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現状:精霊との契約でした!

今回も早めの投稿!

次話は少し遅いと思います。

 作戦は大成功した。


 俺が編み出した必殺技「友愛千手乱打はくしゅ」によって彼女達は警戒を解いてくれた。


 髪の紅い子は結構戸惑っていたようだけど、エルフの女の子に後押しされて渋々警戒を解いていた。


 それにしても良い曲だ。

 彼女達が奏でる曲は心の奥底を震わせ、全身に安らぎが満ちる。


 そしてさっきから飛び回るホタル?なのかよく分からないが、泉の周辺を光の奔流が覆う。

 それは蒼い泉を白く染め上げ、彼女たちから流れ出る赤と緑の光の波が、幻想的な光景を醸し出す。


 でも、彼女たちから出ているこの光は・・・この体に良く馴染むような気がする。


 “解:楽器から出ている光の波は魔力。放っている者が主体とする属性の魔力の干渉を受け、その属性に合った色が魔力に付与される。彼女たちが放っている魔力は音の波に魔力を這わせることにより、周囲に影響を及ぼすことができる。魔物であるグリーンスライムには「魔」が良く馴染むようです。”


 成る程。彼女達が放っているのは魔力か、体に良く馴染むわけだ。


 彼女たちの指の動きは滑らかであり、演奏し慣れているのが分かる。

 エルフの娘の腹部のあたりに楽器から流れ出る魔力よりも濃い緑色の魔力が渦巻いている。


 そして、彼女は歌い始める。濃い緑色の魔力が彼女の歌声に乗って周囲に広がる。

 オーロラのような魔力が降り注ぎ。周りに満ちていた光の奔流が徐々に人の形を取っていく。


 “スキル「精霊視」を習得しました。”


 うおっ!?

 光が収まったかと思うと小さな人に光の羽が着いた妖精がたくさん飛び回っている。

 まさか自分にこれだけまとわりついているとは思わなかったが・・・


 その妖精達は多種多様な様相を見せる。

 ボーッと飛んでいるだけの者。楽しそうにはしゃぎまわって踊っている者。エルフの娘と一緒になって歌っているもの。

 そして彼女らは体から光を放っているが、それも光の強さが違う。


 光を放っていない個体もいる。

 ボーッとしている者の光は弱々しく意識があるのかさえわかったもんじゃない。はしゃぎまわって、踊っている者の光は前者よりは強い。


 そして、歌っている者のまとっている光は結構強い。

 おそらく強さの違いなんだろう。


 “解:精霊には階級の制度があり、それぞれ上から「最上級」、「上級」、「中級」、「下級」、「妖精」に分けられる。それぞれ持つ力、行使する能力が違う。妖精は精霊の部類からは外れており、魔法の行使はほとんどできず、身の回りの手伝いなどを主とする。他にも「始祖」と呼ばれる魔法の最強種も存在する。”


 ほほぅ。精霊の階級か、光の強さによって階級が違うのかな?


 “解:その通りです。この場に存在する精霊は「妖精」、「下級」、「中級」に分類されます。目には見えませんが泉の中に「上級」の精霊も存在します。”


 上級もいるのか、ちなみに階級によってどう違うんだ?


 “解:「下級」:ファイア、ウォータなどの初級魔法、「中級」:ファルラ、ウォルラなどの中級魔法、「上級」:炎操作、水操作などの上級魔法、「最上級」:炎創生ファイアクリエイト水創生ウォータークリエイトなどの最上級魔法となっております。補足:普通の魔法との違いは、精霊の補助により威力が大幅に上昇することです。”


 なるほど、それだと普通の魔法よりは精霊魔法の方がいいのか。


 “妖精~下級までが人との一般的な契約、中級~上級が英雄と称される程の契約、最上級だと神域だとこの世界では言われております。”


 俺にまとわりついているのは、妖精~中級なのだろう。

 でもこれだけ精霊がいるなら簡単に契約できるんじゃないのか?


 “解:不可能です。この場所は「精霊の領域」に区分され、数多くの精霊が生息しているのであり、普通の場所では見かけない。仮に生息していたとしても精霊に好かれなければ契約できない。魔法使いの内9割は精霊と契約することはできません。”


 そうなのか。俺なんかじゃ無理だろうな・・・。


『あら?そんなことはないわよ。』


 ん?俺みたいな煩悩の塊が、聖人を好みそうな精霊と契約できないんじゃないか?


