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開拓:狂獣と魔族でした!

三日連続で1000アクセス!!またまた嬉しくて投稿早めです!!

これで今年最後の投稿となります。来年もまた宜しくお願い致します!!

次話投稿は年明けから一週間以内です!

 私達が受けた護衛依頼は「ウェルシュバイン家」のご息女を、ウェルシュバイン家が治める隣町まで送り届けるもの。


 冒険者パーティー「風の導き」に入ったのは今から約2年前だった。

 冒険者ギルドに登録したての私に声を掛けたのは、酒場で偶々(たまたま)出会ったテイルだった。


「君・・・初心者かな? よかったらあそこで俺達と飲まない?」


「へぇ、ネクルトって言うんだ! 短剣使いって結構珍しいよね?・・・よかったら俺達のパーティーに入らないかな?丁度あと一人欲しかったんだ!」


 私が入る前から、テイルは二人のメンバーと一緒に行動していた。

 前衛を務める重装騎士と軽戦士、後衛を務める弓士。そしてそのメンバーの中に、中衛を務める探索士、私が入ることになった。


 私だけが初心者なのかと不安に思ったけれど、テイルとルイリヒト、ベイリッヒの三人も冒険者登録をして一ヶ月も立っていない初心者だと知って少し安心した。


 当時、結成したての「風の導き」は、依頼の内容などを選り好みせずなんでも受けるようにしていた。

 当然冒険者としての常識やイロハなんて知らなかった私達は、何度も危ない目に遭って、時には本当に死にかけた事もあった。


 情報も金で買う冒険者の世界で、初心者の冒険者パーティーが生きていくのは厳しくて、何度か抜けようとしたことがあったけど、その度に仲間が励ましてくれた。


 冒険者として少し余裕ができた頃に、全員でDランクに上がって危険なダンジョンの探索も行った。

 採取依頼だけじゃなくて、護衛依頼や討伐依頼もしっかりと請け負ってきた。ある依頼でゴブリンが三十匹出た時は流石に焦ったけれど、しっかりと対処することもできた。


 何度も大変な目にあった私達だったけれど、今まで培ってきた経験から最近は目立ったミスなど一つも侵さず、受けた依頼も完璧にこなせるまでに至った。

 周りからはCランクも間近だと言われるまでになった。


 けれど・・・今私達は、すぐ背後から迫って来る死の恐怖に顔を引きつらせながら全力で逃げている。

 少しでも歩みを止めれば、死が背中に刻まれる。


 今まで死にかけた事があった。初めての討伐依頼で、全員の統率が取れずウルフに囲まれた時・・・それでも、協力すれば勝てるだろうと思っていた。

 でも、今回はそんなレベルじゃない。


 確実な死が迫ってくる事実。協力したって傷ひとつ付けることさえ叶わないだろう、格の違う魔物。

 逃げてもやって来る死に後ろを取られ震える体。


 足はもつれ、息も絶え絶えになる中で、それでも走ることをやめない。

 自然と歯を打合せカチカチと音が鳴り、目尻からは涙がボロボロと溢れ出す。


 地狂獣ベヒーモス。

 普段は人が住み着かない山奥の地中に生息している非常に凶暴な魔物。捕食者としての圧倒的なまでの暴力を振るう魔物。

 Bランクの冒険者が束で掛かっても勝てるかどうかとまで言われるような魔物。


 強大な四本の足でもって、地面を躍動させながら死は迫り来る。

 大地のいななきが悲鳴となり、風さえも猛り狂う獣を恐れて豪風を吹き荒れさせる。


 また音が近づいた・・・また音が近づいた・・・また音が近づいた。


 テイルも、ルイリヒトも、ベイリッヒも必死の形相で後ろを振り返ることもせず走り続けている。後ろを振り返ってしまえばその歩みは確実に止まってしまう・・・そんな思いに支配されているに違いない。


