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現状:進化と森の美少女でした!

一週間前後とは何だったんでしょう?出勤中も楽しくて書いちゃいました。


「進化」そんな声が聞こえた気がしたが気の所為なのだろうか?


 最弱種スライムに転生し、二回も死にかけながらレベリングしてたった10でカンストして終了。

 そんな人生ハードモードな俺がやっと報われる日が来たのだろうか?


 苦節二日目にしてやっと進化だ!・・・早いな。


 異世界といえば無双!最強!!チート!!!なのだ。

 今の俺が異常に違いない。同じ最弱スライムに殺されかけて、狼に集団で襲い掛かられて・・・

 それもこれも今日までだ!


 進化という甘美な響きの自称が自分に降り掛かるのだ。


 俺は魔物に生まれたのだ。つまり、かっこいい魔物に進化するに違いない。

 前に聞かされた時のあれになるのだろうか、あの時は絶望したものだ。

 俺は「魔龍種」に生まれ変わる予定だったのだ。


 ただ自分は最弱種スライムなのだ、進化してもそこまでいい魔物にはなれないだろう。高望みしすぎてまた絶望するのはゴメンだ。

 あわよくば「龍」とかに進化できれば最高なのだが・・・。


 さぁ、ナビちゃん俺は何に「進化」するのかな?


 “ユニークスキル「進化の系譜」:発動を確認。・・・*#$%$エラー発生、エラー発生。”


 ・・・え?


 “進化の可能性99%にてエラー発生。「進化の系譜」の意思に基づき、存在発展へと移行”


 ・・・ハハッ冗談だろう。進化の途中にエラー発生だって?

 しかも99%進化できるはずだったのに、俺は1%を引き当てたのか?

 あぁ・・・神様は俺にどれだけ試練をお与えになるのでしょうか。


 でも待てよ。存在発展って言ってたよな。

 進化とは違うみたいなのだが、一体なんだ?


 “これより存在発展へと移行。発展者は扉の向こうへと進まされます。ご注意下さい。”


 状況が良く飲み込めないんですが一体何が起きているんだ?

 扉?存在発展?

 進化じゃないのか?


 “移行開始”


 なん・・・!?


 急に襲い来る眠気が全身を駆け巡る。目の前が暗くなり、自然と眠気に体を委ねてしまう。


 なんだってんだよ・・・


 榊 武人の意識はそこで途切れ、暗い闇の中へ引きずり込まれてゆく。






 そこは不規則な明滅を繰り返す、魔物としての理の世界。

 扉の中へと続く幾重もの道の中、一本の道は光を放つ。

 強き魔物であっても決して楽に進むことは出来ない選ばれたものが通る道。


 “ブルースライム:榊 武人の魂を発見”


 榊 武人の魂は扉の中の器のもとへと歩みを進める。

 そこに意思はない。

 ただ、己が強くならんとする思いだけを胸に秘めた魂がはるかに大きな器へとたどり着く。


 “器:榊 武人の「始祖の器」を発見。・・・エラー発生。器が破壊されました。”


 器へと、魂が注ぎ込まれ器は一瞬にしてその中身を溢れさせる。

 受け止めきれず溢れた魂は、再び元の魂へと還っていく。


 やがて、魂の重さに耐え切れなくなった器が、本来起こりえないはずの器の決壊を引き起こす。


 “魔龍種:エルドラドの器の決壊を確認。再度要望に当てはまる器を装填”


 それは膨大な器の中から榊 武人の魂に合った器を探し出すプロセス。


 永遠とも感じられる時間の中で驚くべき答えを導き出す。


 “合致なし。理の中心部へと移行。再度要望に当てはまる器を装填”


 榊 武人の本来の魂なら魔龍種:エルドラドへと転生したであろう。

 しかし、それは叶わなかった。


 彼の魂は扉の中で、一際大きく変化し光り輝いた。

 世界の意志によって招かれたはずの彼が、世界の意志に背く。

 魂を闇と光が包み込み魂は依然として大きさを増していく。


 “合致なし。これにより器の発見は不可能と断定。「器」の構築を開始します。”


 理の中に無数に存在する器は何一つ彼の魂にそぐわない。


 その魂はやがて一つの器を生み出す。榊 武人の器という可能性が左右する器へと。


 彼の可能性は世界をどちらに導くのだろうか。


 闇に染まる破壊の世となるのか、光射す安寧の世となるのか。


 世界でさえ彼の可能性を操作することは成し得ないのである。

 今はただ彼の行く末を世界は見ることしかできない。






 ”扉への移行を確認。ポイントの振り分けを行って下さい。”


 意識は完全に覚醒しない。強烈な眠気の中、どうにか意識を保つ努力をする。


 あぁ、眠い。なんだここ?

