表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/271

開拓:カナン生活初日でした!

冒頭からケルト風民謡を聴きながら見ると街の情景が浮かんできますよ!

次話投稿は一週間以内です!

 俺たち一行はようやくカナンの街に辿り着いた。

 カナンの街は高い石壁で覆われており、立ち入るには東西南北に設けられた門をくぐらなければいけない。

 門の前では王都シルヴェルキアから派遣された兵士達が検問を行っている。


 門の前には冒険者らしき人が列を作っている。ここから入るのはユガ大森林を含めた野外から帰ってくる冒険者が大半を占めるそうだ。


 革鎧を着用し剣を携えた一般的な冒険者、革の胸当てにナイフを携えた身軽な装備の冒険者、普通の服装に弓矢を携えた狩人の様な冒険者、大剣を背負った十分そうな冒険者。


「冒険者・・・人・・・」


 様々な格好をした冒険者がカナンに入場しようと列を作るのをジッと凝視する。

 その光景に人の住む世界にやっと来れたと自然と感嘆の声が漏れる。


 その列に俺達も並び、検問の順番が来るのを待つ。

 サテラさん以外は身分証明書を持っていない為に少々手続きがあるらしい。


 俺達に気づいた幾人かの冒険者が、俺達に目を向ける。一度は目を背けた冒険者達だが、何かに気づいたようでもう一度こちらに目を向ける。


 その視線からは何かに非常に驚いているようである。何人かは俺の姿をジッと見た後に、後ろの四人を見やる。

 何人かはサテラの顔を見て驚いているようであったが、それにサテラは苦笑を返す。


「なんで見られてるんだ?」

「一つは貴方達が物珍しいから、一つは私が他の人を伴って歩いているから」

「そんなに物珍しいのか俺達? それと、サテラが他の人と一緒にいたら変なのか?」

「自覚ないのが驚きなのだけど・・・貴方の配下は目の保養になるからよ。そして、私は魔法が使えるソロの冒険者で有名なのよね・・・。」


 成る程。俺以外が全員美人すぎるということだな。サテラもその視線に含まれていることを本人は気づいていない。人の配下を下心で見やがって・・・睨み返してやる。


 そうこうしている内に列は進んでいき、とうとう俺達の番が来る。

 俺達の方に銀色のプレートメイルを着用した体格のいい兵士がやってくる。

 腰には長いロングソードを携えていて、鞘の部分には紋様が入っていて、恐らくは王国の兵士を表すサインか何かだと考える。


 その兵士はサテラの顔を一瞥すると、直ぐに手に持っている書類に目を通す。


「冒険者サミエラで相違ないな」

「えぇ。相違ないわ」


 兵士一度頷くと、俺達の方へと目を向ける。俺はできる限り不自然に見えないように顔に営業スマイルを浮かべながら兵士の顔を見返す。


 サテラは冒険者ギルドに偽名で登録している。理由は教えてくれなかったが、偽名で登録している冒険者は多いそうだ。


 それがバレないように演技するのが難しい・・・。


「此処を出た時は一人ではなかったか? そこにいる者達はなんだ?」

「ユガ大森林で一緒に行動した連れです。冒険者登録を行っていないから、今からギルドに行こうと思っていたところよ」

「・・・・・・・・・まぁ、あんただから大丈夫だとは思うんだが、規則なんで一応書いてくれ」


 そう言って、一枚の紙切れをサテラに手渡す。

 前世で作られていた上等な紙とは違い、ザラザラとした紙に渡されたペンでサラサラと何かを書いている。


 なんとなくは想像していたけど、やっぱり文字は日本語と全く違う。


 サテラはよくわからない丸っこい字の様な物を書いていき、それを兵士に手渡す。兵士はそれに目を通すと、肩にかけていた袋の中に丸めて入れる。


「登録したらもう一度ここに来てくれ、もし何かあって発行できなかった場合も同様だ。期限は明日までで、もし来なかった場合はギルドに掛け合って呼び出し、場合によっては犯罪となる場合もあるから注意してくれ。以上だ」

「ありがとう。じゃぁ、行こっか」


 そう言って俺達に声をかけ、歩みを進めるサテラに続いて歩く。

 未だ見ぬ異世界の街に期待をしながらゆっくりとした足取りで門を潜ると、そこには俺が想像した以上に素晴らしい街並みが広がっていた。



 石畳の上を行き交う、多くの人に賑わった雑踏。人が歩く足音が周りを支配し、森の中とは違う新鮮な音が耳に心地よく響く。風の音は鳴りを潜め、靴がかき鳴らす石の音楽、狭い商店街の様な場所から聞こえてくる人が擦れ違った際に響く衣擦れの音。

