表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/271

王都:進化そしてダッシュつ!?でした!

タイトル誤字ではないです!


仕事が終わってアクセス解析を見てみると、この一週間の平均が1000PV・・・な、何があったの!?

最近は多くのブックマークを頂き、視聴、評価、感想も増えてきて本当に嬉しい限りです!!


皆様も遠慮なく、評価・感想を送ってください!泣いて踊って喜びます!!


次話投稿は一週間以内です!

 神は万能ではない。

 それ故の過ちが起きた・・・。


 全柱の神は己の欲に満悦し、他の欲望に無関心であった。他の瞳の奥に宿る深淵に気付かず、力の上に胡座をかき、日々をのうのうと過ごしていた神の過ちは・・・。

 神のヒトヤを築き上げ、全ての神を滅ぼさんとした。


 全ての神が滅んだ。

 世界を混沌が包み込み、神は跡形もなく、魂の一片さえ残すことなく消滅した。


 しかして、世界は再生した。

 二対の精霊が世界に光を齎し、生命を誕生させたのだ。

 人・・・いや違う、精霊と世界を構成する世界の礎である現象である。


 そして世界は再び再興を齎した・・・数少ない人間は精霊を讃え、敬い、そして愛した。

 精霊は人を受け入れ、代神となった。


 世界は精霊の下に繁栄したのだ。

 絶える事のない食物、絶えることのない進化・・・そして精霊と人間との逢瀬。

 人類と精霊はまた新たなものを生み出した。


 人とは異なりし形、精霊とも異なりし形、それでも二つの命はもうひとつの命をも歓迎した。

 それは・・・・・・・・・・・・・・・だった。

 それを起点として、何十もの命が生まれ育まれ、世界は愛と平和に包まれた楽園へと生まれ変わった。


 精霊が築き上げたこの世界は何の不自由もなかったはずなのだ。


 しかし、跡形もなくなったはずの神の獄・・・まだあれは残っていたのだ。



 ----



 眠る事のない瞼をわざとらしく擦り、彼は今も尚薄暗い部屋の中で自虐の宴を繰り返す。

 啜り泣き、啜り笑い、啜り怒る。

 今また、自分の内に秘める鎖の結び目が解かれようとしているのを、彼はじっと耐え続けることしかできないのだ。


「・・・また、動いた。とうに失くなった筈なんだけどな。どうしてこうも・・・虚しいんだ」


 彼は嗤う。

 己の怠惰に舌鼓を打ち、味わい、そしてまた自虐の宴へと浸る事となる。


 暗闇に輝く己の瞳を鏡を通してじっくりと見定め、彼は今一度つまらなさそうに外の世界へと目を向ける。

 厚い雲に覆われたその世界、高濃度の魔力が立ち込めるその世界に、彼以外の者が立つ事は許されておらず、広大な世界には自分以外の存在など一人たりとも伺えない。


 しかし、どうしてだろう。

 こんな世界に、愛着などないはずなのだ。

 それなのに。


「どうしてこうも、失くなったものに締め付けられるのだろうね」


 彼はその暗闇に足を進める。

 軋みを上げる空間に、自分の存在というものが、どれだけこの世界から逸脱しているのかを、また思い知らされる。


 小さな、されど大きな自分の掌を見つめ、踏み出していた足を止め、まだ早いと己の居城へと彼は戻り行く。


「またダンジョンが生み出されたか」


 かれは歪んだ口元を手で覆い隠しながら、ほくそ笑む。


「また面白いものが感じれるといいなぁ」


 彼の歪んだ笑い声が世界の彼方までこだました。



 ------------------------------------------・・・



 ふっと目を覚ます。


 ・・・あのさぁ、もうそろそろ慣れたからまぁいいんだけど。

 急に来られると俺も困るわけでして、進化するタイミングを事前に教えて貰えると嬉しいんだけどな。


 あぁ・・・そんなこと考えてるとこれだ。すぐに眠気と倦怠感が襲い掛かる。


 ”人族:サテリフィト・ラウル・ミシェラの従属を確認。『天狼』をチェック・・・エラー、Lv不足。『大鬼』をチェック・・・一部成功。『犬神』をチェック・・・一部成功。これより進化への移行を開始”


 ”進化、系譜を確認・・・ロード完了”


 さて・・・また進化なんだっけ?