 そういえば進化だっけ・・・?


 “ブルースライムからの進化は不可能と判定。存在発展を開始。”


 “ボーナス発生を確認。ポイント振り分けを行って下さい。”


 うーん・・・。くそぅ、眠くて頭が回らないぞ。



 ポイント50×5



 HP:30 (MAX55)

 MP:25 (MAX55)

 STR:25 (MAX55)

 VIT:23 (MAX55)

 AGL:24 (MAX55)

 MGI:18 (MAX55)

 LUC:? (MAX?)

 ※LUC割り振り不可


 位階:F



 これは、あれだね。ゲームのポイント割り振りの様なものだな・・・。

 ん?これなら全部極振りできる。

 ナビちゃん極振りでお願い。


 “承諾”



 残:65


 HP:55

 MP:55

 STR:55

 VIT:55

 AGL:55

 MGI:55

 LUC:?


 位階:C



 おぉう?結構強くなったんじゃないか?

 見慣れないものもあるな・・・「位階」?


 “ポイント極振り完了。残り65ポイント。振り分けれるものがありません。次回に持ち越します。”


 “称号:スライムエリート → ネーム:スライム皇帝カイザーに進化”


 “ステータスが規定値を超えました。ネーム:「スライム皇帝カイザー」、称号:「覇王(オーバーロード)」、「魔導を歩みし者」、「英雄」を入手。


 “称号設定を行ってください。”


 自分の名前の横に三つのスロットが現れる。それぞれに壱、弐、参と表記されている。


 “壱:ステータスに与える影響「高」、弐:ステータスに与える影響「中」、参:ステータスに与える影響「低」”


 成る程。ステータスに結構影響出てくるのか、やり直しとかできんのかな?


 “可能です。”


 ならいいや。とりあえず設定しよう。


 壱:「覇王(オーバーロード)

 弐:「魔導を歩みし者」

 参:「英雄」


 やはり、「英雄」よりは「覇王」というモノに心惹かれる厨二心!眠いがこればかりは譲れない。先に手に入れたスライムエリートがなにやら進化したようだが・・・。

 ネーム?よくわからない。


 “承諾。反映致します。ステータスの急激な上昇に体に負荷が掛かります。ご注意下さい。”


 ん?

 エッ!?ちょっと待っ!?


 “開始。”