「ベヒーモスかぁ・・・B級っていうと強いんだよなぁ?」


 そんな中で間の抜けた声が耳に届く。

 今回の依頼で偶々一緒になった冒険者。


 昔、商隊の護衛依頼を受け持った時に行動を共にした「孤高の魔法剣士」サミエルのパーティーメンバーである。

 この状況を理解していないことからもわかるように初心者だ。


 テイルの知人であるレナントさんからの紹介で、この依頼を引き受けることになった冒険者。

 人数合わせとしてFランクの冒険者には難しい依頼を引き受けた見た目子供の魔族・・・ユガ君。その子に付いてきた女の子キクちゃん。


 そうだ・・・私達がしっかりしないと。


「大丈夫!! 私達が何とかするから」

「え? あ、はい」


 そうは言っても、ベヒーモスを止める手立てなんてあるわけがない・・・。

 ・・・考えたくはなかったけれど、こうするしかないようね。


 私は歩みを止める。腰に巻いたベルトについているナイフポケットからナイフを数本取り出す。

 後ろを振り返り、ナイフを構える。


「ッ!! ネクルト何やってんだ!!」

「・・・こうでもしないと後輩に見せ場がないじゃない・・・。だから、早く行って!!」


 全員が足を止めようとするのを止める。

 それでも、テイルは走り寄ってくる・・・わかってはいたけど、嬉しいなぁ。


 テイルは、力の入っていない笑顔を浮かべてこちらの顔をジッと見つめる。


「そんなの、お前にだけさせる訳無いじゃん」

「テイル・・・」

「私も付き合うに決まってるわね・・・」

「うむ。壁役がいない囮など時間稼ぎにもなるまいて」


 そういって、背中を叩いたのは「風の導き」全てのメンバーだった。

 ルイリヒト、ベイリッヒも私の前へと立つように歩みを進める。


 剣を引き抜き、恐ろしい速度で迫り来るベヒーモスに向かって構える。

 テイルは弓を取り出し、矢を番える。


「ユガ達は早く逃げて街の人に伝えてくれ!! ベヒーモスは俺達がなんとか止めてみせる!! だから早く」


 テイルがいつもよりも大きな声で叫ぶ。

 それと同時にベヒーモスへと矢を射掛ける。赤い閃光を纏わせた矢がベヒーモスへと突き刺さる。

 テイルはスキル「強矢」がベヒーモスへと牙を剥いた。


「俺はここにいるぞ!! 掛かってくるがいい!!」


 そういったルイリヒトの体から青白いオーラが発せられる。

 相手を挑発して、自分にヘイトを向けるスキル「仁王立ち」のスキル。


「力よ、私に迸れ!!」


 ベイリッヒ自身の能力を向上させるスキル「活性」を発動させる。


 全員それがただの気休めにしかならないのは充分に承知している。それでも、ベヒーモスに一矢報いることができればと、全力を振り絞る。

 全員顔にはうっすらと笑みが零れ始めていて、いよいよ自分の死期がやってくることに恐怖し始めている。


「誰が死んでも、恨みっこなしだぜ。ちゃんと付いて行くから許してくれよ・・・」


 テイルのその言葉を最後に、ベヒーモスが間近へと迫って来る。

 あの子達はどこまで逃げることができただろうか・・・私達が稼ぐほんの僅かな時間でカナンまで逃げ延びることができるだろうか?