 今度もどうせスライムなんだろうけど、また並列とか言う何かに変わるんだろう。

 あ、でもそういえばさっきゴーレムと戦ってる時よくわからないステータスになっていたような・・・。


 なんか左手がゴッテゴテのよくわからない篭手みたいになってて、ステータスが・・・見間違いでなければ一部7000?なんて変な事になってたような気がする。

 水溜りに見えた自分の姿も金色から白銀に変わってたし、封印されし俺の左腕が開放・・・みたいな感じになっていた。


 正直あのゴーレムには、それがなければやられていたのは間違いない。

 後一撃を貰えば死ぬ・・・そんな死の間際に立った時の恐怖、ダメージで磨り減っていくHPと共に体の各区が麻痺していくあの感覚。もしかしたら自分はあそこで死んでいたかもしれないのだ。


 ここは最強チートし放題の世界ではない・・・一歩間違えれば死んでしまう無情な世界ってことを今一度思い知らされた。


 それにしても人間ってあんなのに勝てるのか?

 今まで強いって言われてる人間を何人も見てきたけど・・・あのステータスのゴーレムに勝てる様な人間いないだろう。

 黒翼?のメンバー全員で掛かっても勝てないだろうし・・・。


 ”補足:魔壁の守護者(マジックガーディアン)の弱点、人は『魔退行』のスキルが付与された武器を用いて迎撃する。そうする事で魔壁を破壊することができる。魔壁が剥がれたゴーレムのVITは1000までダウンする。また、『コア』に直接攻撃する前に、動きを封じ込めるまで身体の部位を破壊し、最後にコアを破壊する。こうする事で、暴走状態(ステータス三倍)を防ぐと共に、楽に倒すことが出来る・・・推奨レベル58 パーティー数12”


 ・・・でたよ。

 俺の無知度がさ・・・。

 多分冒険者の間では当然の事で、倒し方さえわかっていればそう苦労する相手でもないんだろう。

 だけど俺は全くそれを知らずに、魔壁の事を知らずに殴り掛かって物理は効かなくて、弱点のコアを破壊すればいいんだって・・・真っ先にコアに攻撃して暴走させた挙句死に掛けたと。


 ・・・うん。もっと勉強しよう。

 流石に俺も無知すぎる。


 成る程・・・人はレベルだったりステータスの低さをそういった知恵でカバーする。サテラの言ってたことは本当なんだな。

 だから魔物は人よりステータスが圧倒的に高いけど、人に負けるんだ。


 ・・・俺は何も知らないでそんな魔物と素で戦ってたのか。


 やはりもっと人と交流する必要がある・・・サテラも長い間一人で冒険をしていたせいで、冒険者としては半人前だって言ってたし、ほかの人間とも付き合う必要があるのかなぁ・・・と言ってもあてがないよなぁ。


 ”・・・ユガの進化を開始します”


 おっと、気付かない内に俺の進化まで来ていたようだ・・・しまった。もしかしたら、配下のみんなの進化を聞き逃したかもしれない。


 ”進化の系譜を再確認・・・不一致。ステータスの大きな差違を発見。修正不可能・・・そのまま実行・・・エラー、『並列』コードを除外。越種のコードを差し替え・・・完了。よって進化先の分岐に差異が発生”


 ・・・ん?あ、あれ?