 その瞬間に体が急激に下に引っ張られ、何倍もの重力が体を襲う感覚。体中を刺すような痛みに呻いたのも束の間、俺の意識は完全に闇に飲まれて行った。






 ここは、アルテリアの王都「シルヴェルキア」から西部に位置する「ユガ大森林」。

 その中でも南部に位置するこの森は比較的穏やかであり、魔物も少ない。少ないといってもそれなりにはいるのだが敵はスライムやウルフといった低級の魔物である。


 そんな森の中にひっそりと隠れるように存在する里がある。


 エルフの隠れ里である。そこに住む者は約50名程。長命なエルフはあまり子孫を残そうとはせず、人間のように数はおらず少数となっている。


 その隠れ里から少し離れたところに「精霊の泉」と呼ばれる場所がある。

 普通の人から見ればただの泉だが、エルフや精霊魔法使いといった精霊に好かれている者が見ると溢れんばかりの精霊や目には見えない妖精が飛び交っている姿が見える。


 その泉のすぐ側の岩の上にエルフ族の少女と人族の少女が座っている。

 二人共手には楽器を持っている。人族の少女が持っているのはリュートの様な物。エルフ族の少女が持っているのはオカリナの様な物だ。


 二人はそっと目を閉じて静かに演奏を奏で始める。


 オカリナの様な物は周囲の風を取り込み、自然と音が鳴り響く。

 リュートの様な物は人族の少女が手に持ち弾く。

 演奏し始めて早々に、精霊が集まり始める。妖精が木々の隙間からこちらを伺っているのがわかる。

 辺りを過ぎ去る風の音をアドリブに入れながら、細く高い音と弦が鳴らす心を揺らす音が周囲に満ち始める。

 妖精が踊り、精霊が舞う。やがて一つの場所へ集まりすぎた精霊は色を帯びて、誰にでも見えるようになってしまう。

 人族の少女はそれが嬉しいのだろう。目を細めて、弦を弾く指がより洗練され、顔からは笑みが溢れる。


 精霊の放つ光が森の緑に反射して、オーロラの様な幻想的な雰囲気を放つ。


 やがて精霊と妖精はエルフ族の少女の方へと期待の視線を飛ばす。

 ここからが彼女、エルフに伝わる伝統的な演奏法「妖精歌スピル」の始まりだ。


 前奏は終わり、エルフの少女から小さく透き通るような声が周囲に響く。

 声が小さくとも楽器の音に声が乗り、広範囲に歌声を届かせる


 精霊や妖精はその声にうっとりとした様子になる。


「森の囁き」と呼ばれる精霊の声が彼女たちの耳を撫でる


『モットモット』

『ズットウタッテヨ』

『ヒイテヒイテ、ガッキヲヒイテ』

『イイコエ、ダイスキ』


 やがて、音が周囲に溶け込み森が歌いだす。

「妖精歌」は精霊や妖精が好む声で、それを極めると妖精が一緒になって歌うことから名付けられたものだ。

 妖精だけではなく、精霊もともに歌っているのだが普通の者には妖精の声しか聞こえないため「妖精歌」と呼ばれている。


 その歌は安らかな森の中に風のように降り注ぐ。地を撫で、天へ昇り、やがて満たされる。

 彼女たちの周りは精霊力が満ち溢れる。


 魔力の数倍とも言われる精霊力が彼女たちの体を覆い隠す。


 彼女らは「精霊の加護」を得て。さらに穏やかな音色を奏で、歌は更に勢いを増していく。クライマックスに近付いているのだ。


 激しいといってもそれは風のように流れる声なのだ。


 精霊も、妖精もその場で歌い始める。


 その歌声は聞こえるものにとっては森の中なら、どこにいても聞こえただろう。

 やがてその歌声はあるものの耳に流れ着くのである。


 そんなこととは露知らず。彼女たちは歌い続けるのである。






 スっと意識が戻ってくる。ダルイ。頭が痛い。動きたくないでござる。


 少しの間、襲い来るダルさと頭の痛みを耐えて自分の状況を把握しようと試みる。


 覚えているのは「進化」って言葉が聞こえて、扉がどうのこうのでトリップして・・・なんでだろう、そこから先がよく思い出せない。


 ただ覚えているのが、「エラー発生」の一言。

 おそらく俺は進化できていないに違いない。今もまだ見窄らしいスライムなのだ。

 青くてプニプニした万年ニヘラとした顔をした奴が俺を嘲笑っている姿が想像できる。クソう!!


 自分の境遇を恨みながらかれこれ5分程、ようやく調子が良くなってくる。


 そしてフッと目を開ける。目の前に広がるのはウルフと戦った時に見た光景と何ら変わらない。

 はずなのだが、何故だか体に違和感を覚える。心なしか自分の感覚が鋭くなっているような、そんな気がしてならない。


 どうしたんだ俺?


 とにかく、自分の身体状況を確認しないt・・・

 うん。そんな暇ないのが今自分で分かった。周りを何かが取り囲んでいる。


 この気配・・おそらくウルフだろう。

 それも10匹以上。


 いつもの俺なら慌てふためき自分の状況を呪っていただろう。

 しかし、なんだ?


 この余裕は・・・。


 自分は自分のはずなんだがおかしい。

 ・・・考えても答えは出ないだろう。俺はこの体の俺のことを全く知らないのだから。


 まずはこの現状を打破しよう。


「ミミミ(マルチウィップ)」


 自分の体から4本の触手が出現する。

 あれ?減ってる?


 ま、まさか俺進化に失敗してレベル1からやり直しになったのか?

 迂闊だった。進化までこぎつけて、失敗して、それでも少しは強くなったと勘違いしたのだ。

 もう終わりなのか、でもまだ希望はある!敵のレベルが1なら何とかできる!


