現状:美少女とペットでした!
最近は筆が踊って楽しいです。
主人公パーt・・・あれぇ?
いきなりだが異世界に転生する前の話をしよう。
あれは今から36万・・・いや、1万
やめておこう。
俺は彼女を作ったことがない。年齢=彼女いない歴である。
べ、別に出来なかったわけじゃない!作らなかったんだ!!
学生の本分は勉強であり、決して異性とベタベタすることじゃない。
バレンタインデーの日に学校にチョコを持ってくるといった校則破り、付き合って一周年記念といって遊びに行ったり、クリスマスに体を寄せ合って「あったかいね」なんて言ってみたり・・・
畜生羨ましい!!!
俺はどうだ!
生まれてこの方異性と付き合ったこともなければ、女の子と触れ合ったこともない。
当然そんな俺は、異性とまともに会話できない。絡んできた女子にボディタッチされるだけで動揺。パンツ見て鼻血。
挙句の果てには異世界に転生。
「これはまさか!!チートハーレム!?」と思ったら。
スライムに転生。
これじゃDTも卒業できねーよ!!
アメーバみたいに分裂して子孫残してDT卒業・・・
こんなの酷い・・・。もちろん人間の頃に付いてたリトルマグナムもなくなってしまっている。
俺は現在心の中で泣いている。
しかも、今上げた内容以外にも俺が泣いている要因がある。
人間だった頃の世界では見たこともない見目麗しい美少女たちがいるのだ。
画面の奥に居た、あの娘達よりも美しいだなんて思ったのは初めてだ。
染料で染め上げ、ワックスでバッキバキになっていない本当の金髪。
顔に関しては言うまでもなくモデルなんて比べ物にならないほど美しい。
俺の中でエルフといえば長い耳、弓で戦うキリッとしたお姉さん、「貧しい板」を胴体に着用しているイメージである。
しかし、目の前にいるのは短杖を両手に持った、タレ目でおっとり雰囲気を出す長い耳のエルフ。
そして、「ダイナマイッ!!」
なんてことだ・・・。俺のイメージを覆したのだこの美少女は・・・
服の上からでもわかる盛り上がり。恐らくEはあるね。
しかも、俺の「直感」が叫んでいる。
『まだ育つ!』・・・と。
こんな、こんな美少女に会えるなんて・・・俺は自分がスライムな事を恨むしかないだろう。
そして隣にいる娘だってそうだ。
アニメの中でしか見たことがない紅い髪!おそらく地毛であろう。
隣にいるエルフの娘よりは慎ましやかなのは確かだ・・・
しかし!!しかしである、スレンダーであってないのではない。
この娘が日本に居たならば間違いなく大きいレベルに入るだろう。
胸当て越しに見える存在感が何とも言えないエロスを感じさせる。
キリッとした切れ長の目。顔のパーツは全て整っておりTHE美少女である。
スタイル抜群の女戦士といったところだ。
そして現在そんな二人に熱い視線を向けられていて泣きそうなのですよ。
いや、ちょっと違うね。冷たい殺気も来ているんだ・・・
彼女達はこちらを睨んで武器を構えている。
エルフの娘は短杖を構えてこちらに意識を向けながら何かに集中しているようだ。
紅い髪の娘はイメージ通りの出で立ちで、ロングソードを構えてこちらを睨みつけている。
彼女たちの反応は当然と言える。
魔物が目の前にいて武器を構えない方がどうかしているとしか言いようがない。
俺なら魔物の姿を見た瞬間切りかかるけどね。
でもこのままじゃ彼女たちを勘違いさせたままになってしまう。
どうにかして彼女たちと友和したい。
でも、どうすればいいのだろう。
握手なんか論外だな。まず握手するために近づいた瞬間切り掛かってくるだろうし。
触手伸ばして握手を図ろうとも切り飛ばされる未来しか見えない。
逆に彼女達が近づくのを待つ・・・これも論外だな。
俺が魔法使いなら、向こうの方に動かない敵がいたら火炙りにする。
対話・・・できるわけねぇ。「ミミミ」としか喋れないおれがどう自分を主張するのだね・
詰んでるな。
どう考えても。彼女たちに襲う気がないと主張できない。
そうだ!ボディランゲージ・・・人間の体じゃないしなぁ。
ん?いいことを思いついた!
