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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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魔王 襲来  第3話

不思議な鍵を手にした時。


あなたなら・・・開けちゃいますか?

禁断の扉と知っていても・・・

速攻。

相手の虚をつき、電光石火の一撃を放つ。


3人いる黒服目掛けて走り込んで来た、ミハルの魔鋼剣が一閃した。

一番手前に居た男の脇で、サングラスを掛けた一人目が声を発する事も無く倒れ込む。


「なっ?!」


驚愕の呻きを上げるもう一人目掛け、返す刀で後頭部へ軽く打ち身を喰らわせる。


「ぐっ?!」


剣の背で打ち付けられた男が崩れ去る。


鍵の前で二人があっという間に倒れていくのを、最期の男は為す術も無く観ていたが。


「この鍵は貰うのら!」


いつの間にかノーラが鍵に手をかけていた。


「なにっ?!お前はどこから現れた?」


奪われた鍵を取り戻そうと、男が振り向いた時。


「はい!そこ迄ですよ、大人しくしてくださいね?!」


剣先をミハルが突きつけていた。


挿絵(By みてみん)



「ノーラさん、ナイスフォローです!」


男を威嚇しながら、ミハルが褒めると。


「上出来なのらっ!」


鍵を片手に弄び、自慢気に応える。

ミハルの剣に動きを制せられたサングラスの男に、鍵をみせてノーラが凄む。


「こいつが何処の鍵か。

 それと、鍵が示す意味は?」


黙秘しても無駄だぞと謂わんばかりに、蒼い目で睨んだ。


「隠し立てしても駄目ですよ?ここに一人の女性が囚われているのは知ってるんですから」


切っ先を喉に当てて、ミハルも尋問に加わる。

戸惑う男が生唾を呑み、二人の魔法使いから加えられる威圧に身を震わせる。


「言えないのか、知らないのか?

 どっちにせよ、アンタは用無し。鍵が手に入った今は・・・のら?!」


目配せして来るノーラに呼応して、ミハルが魔鋼剣を喉仏に宛がう。


「わ、判った!言う言うっ!

 これは会長・・・いいや理事長に命じられたんだ。

 この鍵を護れって、護っていれば良いんだってな!」


泡を喰う男が、ぺらぺらと喋り出す。


「どこの鍵だかは聞いてい無いノラ?」


凄むノーラに、男は焦りだして横にある扉をチラ見した。


「そこか?その小部屋に何があるのら?」


一見して倉庫か何かの部屋に見えるが。


「その先は教えられていねぇんだ。

 唯、そこには絶対入るなと言われているだけなんだ」


「絶対?誰も入っちゃいけないんだな?」


こくこくと頷く男の顔を窺って、盗賊の本性が現れたのか。


「そこの部屋からは魔法力は感じられないのら。

 もしかしたら母さんが閉じ込められているのかもしれないのら?」


ぼそりと男に、やっと聞こえるくらいの小声で呟く。


「・・・・・」


男は僅かに顔を歪ませる。


「・・・違うようだ・・・のら」


男が本当は何が隠されているのか知っていて、誤魔化しているのかを探ったようだ。


「本当のことを言うのら!

 あの部屋はなぜ鍵をかけてある?なぜワザとらしい護衛なんかを置いた?」


ノーラに見破られた男の顔色が、あからさまに怯えを帯びた。


「言って貰えませんか?手荒なことはやりたくないんですよ?」


魔鋼剣をついっと引いたミハルが、ニヤリと笑い掛けて来る。

嗤う少女に、言い知れぬ恐怖を感じた男が。


「喋れば・・・後で取り返しの出来ない事になる。

 だからお前達はそこの部屋に入れば良いんだよ!

 そうすれば何もかも分かるだろう、俺が怯える訳も。全てが明かされるんだ!」


男はミハルに恐怖を感じて喋ったのではない。

なぜそう言えるのかは、男がサングラスを取り落としてまで部屋を観ていたから。


尋常ではない恐怖が為せる技・・・男は部屋の中に何があるのかを知っているのだ。


「喋れない訳は、何に在るのら?

 あの部屋に何が隠されているのら?

 お前は知っている!

 知っているのに喋れないのは命令というだけじゃないのら?」


「喋れば・・・俺だけじゃない。

 俺の知る者全てに災いが・・・死が訪れちまうんだ!」


恐怖に怯える男。

真っ青になった顔を、二人に向け・・・


「がっ?!ぐぁっ?」


もう喋らせる必要が無くなった男に、ノーラが手刀を浴びせて気絶させた。


「こいつが起きて来る前に・・・どうするのらか?」


3人の護衛を眠らせたミハルとノーラが、小部屋を前に相談する。


「アタシは、この部屋に何があるのかより。

 優先したいのは人質の奪還ですから・・・」


「そうなのら。如何にもって部屋を探索するより、下の階に行くべきのら!」


黒服の男達を縛り上げたノーラが、ミハルの意見を採る。


「だけど。この部屋に何が隠されているのか興味はあるのら」


盗賊の本性とでも言うべき、お宝を嗅ぎ分ける鼻がたったか?


