七話
そういえば、あの作家の主人公は、確かに人間の失格者ではありました。ですが、僕よりは人間をしていました。
彼は、人の感情を共感できず、ちぐはぐな人生を歩んでいました。
僕は、感情を持ち合わせていながら、知識を得る機会もありながら、何もかも持つ努力をせず、形損ねてしまいました。
彼は、元の形が歪んでも、人の形が見えていました。それでもどうにか人であろうと、生きていました。
僕はどうでしょう。
人の形は見えていました。元の形が歪んでいたかどうかはわかりませんが、彼よりは恵まれた環境にいたのではないでしょうか。
ならば、なぜ僕は、それなのに、人であろうと頑張ろうとしなかったのでしょうか。
愚行の反芻です。
後悔して、また甘んじている。これが日常に変わり果てるほど、僕の生活は落ちぶれていました。
愚行は暇がありません。
小説の執筆中も、ふと手を止めて、思考にふけります。
どうして僕は、と自分を責めて、苦しんだ振りをするのです。道化になりきるのです。
僕は、本当になぜ、こんなにも歪んでいるのでしょう。
とても醜い形をしています。まともに見られたものではありません。
せめて、あの彼のような、少しは人間味のある歪み方であれば。
僕は、自分の形さえ目を背けるようなことさえなかったのでしょうか。
一日の終わり。
今日は一行だけ書きました。
休日の一日を使って、です。
こうして、また僕は、再度認識するのです。
そうだった。
僕は人より歩みが遅かった。
いったいどれほど速く足を振り上げれば、ずっと先に消えた彼らの、友達の肩をたたけるのでしょうか。
どこいっているのと、気さくに笑いかけられるのでしょうか。
僕も一緒にいいかなと、また、一緒に歩いていける日は、どこにありますか。
どこまで行けば見えてきますか。
どれほど行けば、見つけられるのでしょうか。
僕は、とうとう、自分が前へ歩いているのかさえわからなくなっていました。
続きます。




