現状:東部探検でした!
これを書くようになって、何気ないものを言葉で表現する練習を行うようになってきました。
次回投稿は一週間以内です。
自分というものを知ろうとして二日経った。
わかったことは一つ、南部では俺の敵はいない。
つまり、俺は中々に強くなっているそうだ。
だが、ここでひとつの問題が発生するわけだ。
南部でレベリング出来ない。
これがゲームであるならば、何の罪悪感も無く叩きのめすことができただろう。
それが、今では南部の森の魔物は全て俺から逃げるか、服従を選択する。
ディーレに教わった限りでは、あまり服従を受け入れない方がいいとの事。
理由は、贈与である。
ギフトは服従した魔物に送る、何らかのスキル。
その送られるスキルは主の力によって付与される。
つまり、自分の力を分け与えてしまうというのだ。
しかし、器が大きければ自分の力が削られることはないのだという。
ディーレが言うに、百匹くらいは余裕で配下に出来るそうだ。
だけど、四匹でさえどう接しればいいか分からず、アタフタしている状況なのに他の配下など作れるはずもない。
ウルフ達四匹は、雄二匹、雌二匹であった。
そしてここで問題が発生した。ウルフ達に名前を付ける作業だ。
「ウルフ!」と呼ぶわけにもいかないだろうし、名前をつけることにしたのだが・・・
ウルフ達の目の前で名前を付けると言ったもんで、目をキラキラさせながらこっちを見ている。
RPGのゲームで主人公の名前に三十分掛けたこともある俺が付けるとなると一苦労だ。
約二時間悩んだ末に
紫のメッシュが入った雄のウルフリーダーを「ハルウ」
筋肉質の雄のウルフを「ナーヴィ」
他と比べ毛並みが美しい雌のウルフを「ユキ」
靱やかな体つきの雌のウルフを「モミジ」
春夏秋冬に関するもので名前を付けた。
ウルフ達はそれがよほど嬉しかったのか、千切れんばかりに尻尾を振り、俺の付けた名前を受け入れた。
彼等の戦闘方法は全員違っている。
ハルウは速さで敵を翻弄し、隙を作り出し、そこを突く。
それと同時に他のウルフ達に指揮を取っており、もし自分が仕留めそこねたとしても他の者が仕留める。
ナーヴィはその力を持って、壁役、攻撃役とこの群れには絶対不可欠な存在である。
敵を攻撃する他にも、他のウルフが避けられないような攻撃を受ける。敵の行動を防ぎ、攻撃を与える重戦士のような役割を担っている。
ユキの戦闘能力は低く、戦闘では常に後方での警戒を担当している。
しかし、ユキは感覚や嗅覚が他のウルフ達より鋭く、戦闘中に起きる他の驚異をいち早く察知し対処する事ができる。
モミジはその軽い身のこなしから、前衛でのサポートについている。
モミジは大抵の攻撃を捌いてしまい、モミジは自分に集中が向かった所を、ほかのウルフに攻撃してもらうといった立ち回りを行っている。
ウルフ達は俺の配下になったことによって知能を得たらしい。
森にいる他のウルフよりは数段上の強さとなっている。
彼らの群れは自分たちより上位の魔物でさえ、苦戦を強いられるほどに強い。
今俺達一行はユガ大森林東部の森へと拠点を移している。
東部での魔物は南部とは比べ物にはならない。
南部では出現しなかった、植物系、昆虫の魔物が出現する。
今までに遭遇したのは、食虫植物、身切り草、兵隊アリ、大蟷螂などなどだ。
初めて東部に踏み込んだ時に遭遇したのは、大蟷螂なのだが、発狂して全力で逃げた。
リアルすぎて怖いのだ。カマキリをそのまま大きくしたような存在は嫌悪感を感じ得ない。
しかも、ディーレが言うにはこの森の主の一体だったそうだ。
そのLVはなんと32・・・勝てるわけがない。
次に遭遇したのは食虫植物だった。
エビルプラントはこの東部では一番主流の魔物であり、鞭のような蔦で攻撃を仕掛けてくる。
