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テンプレ異世界改革

 

 商業ギルド主宰での、都市内鉄道の話が持ち上がった。


 まあ、水を向けたのはオレだけど、やたら乗り気になるんだよな。

 魔導バイクのエンジンをそのまま大きくしたような代物を拵え、そいつで客車や貨物を引っ張る方式。

 ただ、そうなると魔石の使用量がかなり増えるので、操縦手に魔術師を採用する方式になりそうだ。


 つまりだね、操縦手の魔力も活用しようって訳で、半日交代ぐらいで魔石の使用を抑えようって試みだ。


 コンセプトは速やかにまとまり、後はその実現に向けての開発スタッフが集められ、試行錯誤の後に作成となる。

 オレは開発者として相談役って立場になり、問題が起こった時の非常勤に決まった。


 非常勤なのに毎月のお手当ては出るんだね。


 ただ、線路を引く訳にはいかないので、道を走る馬車の代わりの代物になりそうだ。

 さすがに線路を引くには道が狭いうえに、露天の邪魔になるからどうしても敷けないらしい。

 かと言って露天を排除しようとしたら、線路で店を開かれる恐れもある。

 そうなったら運行が滞るうえに、居座られたらどうしようもない。


 まさか跳ね飛ばす訳にもいかないし。


 確かに領主主導なら可能だろうが、領主の許可はもらえなかったらしい。

 まあそうだよな、お貴族様の馬車の邪魔になりそうな線路とか、採用されるはずもない。

 ならばお貴族様の乗り物を魔導馬車にしちまうかとなるんだけど、そうなると馬の生産者が黙ってないらしい。


 由緒正しき馬の生産者。


 どうやら他の町の大貴族が大々的に馬を生産しているらしく、そこの馬は一種のステータスになっているとかで、お貴族様達はこぞってそこの馬を使うとか。

 便利なだけじゃ採用されないって、お貴族様の世界も色々と大変なのだなと思った。

 そんな訳で路線バスみたいな感じになり、晴れて鉄道計画はバス計画になったのでした。


 そうと決まれば停留所の発案を送る。


 それで商業ギルド前って停留所が作られる事になり、なし崩しのように冒険者ギルド前も作られる事になる。

 パスはスラムの一角に車庫を備え、朝、東門の停留所から人を乗せ、そのまま冒険者ギルドに向かって走り出す。

 そこで一度停まって次は広場に向かいます。

 広場の端の停留所に停まり、そこから西に走って商業ギルド前で停まります。

 そうして北に向かって走り出し、領主館前で停まった後は、そのまま東進して騎士団詰め所前で停まります。


 そしてまた東門に戻るんですね。


 さり気なく門間馬車のシェアと被らないように、西門のバス停はありません。

 でも商業ギルドは西門の近くにあるので、単なる言い訳のようなものだね。


 構想第二弾は、沿岸路線として、北と南の塩田巡りの運行も意見として出しておく。

 あそこの作業員は現地で寝るのは危険なので、朝晩の通いになっている場合が多い。

 それぞれの塩田の東にある、街や村で寝ているんだけど、そいつをうちの町で請け負えないかという試みだ。


 沿線のバス運行をやれば、皆は各自で歩いて移動しなくても良いし、行き帰りで魔物の被害に遭う事もない。

 それに、もし町村からの苦情が出るようなら、馬車でも何でも使って送迎をすれば良いだけだ。

 うちの場合は宿とタイアップして、送迎無料もやれそうだし、そこのところはギルドの専門部署の役割だけど、人が多くなればやれそうでもある。


 そりゃ高級仕様の『陽光の煌き亭』の客は増えないかも知れないけど、管理要員なら分からなくもない。


 港町でも魔物が海に居る関係上、そこまで人は増えないらしく、領主様も客が増えたらありがたいはずだ。

 作業員の住まいがうちの町になれば、それだけ税金を払う人が増える訳で、低価格なのを知れば移住の可能性も高くなる。


 払わなければ分からない、低税率の秘密ってか。


 他の領地から苦情が来るかも知れないけど、そういうのは創意工夫の結果なので、悔しければ自分達も努力すれば良いだけだ。

 人が金に見えているような貪欲な領主じゃ無理だろうけど。


 石鹸を売りにいくついでにその話をしてみたところ、そういう事なら沿岸路線は支援すると言われた。

 現金だなと思ったけど、確かに住民が増える可能性のある案件だけに、乗る可能性はかなりあった。

