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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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魔王 襲来  第8話

現れた魔王達は追い返せたが・・・


ミハルはニャンコダマにどう答えるのか?

結界が崩れようとしている。

それは結界を張った主が潰え去ったか、若しくは逃げたのか。


どちらにしても脅威は消えたという事。



「やっぱり。彼は、ほっては措けなかった訳ね。

 姿を観れなかったのが残念だったけど、護っているのは間違いないわ」


現実世界側に居る女神ミハルが、ニャンコダマ状態で見詰めている。

魔王が貼った結界が崩れ、内側の様子が少しだけ覗けた・・・


「・・・ああ、やっぱりルシちゃんだ。

 ケラウノス軍の殲滅戦艦と刺違えた時に観た顔。

 涼し気な瞳と優しい微笑み・・・懐かしいな」


姪っ子を見詰めているルシファーの姿が垣間見えた。

覗き込んでいる女神ミハルも、自然と微笑んでしまう。


1000年間も女神として闇と対峙して、幾多の人々との別れを経験してきた。

運命を変えれた時もあれば、手の下しようもない時もあった。

嬉々として喜ぶ時もあれば、悲しい結末に打ちのめされる時もあった。


経験がミハルの顔を変え、理の女神として険しい表情を持つようになってしまった。

相手が特に闇の者ならば、尚の事。


それが今は、魔王の結界に存在している大魔王に微笑んでいたのだ。


・・・中に居るルシファーには、きっと観えていないと思いつつも。



「それにしても・・・あの二人。

 どうも怪しい雰囲気ね?

 なによ、あんなに寄り添わなくったって良いじゃないの?」


それでも女神は微笑まずにはいられない。


「ルシちゃんってば、本当に移り気が多過ぎ。

 今度は姪っ子にまで手を出す気なのかな?

 まぁ、元々が魔王だったし、堕神なんだから・・・仕方ないか?」


ちょっとだけ。

姪っ子に微笑む堕神ルシファーへ、女神ミハルはジェラシーを感じた。

睨むほどではないが、ジトっと二人の姿を見詰めてしまう。


気配を感じたのか、堕神ルシファーの瞳が自分に向けられたような気がした。


「えっ?!中からは見えない筈なのに?

 私の力で覗きこめているだけなのに・・・見透かされたの?」


動じた女神は、自分が抉じ開けた結界の穴から仰け反る。


「そ、そうか!ルシちゃんも。

 堕神ルシファーも、理の女神になった私を探ってたんだ!

 私が姪っ子を出汁にして呼び寄せたのを感づいていたんだな!」


悪戯半分で、理の女神が古の堕神が現れると踏んだのを知っていたのかと。


「もし、ルシちゃんが来なかったら、私が助けに入るのを解ってたんだな!

 私が留守にした僅かの間に、目覚めていたんだな?!

 それと姪っ子との間に何かしらの因縁があるようね?」


仲睦まじい二人を観た女神ミハルが、感付いたようだ。


「さては、ルシちゃんっ!

 私とミハエルさんとあろう者が居りながら・・・浮気してたのね!」


・・・感付いていなかったみたい・・・・・


「・・・冗談はそれくらいにして」


・・・冗談だったようです・・・


「姪っ子にルシちゃんが宿っているのが不思議だったけど。

 これには何やら深い訳がありそうね。

 姪っ子ちゃんと堕神ルシファー・・・二人の繋がりが世界にどう影響するのかしら?」


興味を覚えたようだった。

相手が同じ神ならば。

相手が古からの大魔王なれば、女神だとしても分からなく出来る。


「きっと・・・二人の繋がりが人間界を護ってくれる。

 だって、彼は人を愛して人になって・・・そしてもう一度神になったのだから」


姪っ子を抱く堕神ルシファーの姿を観て、ほっと息を吐く。

輝かしいばかりのプラチナブロンドの髪が揺蕩い、紅き瞳には金色が見える。


「神・・・ルシちゃんは光と闇を抱く神。

 人を愛し、人を導く・・・本当の神に成れたんだよね?」


それは姪っ子に宿った神の姿。

彼こそが人類を守る神、最上神ゴッドルシファーなのだと。


「その姿が観れただけで。今回は許してあげるから、ミハルのルシちゃん!」


聞こえる筈もないのに、人であった時のように愛称を讃えた。


その昔、自分が人として暮らしていた時に毛玉となって傍に寄り添ってくれた。

魔王として存在していたルシファーが、堕神に戻っても尚。


人を愛し、人になるのを夢みた堕神が、目の前に居たから。


「また・・・次の機会に。

 今度逢えた時には、なりふり構わず奪っちゃうんだからね?」


姪っ子に知られないように。

女神は結界が崩れ去るのを待った。

消えゆくルシファーに、心の中だけで手を振って・・・・






「あらあらまぁまぁ。

 ずぅーいぃぶぅんんっ、ごゆっくりだったじゃない?」


目の前が現実世界に変わった瞬間。


「どうだったのかしら?ルシファーは助けに来てくれたようだけど?」


蒼いニャンコダマが、目の前に浮かんでいた。


「ひぃいいぃっ?!伯母ちゃん?」


いや。

ニャンコダマとばかり思っていたのだが。


「ニャンとぉっ?!その姿は?」


女神の戦闘魔法服を纏っているニャンコダマが現れた!