 人の声はそれよりも大きく、大きく耳の中を通り抜けていく。


 仕事で行き交う人の群れに、それを縫うようにして追い駆けっこをする子供達。買い物をするために露天に並べられた商品を食い入るように見つめる主婦達の姿。

 路頭に布を広げ、楽器を奏でる吟遊詩人達の姿。

 唯唯楽器を打ち鳴らす奏者達の横で、踊り狂う人々の姿。

 昼間から酒を飲んで頬を赤らめている者の姿。


 緑、茶色、青色、水色だけが支配していた森の中とはまるで別次元のような世界。視界いっぱいに広がる色鮮やかな世界。

 奏でる調和の取れていない音の奔流はやかましいはずなのに、今の自分には久しく忘れていたこの景色が瞳を潤ませる。


 零れ落ちそうになる涙に驚きながら。人の流れをジッと見つめ続ける。


「そういえば『ミールの祝祭』が近づいていたけれど、今日だったんだね」

「ミールの祝祭?」

「1000年前に起きた大戦の後、人類を導いた智慧の者達の内の一人。ミールは飢えた人々を救った人物だ」


 祭りで全員が浮かれてるってところなのか。

 普段はここまで人は多くないらしい。吟遊詩人や奏者達も普段は酒場だったり「奏場」と呼ばれる場所で弾いているらしいが、祭りの日には表に出て自分の腕前を披露するのだそうだ。


 カナンの街並みはイタリアの街並みに一番近い。家屋は石だったりレンガなどで作られている。

 路頭を挟む背の高い家屋に目を輝かせながら、キョロキョロと見渡して歩く。


 前世では海外に行ったことがなく、旅行といえば大体が国内であった。

 そんな俺からすると、このカナンの街は初めて見るものばかりで本当に驚かされる。テレビで色々な国を見てきたが、実際に行くのと見るのとではやはり感じるものが違う。


「そんなに珍しいの?」

「いやぁ、正直想像していたのよりもすごい・・・」


 カナンの街並みに目を奪われていた俺にサテラは微笑みながら視線を向ける。


 街を横断する水路に掛けられた橋を渡る。

 水は澱んでおらず透き通っていて、時折魚が泳いでいるのが目に映る。

 よくよく目を凝らしてみてみると、色の薄い精霊が川の上を飛んでいるのが見える


『水が綺麗な証拠よ。色が薄いのは人間に見えないようにしているのよ。精霊視があってもそう簡単に見つからないようにしているのね』

「そうなんだ。ほんとにこんな街あるんだな・・・」


 ディーレさんと話していると、サテラが何かに気づいたようにこちらを振り返る。


「ここの水路は移動にも使われていてね、舟に乗って下の方の街に行けるのよ。他にも街から抜けて少し下流の方に行くと湖があって漁場もあるのよ」

「街の中を走る水路か・・・前世だったらドブ川まっしぐらだなぁ・・・」

「? 他にも、遊覧船だったり船食場っていうのもあるのよ」


 そう言って、サテラは水路の方へと指をさす。

 水路の端には幾隻もの舟が着けられており、外では船の持ち主らしき人物が呼び込みを行っている。

 船食場っていうのは屋形船みたいな物かと思ったら、店を船の上に乗せたような大雑把なものだった。遊覧はできず、その場で食べるらしいが雰囲気は楽しめそうだ。

 遊覧船には一度乗ってみたいかもなぁ。


 その後も、あちこちの施設をサテラが説明してくれる。

 それを聞いていると無性に俺のオタク心がくすぐられる内容がいくつも出て来る事出て来る事・・・。


 商店には、武器屋、防具屋、アイテム屋、魔術屋、錬成屋・・・他にも様々なものが並んでいる。

 どこがいいとか、どういうふうに品を見定めるとかをサテラは話して聞かせてくれる。


「カナンでは下流に湖があるおかげで魚料理が美味しくて・・・って話してたらギルドが見えてきたね。あれがカナンの冒険者ギルドよ」

「おぉ~」

「大きいですねマスター」

「主人・・・おっきい」


 後ろ二人の言葉に極力意識の行かないように尽力しながら、前方にある冒険者ギルドに目を向ける。


 周りの建物よりも一回り程大きく、そこに何人もの冒険者が入っていく姿が見える。

 冒険者ギルドに近づくにつれて多くなっていく武器屋や酒場、通り掛かる人も冒険者が多くなっていく。


 仲間と喋りながら、これからどこのダンジョンに行こうかなどと話し合っている姿。露店に出された武器を物色する姿。丁度昼時であるので、食事を取っている姿も見受けられる。


