十一話
親鳥がいつまでも餌を運んでくれるものだから、巣から顔を出すばかり。
あたかも何もわかっていない顔で首をかしげて見せて、また親鳥を、すでにボロボロの翼で羽ばたかせる。
いつまでも自分は飛び立たず、親の背中を見送る。
彼らが餌をもって帰ってくるのを知っていて。
僕は巣の中で、自分の寝床をいじるばかり。
わかっていようとも。
知っていようとも。
それでも、翼を広げようとはしなかった。
世界を知ろうとしなかった。
空を知らない鳥が、世界に羽ばたける道理はどこにもない。
親鳥が戻ってこなくなったとき、やがて気づいたときには、僕の翼はとっくに枯れていた。
どこにも行けず、巣の具合をいじるしか、残されていることはなかった。
とても生きる手段からは遠すぎる、酷い行いだ。
助けを請う鳴き声も、巣の外まで響かない。
親鳥しか聞き取れない声が、他の誰が拾いましょうか。
ただ孤独に鳴いて。
時々身繕いしながら、巣をいじる。
もはや親鳥がいないと知りながら。
このままでは先がないとわかっていながら。
それでも鳥は、雛のつもりで、誰かに餌をねだる。
助けてくれる誰かに。
もはや親でも何でもよかったのだ。
僕は今日もここで、空を知らない翼を、大層にしまう。
羽ばたかせたこともないのに、大事に、枯れた翼を繕う。
そうして、せっせと巣をまたいじるのだ。
続きます。