挿絵(By みてみん)


「んんっ?何を言ってるのよ姪っ子ちゃん・・・」


仰け反ったミハルに、ニャンコダマが訊き返すと。


「あ・・・アレ?確かに今。人型のニャンコダマが居た様な・・・」


瞬きした後で観れば。

普通のニャンコダマに戻っていた。


「アレ?元通りになっちゃってる?」


パチクリと見詰めるミハルに、表情を引き攣らせたニャンコダマが。


「それ。こっちが言いたいわよ。

 姪っ子は結界の中で一体何をしてたのか・・・覚えてるんでしょ?」


引き攣った表情のままで問いかけた。


「あっと・・・えっと。アレレ・・・あのその」


本当の事は知らせるべきじゃないと思ったミハルが、記憶をシャットアウトさせて。


「う~ん・・・覚えてません。

 確か、魔王ランドと対峙してたのは覚えてますけど・・・」


「ほほぅ?覚えてない?

 それで良く魔王を蹴散らせたわね?」


挿絵(By みてみん)


ミハルは自分に宿る女神に、父であるルシファーとの記憶を悟られまいとする。

自分の記憶を操作して閉じ込めるのだった。


「いいえ、本当に覚えてないんです。

 確か、強力な魔砲弾で威嚇されたまでは覚えているんですけど?」


本当に覚えて無いのだと言い募ったが。


ー お馬鹿さんね姪っ子ちゃんは。

  いくら記憶を封じたって・・・あなたの姿を観れば分かるってものよ。

  瞳は闇色、髪の色さえ魔に染まってた証が残ってるんだから。

  紅き色・・・それは私も染まった事がある色なんだから!


ニャンコダマは声には出さなかった。

唯、瞳の端に映る少女は、乱れた髪のまま惚けようとしているのだと分かるから。


「まぁ、無事に現世に帰れたのだから、今回は良しとしときましょうかね」


「あ、はい!」


ニャンコダマはミハルの握るリボンに気付いた。

彼女が持っている紅いリボン。

闇避けの魔法が込められたリボンを外していたから。


ー なるほどね。だから闇の力が発揮できたのか。

  だから結界が消えても闇の色を保ったままだったのか・・・


「便利なモノね。姪っ子は闇の中でも力が発揮出来る・・・リボンを外せば」


ポツリと溢した。

光と闇を抱く者として、掛け買いも無い存在になった姪っ子に。


「姪っ子、それじゃあ返すわよこの爆睡魔を・・・ね」


微笑んでニャンコダマが示すのは。


「あ。ホントーだ」


床に転がるノーラを観たミハルが、呆れたようにしゃがみ込む。


つんつん・・・


「起きないなー(棒)」


でも、どこか幸せそうに見えた。

眠るノーラの髪色は、今迄の蒼さが消えていた。


黒髪のノーラ・・・


それは闇の支配から離れ、魔法力が消えた事を意味する。


「良かったのかな?

 これでもうノーラさんは、盗賊家業を出来なくなったんだから」


つんつん突きながらミハルが微笑む。


「そうよ、彼女も・・・ローラもその時が来るのを待っていたのだから」


ニャンコダマがミハルへ促す。


「ノーラを連れ戻す前に、マリア達と合流しなさい!

 事件を解決させるのよ、輝と闇を抱く・・・魔鋼の少女ミハル!」


理の女神が上階を睨む。


「はいっ!マリアちゃんにも連絡を執りますね!」


寝そべるノーラに肩を廻し、ミハルは首元のインターコムを押し込んだ。


事件の解決は、次の一手に懸かっているのだと・・・



一方その頃。

理事長室に迫ったマリアとローラは・・・



次回から<<母と子 その想いは>>が始まります。


2人は母を救い出せるのか?

その前に立ち塞がるのは?

魔王の端くれがもう一匹?!


悪魔との闘いは?!


次回 母と子 その想いは 第1話

君達には都合の良い相手だね、戦闘に長けたマリアさんにとっては!

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