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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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魔王 襲来  第1話

挿絵(By みてみん)


魔王 襲来


どうやらこれからが本格的にやばいようです・・・

ミハルは一体どうなってしまうのでしょう?



地上はまだ朝日が射す前、払暁まで数分の時間が残されていた。

上空から観た学校の敷地には、これと言って目立った以上は感じられない。


「つまりは・・・奇襲成功だね」


目的地上空からの観測には、ローラの異能が遺憾なく発揮された。


「そやな、取り敢えず魔法を持つ者は見当たらない・・・と」


カイト型パラグライダーから、減速の為に小型パラシュートを展開したマリアが接地ランディングに入る。


「降りたら直ぐに、校舎の影まで走るで?」


予告しておいて、マリアがローラと繋がれているワイヤーを解除する。


「判った、マリア」


ふんわりと着地に成功したマリアが、グライダーを茂みの中に投げ込みローラと共に校舎裏に走り込む。


「マリア、ミハルさんとノーラ姉は?」


遅れて着地する予定の2番機を訊いたローラに。


「もうすぐ来るやろ。ミハルに任せておけばええんや」


作戦は二手に分かれて行われる手筈だったから、マリアは気にも懸けない風である。


「そう・・・大丈夫だよね?」


姉を心配したのか、それとも作戦を気に懸けて言うのか。

ローラはまだ見渡せない上空を一目見上げてから、マリアに従うのだった。




「やっと落ち着いてくれましたね、ノーラさん?」


笑い声がノーラの耳に漸く届く。

パニック状態を脱して、初めてミハルの呼びかける声が聞こえる余裕が出来た。


「あんな高さから落ちたら猫でも死ぬわって・・・意外と落ち着いてるのらな?

 なりは小さい癖に、度胸は据わってるノラな?」


振り仰いで問いかけて来るノーラに、


「小さいは余計ですよノーラさん!」


笑い掛けて、下方を指差す。


「もうすぐ着地ランディングですからね。

 暴れないでくださいよ?着地が一番危険なんですから」


地表まで後50メートルを切っていた。

グライダーについているパラソル型の減速パラシュートを展開させ、ミハルが徐々に校庭に降りて行く。


「この高さまで辿り着いたのなら、もう繋がれておく必要は無いノラ!」


20メートルを切った高さで、ノーラは何を思ったかワイヤーを勝手に外して。


「先に降りとくノラ!」


グライダーを操っているミハルに断ると。


「そりゃ!」


自慢の体術で地上へ降り立とうとグライダーから降りた・・・


「ぎゃっ?!ノーラさ~んっ!まだ安全フックが繋がってますってばぁ?!」


飛び降りたノーラとミハルの身体には、緊急時用の接続ロープが繋げられたままだった。


「にゃっ?!ニャンだとぉぅ・・・早く言えだぁーノラァ?!」


「ぎゅへぇっ?!それはこっちの言うセリフですよぉ?!」


勝手に飛び降りたノーラが宙ぶらりんになり、弾みでミハルがバランスを崩す。

繋げられたロープがローラの体重をミハルへ伝え、堪らず失速してしまった。


「わぁああああんっ?!」


真っ逆さまにミハルはグライダーから振り落とされ、地上に激突するかに思えた・・・


「よっこらしょっ!」


ノーラの声が耳元で聞こえたと感じた瞬間には。


「悪かったノラ。焦ったのが失敗だったノラ!」


てへへと。舌を出してノーラが謝って来た。

躰を支えているのは無事に着地したノーラの手。


「あの高さからなら、どうって事ないのら!」


「ひぃやぁっ・・・死ぬかと思いましたよぉ?!」


グライダー自体は自分達とは違い、へしゃげて壊れている。

よくも助かったモノだと眼を丸くするミハルに。


「さっさとグライダーのワイヤーを外すのら!」


未だ繋がったままの接続ワイヤーを外す様に言うノーラが、


「ローラ達に先を越されるのは黙っておれないノラ!」


弟との競争の様にミハルを急かす。


「ちょっと待って。装備を外しますから!」


グライダーにつけてある武装を取り外しにかかる。

バランサーし代わりに取り付けてあった小箱には、もしもの時ように武器が入っていた。


「警棒と照明弾・・・それと気付け薬・・・と」


小箱にはその他にもう一つ入っていたが、ミハルはそれをポケットに忍ばせノーラには知らせなかった。


ミハルがポケットに忍ばせたのは、催眠薬入り注射器。

強力な催眠効果を持つ劇薬を、使用せずに済めば良いと思いながら。


「ノーラさん、武器がいりますよね?」


差し出された武器を観たノーラが、眉を顰めて訊いて来た。


「要るけど。照明弾と警棒だけ?他に拳銃とかないのかノラ?」


「そんな物騒な物をアタシ達に貸与する訳がないじゃないですか?」


戦闘員とはいえども、殺傷能力のある武器を渡す訳もないから。


「この作戦は隠密裏にお母様を助け出す事にあるんですよ?