これならいけるかもしれない。
可能性は低いけど、安心させることができるかも知れないぞ。
下手したらやられる。しかし、これしかない。
なら善は急げだ。早速実行に移そう
私たちの演奏中にスライムがやって参りました。
それもこの森に入ることができないはずの「グリーンスライム」でした。
サテラに急に武器を構えてって言われてビックリしましたけれど、二人で一緒に何回かは戦いました。
「サテラどうしましょう?」
私はサテラに魔物と直面するたびに同じ質問を繰り返している。
「相手が引いてくれればいいんだけど・・・。魔物に背を向ければ背後からやられるわ。大丈夫よミリエラ前みたいにすれば勝てるはずよ。」
本当にサテラは頼りになる友人です。私の命を救ってくれた命の恩人。
サテラがいつも私の前で戦ってくれるから私が冷静になれる。
私とサテラがいればウルフやスライムなんて怖くない。
そしてここには精霊がいっぱいいる。大半は逃げちゃったけど私たちを心配して何匹かはこちらをそっと伺っている。
私は精霊達に力を貸してと念じる。
精霊魔法の発動は魔力を練り打ち出すことで完成する。
集中の手順は、まず周囲の精霊に力を貸してとお願いする。
すると、いろんな精霊達が集まってくる。その精霊達の中からいま発動したい魔法と相性がいい子を選ぶ。
そうすると魔法となる土台に選んだ子がセットされる。そこにその子の許容量を超えないようにギリギリまで魔力を与える。
そしてその子が練った魔法が土台にセットされる。
これが精霊魔法の基本
精霊に許容量を超える魔力を流すと、土台が決壊して魔法は失敗する。
使いたい魔法と相性が悪い子を選んでしまうと、いくら慎重に魔力を注いでも失敗する。
意外と精霊魔法は難しい。
しかし、中には正式に精霊と契約しいつでも力が借りることが出来る人もいる。
私は契約しておらず。もし周りに精霊がいないと魔法が発動できない。
そして、今私の手の中に精霊たちが数匹集まってくる。その中から、相性のいい子を選びセットする。
私は「ファイア」を念じて、いつでも打ち出せるように身構える。
横に立つサテラは愛用しているロングソードを構えて油断なくスライムを見据えている。
そう。相手はただのブルースライムではない。グリーンスライムであり、多少といえど強い。
ウルフの群れと同じくらい強い。
この森にはいなかったはずなんだけど・・・
最近この森は少しおかしいって村の大人たちが言っていた。
それも関係しているのかなと少し考えてみたりするけど、私には分からない。
それよりも前にいるグリーンスライムなのだけど、さっきから一向に動こうとしない。
ユラユラとその身を震わせているだけで何もしてこない。
このまま、何もしてこなければいいのにと思ってしまう。
そんなこと有り得るはずないよね。
目の前のグリーンスライムからスライム独特の触手が左右から出現する。
スライム種の主な攻撃方法は体当たりと触手攻撃。
目の前のグリーンスライムはマルチウィップによる攻撃手段を取った。
即座に「ファイア」を放とうと思ったのだけれどなにか様子がおかしい。
触手が一瞬揺れたと思うと、その触手二本が何度も打ち合わされている。
さながらそれは「拍手」をしているみたい。
「・・・な、なに?」
サテラも困惑しているみたい。
それはそようね。私だって動揺しているもの。
「サテラ、あのスライムは何をしていると思います?」
「分かるわけないでしょう魔物のことなんか・・・。」
スライムは拍手?をしながら今度は左右に揺れ動き出す。
うーん・・・もしかしてこのスライムさんは私達の歌に惹かれてきたのかな?
なーんてね。そんなのあるわけない・・・よね?
試しにそーっと楽器を持ち上げてみる。
拍手が早くなった
次はそ〜っと下げてみる。
拍手が小さくなって何となく「シュンッ」としているのが伝わってきた。
・・・まさか、本当に聞きたいだけなのかしら?