 そうして、冒険者ギルドに歩いている最中、四人の人族がこちらに歩み寄ってくる。革の鎧を着て弓を背負った男を先頭に、板金鎧の男、ナイフを腰に下げた身軽な服装の女、ショートソードを背中に背負った女がこちらに歩いてくるのだ。


「サミエラさん久しぶり! ・・・なんだかすごいメンバーだけど、どうしたの?」

「あぁ、ちょっとね。ユガ大森林で知り合ったの。今から冒険者ギルドに登録に行くところよ」

「え・・・まさかパーティー組むの!?」

「えぇ、そうね」


 その場にいた四人は驚いた素振りを見せ、こちらへと視線を向ける。

 サテラがパーティーを組むのがそんなにすごいことなのか・・・周りの人物がサテラに向ける視線からして本当に驚いているようだ。


「どういう風の吹き回しか、あの『孤高の魔法剣士』も漸くパーティーを組むのか」

「その通り名は嫌いなんだけど・・・」

「贅沢な奴だな」


 板金鎧を着た男が掛けた言葉に、サテラは苦笑を返す。

『孤高の魔法剣士』かぁ、通り名っていうのもあるんだな・・・かっこいい。


「私はいつか入るとは思っていたけれど・・・なんというか、異色なパーティーね・・・」


 そういって、こちらを見るのはショートソードを持った女性。

 まぁ、そうですよね。かたや美少女二人に、怪しいローブをまとった少女、俺みたいなちんちくりん。


「そう言わないで欲しい。これでも信頼できる人達なんだ、それじゃ先急ぐからまた」

「あぁ、引き止めてごめんね。それじゃまた!!」


 そう言って弓矢を持った男性達のパーティーは去っていった。いったい誰なんだ?


「Eランクに上がる時の試験で一緒だったメンバーよ。パーティーにも誘ってくれて、かなり気のいい人達ね」

「へぇー」


 パーティー名は「風の導き」というDランクの冒険者パーティーだそうで今急速に力をつけている注目の若手なんだとか。バランスが取れており、依頼も順調にこなすことからギルドの覚えもいいらしい