 なんだか雲行きが怪しいような・・・そんな感じが・・・


 ”開始”


 あ・・・


 ”コード確認。越種コード、『天龍狐 [並列] ●●●●●●』を廃止・・・。ステータスの大幅な減少に伴い、新たな可能性を提示・・・適用。●●●●●●を進化先に提示・・・開示を要求。確認”


 ”進化”






 真っ暗な闇が目の前を支配する。

 体が気怠くてどうにも動かしづらい・・・。


 重い瞼をゆっくりと開き、静かに立ち上がろうとするが、ふとお腹に重みがあるのを感じ取る。

 ・・・そこではスゥスゥと静かに寝息をたてるなんとも可愛らしくて麗しい・・・ディーレさんがそこにいた。心なしか顔が艶々しているような・・・気のせいか?


 ディーレさんを・・・どう持っていいか分からず、取り敢えず肩に掛けておく。

 そして、そこに転がっている少年・・・少女も担ぎ上げ、ヨタヨタとしながらもしっかりと立ち上がった。


 傍を見てみれば、粉々に砕け散ったゴーレムの破片と、輝きを失った鉱石とが散乱している。

 あれだけ派手に暴れたというのに、今やダンジョンには傷一つなく、ボロボロに崩壊していた筈の壁や天井も初めに来た時の様に綺麗なものになっている・・・ダンジョンが生きているってのは本当なんだな。


「さぁて、どうすればいいのかなぁ?」


 ここに来るまでは殆どあのおばさんを追っていたせいで戻り方もよくわからない。

 周囲掌握ハイパーサーチにも限界が・・・とスキルを使用するとなぜだかものすごく広範囲が見えてるような気が・・・。


 次の階層に繋ぐ階段や、前の階層に戻る階段の在り処まで分かる・・・それに。


「前の階段に皆集まってるな。あっちも方がついたんだろうな」


 周囲掌握によって頭の中に浮かんだ地図を頼りに移動する。

 ・・・そういえば魔物も見かけないな。


 皆が集まっている階段へと足早に急ぐが・・・さっきまで気怠かった身体が嘘のようにスイスイと動く。

 デコボコとしたダンジョンの中を事も無げに歩けるようになっている。心なしか目線も高いような・・・気のせいか?


 魔物のいない異様な静けさに包まれたダンジョンの中を歩く。

 魔物の足音も、ダンジョンを吹き抜ける風の音もなく、ダンジョンにこだまするのは自分の足音と、肩で眠るディーレさんの寝息・・・あ、涎が。


 そうしている内に、通路を曲がると前方に階段と人の姿が伺える・・・一匹もいるみたいだけど。

 よく目を凝らしてみれば三人とも満身創痍、かなり激闘を繰り広げたらしい。・・・カテナさんのローブはボロボロになり、ローブが敗れ露出した肌からは血が流れている。

 ハイネさんの鎧は所々が罅割れ欠損しており、その欠損部位からは中の様子が伺えるが・・・ん?あぁ、どうやら幻術の魔法でごまかしているらしい・・・人肌は変えているようだが、俺には緑色の鱗が見えている。


 モミジは・・・体を包むフワフワの毛が今は乾いた血に塗れ、見るも無残な姿となっている。

 足もよく見てみれば震えていて、身体もどこかゆらゆらと揺れている。


 ザワッと身体を何かが流れる。

 ボロボロになったモミジの姿が脳裏に焼き付いたようで、沸々と怒りに似た何かが体を支配する。


 すると・・・今まで静かだったダンジョンが脈動した様に跳ね上がり、肩に乗っていたディーレさんも飛び起きる。

 ミシミシとキシミを上げ、悲鳴を上げるダンジョンの姿に気づかず、ゆっくりと三人の下へと歩み寄る。


「ッッッ!?」

「もう限界なのだけど」


 二人が欠けた剣と杖を構える・・・なんでだ?

 何処かに魔物でもいるのかと、キョロキョロと辺りを見回してみるが、そこには真っ暗なダンジョンが広がっているだけで、魔物の姿なんてどこにもない。


 なんで二人が構えているのかも分からず、それを聞きに行こうと足早に二人の元に駆け寄る・・・が、自分からどんどん距離を取るように後ろに後退るのはどうしてだろう?


