茉莉花の過去
茉莉花編です。
皐月蒼と別れた後、私、南沢茉莉花は不機嫌だった。
それは、蒼が嘘を付いていることを知ったことだ。
それは、大きな課題を「ボスを倒すこと」と言っていたことだ。
私も嘘を付いていた。
そんなことは、蒼も気付いているだろう。
大きな課題が一緒になるはずがないからだ。
大きな課題とは、自分への課題でもある。
茉莉花の大きな課題は「彼氏を作ること」だった。
茉莉花は中学二年生の時に彼氏がいた。
その時茉莉花が好きになったのはクラスカーストが低い男子だった。
茉莉花から告白してその男子は彼氏になった。
しかし、はじめは順調に交際が進んでいたが、交際してから2ヶ月後に驚くべきことが起こった。
「僕は茉莉花のことが好きだった。だけど、こんな思いをするなら付き合わなければよかった。もう、僕に関わらないでくれ。」
「ちょっと…。」
茉莉花の彼氏はそう言って別れを告げて走り去った。
後日、彼は学校に来なかった。
茉莉花は彼の家に行ったが彼に会うことはできなかった。
しばらく日がたつとある噂が広がっていた。
茉莉花は見た目が可愛いため、複数の男子から好意を抱かれていた。
しかし、好きになった男子たちはクラスカーストトップの人たちだった。
彼らは、誰が茉莉花をとるか冷戦状態にいた。
そのため、茉莉花は一度も告白されたことがなく、モテないと思っていた。
そんな、彼らに起こった出来事が、クラスカーストの低いやつが茉莉花と付き合ったということだった。
茉莉花をとるために戦っていたのに漁夫の利されたということだ。
彼らは、ムカついて付き合った彼をいじめだした。
もちろん茉莉花にはばれないように。
その後、この噂は教師たちの耳に止まり、いじめていた人たちは学校に来なくなった。
その後、茉莉花は「彼氏を作らない」という決意をしたのであった。
茉莉花はマリッサから大きな課題を与えられたとき、とても驚いた。
蒼と課題の話をしたとき、蒼なら話していいかもっと思ってしまった。
何故、蒼に話していいかもっと思ったのかはわからないが…。
蒼にも私と似たような大きな課題があるはずだ。
蒼が話すのなら私も話す。
蒼決意したのだが、蒼から本当の大きな課題を教えてもらうことはできなかった。
その事に苛立ちを覚えていた。
「ねぇ、マリ。」
「どうかしたの?茉莉花。」
マリッサは深刻そうに呟く茉莉花を見て同情した。
マリッサは、茉莉花の過去を本人から聞いていたからだ。
茉莉花は、この課題を知っているのだから話してしまおうと思ったのだ。
マリッサは出会ってから1日たたないが、茉莉花にとって唯一相談できる友達になりつつあった。
そんなマリッサは、なんとなく茉莉花の気持ちが分かったのだ。
「ごめん。なんでもない…。」
マリッサには茉莉花が何を言いたかったのかは分からない。
けど、蒼に会ってからこんなことになったのだ。
そこでマリッサは一つだけ茉莉花にアドバイスをした。
「蒼とパーティーメンバーになってみたらどうなの?」
そうすれば、蒼という人間をよく知れるのではないか。
そう思ったのだ。
ちなみに、茉莉花の小さな課題と蒼の小さな課題は一緒である確率が高いと思っている。
自分の課題と一緒なことを先に言った。
さらに、小さな課題はあと1ヶ月もしないで、異世界への転移が始まるから、嘘をつく必要性がないだろうと判断したからだ。
「そうだね。けど、私から誘うことはまだできないな。」
パーティーメンバーになるというだけだが、男子を誘うとなると、彼氏を作るのと少し似たような感じが少なからずあるため、茉莉花にはできそうになかった。
「なら、あっちから誘わせるようにすればいいのよ!」
「そうだね!そうと決めたらなんとしてでも誘わせてやるわ!」
「やっと元気が出たわね。それでこそ茉莉花よ。」
「ありがとう。マリ。」
茉莉花は蒼をパーティーメンバーに誘わせることができるのだろうか。