 サテラをパーティーに誘ったそうだが、その件は断ったそうだ。だけど、それからも一緒に飲み喰いしたり情報交換等を行っているそうだ。


 そうこうしている内に冒険者ギルドが目前へと迫って来る。この世界初めての大きな建物に少し感動しながら、建物の入場口へと目を向ける。


「・・・ここに来るまでに言ったと思うけど、何か言われても無視してくれればいいから」


 ここに来るまでにサテラさんから言われたことなんだけど、サテラをパーティーに誘ってくる冒険者は多いそうで、その中にはかなりしつこい連中もいるのだとか。

 その連中が俺たちに何か言ってくるかもしれないとサテラさんは眉を顰めていた。


 まぁ、ずっとパーティーを断ってきたのにいきなりパーティーを組むってなったら、妬む奴や僻む奴が出てくるのだろう。


 俺達は、冒険者ギルドの扉を潜る。その中にあったのは、大きな掲示板に数えるのも嫌になるほど張り出された張り紙と、机の上に置かれた分厚い冊子。

 その前に群がる幾人もの冒険者達の姿。


 冒険者ギルド館内にはテーブルや椅子も設けられており、そこに座って談笑している者、次のクエストの入念なチェックをしている者、軽食を取っているものなど様々だ。


 カウンターは横一列に並んでおり、クエストの受注がE~Dそれぞれ3つずつ、C~Bそれぞれ五つずつ、Aが一つとなっている。

 新規登録のカウンターはその場所よりも少し奥に進んだ場所に三つも受けられていて、今は職員が二人いる。


 サテラが入場した後に俺たちも続いて入ると、もう慣れたものだが幾人かの冒険者の目が驚きに見開かれたのが伺える。


 サテラは視線に気付いているのかいないのか、その視線に目を合わせることをせず真っ直ぐに新規登録のカウンターを目指す。

 それに気づいた職員が姿勢を正し、必要な書類を取り出すのを見て、接客に対して徹底されているのが分かる。


「新規登録に来たのだけれど大丈夫かしら?」

「はい、問題ないですよ。サミエラ様はもう登録なさっていますよね? 後ろの方達でよろしいでしょうか?」

「えぇ、そうよ」

「でしたら、まずはこの書類に記入を」

「申し訳ないのだけれど、後ろの方達は文字が書けないの。代筆をお願いできるかしら?」

「はい、かしこまりました。銅貨一枚頂きますがよろしいでしょうか?」

「問題ないわ」


 そう言葉を交わした後、机にあらかじめ用意していた用紙に慣れたように筆を滑らせていく。


 代筆なんて頼まなくてもサテラがやってくれればいいのではないかと思ったのだが、基本的には書類には直筆の物が好ましいらしく、字が書けない人達には代筆という形で取ってもらうしかないらしい。


「それでは、種族の方をお願い致します」

「魔族が3、人族・・が1です」

「・・・承知致しました」


 職員さんは一瞬顔を驚きに染めたが、直ぐに元の顔つきへと戻す。洗練さてるなぁ。

 しかし、そんな余裕を持った態度も束の間。俺達が一番心配している事が起きる。


「申し訳ないのですが、一応念の為にフードの方外してもらってもよろしいでしょうか?」

「はい」


 そら来た・・・。


 ミリエラは目深に被ったフードをゆっくりと後ろに下げる。中からは金色の髪に碧眼の儚げな様相をした「人族」が姿を見せる。


 耳は尖っておらず多分エルフだとはバレないはずなんだけど・・・。里を出る前にかけた魔法は、変化の魔法でありこれの定着がしっかりとされているかが心配だったのだ。

 効力は一週間、魔法の定着までに少し時間がかかってしまうのが難点ではあるがこの通り、エルフの特徴は完全に隠せている。


 周りの冒険者の視線がミリエラへと集まり、ある者は感嘆の声を上げながら。下卑た目を向けている・・・その気持ちはわかるがあまり露骨なのもどうかと思う。


 その視線はユキ、キクを経由して、俺へと注がれる。おいおい、ユキとキクにまでそんな視線を向けんじゃねぇよ、俺の配下だぞ。


「確認しました。では手続きに戻ります」


 それからは手続きが滞りなくスラスラと進んでいく。あ、やっぱり俺の名前はユガなのね。

 出身地はユガ大森林。年齢は不明。犯罪歴なし。後は宗教やらなんやら細かい部分があったが、そこはサテラが進めてくれた。


「では最後に、魔法適性と基礎ステータスの確認をさせていただきます」


 そう言うと、カウンターの下から用紙を取り出し机の上に並べる。

 真ん中には魔法陣の様な物が描かれており、その上に手を置けばいいらしい。


 まずはミリエラが手を置く。少ししてから、職員が手を離すように告げるとその用紙は一度発光すると、緑色の光と文字が漏れ出し、職員の手の中に流れ込むように消えていく。


「おめでとうございます魔法の素質がおありですね。ステータスは一般的ですが・・・これは珍しい、魔法適性は水、風、土と三種類を指しております」

「あ、ありがとうございます?」


 ミリエラはそそくさと俺達の後ろに行くと、続いてキクが先程と同じ手順を行う。


「流石は魔族の方ですね。魔法の適性は火で、ステータスは一般的な方よりも遥か上ですね」

「主人・・・褒めて」



 そう言うとキクは俺に抱きついてくる。目がキラキラしている。

 続いてユキ。


「魔法の適正は・・・火、水、風で魔法の才能は十分にあります。同じく一般的な方よりもステータスは遥かに上ですね」

「マスター」


 そう言うとユキも抱きついてくる。身長差で胸が近い・・・黙って抱きつかれておこう。イテテッ!?キクに抓られた。


 二人の拘束から逃れ、よしと意気込み用紙の上に手を置く。数秒の後離すと、同じく発光しながら光と文字が流れていく。

 すると、用紙から発される深い青の光は徐々にその強さを増していく。

 やがてその光が収まると・・・


「え・・・あ・・・え・・・?」

「どうかしたんですか?」


 職員さんが明らかに動揺している。何かあったのか?