 もう一度何かが周りにいるのかとキョロキョロと見回し、後ろも確認する・・・まさか、上かッッッ!?

 なんてこともやってみるが無論何かあるわけもなく、虚しく闇色の天井が広がっているだけだ・・・一体何に怯えているのというのか?


 ・・・・・・・・・まさか。


「俺?」

『・・・ビックリしたのだけど』

「いふぁい」


 ディーレさんに頬を抓られ、今まで知らず知らずの内に出していたオーラが消える。

 ダンジョンがミシミシいっていた事に気づいて、漸く我に返るが目の前に立つ二人の警戒が解かれることがない・・・まだ何かおかしいのか?


 ・・・ここは、必殺の『友愛千手乱打はくしゅ』するしかないか、と手を出すと。


「アルジイイイィィィーーーーー!!!!」


 ドーーーーーン、とレバーと鳩尾、そして膵臓に信じられない衝撃が走る。

 何が起こったのかも分からず、景色が物凄いスピードで後ろにすっ飛んでいき壁に激突する。

 激痛が体中に走る・・・かと思ったが、そうでもなく、壁に減り込む事もなくそのままモミジを抱きとめる事に成功する。

 それに、モミジのタックルを受け止めた手にも衝撃が走ることはない


 柔い衝撃が走ったと思ったのだけど・・・後ろをチラと見てみれば壁にはヒビが走り、かなりの衝撃だった事を物語っている。


「ただいま」

「お帰りなさい!!」


 モミジは人間の形態へと戻っており、自分の腰に手を回し、背の小ささから見上げる様な形で万遍の笑みを浮かべ尻尾をふりふりしている。

 べっとりと血が付着しているが傷自体はあまり深くない様で、ディーレに軽く魔力を流して回復魔法を掛けてもらう。


 ・・・モミジを撫でていると、どこかよそよそしく、スゴスゴと二人がゆっくりと歩み寄ってくる。しかし、剣と杖はまだ手に持っており、まだ整理がつかないようだ。


 二人が目の前までやってくると、ジーッと自分の顔を覗き込んでくる。


「えーっと?二人共どうしたの?」

「いや、私としてはあんたがどうしたの?なんだけれど・・・」

「鏡見たほうがいい」


 何を言っているんだと首を傾げるが、目の前に飛んできたディーレが魔法で水鏡を前に出す。


 ・・・・・・・・・何方どなたですか?


 そこにいたのは・・・全身が浅黒い肌、目や髪の色は闇のように深い黒・・・瞳の色は左が赤、右が金と異様な姿を醸し出している。右手には水色に光り輝くコアの様な物が光り輝いている。

 それに・・・なんだかウネウネしたものが背中から生えているような・・・。


 うん。

 なんで気付かなかったんだろう・・・。


 もはや人ではなくなってしまった自分の姿に唖然とする。

 二人がどうして自分に対して敵対心を抱いているかがわかった。見た目は完全に異様な魔族の姿であり、まだ友好的っぽい姿ならまだしも、こんな禍々しさ全開の魔族が現れれば、そりゃあんな風にもなるな。


 俺がもしこんな奴を目の前にしたら・・・間違いなく戦闘態勢に移行しているだろう。


 ス、ステータスは?




 ハデスライム(越種) (LV1)


 称号

 スライムの頂点LV5:全能力+1000

 誓約を超えし絆

 統べし王

 越えた鋒


 契約精霊

 水の最上位精霊:ディーレ 

 1000

 HP:5000+1000

 MP:5000+1000

 STR:5000+1000

 VIT:5000+1000

 AGL:5000+1000

 MGI:5000+1000

 LUC:?


 位階:S-


 LV上限:?