「ね、ねぇサテラ。あのスライムさんは私達が弾いてた曲を聞きたいのかな?」
そうサテラに聞いてみると、そんな訳無いでしょう・・・ないわよね?と思案顔になってしまった。
私がさっきを試したことを教えてあげると、サテラもそれを繰り返す。
さっきと同じく楽器を持ち上げると拍手?が強くなる。
「で、でもまさか・・・曲が聞きたい魔物なんているのか?魔物のフリした精霊とかなんじゃないか?」
精霊さんはそんなことしない!っとサテラにちょっと怒ると、ごめんって返ってきた。
もちろん許してあげる。
「ねぇ、サテラ一回だけ弾いてみる?」
サテラがビックリした顔でこっちを見てくる。
うん。私も変なこと言ってるなぁとは思っているけど、目の前にいるスライムが悪い魔物だとはどうしてか思えないの。
「や、やってみる?」
サテラが困惑しながらこっちに訪ねてきた。
私はそ〜っと岩の上に腰掛けて「ミルト」を膝の上に置く。
サテラも眉根を寄せながらもパルラを肩に掛けて、ロングソードを鞘にしまい、引く準備を始める。
「弾く曲は「アルテマ」でいい?」
サテラはこくっと頷いて静かに目を閉じる。
アルテマはエルフに伝わる曲で、始祖精霊アルテマ様を称えるもの。
静かな音色で、大地を包みこみ、風に安らぎを与える曲。
真に選んだ理由は曲が早く終わること。
この曲は弾き続けようと思えば何年も弾ける曲となっている。
各小節で切れるようになっている曲。
「じゃあ行くよサテラ」
私達は静かに演奏を奏で始める。
どうしてこうなったのかよくわからない。
ミリエラが急に魔物を前に演奏しようなどと提案した。
私にはあのスライムが何をしようとしているかなんてわからない。
ただ、今までの魔物とは纏う空気が違うのは認めざるを得ないとは思う。
私たちを視認した瞬間に襲いかかってくるような野蛮な魔物ではない。
あまつさえ、魔物が拍手などとは・・・
到底考えれない。だけど、楽器を持ち上げると拍手?が大きくなり、下げると小さくなる。
かわいい・・・・ハッ!?
いけないいけない、ミリエラはこういったことにはまだ慣れていない。
外の世界を甘く見る傾向がある。
この魔物だって私達を油断させるために拍手などという人間の様な真似事をしているに違いない。
私がミリエラを守ってあげなくちゃね。
愛刀に意識を向けつつ私はパルラを肩に掛ける。
そもそも、私たちが弾く曲は精霊や妖精に聴かせるための曲であり、特殊な感性のある者にしか影響を与えないはず。
こんな魔物になんて私達の曲が伝わるはずがないじゃない。
そもそもミリエラに限らずエルフ族の人達は魔物を甘く見すぎだと思う。
周りが甘やかすからミリエラに危機感がなく、森を一人で歩いたりするのだ。
パルラをソッっと弾き始める。小さい頃に母と共に引いてきた私の腕はかなりのものに仕上がっている。
パルラにうっすらと魔力の膜を張り、弦を弾く度に魔力の波が森の全体に広がっていく。
繊細で、音の強弱によって魔力の波にも変化が生じる。
さっき逃げていった精霊や妖精が再び集まり始める。
グリーンスライムは拍手をやめ、じっと曲に聴き入っている?
本当にこのスライムは聴いているのだろうか・・・
森のざわめきが、魔力の波が、森の草木が演奏に入る。
私はこの曲が好きだ。短いけど、心に響いてくる。
ミリエラのミルトが周囲に響き始め、音に色をつけ始める。
曲は中盤に差し掛かる。
曲調が変わり、ミリエラの歌が入る。
精霊や妖精もスライムを気にしながら、小さく踊り始める。
するとスライムが触手を左右にゆっくり動かし始める。
本当に聴き入っているんだ・・・。
私の目から見てもあのスライムは私達の弾く曲に聴き入っているようにしか見えない。
すると妖精の一匹が恐る恐るといった感じにスライムに近づくのが見える。
スライムが一瞥すると、その妖精に触手を差し出す。
妖精はその触手に腰掛ける。
緊張しているのだろう体は強ばったままだけど、妖精は顔を綻ばせる。
すると精霊や妖精がスライムの周りに集まり始める。
スライムの周りで踊り始める精霊や妖精に、私もミリエラも驚きを隠せないでいる。
精霊が他者に、それも魔物に心を開くなんて有り得ない。
そんなこと聞いたことがない。
そして、私たちにとって、その日は忘れられない一日となってしまう。
泉に膨大な精霊力が満ち始めたのだ。
間違いない、上位精霊が出現したのだ。人族はまずお目にかかれない、エルフ族だって生涯に一度見れるかすらわからない非常に稀有な存在。
『フェリアサマダ!!』
『オヒサシブリー』
『オドロ!オドロ!!イッショニオドロ!!!』
精霊と妖精たちが踊り狂う。
眩しいまでの精霊力が静まり、一つの小さな人型となる。
上位精霊はこちらを一瞥してニコッと微笑む
『いつも、素敵な演奏をありがとう。私はあなた達が大好きよ』
信じられない。上位精霊が私たちに喋りかけてきた。
アッ!?