 もし、生き延びることができたとしたなら今回の出来事が良い経験になるだろう。

 自分より強い冒険者でも、不意な出来事に命を散らすといういい見本になるのだろう。


 ベヒーモスがその巨体で持って、私達と衝突する。


「・・・・・・・・・シッ!!」


 その瞬間・・・瞬き一つした後、それは私達の目の前へとやってきた。

 そして、その有り得ない光景が私たちの視界へとまざまざと映し出された。


 短い髪を振り乱し、自分たちよりも小柄で、拳を振り抜いた姿勢の少女の頭上をベヒーモスの巨体が舞う。

 ベヒーモスでさえ何が起こったのかわからなかっただろう。自分よりも遥かに小さな少女の頭上を何故飛んでいるのかなんてわかるわけがない。


 拳から立ち上る煙が一層強まる。すると、拳が炎を纏い、彼女の体から赤い炎を思わせるオーラが吹き荒れる。

 ベヒーモスの巨体が下へと落ちてくる。


 未だ事態が飲み込めていない私は、その光景を唯呆然と見ていることしかできない。

 何が起こっているのか? なにが起ころうとしているのか? それを理解できないまま、私の頭の中に「助かる」という言葉が浮かび上がる。


「アタイの本気・・・見したげる・・・狂撃クルイウチ炎舞エンブ!!」


 少女が踏み込んだ大地は砕け、体は目一杯捻られる。やがて、その体が掻き消えたかと思わせると同時に、赤の奔流がベヒーモスへと襲い掛かる。

 耳を劈く爆音を鳴り響かせながら、少女の拳打がベヒーモスを撃ち抜かんと何十発も繰り出される。


 その一撃一撃がベヒーモスの体を打ち据える度に、形容しがたい轟音の数々が大地へと染み渡る。


「・・・夢?」

「・・・だと思いたいんだけど?」


 何十発、何百発と放たれた拳打は、最後に一際大きな爆音を鳴り響かせた後にベヒーモスを先程よりも更に上へと打ち上げる。

 くの字に折れ曲がり、空中へと飛ばされたベヒーモスはやがてある一点で空中に滞空する。


 巨体が空中を何度も舞う様を見上げ、ついつい「夢」という言葉が口から漏れ出てしまう。

 しかし、それは次にやってくる展開の序章にしか過ぎなかったことを思い知らされる。


水天滅激流リヴァイアサン!!!」


 膨大な水の竜巻が、ベヒーモスへと襲い掛かった。

 飲み込まれたベヒーモスは、竜巻の中で水によって体中を引き裂かれた後、外へと弾き飛ばれる。

 数十メートル吹き飛ばされ挙句巨大な岩へと打ち付けられ、ベヒーモスはぐったりと動かなくなってしまう。


 きっと、私達はもうベヒーモスにやられていて、有り得ない光景を見せられているのだと、或いは自分達はまだ夢の中であり都合の良い夢を見ているのだと思ってしまう。

 けれど、鼻を掠める土の香り、耳を通り過ぎる風の音、肌をピリピリとさせる威圧感。

 そして、何より恐怖に打ち震えたままの体が、ここが現実なのだと私達を呼び戻す。


「キク・・・ちゃん?」

「・・・・・・・・・まだ、やれてない」


 キクちゃん?がそういうと、巨岩に叩きつけられたベヒーモスが体を起こすのが見えた。

 鼻から蒸気を吹き出し、口元から血と涎を垂らしながら、目を血走らせこちらを見据える。


 浅黒く岩の様な体表をしていたベヒーモスの体が、突如として灼熱の業火に燃やされたように赤く染め上げられた。

 角は二倍近く伸び、ゴツゴツとしていた肌からは岩の槍が生えだしたように刺々しいものへと変化している。


 GUOOOOOOOOOOOOOOOONNNNNNNNNNNN!!!!


