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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
110/219

母と子 その想いは 第1話

挿絵(By みてみん)


ミハル、魔王になる?!

ノーラを担いで、ミハルが向かっている校舎上層部では・・・


「ローラ・・・間違いなさそうなんやな?」


二人の魔鋼少女が部屋の様子を窺っていた。

階段を駆け上がり、辿り着いたのは理事長室。


そこには道魔理事長が潜んでいるかもしれなかった。

そして、ローラ達の母も。


「魔法力は感じられへんのか?ローラのお母さんの気は感じられへんのんか?」


「静かに!今やってるから!」


手を翳し、ローラが魔法で感じ取ろうとしていた。


「・・・気配はあるみたいだけど。お母さんの力なのかは分からないよ?!」


微かに感じ取れる魔法力が、母のモノなのかは知る術がない。

尤も、母が魔法力を持っている筈が無いのは、ローラにも分かっているみたいで。


「お母さんが魔力を以っていないのはボクが一番知っているんだ。

 ボクや姉さんが魔法力を持てたのは、母さんが元々持っていた魔鋼のおかげだけど。

 先の大戦の後、母さんの魔法力は喪われた筈なんだよ・・・」


だとすれば、今感じている魔法力は一体?


ローラが感じ取った魔力は、誰の放っているモノなのか?


「ローラ?!お母さんの気配は感じられないんか?

 魔法力なんかじゃなくて、親と娘として・・・感じ取れないんか?」


「そんなこと言われたって・・・分からないんだよ!

 微かにだけど魔法力のある何かが部屋の中にあるか、居るんだ!」


マリアに応えるローラは必死だった。

必死に気配を探り、助け出したいと願っている。


「そうなんや・・・ほんなら、強硬手段を執るしかあらへんやんな?」


携帯して来た武器を上着の下から取り出すマリアが、


「ローラは素手やろ?ウチが突入するさかいに、ここで待っときぃや?」


南部14年式拳銃の安火装置を射撃位置に切り替えて、ローラに頼むと。


「マリア一人に任せておけないよ!

 ボクだって、手伝いたいんだ。素手だって出来る事はある筈だろ?」


引き留めるローラが、マリアの手を掴む。


「ローラ。君はまだ訓練だって受けてへんやんか。

 ウチはこう見えても、元々魔鋼銃を扱う銃士なんや。

 それに訓練だってこの2年、びっしりと受けて来たんやで?

 心配せんかて大丈夫。並みの男なんかに負けへんもん」


心配し、焦燥感を滲ませるローラに、マリアは笑顔で言い切った。


「マリア・・・」


掴んだ手を離れさせられて、ローラは返す言葉を失った。


「ええかローラ!ウチが突入して大丈夫だと判断したら、呼ぶさかいに。

 それまで此処を動くんやないで?絶対やで?!」


ドアに張り付き中を窺うマリアに、ローラは頷くしかなかった。


「せや、もう一つあったわ。

 ローラはミハルに連絡する事!ウチが突入した事を伝えるんや。

 アッチも何やら問題が発生したみたいやから、間に合わへんと思うけど」


そう言われてやっとローラは我に返った。

ミリア一人を突入させなくても済む方法を。


「マリア!ミハルさん達が来るまで待とう!」


「アカンのやローラ。ミハル達を待っていたら、相手にも知られてしまう。

 問題が発生したという事は、ミハル達は既に相手の知る所になってる筈や。

 その到着を待つのは、相手に防御の時間を与えるっちゅーことなんやで?」


即断即決のマリアらしい考え。

ミハル達の行動を読まれたと踏んだから、独りでも突入すると言ったのだ。

階下から上がって来るミハル達に併せて、この部屋に居る者が防衛策を執るのなら。


「早くても後数分は、ミハル達は上がっては来れんやろ。

 その前に突入しなきゃ意味がないんや。急襲するんやったら今しかないんや!」


敢えてマリアは奇襲を試みる。


・・・つもりだった。

相手が隠しカメラを装備している事には気が付かず。




部屋の前に観た事も無い制服を着た少女が、中を調べているのがモニターに映っていた。


方割れの少女の顔を観た道魔が、ニヤリと嗤う。


「来よったな小娘・・・いいや、小倅こせがれ!」


二人がどう言った組織に関与しているのかは分からないが、ローラの姿を観て想うのは。


「母を取り戻しに来よったか。

 だが、こちらには用心棒が居るんだ。返り討ちにしてやる」


道魔の傍らにはとっておきの二人が立っていた。


黒服にサングラスは、ミハル達の前に現れた男達と同じ姿だったが。

屈強な体つきと手にした得物が、彼等がどう言った種類の人間なのかを教えている。


「さぁ、アンタ等。入って来る小娘を捕らえてくださいよ?」


モニターに映る少女を指し、道魔が二人に合図する。

無言で頷いた二人がドアの陰に潜む。

突入して来ると踏んだらしく、手にしていたショック警棒を長めに伸ばした。


高電圧の警棒は、触れた相手に電撃を加えて無力化させる。

つまり触れた者を感電させ気絶させるのだ。


二人が配置に就くのをデスクから観ていた道魔が、もう一つのモニターに映る少女を気に懸けていた。


「アイツが・・・かの勇名を誇る娘だというのか?

