が。人は貴女ミハルが、正さねばならないの。

 父上ルシファー様や、母上ミハエル様も貴女ミハルと私を護ってくださる。

 いつの日にか・・・本当の世界を取り戻さんが為に・・・ね?」


消えて行く声。

目覚めるミハルには、遠くに行ってしまう姿がかすかに見えた。


「ミハル、これだけは覚えておいて。

 必ず邪悪な者は世界を滅ぼさんと目論む。

 貴女の力だけでは救えない、もう一人の輝の子と携え合えなければ。

 だから・・・もっと鍛錬を、もっと強くなるのよ・・・輝の子なんだから」


闇の子は光に託した。

自らのきぼうを繋ぎ止めるように。


「強く・・・もっと。そう・・・アタシは強くなりたい」


ミハルの顔にひかりが燈った。






全く物音が起きない。

部屋では悪魔との一戦が繰り広げられている筈なのに。



 コツ コツ コツ 



靴音が部屋から出て来ようとしていた。


「ミハル?!いや、コハルか?」


音を耳にしたマリアが呼ぶ。


「道魔は?悪魔はどないなったんや?!」


もう待ちきれない。

部屋の中から聞こえて来る靴音に。


「コハル?!いや、美晴ミハル

 もう観てもええやろ?中に入るで!」


辛抱出来なくなったマリアが部屋に飛び込む。

入った先には、ミハルとドウマの姿が。

堪らずマリアが駆け寄った先に居たミハル(・・・)が。


「あっ、マリアちゃん!無事だったんだね善かった」


まるで今迄の事を知らな気に笑い掛けて来る。


「コ?!いや、ミハルなんか?どっちやねん?」


「うにゅぅっ?!アタシは前からミハルデチよ?」


・・・・・・え?


ポカンと口を開けたマリアに、


「どうかしたのマリアちゃん?アタシがどうしたっていうのかな?」


訳が判らないと言った口調でミハルが話すものだから。

ツカツカツカと近寄って来たマリアが。


 ボカッ!


問答無用で必殺の拳骨を喰らわせる。


「ひぎぃっ?!にゃ?にゃにをするのー?」


頭を押さえて抗議する、損なミハル


「にゃにもへったくれもないわい!

 このぉすっとこどっこいがぁっ!」


「ひにゃぁ?!にゃんでそんなに怒ってるのぉっ?!」


後を追って部屋に入って来たローラが・・・目を点にして立ち竦んでしまった。


挿絵(By みてみん)



・・・・つまり。


「ほほぅ?!気が付いたら道魔は倒れていたと。人の姿に戻って?」


「はい・・・この人が道魔さんなのかは知らないけど」


尋問されているミハルの傍で、ローラが脈を取り。


「死んじゃぁ居ないみたいだよ?それに魔法力も感じられなくなったし」


悪魔は消え去り、残された道魔理事長は失神しているだけだと。


「ふむ・・・どうしてこうなったのか?ミハルは記憶が無いと?」


「如何にもゲソにも!」


 ボカッ!


拳骨を喰らったミハルがしょげる。


「それじゃあ、こいつから訊き出さないと!

 お母さんがどこに囚われているのかを、それと今迄犯して来た事も!」


ローラが道魔理事長を起こしにかかる。


「そやな、ウチ等が此処に来た元々の話なんやし。

 ローラとノーラさんのお母さんを、無事に救出しなきゃな!」


「その通りにゃん!・・・あ、そんな目で観ないでよ二人共?!」


ジト目で見詰められて、ミハルはたじろぐ。


「おい、起きろよ理事長!」


喝を入れ、気付かせるローラ。


「がはぁっ?!何が起きたんだ?!」


どうやら道魔理事長にも記憶が残されていないみたいだ。


「うわっ?!お前達!いつの間に?」


自分が捕らえられているのに驚き、半ば眼を廻す理事長どうま


「ボクのお母さんをどこにやったんだ?!白状しろ!」


胸倉を掴み上げてローラが尋問する。


「お、お前の母か・・・知らんなぁ?」


惚けて嘘を吐く。


「・・・お前に捕らえられている女性の事や。知らんでは済まされへんで?」


ローラだけではなくマリアも14年式を突きつける。


「知らんと言ったら知らん!

 どこぞの人身売買じゃあるまいし、人妻を虜にする謂れは無いわ!」


飽く迄白を切る理事長に。


「そう?嘘を吐き通せると思ったら大間違いのコンコンチキよ!」


黙って観ていたミハルが、道魔理事長にニヤリと笑い掛ける。


「シラタキってあんまりすきじゃないのよねぇ・・・」


「はぁ?!」


ミハルにマリアが呆れてしまう・・・が。


「でもっ!シラタキも出汁が美味しければご飯の伴になるのよっ!」


「はぁ?!」×3


ミハル以外の全員がため息を吐く。


「と、言う事で。理事長の部下さん達が襲ってきそうですけど?

 悪だくみはいい加減にしてくださいよね?

 今度は本気でいきますよ?手加減抜きで!」


「えっ?!はぅあぁっ?」×3


驚く道魔理事長とマリアとローラに。

右手を翳したミハルが部屋の外に向けて。


「アタシ達は理事長を虜にしてますけど、犯罪に加担しようとしてませんか?

 もし悪さを働く気なら、この魔鋼剣で叩き伏せますからね!」


魔法の木刀を取り出して、外に居る気配に突き付けたのだった。


事態は急転直下となるのか?!

ミハルはやっぱりミハルだったか・・・Orz


惚けたところは伯母譲り。

損な娘も祖母譲り・・・


魔鋼少女ミハルは、やっぱりそんな娘でしたとさ!


損な?!


次回 母と子 その想いは 第7話

ところで。蚊帳の外に居た人達がやってくるみたいですが・・・どうなんでしょうね?


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