『精霊はね、面白い人だったり、遊んでくれる人について行くのよ。他にも代々受け継がれていく精霊もいるくらいよ?』


 へぇ~、そうなのか。自由奔放なんだなぁ。


『ふふふ、そうね。それでも、遊んでくれても気に入らなかったらついていかないし、そもそも魔法を使える人も少ない、私達の言葉が届かない人も多いのよ。私もずーっとこんな泉の中に居て嫌になっちゃってるのよね。』


 なるほど・・・ん?

 そういえば、結構砕けた物言いになってるのなナビちゃん。


『ナビちゃん?誰よそれ?』


 え?ナビちゃんじゃない?


『なによ。私を誰だと思っていたの?私は水の上級精霊よ。』


 なるほど。てことはこの中で一番上の精霊?泉の中に居るんだったっけ?


『そうね』


 へぇ~。英雄級だったか・・・すごい精霊なんだね。


『ふふふ。普通の人間なら・・・驚きのあまり感激しているはずなんだけど』


 まぁ、契約すれば英雄と称されるくらいだからね。

 名前はなんて言うんだ?


『名前?あぁ、人間は自分に呼称を付けるんだったわね。私には名前なんてないわよ。なんならあなたが付けてくれてもいいのよ?』


 俺に話しかけてくる上位精霊さんはご機嫌のようだ。テレパシー越しでもクスクスと笑っているのが分かる。


 それにしても名前か・・・上級の精霊さんからの直々のお願いだし、よく考えよう。


 泉の中にいる精霊か、定番だと「ウンディーネ」、「セイレーン」だよな。

 掛け合わせて「ディーレ」でいいんじゃないかな?


『・・・え?』


 “契約成立:水の上位精霊「ディーレ」との契約が成立しました。称号:「精霊に愛されしもの」、「精霊使役者」、「上位精霊の加護」を習得しました。”


『本当に付けちゃったの?それは契約の儀式なんだけど・・・』


 エッ!?マジで!?

 俺やっちまったのか?


 うわーごめん!!俺みたいなのと契約しちゃったのか!?

 上位精霊さん本当にごめんなさい・・・この契約はなかったことに


『別にいいわよ。後でしてもらうつもりだったし。』


 そうですよね!分かりました契約を破棄し・・・え?


『ふふふ。よろしくねグリーンスライムさん。私の名前は「ディーレ」。水の司る上位精霊よ。それじゃあ泉から出るから私を受け取る準備をしてね。』


 うえ!?あ、はい。


 泉の中から膨大な量の光が漏れ出る。

 周囲の精霊たちが慌ただしく泉の周辺を飛び回る。


 やがて泉から発現する光りが集まり、ひとりの女性の姿を映し出す。

 蒼い髪は長く、ローブを羽織った美人が泉の上に降り立った。


 美少女二人の演奏が一瞬乱れる。紅い髪の女の娘が驚きの余り音を外してしまったようだ。

 周囲の精霊達がはやし立てる中、ディーレだけは彼女達に何事かを告げた後、こちらに向き直り、泉の上から歩みだす。


 俺の方に歩み寄り一言口ずさむ


「宜しくね。グリーンスライムさん」


 そう言って彼女は俺の中に入ってくる。


 演奏中の彼女たちが驚いたような顔でこちらを伺ってくる。


『あなたの中、結構快適ね・・・えっ嘘!?あなたの器なんて広いの・・・』


 ディーレが何かに驚いているようなのだが、彼女達の演奏がクライマックスに近づいている。

 そして一際高い音が周囲に鳴り響く。


『あなた一体何者なの?・・・いいわ。まぁ恐らく魔族なのは確定よね。』


 ディーレさんがよくわからないことを言っているが今はとりあえず彼女達の反応を伺おう。


 ずっと拍手していたおかげか、彼女達の警戒心がかなり取れ、こちらに向かって走り寄って来る。


 そして俺の目の前でピタッと静止する。


 エルフの女の娘が、その白い綺麗な花のようなしなやかな手を差し出す。

 恐る恐るといった感じだが、信頼してくれていることが分かる。

 信じてるよといった目でこちらをジッと見つめる。


 俺は自分の体から伸びた触手をエルフの少女の手に添える。

 一瞬ビクッとする少女だが、すぐに慣れたのかパッと花が咲いたような笑顔をこちらに向けて解き放つ。


 眩しい!眩しすぎる!!