こいつに配下のウルフ達の実験台になってもらった。
何体か彼らに倒してもらい、彼らの役割や戦闘方法を割り出したのだ。
戦闘が終わった後の全員は褒めてと言わんばかりに、目を輝かせてこちらを凝視してくる。
撫でてやると気持ちよさそうに腹を預けてくる。
・・・かわいい。
そう、そして次は俺の力を話そうと思う。
どうしてこうなった・・・。
目の前に広がる死屍累々が壮絶な戦闘を物語っている。
ただ、この屍はたった一体の魔物によって引き起こされた惨状なのだ。
地面には無数の大穴が空いており、魔物の死骸には何かに貫かれたであろう者、何かに圧し潰された者。
ウルフ達は怪我をしている。その毛並みを血に染めており、体を横たえながらもジットこちらを見ている。
犯人は俺である。
時間は二時間程遡る。
現在俺達が目的としているのは戦力分析である。
ディーレ曰く、俺はこの森でも充分に強いらしい。
なので、ウルフ達の訓練に勤しんでいるわけだ。
ウルフ達は、基本俺の命令には絶対忠実であることが判明した。
エビルプラントと遭遇した際に、こちらの様子をリーダーが確認。
俺が了承したと同時に、襲い掛かった。
彼等の連携は統率されており、実に見事なものだった。
もし、俺がブルースライムの時にこいつらにあっていたら間違いなく殺されていたに違いない。
そうこうしている内に、戦闘が終了したようだ。
結果は完勝。傷一つ負っていない。
そして、決まってこうなるのだ。
リーダーから縦一列にこちらにお座りする。
撫でてと言わんばかりに頭をこちらに突き出して、目をキラキラさせている。
『私も撫でたいのだけれど・・・もどかしいわ』
リーダーから順に、蝕手でナデナデしてあげる。
ハルウの毛の感触はサラサラとしていて、気持ちいい。
枕にして寝たら気持ちいいだろうなぁと長くしすぎると。
後ろの方でガウガウと抗議の声が上がる。
めんどくさいので、マルチウィップで一辺に撫でてやる。
皆気持ちよさそうにして、腹を委ねている。
もうウルフを敵に回すことはできない・・・可愛すぎて。
東部の森での敵は植物や昆虫だが、植物の魔物は比較的に簡単に倒すことができる。
昆虫は攻撃力が高く、動きも早い。しかし、植物は攻撃力は低く、動かない。搦手を使ってくる難点があるが、どうにか抑えることが出来る。
ウルフ達のステータスはメキメキと上昇する。
格上の相手を何匹も相手にしてきたのだ。
ウルフ達は目に見えて強くなっていった。
そして、目の前に人喰植物が現れる。
さっきと同じように、ウルフ達は連携の体制に入る。
マンイーターは体から伸びる両方の蔦に、鋭い歯が生えた頭を所持した巨大な植物の魔物である。
基本的な攻撃パターンは体から伸びる両方の蔦を振り回し、蔦の頭部に近づいた者は食い千切る。
ハルウ、ナーヴィ、ユキ、モミジはマンイーターの攻撃を華麗に捌いていく。
ハルウの攻撃は的確に敵の急所を捉え、ナーヴィは持ち前の体力と力に物を言わせ攻撃と防御を駆使した立ち回りを徹底している。
モミジは蔦の一本を相手取り回避に専念している。
ユキは後方で周囲を警戒している。
しかし、ここで疑問が生じた。
マンイーターが思ったより頑丈なのだ。
数時間前に遭遇したマンイーターであれば、とっくに撃退しているはず。
今戦っているマンイーターにはまだ余裕すら残っていそうなのである。
そして、「直感」が発動した。
マズイと・・・
「ミミ!(さがr)」
ウオオオォォォンとユキが遠吠えを上げる。
何らかの危機を察知したユキによる撤退命令だ。
ハルウは戦闘を続けている二匹に合図を出し、戦線を後退させるように指示を出す。
しかし一歩遅かった。
「GYURURUUUULAAAAAA!!!!」