あまりの驚きに音を外してしまう。
他の精霊や妖精たちが笑い出す。恥ずかしい・・・。
上位精霊はスライムに向き直り、その目の前まで浮遊し、止まる。
『面白そうね』
そういってスライムに吸い込まれていったのだ。
それは一つのことを意味する。
スライムは精霊に・・・それも上位の存在に愛されたのだ。
もう信じるしかない。このスライムは私達に敵対しない。
そしてアルテマの曲が終盤へと入る。
精霊や妖精がスライムの頭の上の取り合いを初めて、諦めたものはその周りの地面で寛ぎ始める。
そして、一際高い音が周囲に響き渡る。
これでアルテマは終了した。
隣に居たミリエラが楽器を置いて、岩の上をピョンッと飛び降りる。
そして泉を迂回し、スライムの方へと歩みを進める。
私も慌てて、愛刀を腰に帯びてミリエラの前に立ち、同じく歩みを進める。
スライムの目の前に私達は立ち止まる。
先程からスライムは拍手をしていたが、今は触手を出してウニョウニョと蠢かしている。
「サテラ、このスライムさんは大丈夫だよ。だって強い精霊さんに愛されたんですもの」
ミリエラは私の横を通り抜けてスライムの前に躍り出る。
やはり緊張するんだろう。足が少し震えている。
私は腰の愛刀に手を掛けて固唾を飲んで見守る。
ミリエラがそっと手を伸ばす。
スライムは蠢かせている触手を一本、その手に這わせた。
これで間違いなくこのスライムは普通の魔物ではないことが証明された。
あろう事かミリエラはもう片方の手でスライムの頭?を撫でる。
スライムはくすぐったそうに身を捩りながらプルプルと震える。
「ミミミ~」
か、かわいい!ギュッとしてあげたい。いや、したい!
私も手を伸ばして触手に触れる。
冷たくて、少しだけニュルッとしてるけど手には何もついていない。
「可愛いじゃない・・・」
私だって女の子なんです。可愛いものには目がないわけで、このスライムはたまらないものがある。
ミリエラも顔を綻ばせながら、頭を撫で続ける。
「決めたわ。私この子をペットにする。」
ミリエラが唐突にそんなことを言いだした。
「ミリエラ!?可愛いとは言っても魔物なのよ?」
「仕方ないじゃない。可愛いんだもの。この子は私を傷つけたりしないわ。」
それはそうかもしれないけど、いつ豹変するかもわからないのにそんなこと・・・
「あなた私と一緒に来ないかしら?」
ミリエラがそんなことをスライムに言う。
スライムはされるがままになっていて、プルプル震えるばかりだ。
「ミリエラ無茶言わないの。相手は魔物よ。本当にミリエラといると驚かされてばっかりよ。名残惜しいけれど、そろそろ帰らないと族長がまた心配しちゃうわよ。」
ミリエラの手を無理やり引っ張ってスライムから遠ざける。
ミリエラはよっぽど気に入ってたのか私にキラキラした目でダメ?っと聞いてくる。
ミリエラのオネダリは卑怯だ・・・。エルフ族の大人たちはこれで大概許してしまうのだから。私には通用しないけどね。
ミリエラを引っ張って帰路に着く。
ミリエラはスライムにバイバーイと手を振っている。
それに触手を振り返すスライムもスライムだ・・・
今日のことは族長にすべて報告させてもらうとしよう。
私達はまた会えるといいな、と心で思いながら帰路についた。
主人公視点からだと文章が短調になってくるので、視点を変えると見え方が違うだけあって書きやすいですね。
次話は一週間以内に投稿します。
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想などもどしどし送ってくださいね!