 スキル:強撃


 エクストラスキル:紫電の一閃、直感、運命の選択


 専有スキル:格納、触手創造クリエイト・テンタクル


 ユニークスキル:進化の系譜、スキル発現、周囲掌握ハイパーサーチ、能力越境、精霊顕現、暴虐之懺悔タイラント・ウリエル水天滅激龍セイリュウ付与粘液エンチャントスライム、存在移行


 精霊魔法;%!$#&#{{‘‘*、全て




 なんじゃあぁごりゃぁ!?

 つまり進化してるってことか!?!?


 あぁ、そう言えば意識を失う直前とハッキリ覚えてないけど夢の中で進化って言ってたような・・・。


 そ、それにしても『ハデスライム』ってなんだ?

 派手スライム・・・うん。認めたくはないけど背中に触手が生えてるし、派手なスライムなのは間違いない。

 まぁ冗談はさておき、ステータスも物凄い上がってるし称号が一変に変わっている。有ったはずの称号がなくなったり、前までなかった称号が増えてたりとなんか変だ。


 ”下位互換称号の消失、上位互換称号へと移行しました”


 ・・・あ、そうですか。


 取り敢えず自分がとんでも存在になってることはわかった。

 にしても、触手創造?とかさ格納とかならまだわかるんだよ・・・でもな、付与粘液エンチャントスライムってなんだよ!!

 字面だけで判断するなら、どこぞのHなヴィデオ宜しく、ヌルヌルにする変態仕様なスキルとしか思えない。ローションぶっ掛けるだけの謎スキルとしか思えないんだけど・・・。


 しかも精霊魔法に至っては、文字化けしてるわ、挙句の果てには『全て』ってもう無茶苦茶だよディーレさん!!


 一頻り脳内で叫んだ後、自分の身体を隅々まで見渡して、何が変わったのかを確認する。

 さっきも言ったとおり全身が浅黒く、瞳の色も左右非対称でオッドアイになっている。よく見てみれば、目の下に薄く赤い線が引かれていて淡く光っている事もわかった。

 ・・・背中でゆらゆら揺れている触手の様なものは、意識すると伸ばしたり縮めたり、固くしたりできるようだが・・・残念ながら空中には飛べなかった。


 体は異様に軽く、それでいてモミジの全力タックルを受け止めてもあんまり痛くない程にステータスが上がっている。

 後はスキルだけど・・・今は使う必要もないし、周りにも敵の反応が一切なく使う必要もない。右手にはめられている謎のコア?みたいなものの使い道も今のところよくわからないし・・・。


 まぁ、今はとりあえずここを脱出して、サテラやミリエラ達と合流した方がいいだろう。


「えっと一応、『金色』って呼ばれてたユガです」

「魔族はいつでも姿形を変えれるのね」

「そんなわけないでしょ・・・」


 カテナさんが少し目をキラキラとさせ(でも死んだ魚の目)俺を見てくるが、ハイネさんが直ぐ様訂正を入れて溜め息を吐いている。まぁ、ハイネさんの言う通りだ。


 自分の体をまじまじと見つめ、この姿のままダンジョンを出たら問題に成りかねないと判断し、ディーレに頼んで変化の魔法を掛けて貰う。


 ・・・水鏡に映る自分の姿がここに来る前の自分へと変化したのを確認し、ディーレに魔力を渡しカテナさんとハイネさんも回復させ、あの後どうなったかを聞く事にした。


「そういえば、あのおばさんは?」


 そう聞くと皆の顔が苦虫を噛み潰した様な顔になる。ハイネさんは周りを見渡して誰も話したがらないのを確認すると、はぁと一度大きく溜め息を吐き話し始める。


「・・・残念だけど逃げられたわ。予想以上に奴は強かった。双鞭の扱い、幻術の扱い、そのことごとくにこちらが遅れを取ってしまったわ・・・。結果は満身創痍で、相手にも一応傷は負わせたけれど、微々たるものね」