マンイーターが雄叫びを上げたと同時に、大蟷螂の群れが大挙して現れる。
総勢十五匹。ジャイアントマンティスはハルウ達に襲いかかる。
ナーヴィとモミジが前線を維持しながら後退しているが、その身体には細かい傷が幾重にも刻まれる。
そして、ナーヴィがマンイーターの蔦に薙ぎ払われ、後方に吹き飛ばされる。
モミジがジャイアントマンティスの当身で地面に叩きつけられる。
ハルウはモミジを咥え、全力で後退する。
その身を赤く染め上げながら懸命に、仲間を守り、戦線を維持しようとしたハルウ達だが遂に決壊したのだ。
相手は格上の存在が群れを成しているのだ。
むしろ此処までよく持った方だといえる。
即座に撤退をしようと決めた時に、彼らの口からこぼれ落ちた一言が俺の脳内を白く染め上げた
「アルジ、オレタチカテナカッタ。オトリニナル。ニゲテ」
「カクゴハデキテイル」
「ココデクイトメル」
「ゴブウンヲ」
頭の中を彼らの言葉が駆け巡る。
そして、唐突に頭の中を赤く染め上げる感情が渦巻く。
俺の可愛い配下が血に染まっている。
可愛い配下が俺の為にあれだけ頑張っていたのか。
可愛い配下が俺のために無理をしていたのか。
可愛い配下が俺のために命を投げ出そうとしているのか。
可愛い配下がオレニカテナイトオモッテイルノカ。
脳内麻薬が過剰に分泌される。
力が溢れてくる。
さぁ、戦闘を始めよう。
ディーレさん、全力で行く。
『わかったわ』
ハルウ達の前に歩み出る。
ハルウ達は俺の行動が理解できないようでオロオロとしている。
この戦闘は自分の強さを知るのに丁度いい。
おそらく敵マンイーターは主。
まずは、触手攻撃で最前線のジャイアントマンティスを駆逐する。
「ミィップブレェドォ!!」
おっと、ようやく喋ることができた。
若干の訛りがあるが気にしない。
今は目の前の敵を駆逐することに集中する。
三匹のジャイアントマンティスは自らの鎌を振り上げ、今まさに振り下ろさんと力を込める。
しかし、そこに鎌はもうない、いや・・・手も足も胴体もなかった。
バラバラになったジャイアントマンティスはその地に屍を晒す。
「しでンのイッせん!!」
触手は音速を超えた速度で二匹のジャイアントマンティスを穿つ。
自分の力は把握した。
次にディーレさん行くぞ!!
『やっと出番ね!』
イメージするのは球体。
魔力を練り、俺の中で魔法を発動させるディーレへと流し込む。
より濃密に練り込まれた魔力は、ディーレの体へと廻る。
三匹のジャイアントマンティスを球体の中に閉じ込める。
原型を留めることが出来ない程に圧縮する。
とてつもないエネルギーが渦巻き、ディーレの魔力が暴威を振るう。
そして、圧縮されていく球体は空中に静止し、他のジャイアントマンティス目掛けて発射される。
そして腹部を穿ち、圧縮を解き放つ。
地に大穴を開け、合計四体のジャイアントマンティスが爆散した。
そして始まる。水弾の絨毯爆撃は地形を変動させ、ジャイアントマンティスを細切れにしていく。
抵抗など意味を成さない。防御しても何れはその圧倒的な物量で潰される。
圧し潰される蟷螂の死骸が辺りを埋める。
残るはマンイーターのみ。
二本の蔦を巧みに使い、こちらに攻撃を仕掛ける。
それを触手で弾き、マンイーターを睨みつける。
「さぁ、こっちの番だぞ」
一気に数えるのも下らない数の触手が出現する。
「防げるもんなら防いでみろ!ウィップソード!!」
マンイーター目掛け一斉に触手が発射される。
迎撃、防御できるはずがない鋭い刃と化した触手が襲い掛かる。
マンイーターは体に、うっすらと光る膜を覆い防御の体制に入る。
恐らくは魔法だろう。
自分以外の魔物から初めての魔法行使を確認した。自分だけが異質ではないのだろう。