「ミミミ!(周囲掌握ハイパーサーチ!)」


 ウルフリーダーLV15×1

 ウルフLV12×1

 ウルフLV10×2

 ウルフLV7×4

 ウルフLV5×8


 はい、終わったー。俺の異世界ライフ終わったー。

 短い間だったが全く楽しくない異世界でした。エクストラハードモードなこの世界の一生終わったー。


 今までの敵でも最高LVは5だったのに、10を超える敵が4体。俺が四苦八苦して倒したウルフLV5が8体とか・・・

 勝てないな。これはもう奇跡とかそういうもんじゃ解決できない。終わったわ。


 さぁ、煮るなり焼くなり好きにしてくれ。


 ・・・ん?攻撃してこないな。

 ウルフ達はグルルと威嚇の声を上げるだけで、こちらには何もしてこない。

 何かに警戒しているようだが、ウルフ達は一様に俺を睨みつけている。


 そうしているとLV5のウルフ達がジリジリとにじり寄ってくる。


 何に怯えているかは知らないけど、ただで殺される道理もない。

 先手必勝。敵の虚を突き、一気に攻め立てよう。


 なるべく早く攻撃して、より多くのウルフを倒してやる。


 触手を回転させて敵を弾き飛ばし、とりあえずの時間を稼ごう。


 触手を蠢かせ、いつも通り「マルチウィップ」に転じようとした時だった。


 “スキル:「死鎌(デスサイズ)」を習得しました。”


 ウルフ8体の体が真っ二つとなり宙に舞った。


 何が起こった?

 え?俺はいつもどおりマルチウィップで攻撃しようとしただけなんだけど。


 触手は鎌の様に途中から湾曲し、赤黒い血を滴り落としている。


 その様を見たウルフ達が覚悟を決めたのか一斉に攻撃を仕掛けてくる。


 LV7のウルフ4体に鎌を振るう。


 先と同じく宙に舞う。赤い軌跡を描き、空のキャンバスに臓腑をぶちまけていく。


 一本をウィップソードに変える。やはり違う。

 前に見た時は叩き斬るといった感じのモノだった。しかし、今あるのは斬ることに特化したものだということが分かる。


 LV10のウルフにウィップソードの薙ぎ払いを直撃させる。

 宙に舞う。


 何が起こっているのか自分にも理解できない。

 弱過ぎるのだ。

 ウルフの動きは遅く、前に戦った時と比べ物にならない。

 雑魚すぎる。


 鎌とソードは信じられない速度で敵を蹂躙する。

 残ったのはリーダーただ1体。


 考えるのが面倒になってきた。自分に何が起こっているのかわからないけど、やるしかない。


 するとウルフリーダーは背を向け全速力で逃走を図る。


 逃がさない。

 スライムには想像もつかないスピードで迫り、4本の触手が敵を捉える。


 こんな世界に生まれついたことの全てをこいつに当てつけてやる!


 4本の触手を四方に飛ばし、退路をなくす。

 1本は地面を通し前から襲い、残り3本は左右、後ろから敵を襲う。


 その4本は瞬く間の内にリーダーを赤く染め上げる。悲鳴を上げる暇もなく絶命した。



 “レベルアップを確認。ヌシを撃退したことにより経験値ボーナス発生。”


 グリーンスライム:スライム皇帝カイザー(LV1→LV12)


 覇王LV1 → 2


 HP:55 → 84

 MP:55 → 84 

 STR:55 → 98

 VIT:55 → 109

 AGL:55 → 79

 MGI:55 → 90

 LUC:? → ? 


 覇王オーバーロードLV2:全能力+20

 英雄:全能力+10

 魔導を歩みし者:MP、MGI+50


 “南部一部:主の撃破を確認。縄張りを奪取。”


 “南部3分の2縄張りを確認。「ユガ大森林南部の王」となりました。これにより、他の主は権限を剥奪されます。”


 “補足:グリーンスライムLV上限20。覇王LV上限5。”


 “「ユガ大森林南部の王」:#&%??‘**>?$%%に必要”



 ・・・え?

 ちょっと待ってくださいな。俺強すぎじゃないか?

 そういえば体(触手)が緑になっているのに今気付いた。

 どうやらグリーンスライムなるものになっていたらしい。


 ステータスも以前とは比べ物にならない程強くなっている。


 ス、スライム皇帝(カイザー)!?かっこいいのか悪いのかよくわからない。

 覇王?英雄??魔導???

