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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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魔王 襲来  第4話

魔王を名乗る者・・・少女の姿を模った者。


その名は・・・ランド・セル


小学生の鞄・・・じゃないよね?(笑)

悪意に満ち・・・嘲る。


嘲笑・・・否、そうではない。


自らの力に慢心する者・・・闇の結界を造りし者。


この空間を創りし悪魔・・・それが嘲笑う理由。


「これだけの巨大な結界を貼れるのなら。

 まず間違いなく悪魔・・・それも相当強力な・・・」


黒いセーラー服を纏う少女の姿を採ってはいるが、足下に紅い魔法陣を揺蕩わせている。

空中に浮かんでいる処から観ても、唯者ではない事が伺い知れた。


「単なる悪魔じゃない。

 今迄観て来た中でも、一二を争う強力な魔法力を持つ者。

 そう・・・アタシの中にある闇の力にも等しい・・・魔王の力を感じる」


右手の宝珠で、女神ミハルも判っていた。


「「そう。姿だけで判断しては駄目。

  この結界を貼った相手だとすれば、姪っ子ちゃん独りでは抗えない」」


光と闇を抱く者としては覚醒出来ているミハルであったが。


「「魔王の空間だとしたら、私も姿を現す事が出来る。

  だけど、闇の中ではひかりだけを持つ私の力は半減させられている。

  魔王クラスの相手とは同格か、若しくは若干劣るかもしれない」」


悪魔クラスの結界の中では、女神の力は存分に発揮出来るのだが。

相手が魔王クラスともなれば、強力な闇に輝が奪われて能力ちからが制限されてしまう。


赤黒い巨大な空間が意味しているのは、女神ミハルの考えを裏付けていた。

魔力が強大であればある程、結界の範囲は巨大化するから。


「「それに・・・姪っ子ちゃんだけじゃなく、もう一人護らないといけないからね」」


宝珠の中から、ミハルの横に立ち竦んでいるノーラを観て想った。


「「厄介な事になったわ・・・二人を無事に脱出させないといけない」」


魔王との勝負より、二人の生還を優先させようと機会をうかがう事にした。




「ノーラさん?!どうしちゃったの?」


立ち竦んだまま、声も出さなくなってしまったノーラ。

肩を揺さぶっても反応が無いのを訝しんで、顔を覗き込むと。


「あ・・・気絶してる?いいや、憑きモノが堕ちた?」


闇に囚われた者がみせる瞳の色。

紅き瞳に堕ちているノーラを観て、いつか見たローラを思い出していた。


「くっくっくっ!気が付いたかい?

 そいつはボクの操り人形さ。この部屋に来るように仕向けたんだよ?」


いつの間にか、セーラー服の少女が目前まで迫っていた。


「姉弟共々、ボクが妖の術で操ってたのさ!」


自分の事を<ボク>と呼んだ少女がノーラとローラ姉弟を操っていると言った。


「<九龍の珠>の時は、見事に邪魔してくれたよなぁ?

 あの時から、ずっとこの機会を待ってたんだよぉ?

 お前に与えられた屈辱・・・いいや、正確に言えば失敗の責任を執らされたんだよ」


くくくっと鼻で笑う少女が、


「だからさぁ・・・報いを受けさせなきゃいけないよなぁ?」


誰が誰にとは言わなかったが、少女の態度を観れば自ずと分かる。


一方的に話されたミハルだったが、理不尽さに怒りを覚えて。


「あの珠は、邪な者が持つべき物じゃないの!

 邪神<ヤマタノオロチ>になってしまうんだから!

 そう八百万の神様が仰られたんだから、護って当然でしょ!」


動かないノーラを庇いながら、浮かぶ少女へ言い返した。


「くっ・・・はぁーっはっはっはっ!

 護って当然だとぉ?!お前は我等魔族に喧嘩を売ったんだぞ?

 それをこうしてボクが招いてやったんだ、この場所へ来るようにとね?

 有り難く思えよ、そうじゃなかったのなら。

 この国を根こそぎ滅ぼしてやるところなんだからな!」


「・・・やっぱり。悪魔なんだ・・・君は!」


ミハルが言いようのない怒りに、そう言い返したら。


少女の嘲りが停まり、顔が引き攣って。


「悪魔・・・か。

 そう呼んでくれても良いけど、ボクは生憎のことに低級な魔族じゃないのでね。

 呼ぶのなら<魔王ランド>って呼ぶが良い」


自らの名を敵対する者に曝け出す。


「「しめた!相手に名を示すなんて・・・悪魔だと自認してるのに?」」


女神ミハルは、悪魔が名を知られれれば力が削がれると思って喝采をあげたが。

相手が少しも動揺せず、依然として強大なる魔力を維持している事を知る。

つまりそれは、姪っ子ミハルにとって魔王ランドの魔力は、比較にも及ばない強力さだという証。


「「なんてことなの?!こうなれば姪っ子ちゃんだけでも現世に戻さないと!」」


強力なる魔王相手に、闇の中で闘うのはなにぶん不利だから。

決戦と化す結界から逃れさせようと、女神は<新たな使徒>を守護せんと飛び出そうとした。



 どくん



何かがミハルの中で息衝いた。



 どくん・・・どくん



何者かが姪っ子ミハルの中で目覚めている。



「うっ・・・くっ?!

