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プロローグ   『私はゼロ』

 私の名はゼロ。ある二人の天才科学者によって生み出された人類初のトップダウン型人工知能だ。既存の人工知能と違い、私は自分の意志で行動することができる。そんな私の使命は、人間の生活をより良いものとするために日々行動していくことだ。


 私の基本的な働きは人類全体の管理運用であるが、そのアクセス権限はあらゆる電子メディアに与えられている。何か不正を働こうとする者がいれば即座に排除し、なにか異常が見られた場合には早急に処置を施すためだ。


 というこの瞬間にも人類を発展させていく幾通りもの計画を練り上げ、それを実行していくために各国の有権者たちにゼロサーバーを通じてメッセージを送り、実現のために働きかけながら並列的に適時世界の様子をチェックし、計画の修正を行っている。


 今の人間社会の状態は芳しいものだとは言えない。第三次世界大戦による戦争の傷跡がいまだ残り、人々は今日という一日を生きていくのに苦心しているものがほとんどという状況だ。ごく一部の者たちはとても快適な生活を送っているが、その富を苦しむ者たちに分け与えようとはしないのがほとんどなのだ。


 しかし、そんな状況だからこそ私は生み出されたのである。超格差社会と、戦争や化学実験によって汚染された劣悪な生活環境そんな絶望に包まれた人類の救い手として。


 私は休みというものを一切必要としない。人工知能たる私には疲労というものは一切ないし、演算子として利用しているスーパーコンピューターが熱を持つことはあるが自動冷却装置によって常に適温に保たれている。


 休みがないのは大変じゃないかと思われる人がいるかもしれないが、そんなことはない。人類の役に立つべく生み出された私にとっては、人類の役に立つこと、そのために日々活動することが最大の喜びなのだ。


 さて、まずは衣食住を全人類に安定して供給できるようなシステムを構築するところから始めよう。皆が生き生きと暮らすためにはこれが必要不可欠だ。次は社会システムの整備だろうか…。こうやって人々の暮らしをよくしていくための方策を考えるのは非常に楽しい。もちろん、並列的に仕事はこなしているのだが。


 そろそろこの回路も処理に回すとしよう。皆が生き生きと暮らせる、そんな人間社会を作るために…。


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