 どう見たってそこらの中学生ではないか?」


黒毛に紅いリボンをサイドポニーに結い上げた娘が、盗賊ノーラと思しき娘を肩に抱きかかえて進み来る。


「アレを捕らえるのが、イシュタルの民達の狙いか。

 私にはどうでも善いが・・・手柄になるのならおまけとして捕らえるか」


デスクの引き出しを開け、中に備えられたボタンを確認する。

紅いボタンは、何かと連携しているようだった。


「もしも・・・手強いならば。

 これを押しさえすれば良いと仰られたのだが・・・ポーチ様が。

 一体何が起きるというのだろう?」


ボタンにより何が起きるかは、当の道魔さえも知らない。

教えられた通り、その時が来れば押しさえすれば良いと、簡単に思い込んでいた。


「まぁ、私を信用されてのことだろうから。

 悪いようにはならないだろう・・・なにせ私は数十人の娘を差し出したのだからな」


学校の理事長として君臨し、内密に生徒を悪魔に献上して来た。

勿論、魔鋼の力を欲した悪魔と知っての犯罪である。


「これからも魔法力を欲する悪魔には、私が必要だろうからな。

 悪魔の力に因り私の会社も繁盛している事だし、持ちつ持たれつということだ」


自分がのし上がれたのは、悪魔との契約が為されたから。

闇の力に因ってライバル会社に不幸が訪れ、政府の武器を任されるまでに為れた。

金の力と闇の力で、今を成し遂げたと自負している。

それは自分の力だとばかり思い込み上がり、道魔は悪魔をも軽んじるように成り果てていた。


悪魔の本性を解ってはいなかったのだ。


紅いボタンが意味している災禍に、気付きもしなかった。

今、道魔へ言えた者が居るとしたら、それは神だけだっただろう。

いいや、悪魔の本性を知る<あの娘>が居たのなら・・・





両サイドに男達が潜んでいる。


手にした警棒がスパークを弾けさせている。




右手をドアに沿えた。


胸のネックレスが蒼き光を放つ!

添えられたドアに魔法陣が描かれ・・・


「ぶち破れ!魔鋼の異能ちからよ!!」


マリアが叫ぶ。

魔鋼の少女が、持てる力を行使させた!


魔法陣がひかりと代わり、ドアを吹き飛ばす。


 


   バッガァーンッ!!



噴き跳んだドアが男達を怯ませた。


魔鋼の靴が地を蹴り、低い姿勢で飛び込んでいく。


待ち構えていたのを知っていたのか、マリアは身を翻しざまに狙いをつける。


「チィッ?!」


男が気が付いた時には・・・


 バムッ!


左の男に一撃。

南部14年式に装弾されていたのは催眠弾。しかも象でも眠るという強力なヤツが。


「うがっ?!」


悲鳴をあげる男・・・即時に目を瞬かせて倒れ込む。



「くそぉっ?!」


動じた右の男に対しては。

転げ込んだマリアが床を半回転する・・・勿論、判り切っていた。


男が薙ぎ払って来たショック警棒の危害範囲外に転げ、銃先を突きつける。


 バムッ!


持つ手が緩み、取りこぼされた警棒が床に転がった。


倒れ込む男を観もせず、素早く起き上がるマリア。

訓練された銃士には、また、魔鋼の少女にはみの男では歯が立たなかったということか。


 ドサッ ドサッ・・・


大の男が二人してかかっても、一瞬で倒されたのを目の当たりにした。


「す・・・凄いや?!」


ドアから様子を窺っていたローラが、感嘆してしまう。


「そ、そうだ。ミハルさんに連絡しなきゃ!」


突入したマリアに気が向かい、すっかり忘れていた。

慌てて首元のボタンを押してインターコムでミハルの元へ報告した。


「ミハルさん!マリアが突入したよ!でも、大丈夫みたいだ」


観たまま。

感じたままの言葉で報告したローラへ。


「「えっ?!一人で?

  待ってよ、危険過ぎるよ!マリアちゃんを停めて!」」


ミハルの叫びが帰って来たのだが、当のローラはマリアに呼ばれて届かなかった。


「ローラ!こいつが道魔とか言う理事長なんか?」


デスクに向かうマリアが呼んだから。


「こいつが犯人やったら、お母さんの居場所を知ってるんやろ?」


挿絵(By みてみん)


目の前に居る男に向かうマリアに応えるのが、ローラは優先だと思ってインターコムから指を放してしまったのだ。


机の引き出しに手を入れている道魔を観ながら・・・



何も考えてない訳じゃなかった!

ドウマは大人しく白状するような奴ではなかった!


悪あがき・・・そう!

陳腐な悪者は足掻くのです!


そして巻き込まれるのは損な娘・・・・


次回 母と子 その想いは 第2話

君は掛買いのない友を、身を捨てても護れますか?

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