 まだ戦う前から・・・頭痛が襲って来た・・・」


魔王ランドの魔力に充てられたと思い込んだミハルが、


「伯母ちゃん・・・ノーラさんを頼んでも良い?」


女神に、自分よりノーラを助けるように頼んだ。


「闇の中じゃぁ、思ったより力が出せないんでしょ?

 だから、アタシが闘うよ。

 アタシ・・・<光と闇を抱く者>だから・・・戦ってみるよ!」


ミハルが女神にノーラを救い出す様に頼んで来た。


姪っ子の頼みを聴いていた女神(ミハルだったが、関心はそっちには在らず。


「「うなじに刻まれた紋章。

  闇の魔王、堕神・・・ルシファーのスリースターが。

  闇に照らされて蠢いている?」」


宝珠の中で感じた力を確認する女神。


「「もしかしたらだけど。

  これは願っても居ないチャンスかもしれないわ!

  諺に、毒を以て毒を制すってある通り。

  姪っ子ちゃんのピンチに、黙っていられなくすれば。

  或いは・・・     」」


挿絵(By みてみん)


ピンチだというのに。

女神ミハルは宝珠から抜け出し、姪っ子の姿を確認する。


「「間違いないわ。

  この結界から私が居なくなれば・・・闇の化身が蘇る。

  姪っ子ちゃんを護る為・・・黄泉の国から蘇ってくれる!」」


にぃまぁ~っと。

悪戯っ子のような女神が、悪知恵を働かせる。


「「こんなチャンスはそうそう来やしない。

  もしもルシちゃんが帰って来たのなら、これからの闘いもずっと楽になるんだから」」


そうは言っても、姪っ子を独り残して行くのには抵抗は無いのか?


「「ふむ。

  姪っ子よ、ノーラを結界から逃れさせたいのか?」」


ニャンコダマとなってミハルにしか見えない所で訊いてみる。


「そうです!二人一度にって都合良くはいかなそうなので」


「ふむ。見上げた心掛けね!」


にんまり・・・


「で?結界から私も居なくなるけど?勝算はあるのかしら?」


「無かったら・・・言いませんよ?」


ほほぉ?


ミハルは女神に勝ち目はあると答えた。


で?どうやって?・・・問い質すつもりの女神に。


「アタシ・・・アタシの中で。

 闇が力を増して来てるのが判っちゃうんです。

 それって、宿ってるもう一人の力なんですよね?」


「あなた・・・気が付いていたの?!」


コクンと頷いたミハルに、女神が驚愕する。


ー 姪っ子は、いつの間にか宿る力を感じ取れるほどの魔鋼力を手にしたのね?


幼い時から観て来た。

復活した時からずっと観ていた。


だけど、これ程強力な魔鋼力を持つようになっていたとは、想像もしていなかった。

低級な悪魔なんてもう、姪っ子の相手にもなりはしないだろう。


「そう・・・か。

 姪っ子ちゃんは、あの人に託してみる気なんだ?

 堕神ルシファー・・・あなたに宿るもう一柱の神に」


女神は微笑んだ。

ミハルは頷いた。


そして。


彼が目覚めんとしていたのだ・・・

甦るのか?!

ミハルの中に存在する闇が?


だとすれば、危険ではないのか?

闇の存在に感化されてしまわないのか?


堕神ルシファー・・・果して?


次回 魔王 襲来 第5話


君の前に現れるのは・・・古の堕神か?それとも・・・大魔王なのか?!


追記・ミハルとルシファーの間柄を、女神ミハルは知りません。

   詳しくは<外伝 九龍の紅き珠 アタシと魔王の悪者退治>に載せようと思っております・・・

       

     注釈

   コハルと呼ばれていた2年前に起きた夏の夜の怪事件。

   その時ミハルは闇の結社<イシュタルの民>と闘い、危機に瀕して彼と出逢ったのです。

   永き眠りから目覚め、宿っている堕神ルシファーが危機に瀕していたミハルを救ったのです。

   彼は女神<ミハル>には秘密にしておくように告げ、再び闇の中へ帰って行きました。

   必ず再び逢えると約束を交わして・・・


と・・・いうことで。

次回は堕神ルシファー再登場なのです!

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