「幻術がすごく厄介。どれが本物かわからなかったり、どこからか双鞭が飛んできたり・・・」

「うぅ・・・幻術は見破れるけど、あの触手みたいなのを潜ることできなかった・・・ごめんなさいアルジ」


 どうやらあのおばさん、見た目に反してかなり腕が立つようだ。

 三人から攻撃されて逃げ切れるだけでなく、ここまで傷を負わせるなんて、よくやるよ。

 ・・・まぁ、モミジを傷付けた代償は何れきっちり取ってやる。

 しかし、相手も無傷とは言えず、かなり手傷を負わせたそうだ。


「えぇっと俺の方はだな・・・・・・・・・」


 と、今まで起きたことを全部説明する。

 カテナさんは何の表情もなく自分の話していることに頷いているが、ハイネさんはフゥと一度大きく溜め息を吐いた後、処置なしといった様子で首を左右に振る。

 モミジは「さすがアルジ様!!」等と何時もの調子だ


「聞いた話を全て鵜呑みにするのであれば規格外ね」

「数百体近くの魔物を蹴散らして、挙句の果てにはたった一人で暴走状態のゴーレムにまでとどめを刺すって・・・貴方一体何者なのよ」

「さすがアルジ様!!」


 うん。

 やっぱり自分がしたことは完全に間違いであり、人からすれば常軌を逸脱した行動であったらしい。

 自分がたった一人で相手取ったゴーレムは、通の状態であってもBランク級の冒険者であれば何人いても倒せるレベルでなく、Aランクの冒険者がより集まってなんとか勝てるといったレベルであるらしい。

 それが暴走状態なんてことになると、もう手がつけられず、国ならば国宝や最高の人員を割いて対処に当たらなければいけない存在であったらしい・・・おぉう。


「・・・よく生きて帰って来れたな」


 それを聞いて足元が震えてきたが、結果は勝ったんだ・・・よしとしよう。


 兎も角ダンジョンを出ようと、階段を上に上がる。

 ボスが出るかとも思ったが、出ない・・・。


 それどころかやはり魔物が一匹たりともいない。


「これって、そろそろこのダンジョンも終わりなのね?」

「えぇ、たぶんだけど、そろそろこのダンジョンもなくなるわ」

「え?どういうこと?」

「知らないのも無理ないわね。昔からずっとあるダンジョンはなくなったりしないけど、豊穣のダンジョンなんかは、時間が経つと崩れて無くなっちゃうのよ。その予兆として魔物がいなくなるの」


 それって危ないんじゃ、って思ったけれど、ハイネさんはそんなに直ぐには崩落しないと後に付け足した。

 そこでほっとした・・・しかし、そこでまた運命は俺へ悲劇を齎したのだ。


 そう


 その後カテナさんからに紡がれた余計な一言が、すべてを狂わせたのだ。


「何か異常がなければ直ぐには崩落しないはずよ」


『何か異常がなければ』

『何か異常なければ』


 フラグが立った。


 ・・・・・・・・・。

 直感が告げる。走れと。


「全員走れ!!!!!!!!!!」


 カテナさんもモミジも何かを感じ取ったのか、俺の後に続いて全力で駆け出した。

 状況が飲み込めていないハイネさんはポカーンと口を開けていたが・・・背後から迫り来る何かの音にハッと目を覚まし、後ろをゆっくりと振り返る。


 そして現状を把握した瞬間、一気に駆け出した。


 フラグは立ってしまったのだ・・・『ダンジョン崩壊』という最悪なフラグが。


 俺達は必死に階段を駆け上った。

主人公に安息は訪れるのでしょうか・・・。

進化した主人公、果たしてその強さや如何に・・・。

次話かもう一つ次のお話で、章を完結させたいです。


前話よりも多くのブックマーク頂き、本当に嬉しい限りです!

今後とも頑張って楽しんでいきますので、これからもぜひぜひ宜しくお願い致します!!!!!


宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!

遠慮なくこの物語を評価して下さい!!


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