触手は光の膜に阻まれ、貫くことができない。
それでも力一杯に捩じ込ませる。
決して許さない。俺のペットを傷つけたこいつは許さない。
“ユニークスキル:「暴虐之懺悔」を習得”
一際大きな魔力が体を駆け巡る。
大凡スライムには見合わない力の奔流が辺りを覆い尽くす。
「精霊顕現!!」
初めてのユニークスキルの発動。
体から溢れ出ていた魔力がごっそりと失われる。
ディーレの姿が地上に現れる。
体から青い光を放ち、青銀の髪を振り乱し、彼女は両の眼を開ける。
一流の人形師達がその技術の粋を尽くしても、造れ得ないだろう美しい精霊は音もなく地に足を付ける。
彼女はマンイーターへと一歩を踏み出す。
大地が歓喜を上げるように軋み、撓む。
マンイーターは危険を察知し、両方の蔦に付いた頭部を彼女に突撃させる。
しかし、彼女の右手が前に突き出されると同時に四散する。
マンイーターは再度仲間を呼ぶ咆哮をあげようとするが、もはや遅い。
ディーレの左手から突き出た水の槍にて喉を貫かれている。
尚も逃れようと体をくねらせるマンイーターだが、もう勝敗は決している。
「水天滅激流」
ディーレの振り上げた右手から魔力の塊が出現する。
それは天へと登り、そして・・・
落ちた。
マンイーターをすっぽりと覆う程の水柱が、大地に突き刺さる。
荒れ狂う水流の中では防御魔法など何の役にも立たない。
相手が細切れになるまでその暴威は続く。
足が千切れど、胴体が千切れど、そんなことは関係ない。
相手を飲み込み、存在がなくなるまで水柱は上がる。
やがて、水柱は勢いを衰えさせ、地に落ちる。
あれだけ暴威を振るった水流も、今や七色の虹を残すばかり。
後に残ったのはご覧のとおりである。
うむ・・・。やりすぎた。
ウルフ達もさぞかしドン引きだろう。
キラキラとした視線を感じるが勘違いだろう。
結論はこうだ。俺がやると惨事になる。
強すぎる。レベルが違う。なんだこれ?
スライムだよ。体の色で言ったらスライムベ○だよ。
なのにこれかい?
みろ、まるで主がゴ○のようだ!!
やってる場合ではない。
ディーレ満足した様子で俺の中へと帰ってきた。
あぁサッパリなどと宣ってらっしゃる。
俺にも非があるよ。やり過ぎた感は否めないもの。
ただハルウ達が可愛くてしょうがないのだ。
それを傷つけられて、剰え自分を犠牲にしてまで、俺に忠誠を捧げようとしたのだ。
そこまでされたら、俺も答えない訳にはいかないだろう。
その結果がこれなのだ。つまりは仕方ないということである。
考えても見て欲しい。
ゲームで自分が精一杯苦労してクリアしたゲームを、赤の他人に消されたら怒り狂うだろう。
そう!仕方なかったのだ!!
・・・そう自分に言い聞かせよう。
ハルウ達が一斉にこちらに飛び掛ってきたので、余す所無く撫で撫でしてやる。
ともかく、東部の森は危険だということが発覚した。
まだハルウ達には早いのかもしれない。次は西部の森へと出発しよう。
ここより、危険度が少ない魔物ならそこを拠点に、レベリングすればいい。
とりあえずの目標はここで生き抜くことだろう。
といっても退屈なのもせっかくの異世界ライフに勿体無い。
少しの冒険と、少しのスリルを味わえれば、この世界捨てたもんじゃないだろう。
そう思っていた時だった。
「スライムの神様!!どうか俺達を助けてください!!!」
そんな言葉が耳に届いた。
戦闘でないパートが書きにくい・・・。
自分の言葉での表現力の無さに泣けてきます・・・。
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
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