 そういえば、そんなものを習得したようなしていないような・・・


 一言言えるのは俺は強い。


 そういえばなぜ気配なんてものを察知できたのか俺にもわからないし

 これは格が違う。今までの苦労が水の泡になってしまう程強い。

 群れたウルフ達が一瞬でやられていくのも理解できる。


 LVは一気に12まで上がっているし。

 何やら覇王もLVが上がっていくらしい。


 そして、目に飛び込んできたのは「ユガ大森林南部の王」

 恐らくさっき倒したのがこの森の大部分を支配していたのだろう。

 それを倒したことによって、俺がこの森の南部の王になったんだろう。


 ・・・キングスラ○ム。頭に王冠は乗ってないけど、俺はここの王となったのだろう。


 今まで何度も命の危険を味わってきた。

 意味不明なこの世界に転生して、意味も分からず死にかけた。

 しかし、俺はここまで上り詰めたんだ!

 嬉し涙がプルンプルンの体を滝のように流れていく。


 これで俺もやっとこの森で安心して・・・ん?


 ~~~


 俺の耳に何かが聞こえる。魔物の声でなく、風の音、葉っぱが擦れる音でもない。


 ~♪~~


 曲・・・か?


 耳に聞こえてくるのは音。それも何らかの楽器から出るであろう綺麗な音。

 自然と聞きいってしまう。


 誰が弾いてるんだ!?


 やっと、人に会える。こんななりだが、元は人だ。

 こんな、魔物しかいない森でやっと人に出会える!


 全速力でその音がする方向に向かう。

 前とは違って結構なスピードで森の中を這いずる事ができる。


 段々音が近付いて来る。

 もう少しで念願の人と会えると思うと自然と心が弾む。


 顔?を綻ばせながら俺はひたすらに音のする方向に走る(這いずっている)。


 木々が鬱陶しく思えてくる。自分より背の高い草花をウィプアタックでなぎ払う。


 “スキル:「森の導き」を習得しました。以後パッシブスキルとします。”


 するとみるみる内に邪魔だった草花が道を開き、一本の獣道のような状態になる。


 そこを走っていると、向こうの方が輝いているのが見える。


 ~♪~♪~♪


 綺麗な歌声と曲が周囲に響いて、耳に届く。

 心地よい音色がこの身に活力を与える。


 あとちょっとだ。あとちょっとでこの歌声の人に会える。

 おそらく女性であろう綺麗な歌声、楽器は二種類だろう。

 つまり二人いるってことだな。

 先程からチラチラと見えていた光が多くなってくる。


 音のする方向にしか意識を向けていないので妖精には気付かない。


 ようやく見えてきた。

 すぐそこに泉が見える。

 足を止め、キョロキョロと音の出処を探る。


 いた。ひときわ大きな岩の上に美少女が座っている。


 一人は膝にオカリナ?を乗せ、綺麗な歌声を周囲に振りまいている。

 金色の髪に蒼い瞳、少しタレ目で長い耳の女の子


 もう一人はリュート?を弾いて、彼女の歌を引き立てている。

 紅い髪を一本に三つ編みにし、前に垂らした切れ長の目の女の子。


 金髪の子は結構ナイスバディ。紅い髪の子は金髪の子と比べてスレンダーである(しかし、日本人を見慣れている俺からすると結構なもの)。


 身長は同じくらいだろうか?座っているから正確には分からないが、足の長さと座高を足す限り若干紅い髪の子が高いと思う。


 おっといかんいかん。

 いきなり体を舐め回すように見ては失礼だ。

 俺は紳士だと相手に思わせないと良いイメージを与えることができない。


 そして彼女たちに近付こうと動いた時、木の枝を踏んでパキっという乾いた音が周囲に木霊する。


 その音がなった瞬間に、曲がピタリと鳴り止む。精霊と妖精が急に怯え出し、あたりに散っていく。


「・・・・・!!」


 紅い髪の女の子が俺のいるであろう草むらになにか大声で叫んでいる。


 失敗した。ビックリさせてしまったようだ。

 俺はゆっくりと、彼女達の方に歩みを進める。

さぁ、出てきましたよ女の子!

次回はどうなるのでしょうか・・・期待していてくださいね!

次話は一週間未満に上げます。


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)

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