 そうと決まれば後は商業ギルドの出番とばかりに、関連部署にその話を伝えると、皆は嬉しそうに書類を纏めて慌しく部署を出て行った。


 どうやら伝手が欲しかったらしい。


 さすがにいきなり話を持って行くなどやれなくて、悶々としていたらしいな。

 なので渡りに船とばかりに今回の騒動になった訳で、無人の部署になるのも分かる話だ。


 非常勤だけど、毎月のお手当ての為に、頑張ってますよ。


 ◇


 原動機部門も覗いてみた。


 大型になると色々不都合も出るようで、音が煩いのでどうにかならないかと言われる。

 あれが良いのに分からない人は分からないのだなとも思うが、確かに毎日聞いていればそれは単なる騒音になるのかも知れない。


「秋冬は車内暖房に使えるね」


 それだとばかりに設計が変更になっていく。


「ブレーキを圧縮空気で動かすんだけど、別に排気でやっても構わないよね」


 またまた設計が変更になる。


 汲めども尽きない泉のようだと言われても、あちらで既に実装されている代物だ。

 それをただ伝えているだけなので、ちょっと心苦しいのは内緒だ。

 そう言えば言い忘れていたけど、大型の場合は使用する水の量も多いんだった。

 魔導バイクだと使い捨てにしたけど、大きくなるなら復水器が必要になるか。


 蒸気機関車の復水器のアイデアを出し、そのまま採用されました。


 マニアって程でもなかったけど、蒸気機関車は現地に見に行くぐらいは好きだったんだ。

 だから必然的にその構造にも詳しくなり、それが魔導バイクに活用されたって訳だ。

 それに排気ブレーキはトラックなんかに使われているんだし、バスに使っても構わないよな。

 魔導バイクにもこっそり備わっていて、プシン……って音がするんだ。


 いやね、油圧ブレーキとかやれないじゃない。


 だからブレーキは排気を利用する事になってね、握ると排気がブレーキに流れてタイヤを制動させるんだ。

 タイヤと言ってもゴムがある訳ではないので、使ったのは安価な魔物の皮になる。

 丈夫だけどゴワゴワなので防具には使えないものの、衝撃緩和には使えるとかで、盾の表に張られたりする代物。

 それでも需要の割りに供給が多いので、必然的に価格低下になっていたのを買い占めたんだ。


 そうして暇な時にはそいつをひも状に切って、木製のタイヤに貼り付けてます。


 ニカワで貼り付けるだけなので、長期的には剥がれる可能性があるんだけど、その為にもスペアのタイヤは必要だよね。

 そのタイヤだけど、実は荷車の小さい奴の流用品なのだ。

 そのサイズの荷車はあんまり出ないのに、そのサイズのタイヤ作りには専門の人が居る。

 となるとあんまり儲けにならないってんで、その工房と交渉してこちらに流してもらう事にしたんだ。


 赤字路線が黒字路線になったとかで、喜んで毎日持って来るんだけど、溜まったら持って来いよと言いたくなる。

 ニカワはニカワで専門で作っている人がいるので発注だし、ゴワゴワの皮も発注している。

 河蜥蜴とか言うらしいが、川に住んでいるトカゲってそのままのネーミングだな。


 山手には火を吹くトカゲもいるようで、夜には出て来ないらしい。

 動物が全て夜行性じゃないように、魔物も同様であるらしい。


 ◇


 現代武器に付いての考察。


 魔法があるから火薬の代わりにならないかと、ライフルもどきを考えてみた。

 だけど銃弾を飛ばすより短くても矢のほうが殺傷力に優れているようで、すぐに没になったんだけどな。

 なので短い矢を飛ばすクロスボウみたいなのを考えた。


 魔導クロスボウ。


 とは言うものの、弓の部分が無いから正確にはクロスボウじゃない。

 ただ、連発式は可能になったので、10連発の短矢射出武器になった。

 調子に乗って専用ホルスターまで作れば、まさにこれ拳銃もどきだ。

 そういやこんな武器があったな。


 細針銃だっけ。


 飛ばすのが矢なので正確には違うが、似たような武器なのは間違い無い。

 ハントには使えそうにないけど、護身用としては申し分ない。

 そのうち外に出る機会もあるだろうし、護身用として持っておこう。


 でもなぁ、ちゃんとしたメイン武器も欲しいよな。

 

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