 お母様がここに捕らえられているのが判れば、照明弾で応援を頼んだらいいだけですから」


もともとの作戦要綱がそうなのだと、ミハルはノーラに釘を刺した。


「めんどくさいノラ!母様を取り戻せるタイミングがあれば、助け出すのら!」


「それはそうですけど。

 隠密裏に事を運べなければ、危険を伴いますからね。

 アタシは皆が無事に済むように、焦らない方が良いと思います」


焦りは禁物。

事を巧く運べないと思うのなら、一度本部へ戻るのも仕方がないと言ったのだが。


「もしも、母様に危害が及んでいるのなら。

 見過ごす訳にはいかないノラ!その時は勝手にさせて貰うのら!」


状況が最悪だとすれば、ノーラは身の危険を顧みない・・・そう言い切ったのだ。


「それは・・・もしもそうだったら。

 アタシも一緒に救出の手助けをしますから・・・ね?」


決死の行為には、仲間が必要だろうとミハルが言い返した。


「おまえ・・・さっき言った事と違うぞ?」


「いいえ、仲間を見放すなんてのは常軌にも逸してますから。

 ノーラさんが独断専行するのなら、ペアのアタシも一緒に行きますからね?」


自分を出汁に、ミハルがノーラを諫めようとする。


「・・・分かったノラ。

 最期の瞬間まで自制する・・・ノラ」


やっと了解したノーラが警棒と照明弾を受け取った。


「それじゃぁ、魔法力探査と、救出作戦を開始しましょう!」


校舎へ向けて走り始めるミハルに頷き、ノーラが早速探査を始めた。

魔法力を探るのには、魔法を使わねばならない。




ノーラとローラの魔法は、魔法の力を持つものを探る特殊能力だった。

相手が魔法を使う者だとすれば、数十メートル先まで近寄れば反応が現れる筈だった。


「どうやら・・・ノーラ姉さんも来たようだよ?」


「そうか。せやったら、捜索範囲を絞り込むで?!」


帝都学校の魔法学部校舎内部に突入していたローラとマリアが、目指すのは。


「ウチ等は階上へと向かうで。

 学園理事長室まで、一気に探索するんや!」


マリアはローラを伴い、上層階にあるとされる理事長室へと走り始めた。


「この校舎って何階まであるんやねん?まるでどこかのタワーやないか?!」


「そうだよね、ボクが入校した時にはこんなに高くは無かったのになぁ?」


ローラの記憶には、多寡だか5階建てだった筈なのだが。


「外見観た時にも思うたんやが。

 なんや、この学校って・・・要塞みたいに思えたんやが?」


高い尖塔が聳え、周りを堅固な城壁で囲まれた・・・


「そうだよね?いつの間に改装してたんだろう?」


二人は交々不思議に思った。


「そやかて、しゃぁーないわ!

 エレベーターを使う訳にはいかへんのやし。

 走って上り詰めんとアカンやろ!」


「・・・だよね!」


マリアとローラは探索しつつ、階段を駆け上がって行く。



「「ふっ!そちらが魔法力を探ってくれるから。

  お前達の居場所は逐一分かるぞ・・・愚か者め!」」


監視モニターの中に映りこむ二人の姿を、暗がりの中で見詰める者が。


「「もう一組が居るようだが・・・そちらが?」」


別のモニターには物陰に潜んでいるらしき影だけが映っている。


「「どうやら、こちらの意図しているのを読んでいるのか?

  それとも偶然陰に入ったのか・・・こちらの方が手強いのかもしれんな?」」


数台の監視カメラが侵入者を捉え、モニターに映し出している。


「「どちらにせよ、生きては帰さん。そうですな、ランド様?」」


振り向いた男、道魔の後ろに建っているのはセーラ―服を着た少女。


「「ふんっ!人間如きの手助けなどしないよ」」


嘲る少女は、黒髪の間から紅き瞳で覗き込んで。


「「ボクの楽しみはね?あの子を玩具にするだけなんだから・・・」」


嘲笑う魔王ランドの口元が、醜く歪んでいた・・・

侵入するミハル達4人。

待ち構えるのは道魔。

そして?!


闇の魔王が牙を剝く!


次回 魔王 襲来  第2話

突き進め!今は人質の救出を優先させるのだ!・・・だが?

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