 少しだけでも胸に目が行った俺を許してください。


 彼女は片方の手をこちらの頭に添えてくる。

 少し暖かくて、スベスベしている手だ。(何故この体で感触が分かるかわからない・・・)


 紅い髪の娘もその手をもう一方の触手に伸ばす。

 もちろんその手に触手を添える。


 彼女はパッと咲く程ではないが、その微笑みは影に咲くひっそりとした花を思い起こす。


 何やら何か俺に言っているが、この世界の言語がわからない。

 薄々わかっていたことなのだが、この世界の言葉は日本語ではない。


 そのため、何を喋っているかわからない。

 英語だって録に話せない俺がどうやったって異世界の言語を話せる訳が無い。


『何?あなた言葉が喋れないの?私の意志とリンクさせると喋れるようになるわ。』


 “リンクを確認:アルテリア言語を習得”


 おぉ!異世界の言葉がこれで喋れるようになるのか!!


 “解:言葉を理解することは可能ですが、喋れるようになるには時間がかかります。”


 おぉう・・・流石に一朝一夕には行かないか。

 しかし、彼女たちの言葉がだんだん理解できる言葉になってくる。


「#%&きメタwa。ワタスィこの子をペットにぃする。」


 えーと?ペットにする?誰を・・・まぁ俺だろう。


「ミリエラ!?カワイィとは言ってもマモノなのぅよ」


「仕方ないじゃない。可愛いんだもの。この子はワタすぃを傷付けたりしないわ!!」


 ようやくしっかり理解できる言語になってきた。

 日本語に変換されてて、よかったよ。自分が意味不明な言語をペラペラ喋っているのを想像すると、違和感が半端ないからな。

 若干変な癖があるが、聞き取れない程ではない。


「あなた私と一緒に来なイかしラ?」


 なんと、こんな美少女にペットになれなんていう素晴らしい提案が耳に入ってくる。

 是非ともYES!!と叫びたいところだけど、話すことができないのだよお嬢さん・・・


「ミリィエラ無茶言わないの。相手は魔物よ。・・・」


 そうだよなぁ。これが普通の人の反応なんだよ。

 魔物なんて信用できないよな普通は。


「名残惜しいけど・・・」


 ・・・前言撤回だ結構気にいって貰えてたのだ。嬉しい限りだ。

 こんな美少女のペットで居られるのなら俺はスライムでもいいや。


『・・・欲塗れね』


 うッ!!ディーレさん。それは言わぬが花なのですよ・・・。


『ふふふ。本当あなたはよくわからないわ。これだけ広い器を持っていて、魂の大きさがこの私でさえ量る事ができない存在なのに。普通の魔物の欲じゃないもの。本当に人間みたいね。』


 まぁ、元は人間なんだよねって言えないなぁ。


 するとミリエラ?と呼ばれていた女の娘が、紅い髪の女の娘に引き摺られるようにして帰っていく。

 まだもっと俺に触っていたかったようだが何か用事があるのだろう。


「サテラ、スライムさんともっと居たい。ダメ?」


 強烈なオネダリボイスだ。俺なら一秒も立たずにノックアウトだね。

 ただ、サテラと呼ばれた女の娘には通用しなかったようで、さっきと同じく引き摺られて行く様にして去って行く。


 ミリエラ?がバイバーイと手を振ってきたので、振り返しておく。


 そうして、彼女達は森の中に消えていった。


 すると、精霊達も彼女達がいなくなったことでそれぞれの場所へ散っていく。

 何匹かはこちらを伺っていたようだけど、俺が動かないと分かると森の中へ消えていく。


 そうして後に残ったのは、プルプル肌のイケメンDTの俺である。


「ミミミ・・・(さてどうしようか・・・)」


『私と契約したんだし、どんなものか試してみればいいじゃない。あなた、見た限りだと誕生して間もないんでしょう?』


 その通りだ。まずはディーレさんと契約して何ができるのかを試したほうがいいだろう。


 ディーレさんは何ができるんだい?