 再び大きな咆哮を上げたベヒーモスは、狂った様にこちらへと突進してくる。さっきよりも速度は速く、目からは理性の色が全く感じられなくなっている。

「狂獣」へと化したベヒーモス、されど目の前に立つキクちゃん?はそこを動こうとしない。


「に、逃げないと危ないよ?」


 そんなこと誰だってわかっている事。それでも、自分の口からはそんな言葉が漏れ出てしまった。

 振り返る少女の顔は、先程私達と共に歩みを進めていたキクちゃんであった。


 そのキクちゃんは何を言っているのかわからない、と言いたげな顔を向け、興味を失った様にベヒーモスへと視線を向ける。

 恐らく、状態変化したベヒーモスは「狂走」のスキルを発動しているに違いない。


 狂走のスキルは自分の命が尽きるまで、対象を殺すまで、どんな攻撃であっても物ともせずに突き進むもの。


 それを前にしても、全く避けようともせずに前に立つキクちゃん。

 その華奢な体では防御することなど決してできるはずもなく、あの巨体をその身で受けようものなら弾き飛ばされるだけでは済まないはず・・・。


「あれぇ・・・ディーレさん、倒せなかったんだけど!?」

「・・・むぅ」

「主人・・・あいつうざい・・・」

「あぁ、うん。そだな」


 そんな、間の抜けた会話が交わされる。

 私達の命を食いつぶす存在が、前方からものすごいスピードで迫ってきているというのに、余裕を感じさせる・・・いや、余裕しかない会話が交わされる。


 そんな会話をした主を一目見ようと、全員が後ろを振り返ると・・・。

 お尻の辺りからふわふわの尻尾を生やし、瞳を縦に割れさせた「魔族」の姿。

 そして、その傍らでパタパタと飛び交う全身を綺麗な水色の光を纏った少女の姿。


 たぶん、ユガ君だとは思うんだけどその姿はさっきとは全く違う・・・それよりも、となりのちっちゃい妖精さんは何?