「あっと・・・適性は火、風、土。そして・・・長い事この職をやっていますが初めて見ましたが・・・水の適正値が用紙で計りきれる限界値を突破しています。ステータスも限界値を突破していまして、大凡C+ランク以上かと思われます」

「え、あ、はい」

「え?」


 その言葉に、サテラは驚きに声を上げ、目を大きく見開いて用紙を見つめる。

 後ろでは状況が上手く飲み込めていないミリエラと「流石マスター」「主人様・・・流石」と拍手しているユキとキクの二人。


「・・・えっと、ステータスが上位であってもランクはFからになってしまいますので、ご了承ください」

「あ、はい」

「では、ギルドカードに登録します」


 職員さんは冷静さを取り戻し通常の職務に戻る。

 カウンターの後ろからギルドカードと呼ばれた物を取り出し、それに何らかの魔法を唱える。


「ギルドカードの説明をさせていただきますね」


 ギルドカードは一度所有者を登録すると身分証明書としての役割を発揮する。


 偽名を使えるものが身分証明書でいいものなのかと思ったのだが、ギルドカードは所有者が手に持つと発光するそうで、登録者以外が手に持っても発光しないらしい。


 ギルドカードのつくり方は極秘であり高度な技術が使われている。故に、偽造等はできない。


 ギルドカードはギルド本部とリンクしており、カードに記されたものをギルドは常に把握しているため、再発行する際にも全く同じギルドカードが出来上がる。


 そして、一度ギルドカードに登録すると再発行以外では、作ることができない。つまりは、何度も新規登録して、カードを複数持ったりもできないとかなり優れたものらしい。


 そして、偽名で登録したとしてもギルドが動けば、すぐに身元が割れるそうだ。


 俺達はギルドカードを受け取り、職員さんに礼を言ってカウンターを離れる。

 結構すんなり行けるもんなんだな・・・。


 これで一応ギルドに登録することはできた。

 職員さんから聞いた話では、依頼を受注できるのは正式に書類が受理される明後日だそうだ。


「うん、登録も終わったし。取り敢えず、宿に行こうか」


 サテラはギルドの出口へと向かう。

 そして、俺たちがそれに続こうとした時だった。


「よぉ、サミィ」

「お?」


 俺は後ろからの衝撃によろけたが、その場でなんとか踏みとどまる。

 何が起こったと後ろを振り返ってみると、大柄な男と取り巻き三人の姿が目に映る。


「・・・何か用?」

「つれねぇなぁ。一緒にパーティーを組んだ中じゃないか」

「あれは依頼で一緒になっただけ、別にパーティーを組んではいないわ」


 大男はジロリとこちらをみやり、鼻で笑う。なんだろ、ムカつく。


「お前が妙な連中を引き連れてるって聞いてな」

「そうか、この人達は私と一緒に組むことになったパーティーメンバーだ」

「あぁ?」


 取り巻きの連中は必死に笑いをこらえていたが、とうとう笑い始めて。

 大男も嘲り笑い、サテラに視線を向ける


「これがお前のパーティーメンバーか・・・こりゃ傑作だな。折角俺たちのパーティーに誘ってやったってのによ」

「申し訳ないが、もう間に合っている」


 サテラは相手の言葉に感情を揺さぶられることなく、ただ淡々と受け答えしていく。至極面倒そうな顔を浮かべてはいるけれどね。


「そこのちいせぇガキ以外だったら俺たちが面倒見てやるよ。どうだ、いい提案だろう?」

「お断りさせていただく」

「あ、あの、えっと?」

「「・・・・・・・・・」」


 ミリエラはオロオロしているんだけど・・・あ、やばい、ユキとキクの顔色がどんどん剣呑な雰囲気を纏わせていってる。


「では」


 そう言うとサテラは出口へと急ぐ、それに俺達も慌てて付いて行き、途中転びそうになったミリエラを支えながら、その場を足早に後にする。

 その俺達の後ろ姿、眉を顰めて睨み付ける様にしている大男と取り巻き達。


「チッ・・・調子に乗りやがって」


 ちょっとしたゴタゴタはあったが、俺達はサテラが取っている宿へと向かった。

本当にゴタゴタがあった投稿でしたが、無事書ききることができました・・・。

さて、人族の街へ乗り込んだ主人公でしたがいきなり暗雲立ち込める展開が・・・今後どんな展開になるのか乞うご期待です!!


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になり、筆が踊りますので気軽にどうぞ!!


※活動報告がどうやったら見れるのかわからなかったと読者様から聞き及びました。

方法は一番上にある?「作者:砂漠谷」の名前を押していただくと、私は左上に出てきました。


わからないことがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので質問送ってください!!

皆様が快適に読んで下さるよう誠心誠意努力します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