「帰り道に覗くぐらいは構わないノラ?」


部屋に何があるのか。

興味が惹かれてしまったようだ。


「帰り道で、ですからね?

 無事に帰還の目途がたてば・・・ですからね?」


下の階へと先に立って歩み出したミハルが、ノーラが来ないのに気が付いて振り向くと。

今の今、小部屋は帰りに調べると言っていた、当の本人が小部屋の前に立っているのを観て。


「ノーラさんっ?!」


まさか、鍵を開けようとしているのではと、停めるのだが。


「心配する事無いノラ。鍵が合うのか調べているだけなのら!」


鍵穴に差し込んだノーラが、事も無げに言い返して来た。


「ほ~ぉら・・・え?!」


鍵が吸い込まれていく・・・ノーラの手から奪われて。


「なんなのら?!鍵が勝手に?」


鍵は捻って開錠するもの。

それなのに、鍵穴に差し込んだ瞬間・・・


「馬鹿な?!こんなことが?」


驚愕したノーラが、目の当たりにしているのは。


「魔法?!何も感じ無いノラ?!

 それなのに、これは一体どうなってるノラ?!」


有り得ない光景に、ノーラはその場から離れなくなった。


「ノーラさんっ?!離れて!」


右手の魔法石を蒼く光らせたミハルが駆け寄り、ノーラに体当たりをかけて来る。


「あ?!そんな・・・嘘だろぉ?」


鍵が吸い込まれた扉が、音も無く掻き消える。


そう。

消えて無くなったのだ。


小部屋自体が・・・そこにあった筈の校舎もろともに。


ノーラの前に赤黒い異空間が広がっていた。


「くっ?!間に合わなかった!」


体当たりをかけて、停めようとしたミハルだったが。


「結界・・・しかも、かなりの異能ちからを持つ物が造ったんだ」


闇の結界とは規模も、辺りの情景から観ても違う。


「悪魔・・・か?それとも?」


自分が知り得る範囲でしか、想像がつけれない。


「ノーラさんも魔法使いだから。

 結界に獲り込められちゃう・・・なんとか脱出しなきゃ」


こんな場所で結界に獲り込められるなんて、想像すら出来なかったから。

ノーラと二人、赤黒い闇の中で佇んでいた。


「ノーラさん!ここから抜け出さないと!」


「ミハル・・・ここは何処なのら?」


ノーラには初めてだろう。

闇の結界になんて獲り込められてしまうのは。


「ここは・・・結界の中なんです。

 魔法使いが闇の使者に捕まえられるてしまう処なんですよ?」


「闇の使者?もしかして悪魔か何かなのかノラ?」


外れではない・・・が、当たってもいない。


「悪魔かどうかは分かりませんが。

 相手に因っては二度と出られなくなってしまいますから!」


そう告げたミハルが、結界の抜け道を探す。

獲り込められてまだ数分も経ってはいないから、どこかに出口が見つかるかもしれない。


きょろきょろと探しているミハルに、ノーラが指差し訊いて来る。


「アイツも?

 あの子も閉じ込められているのか、こんな場所なのにノラ?」


魔法力を検知できるノーラならでわか?

遥か前方から現れ出た黒髪の少女を指して。


「それなら、あの子も仲間にしてやらないとのら!」


脱出するのなら一緒にと、言ったのだが。


「いいえ、ノーラさん。

 あの子は・・・人じゃなさそうです」


蒼い瞳となっているミハルが、やって来る少女を睨む。


「姿は人でも・・・怖ろしい力を放っていますから・・・」



二人の前に現れた肩まである黒髪を、風も無いのに靡かせている少女。


「「飛んで火に居る・・・なんとかだ」」


ニヤリと嗤う口元が。


禍々しく歪んでいる・・・悪魔の様に。

結界の中で。

禍々しき少女が現れる。


ミハルの前で嗤う顔には、悪意に満ちた紅き瞳が澱んでいる。


ランドと名乗り、魔王だと告げていたが?

本当に魔王なのか?未だ正体は見せられてはいない・・・


もしも本当に魔王だとすれば、ニャンコダマにご出馬を願わねば?

さぁ?どうなる魔鋼少女と、ランドと名乗る魔王との戦いは?


次回 魔王 襲来 第4話


力の差を、如何に克服するというのか?光と闇を抱くミハルよ?!

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