「ディーレさん、ちょっと全力で行こうか?お願いできる?」

「任せて・・・」


 妖精の少女はそう一言告げると、パタパタと飛んでいた少女の姿は光に包まれる。

 その光は次第に強さを増していき、ひとりの女性を形取る。その光の中心から現れたのは、今まで見たこともない程に神々しく、美しい存在。

 しかし、その存在は、決して他者と並び立つこと等ないであろう存在感を発している。


 その憂いを帯びた瞳から発される、歴然とした力の差に言葉をなくす。


 並び立つことを許さぬ存在・・・その横に平然と並ぶユガ君?に全員の視線が集まる。

 ユガ君はその視線に気付いたのか居心地の悪そうな笑顔を浮かべながら、ベヒーモスへと向き直り一歩を踏み出す。

 それに続いて、横に立っていた圧倒的な存在感を放つ美女が一歩踏み出す。


 キクちゃんの横を通り過ぎた、異質な二人組はベヒーモスへと掌を突き出す。

 そうすると同時に、その二人を中心に暴風が吹き荒れる。


 暴風に目を一瞬だけ庇い、次に目を開けた時に眼前に居た二人の間には、力の奔流が見て取ることができた。

 さっきまで間の抜けた会話をしていた事が嘘のような、そんな出で立ちでベヒーモスへと向き、掌を突き出したまま二人はまるで詩を歌うように、口ずさみ始める。


コドモの流れは初めに清く」

『清らかなコドモは激しさを増す激流に』

「成長するは大いなる姿」

『思い描く、龍に至った一匹の生』

「滝を登りし、矮小な生」

『至った者は、その名を変えた』

「紡げ、その名を」

「叫べ、その名を」


「『水天滅激龍セイリュウ!!!!』」


 二人に収束された力が突如解き放たれる。


 二人から発された膨大な力の奔流は、荒れ狂う津波の如くベヒーモスへと襲い掛かる。

 しかし、それは突如として上空へと昇り詰め、一匹の「ドラゴン」を形取る。


 すべての種族の間で恐れられる最強の存在。その姿を一度でも見てしまったが最後、生き残ることは不可能とされている。

 生物界の頂点に堂々と君臨する「ドラゴン」・・・その形を模した馬鹿げた力を持った大魔法が目の前で展開された。


 たった二人。

 子供の姿をした魔族バケモノと、人族では至り得ない美貌を備えた圧倒的な存在から発せられたその魔法は、赤い瞳を開き大地を見下ろす様に睨視する。


 その眼に捉えられたのは、大地を這う鼠ベヒーモス

 二人から解き放たれた「ドラゴン」は、口元に笑みを浮かべ、ベヒーモスへと牙を剥いた。


 もしも、ベヒーモスが「狂走」を発動させていなかったのならきっと逃げていたに違いない。逃げ切れないとしてもほんの少しだけでも生き残れる可能性もあった。

 でも、今のベヒーモスには理性の欠片も残っていない。ベヒーモスはそのまま適うはずもない存在へと突き進む。我が身を破滅させるために。


 そして、二つが衝突する。

 ベヒーモスを飲み込んだそれは、少しの間真っ直ぐに進むとやがて、渦を巻くようにして空へと昇っていく。

 蒼い光の帯を残し、空へと翔け昇って行く「ドラゴン」の姿を私達はジッと見つめる事しかできなかった。


 空へと消えていったそれは、最後に置き土産とばかりにピクリとも動かなくなったそれを大地へと突き落とす。

 肉が潰れる音と共に大きな衝撃を残して、その巨体は大地へと打ち付けられる。


 先程まで私達の脅威だった存在は、今や上位者としての面影すら存在していない。

 破壊の権化、山の怒りとされているベヒーモスの姿はもはや一片たりとも残ってはいなかった。


「これでいいかな・・・あぁ恥ずかしい・・・」

『上出来ね』

「主人・・・かっこよかった」

「あぁ、はいはい。ありがとう」


 ・・・私達は何の言葉も発することができない。目の前にいるのが私達と行動を共にした少年少女なのかがわからなかったから。

 サミエルとパーティーを組んだ素人の冒険者なのかわからなかったから。


「夢・・・じゃないのか?」

「夢だと思いたいわ・・・」

「そうであるな・・・」

「うん・・・」


 夢現とはまさにこのことなのだろう。

 自分達が今何をして、何を口走っているのかが理解できていない。

 ベヒーモスの亡骸と無邪気な笑顔を顔に浮かべる少年少女、美女を交互に見やる。


 体の震えは治まらず、その体の震えだけが自分たちが今いる場所が夢じゃないと如実に語っている。

 頭に流れ込んでくる情報を捌ききれずに立ち竦む私達に、ユガ君?は振り返り、こちらへと歩いてくる。


「えっと・・・あれも燃やしたほうがいいんですかね?」


 私達は、目の前で苦笑いを浮かべるユガ君へと視線を向ける。

 さっきまで生えていた尻尾や縦に割れていた瞳はなくなっており、そこに立っているのは一人の無垢な少年だった。

 気づけば傍らに控えていた美女の姿は何処にもなく、いつも通りキクちゃんがユガ君の後ろで半分だけ体を隠している姿があった。


 今しがた、ベヒーモスと激闘を繰り広げていた者とは思えない・・・。

 私が言うのもなんだけどこんな小さな体から、一人でベヒーモスを圧倒できるような力が何処にあるというのか・・・。


「あ、えっと・・・解体して素材を取ったほうがいいよ?」

「解体・・・やり方がわかりませんので教えてもらってもいいでしょうか?」

「あぁ・・・わかった」


 私達は言われるがまま、路傍の石となっているベヒーモスへと近づく。

 開けられた瞳からは光が消え、四肢は力なくだらりと垂れ下がり、完全に絶命している。


 それに私達はナイフを入れる。

 淡々とベヒーモスを解体していく私達。しかし、その沈黙は我らがリーダーによって切り裂かれた。


「す・・・スッゲェェェーーー!!なぁなぁ、アレなんなんだ?一体何が起こったんだ?ベヒーモスってB級の中でも上位に位置する魔物で・・・これはさっき言ったっけ?あんなに簡単に倒せるもんじゃないんだよ!!それをキクちゃんといいお前といい、魔族ってそんなに凄い奴ばっかなのか!?ってかあの美女さん誰!?あのすごい魔法ってどうやって出したの?キクちゃんのも凄いスキルだったね!!二人って一体何者なの!?!?」