『そうね・・・水に関わるものならほとんどできるわよ。』


 ディーレさん曰く、上位になってくると自分の思うとおりに水を使役できるらしい。

 ディーレさんは水の上位精霊なので水しか扱えない。

 しかし、この世界には四つの分類があり、それぞれ「火」、「水」、「風」、「土」だそうだ。そして始祖に分類されるものが「光」と「闇」であるらしい。


 そして、精霊は使用者の意図に沿ってできる限りの魔法行使を行う。

 つまり、自分で魔法を編み出せるというわけだ。


 例えば、魔法では普通の水球しか放つことはできない。しかし、精霊魔法であるならば水球に刺を生やしたりすることができるといったものだ。


 普通の魔法にはない現象を引き起こすことも可能だが、この世界には精霊を「魔法」の威力を高める補助的な役割がほとんどなのだとか。

 理由は簡単。普通の精霊では魔法にない現象を引き起こすことは不可能だからだ。


 魔法というのは基板が出来上がっているおかげで精霊が一から学ぶ必要はないとのこと。

 だが、普通の魔法にない現象を引き起こそうとすると、基盤ができておらず、精霊は何をどうすればいいのかがわからないのである。


 上位精霊であるディーレさんでも結構難しいらしい。

 簡単に言えば、普通の魔法は基本、自分が編み出そうとしている魔法は基本を何らかの形に変える応用といったものである。


 というわけで早速実験してみよう。

 まずは、普通の魔法を補助してもらい威力を強めてもらう。

 まずは補助なし。

 近くに手頃な岩があったためそれに向けて放つ。


「ミミ!(水弾!)」


 MPを5消費して放つ。

 すると水弾は岩に当たって弾けて終了。


 次はディーレさんの協力の元放ってみる。

 同じくMPを5消費して放つ準備をする。


『どれだけ補助すればいいのかしら?あの岩程度なら爆散させるくらい造作もないわ。』


 まじですか。そこまでとは思っていなかった。

 あぁ、じゃあヒビが入る程度でお願いします。


『わかったわ。』


「ミミ!(水弾!)」


 すると、岩に当たった水弾は弾けることなく岩に大穴を穿つ。

 水弾は止まることを知らず、奥の木に当たり、2本なぎ倒して止まる。


「ミミミミ・・・?(あの、ディーレさん?」」


『ごめんなさい、あなたの体に馴染んでいないものでまだ調節は難しいみたいね。』


 ものすごい破壊力を持って、精霊魔法の強さを実感した。


『そういえばあなた、魔法を撃つとき名前を叫んでいるようだけど。精霊魔法には要らないわよ。私みたいな上位精霊だと詠唱破棄できるし、体内で魔力を練って撃ってもらうだけでいいのよ』


 そうだったのか。

 だけど魔法名を叫びながら放つのはお約束。

 かっこいいし叫びたいお年頃なのだ。ここは譲れない。


『変なこだわりね。そういえばあなた、何故私の力を塞き止めているのかしら?力の受け取り方わからないの?』


 塞き止めている?何のことですか?


『やっぱり分かっていなかったのね。私達と契約するとその精霊が持っている力の一端を受けることが出来るのよ。私はあなたに水魔法と水の加護を授けるわ。そのためにはあなた自身が私を受け入れるための言葉を言わなきゃダメなんだけど。』


 受け入れるための言葉か、何を言えばいいのかわからないな。

 ディーレさん教えて下さい


『ええ。私の名前を言って。契約の名の元に、精霊とのちかいを交わす。でいいのよ』


 なるほど。では早速。


 “ユニークスキル「進化の系譜」発動を確認”


「俺は水の上位精霊ディーレと契約の名の元に、精霊との永遠・・なる誓を交わす。ディーレよ俺の命が尽きるまでその魂を持って俺を守ってくれ」


『ッッッ!?』


 “水の上位精霊「ディーレ」からの能力:加護を確認。これより、契約者の素体へと魔法、加護、経験値の伝達を開始。・・・・・・成功しました。これによりグリーンスライムのLVが規定値に達したため進化を試行・・・失敗。存在発展を試行・・・成功致しました。これより、ディーレと契約者の存在発展を開始。発展者は扉の向こうへと進まされます。ご注意下さい。”


 あ、やばい。またあれか?


『あなた私のことを・・・』


 “移行開始”


 俺とディーレさんは、目の前に現れた扉の奥へと吸い込まれていった。


 意識を失う直前、彼女ディーレが優しく微笑んでくれていた。

 前のような不安はなかった。

青い髪の女性といえば「フルメタル・パニックの千鳥かなめ」を思い浮かべた私でした。

しかし、好きなのはテレサ・テスタロッサ艦長です。ここは譲れません。


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想なども気軽にどしどし送ってくださいね!

活動報告(私の雑談場)の方にもコメントどうぞ!

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