「ファッ!?」


 テイルは何かが決壊したように、ユガ君に捲し立てる。私達の頭の中にあった疑問全てをぶちまけるかのように詰め寄る。


 それに押されて、ユガ君が一歩後退り、キクちゃんが鮮やかな動作でテイルにボディーブローを決める。

 その一撃で沈んだテイルに変わって、次はベイリッヒがが状況を二人に確認する。

 返ってきた言葉は・・・。


「まぁ、危なそうだったんで適当に・・・」

「主人がやれって言った」


 しれっと、そんなことを言い出した。

 そんな簡単に片付ける事ができる内容じゃないことは確かなはずなんだけど、今の私達ではそれに対して、言い返せるだけの言葉を持ち合わせておらず、無理やり納得するしかできなかった。

 サミエル・・・なんて人達をパーティーに入れてるの?


 結局、カナンに戻る事は出来そうになく、解体されたベヒーモスをそのままに私達はそのまま一夜をそこで過ごした。




 次の日、予想通りギルドから派遣された高ランク冒険者達と、王都から派遣された衛兵が駆けつけ、この一件は大騒ぎとなった。


 もしここで私達がベヒーモスを仕留めていなければ、カナンに被害が出てしまい兼ねない程の魔物だったのだ。

 それに、ベヒーモスから命辛々逃げ切った、護衛対象とされた人物はウェルシュバイン家の息女である。

 もしベヒーモスに取って食われでもしたら大問題となることは間違いない。


 そして、急いでこちらまで駆けつけた人達が見た光景は、離れた場所に解体されベヒーモスを置いて疲れで寝こけた私達だったのだから、混乱は熾烈を極めた。


 私達は何があったのか聞かれたが、全員の意見が「さぁ、何があったのでしょう?」なのだから、駆けつけた人も困った顔で首を捻るしかなかった。


 さぁ、そうなると一番注目されてしまうのは当事者の彼らでして、キクちゃんとユガ君はカナンギルド本部へとそのまま連行され、私達は引き続き事情聴取された。


 依頼の方は、ウェルシュバイン家に直ぐ様事の顛末を報告され、一時大問題となりかけたが、私達が息女様の命を救ったという形になり収束。


 Bランク上位の魔物が出現した緊急の対処として優秀な働きを見せ、尚且つ冷静な判断からウェルシュバイン家の息女を守ったとして私達は晴れてCランクの冒険者となった。全く納得の行かない結果であったが、そうでもしないと事態が治まらないという事で、口止め料という形だそうだ。


 しかし、そこは我らがリーダーテイル。しっかりと酒場で情報を流し、ユガ君やキクちゃんは一躍話題の的となってしまった。

 私達の噂もかなり広まったが、その二人の噂もかなり広まってしまったわけだ。


 かくして、私達・・のベヒーモス騒動は終わりを迎えた。

 私達「風の導き」は少しの名声と、賞金を手にしたわけなんだけど・・・。


「あの子らどうなったんだろうな?」

「きっと上手くやってるさ」


 全員で顔を見合わせ、私達は溜息を零した。

今回はチート全開ということで、皆さん爽快な気分になっていただけたのではないでしょうか?

次回からも主人公の災難ライフと痛快チートライフをお送り致します!

※活動報告にて今年の締めくくりです!


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になり、今回の様に筆が踊りますので気軽にどうぞ!!


※活動報告がどうやったら見れるのかわからなかったと読者様から聞き及びました。

方法は一番上にある?「作者:砂漠谷」の名前を押していただくと、私は左上に出てきました。


わからないことがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので質問送ってください!!

皆様が快適に読んで下さるよう誠心誠意努力します!

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